【富の再分配】ベーシックインカムのデメリットを解決する方法を考える。

オレ流雑感
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 今後さらなる自動化、効率化、AI化によってトレンドとなるであろう“人的リストラ経済社会”では、格差がより進んだ社会になることが予想でき、それによる消費経済の低迷に対抗するには“富の再分配”が必須であると思います。

 そしてその再分配のシステムとして、今現在の社会保障を一つにまとめたような政策である“ベーシックインカム”が注目を浴びています。

 ベーシックインカムとは、“政府が国民一人一人に最低下の生活が送れる程度の現金を定期的に支給する”という仕組みです。言うならば、“国民総仕送りシステム”と言い換えることもできるでしょうか。ある意味、夢のようなシステムです。

 ただし、そのベーシックインカムにもいろいろとデメリットが存在しており、前回はそのデメリットについて考察してみました。

 今回はそのデメリットをどうやったら解決できるのか、私の足りない頭で勝手に考えてみたいと思います(笑)。あくまで個人の浅はかな一意見ですので、気軽に目を通してみてください。

私が考える富の再分配の理想

 ここで確認ですが、私が理想とする富の再分配の最終着地点は

衣・食・住・教育・医療という面において、生きていく上で最低限度の生活を送れることを幸福エリアの入り口、つまり幸福の最下限と定義し、国民全員がその最下限は保障される社会の構築

というものです。

 これを達成するための手段としてベーシックインカムを利用した場合、何を工夫すればこの理想に近づけそうか考えてみることにします。

 前回、私なりに感じるベーシックインカムのデメリットは以下のようなものだと書きました。

  1. 健康保険、年金、生活保護といった現行の社会保障制度がなくなる
  2. ハンパない財源が必要となる
  3. 一世帯人数によって、最低限度の生活に差が出る
  4. お金の使い方は自己責任となる

 ではこれを一つ一つ潰せるところは潰していきましょう。

ベーシックインカムのデメリット解決法

1.“健康保険、年金、生活保護といった現行の社会保障制度がなくなる”について

 ベーシックインカムは衣食住医療までを包括し、国民一人一人に同額を支給する制度なので、社会保障費をより多く使う高齢層にとっては制度改悪となる可能性が高いです。

 これを一気に解消するのはなかなか難しいかもしれません。となると、やはり高年齢層には厚く支給し、段階的にそれを減額スライドしていくしかないでしょう。

 5年~10年をかけて年齢別の支給金額を徐々に平準化していき、理想としたベーシックインカムのあるべき姿を達成するしかないと思います。

 また、その間に“無駄な医療費を減らす施策”も徹底するべきでしょう。年をとっても病気をしない自己管理を啓蒙し、若いうちからそういった教育をきちんと行うわけです。

 このように個人個人が健康についてもっと真剣に考えるようにし、またそれを維持管理することを本気で行うような文化を作ることは、ベーシックインカムを導入する上での必要条件ではないでしょうか。

 もしそんな文化が当たり前になれば、相当な医療費の削減ができると思うんですよ。そうすれば、もっとベーシックインカムを有効に使えるはずなんですよね。

2.“ハンパない財源が必要となる”について

 2020年度の社会保障費は約124兆円だったそうですが、そんな大きな財源があっても、国民ひとりに支給される金額は月に8.6万円です。

 これでは職を持たない国民が、生きていく上で最低限度の生活を送るにはちと厳しそうです。となると、不公平を承知で

  • 所得制限
  • 資産制限

による支給額の変動を行わざるを得ないでしょう。資産でも制限をかけるので、マイナンバーに紐づけて資産額を報告する仕組みも必要になります。すごく反発されそうですけど(苦笑)。

毎月お金が支給されるから助かるなあ

もうベーシックインカムなしじゃ生きていけないぜ

なんかボクだけ支給がないんだけど…

それが“所得制限”さ…

…………………

ちょっと可哀想かな(苦笑)。

 と同時に、高額所得者、高利益企業の税率をもっと高くする必要がありそうです。

 ぶっちゃけこの層には何一つうまみがない政策となりますが、人的リストラによる利ザヤで潤ったのだとしたら、ある程度そこは社会に還元してもらうべき、という考えを理解していただくしかないと思います。

 言うならば、“人的リストラで得た利益は、人的リストラされた人に還元する”という理論でしょうか。「せっかく企業努力したのに」と思うかもしれませんが、そこから生じる格差によって消費社会が維持できなくなるのであれば、結局はそうするしかないと思うんですよね。

3.“一世帯人数によって、最低限度の生活に差が出る”について

 これも対策が難しいなあ。一番生活が厳しくなるのが、家賃や物価の高い都市部で一人暮らしをしている層ですよね…独居老人とかも厳しそうだなあ。

 もちろん一人25万円/月くらいのベーシックインカムが支給できれば、そこまで気にすることはないかもしれませんが、その場合だと月に30兆円、年間で360兆円の予算が必要になります。これは現実的ではありません。

 だからといって、“同居家族が多いほど支給額が減額になり、その分一人暮らしを手厚くする”というルールにすると、不公平感がハンパないです。

 ですので、一人暮らしの人はできるだけシェアハウスのような物件に住むような政策をとることが必要かもしれません。要は家賃や水道光熱費などの固定費を、共同で支払うことで単価を少しでも安くする施策です。

 政府も寮に近い集合住宅の建設を優遇し、共同生活の側面を強めにした物件がもっと増えるような環境を作る必要があるかもしれません。それでも

私は誰とも関わりたくない。完全な一人がいいんだ!

