第34回 ジェシー・メイビア

オレ流超人批評
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カメハメを倒したハワイの英雄。返し技の名手がもたらした、キン肉マンのターニング・ポイントとは?
出身 ハワイ
超人強度 85万パワー
必殺技 フロント・スープレックス
各種返し技
カナディアン・バックブリーカー
主な戦績 カメハメ○
キン肉マン●
ジェロニモ●

華のある青年実業家的な超人

 超人オリンピックに優勝して世界チャンプになり、ワールドサーキットに繰り出したキン肉マンの、最初のライバル(関門)がこのメイビアでした。

 彼はのちにキン肉マンの師匠・そしてキン肉マングレートとなり大活躍するカメハメを倒してハワイのタイトルを奪い、地元では英雄としてその名声と地位を不動のものにしていました。

 その性格は派手好きというか、目立ちたがり屋というか、このあたりは主人公であるキン肉マンとかぶっていますね。人工太陽に乗って入場するシーンなど、作品内の数ある入場シーンでも派手な部類に入ると思います。

 しかも“影武者”の衣装で静的なオリエンタルムードを醸し出し、好評を博したキン肉マンの入場に対しても

あ…あのヤロウ~~~~

と嫉妬心をむき出しにしているあたり(笑)、かなり自己顕示欲の強い性格であると思われます。

※注)このくだりについてはメイビアの付き人だったカメハメが、彼を裏切りキン肉マンのセコンドについたことに対する「あのヤロウ~」という意味だったとのご指摘あり。その通りだと思います(苦笑)。

 また、若いくせに専用のジムを経営し練習生を多数抱えていたり、地元のプロモーター(デューク・カマタ)と蜜月関係を築いていたりと、本職のレスリング以外での経営手腕もなかなかのものがあります。青年実業家といったフレーズがしっくりくるキャラでしたね。

 そして引導を渡した相手(カメハメ)を付き人に任命するなど、ある種残酷な性格を持っているといえます。

 しかしながら、そういった非人情的で相手の気持ちを気にしない厚顔さなどが、かえって彼の思いあがりというか天狗ぶりを強調し、キン肉マンとの対比をクッキリと浮かび上がらせています。

 いうなれば、メイビア VS キン肉マンの試合というものは、“イケメン青年実業家 VS ブサイク落ちこぼれ世界チャンプ”という図式を縦軸し、さらにはカメハメを媒介した“非人情合理主義者 VS 人情浪花節主義者”という図式を横軸にした対決だっともいえるでしょう。

 当然のことながら後者が前者の鼻っ柱をヘシ折るという展開に、読者は気分をよくするわけです。

返し技の名手という個性

 彼の実力については正直な話、測定しづらい部分があります。あのカメハメを破ったという実績は評価に値しますが、

  • 返し技を主体としたレスリングスタイルに力強さが感じられない
  • オリジナルのフィニッシュホールドが、クリープを入れないコーヒーくらい一味足りない(笑)
  • キン肉マンの挑発に簡単にのってしまう精神的な若さがみられる

といった点を総合すると、まだまだ発展途上の超人だったといわざるを得ません(発展途上の段階でカメハメを破っているところだけは突出して末恐ろしいですが…)。

 ただ“返し技”という個性をさらに追求し、それを締めくくる大技をマスターすれば、もっと活躍ができたキャラだったのではないでしょうか。

 例えばバッファローマン等のパワー超人に対し、軽業師的な返し技を連発するメイビアなんて、けっこう魅力的ですよね。

 しかも実はザ・ニンジャの『順逆自在の術』を密かに披露している(キン肉マンのオクラホマ・スタンピートを返したアレね)あたり、その方面でかなりの素質があったのではないかと思います。

 イケメンだっただけに、正義超人のレギュラーになるチャンスもあったのではないでしょうか。

キン肉マンの格闘スタイルを変えた超人

 もう一つ、彼の業績で評価できることは、キン肉マンのファイトスタイルのターニング・ポイントをつくったということです。

 メイビアに見下されたことで発奮したキン肉マンはカメハメに弟子入りし、その後の彼のファイトスタイルの核となる“48の殺人技”をマスターする結果となりました。

 このメイビア戦からキン肉マンの試合運びは、明らかに変化をしています。

 それまでは格闘技術うんぬんよりも、運のよさで勝ち進んできた感があったのに対し、この試合からは確固たる格闘技術に加え、自分自身で試合展開を考え、問題点を追求し、しかも相手を罠にめることで試合を決めるという、これまでとは打って変わった高等戦術を披露しています。

 つまりこの試合が“ファイター・キン肉マン”としての出発点であり、その後の飛躍への礎になった記念すべき試合でもあるのです。

 もちろん新生キン肉マンをプロデュースしたのは師匠であるカメハメですが、その原動力となったライバル・メイビアの存在も大きく評価してあげたいと私は思っています。

※今回はmizupinさん、ポデギさん、Tohyamaさん、北海道のパン屋さん、ディープインパクトさんほか、たくさんの方からリクエストをいただきました。ありがとうございました。

コメント

  1. ネスカフェ より:

    こんにちは。最近、期間限定でアニメ、キン肉マンがyoutubeで配信されているのですが、「ジェシー・メイビア」戦を見た後で、アキラさんの批評を読み返したら、まさに目から鱗でした。“イケメン青年実業家 VS ブサイク落ちこぼれ世界チャンプ”という図式を縦軸し、さらにはカメハメを媒介した“非人情合理主義者 VS 人情浪花節主義者”という図式を横軸にした対決というところは、このエピがもたらす爽快感の理由にぴったりと当てはまりましたね。こういう分析ができるところはさすがアキラさんですね。

    余談ですが、本エピもゆで先生にとっても、劇的なストーリーを展開させていくという点ではターニングポイントというか、成長のきっかけになったエピなんでしょうね。

    ちなみにyoutubeのキン肉マン配信はこちらです。

    • アキラ アキラ より:

      ネスカフェさん、こんにちは。

      やってますね、アニメ。毎日一話、観てますよ! ぶっちゃけアニメは初めて観るに近い状態(放送時はところどころしか観てなかったので)ですので、いろいろと新鮮です。アメリカ遠征も随分違うし、アリサさん死んじゃってるし(;^_^A

      そしてジェシーメイビアの批評、お読みいただきありがとうございました。そのように高評価していただけると嬉しいです。これからも劇的なストーリーが続くであろうキン肉マンを考察していこうと思います。よろしくお願いします。

  2. ネスカフェ より:

    すいません。貼り損ねました。
    https://www.youtube.com/watch?v=dHnWHdYvS6I&t=1221s

    ちょうどブラジル遠征のとこまで配信していますね。アフリカエピでは、マシンガンズのテリーと車いすの少年のエピや初期のテンドーンのエピが入るなど結構凝った脚色が面白いですね。

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