という人は、ベーシックインカムだけの生活はやりくりが大変だけど文句言わないでね、というトレードオフを了承してもらう上で、完全一人暮らしをしてもらうしかないかもしれないですね。

4.“お金の使い方は自己責任となる”について

 ベーシックインカムが最終・最後のセーフティネットだとすると、その使い方を管理できないことは許されません。

 ですので、個人的には使用品目を限定する制限をかけるべきだと思います。要は“衣・食・住・教育・医療”という、生きていく上で最低限度の生活を送るための品目以外には使えないようにするのです。

 そのためには、現金支給の形はやめるべきです。ここまでネットインフラが普及した現在であれば、ポイント支給という形にし、そのポイントは

衣・食・住・教育・医療

のみにカテゴライズされるサービスにしか使えない仕様にしたらどうでしょうか。

 そうすればベーシックインカムがパチンコに浪費されることもないし、酒やタバコに変わることもないはずです。つまりベーシックインカムを趣味嗜好品には利用できないシステムにするわけです。

あ~酒が飲みてえなあ。そうだ、息子のベーシックインカムで買っちまおう。

ベーシックインカムではお酒は買えません

なんだと⁉ じゃあタバコだ!

ベーシックインカムではタバコは買えません

イライラすんな~っ!! パチンコで憂さ晴らしするか!

ベーシックインカムではパチンコはできません

…徹底してやがる…クソッ!

これで息子くんの人生は守られます。

 もちろんあらゆるものに交換可能なお金を、半ば強制的に限定利用することは、自由経済をいびつにする可能性もあります。

 しかしながら、財源の多くがもともとの社会保障費中心であるならば、それに近いところでカテゴライズされた消費だけに使用を限定しても、そこまで影響はないのではないでしょうか。

 重要なのは、ベーシックインカムは“衣・食・住・教育・医療という、生きていく上で最低限度の生活を送るためのお金”であることを、徹底させることです。

 これを基本とし、趣味や嗜好品、その他サービスを得たい人は、自分で稼いだお金をそれに充てる。その稼ぎ額の違いは、本人の努力次第で差が生じる。

 そしてその差が裕福な層と裕福でない層とを分ける要因となる。しかしながら、裕福でない層でもベーシックインカムで最低限度の幸福は担保される。

 このような世の中であれば、努力して結果を出した者も報われるし、環境により本意でない結果となった者も、最低限という生活においては救われるのではないかと思います。

富の再分配政策で一番力を入れてほしいこと

 ここまで“自動化・効率化による人的リストラ格差社会における富の再分配”という壮大なテーマでいろいろと意見を書いてみました。

 しかしながら、やはり私程度の凡人の知識と知恵では、万人が最低限度の幸せを保障される社会の構築という理想に対する、魅力的な提案はできそうもありません(泣)。

 ただどんな富の再分配政策が採用されようとも、以下の2点においては可能な限り力を入れてほしいな、と思います。

1.平等な教育機会の創出

 やはり教育の質と自由な選択こそが、個人の将来の可能性を広げる最大のキーワードだと思います。貧困の連鎖を断ち切る一番の近道はこれだと思います。

 ですので、できれば教育は完全なる無償化が理想です。極端な話、医学部に入ろうとも、海外に留学しようとも無償が望ましいです。自己の能力開発に積極的な若者には、あらゆる学習機会を制限なしで提供したいですね。

2.健康維持管理の義務づけ

 100人いて100人が超絶健康だったら、社会保障費なんて激減するわけですよ。しかしながら喫煙、飲酒、暴飲暴食、運動不足…これらを制御できない人たちが多いために、医療費はかさむわけです。

 仮に100人中70人が不摂生による自業自得で医療費を圧迫しているのならば、それを30人に減らす施策は絶対に必要なわけです。

 しかし人間というものは、己を厳しく律するのがとても苦手な生き物です(苦笑)。ですので、健康管理を個人個人の自主性に任せていても、永遠に数字はよくなりません。

 となると、罰則規定もやむを得ないのかな、と思います。一番簡単な罰則規定としては、健康診断の数値の良い人と悪い人とで、税金や社会保険料の徴収額に差をつけるべきです。そのくらいドラスティックにやらないと、皆さん本気出さないと思うんですよね。

 もちろん先天的に病気がちな人は別です。健常なのに、自堕落な生活で将来的に医療費を増やす恐れがある層に対して厳しい徴収をするのです。そして医療費を減らした分を教育費に回す。個人的には健全なんじゃないかな、と思うんですけどね。

終わりに

 なかなか難しいテーマに手を出してしまい、書いては悩むを繰り返してしまいました。きっかけはただの健康診断だったのに(苦笑)。

 まあシンプルに考えれば、偏り過ぎる富を少し平準化して財源を確保し、健康文化を高水準で成熟させて無駄な出費を減らす。そして残った部分を、高濃度で衣・食・住・教育・医療のために利用する。

 こんなサイクルができたらいいなあと思っています。それではまた。

著:ルトガー・ブレグマン, 翻訳:野中香方子
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