第66回 バイクマン

オレ流超人批評
スポンサーリンク
エンジンのパワーと瞬発力を持つバイク超人。超人二人分の力を期待された彼の費用対効果を分析すると、意外な答えが導き出されることに!
出身 オーストラリア
超人強度 1200万パワー
必殺技

キル・ザ・スカイダイブ
モーター・サイクリング・キック
マッドマックス・アタック

主な戦績

ラーメンマン●

正直ピュア超人?

 『キン肉星王位争奪編』において、ゼブラチームの中堅として登場したのがこのバイクマンです。

 彼はキン肉マンチームとマリポーサチームの対戦を偵察していたゼブラに同行していたので、早くからその存在が確認されていたキャラクターでした。

 それだけに読者からは

あのバイク超人は、ゼブラチームでも重要な役割がある超人なんだろうな…!

という“重要キャラ刷込”がなされたキャラだったと思われます。

 事実、彼は自軍のモーターマンの技を

くだらん…だだの曲芸だ

とこき下ろしたり、敵であるテリーマンにアドバイスを送ったりしたので、それを見た我々読者が

あのバイクマンってやつは、ただの悪役じゃなさそうだぞ⁉

という印象を得るに至りました。それこそ

敵軍から正義超人に賛同するキャラが現れる、なんていう胸アツな展開か?

な~んていうドラマまで脳内を駆け巡ったほどです。

 しかしながらそんなドラマは妄想そのものでした。ひと味違う悪役の正体はご存知ラーメンマンの扮装であり、本体は彼の不意打ちを食らって気絶していたのでした(苦笑)。

 この演出は、彼にとってはとても受け入れ難いものだったと思われます。過去には

あのバイク超人は、ゼブラチームでも重要な役割がある超人なんだろうな…!

という期待を持たせていたのに、肝心の登場シーンがこれでは、あまりにも落差が激しすぎます。

 さらに私を落胆させたのが

オレはあっという間にのされてしまった

という彼の正直すぎる告白です(苦笑)。

 超人レスラーたるもの、いくら不意打ちとはいえ、手も足も出ずにのされたことなど口が裂けても口外できないと思うんですよ、恥ずかしくて。

 しかし彼はそれをサラッと告白してしまったものだから、子ども心にも

なんか…情けない超人だな…

という蔑みが発生したことを、よく覚えていますね。ウソでもそこは黙っていようよと(笑)。ある意味ものすごくピュアな超人なのかもしれません(笑)。

ラーメンマン・ファーストの被害者超人

 そしてこの演出法は、ラーメンマンの数年ぶりの復活をよりセンセーショナルにするために行われたものだと思われます。

  1. 敵陣に潜伏
  2. 敵陣をかく乱
  3. 正体がバレるや敵を秒殺

という“都民ファースト”ならぬ“ラーメンマン・ファースト”の演出において、1ではバイクマンが、3ではモーターマンがそれぞれ餌食となった、ともいえそうです。

 そのような観点からすると、この演出においては彼もまた噛ませ犬だったモーターマンと同列の扱いであったことがわかります。

 ロビンマスクをして

バイクマンは超人二人分の力がある

と評価された彼ですらこの扱いですので、当時の“ラーメンマン・ファースト政策”おそるべし、ですね(苦笑)。

大胆かつ度胸満点なフォルム

 そのフォルムは、これ以上ないくらいの“名は体を表す”系であり、上半身にバイクをあてがい、下半身は人型という、物と人が合成されたデザインとなっています。

 それだけにそのわかりやすさは特筆もので、

強引すぎるぜ!

というツッコミをされながらも、100人が見て100人がその能力をイメージできるという点においては、インパクト絶大なフォルムだったといえるでしょう。

 特に彼のデザインで個人的にすごいと感じたのは

  1. バイクを横置きで大胆に配置した
  2. タイヤを省略した

の2点です。理由を以下に記載しますね。

バイクを横置きで大胆に配置した

 人体とはフォルムが大きく異なるバイクを、人体サイドに寄せていくというのはなかなかに無理がある作業だったと思います。

 おそらくバイクマンを創作しようと考えたちびっ子も

思いついたはいいけど、我ながら無理があるな…

と、頭を悩ませたに違いありません。

 そして彼はバイクの掲載されている雑誌やら広告を参考にしたことでしょう。そこでは大半のバイクが横向き構図で写っていた可能性が高いです。定番の構図ですからね。

 それを見ているうちに…

あれ?

見方を絞れば、逆三角形な部分が見えるぞ?

これ上半身ぽいな!

なんていうインスピレーションが脳内を走ったのかもしれません。

 その結果、タンク部分が肉付きのよい大胸筋に、エンジン部分がメカニカルな腹筋に、そしてライトとサドル後端が張り出した肩にあてがわれたわけです。

 この“機械の人体置き換えライン”の最適解に到達した点がすごいと思いますね。

 個人的にはバイクの横置き配置が往年の名スーパーカーであるランボルギーニ・ミウラの、エンジン横置きミッドシップを彷彿とさせ、ホクホクしている次第です(笑)。

タイヤを省略した

 バイクを人体化するにおいて、一番の問題が“車輪をどうするか”だったと思います。

 物体のかなりの体積を占めるこの円形部品を、人体に自然に収めるのは至難の業です。それに対する投稿者の答えはなんと

…タイヤいらね

でした(笑)。

 この選択はすごいですよね。バイクがバイクたる要素を、バッサリと斬り捨てる度胸。普通だったらできないですよ(笑)。

 結論から言うと、バイクマンにタイヤは存在したのですが、それはリング外からパルテノンが投げ入れて初めてバイク化が成立する図式でした。

 これはゆで先生のテコ入れだと思われますので、元デザイン自体は

…タイヤいらね

という英断の可能性が高い、ということです。

 しかし思い切りましたよね~。私だったらできないです、おそらく(苦笑)。

オーバーマスクならぬオーバーヘルメット

 彼のスタイルでもう一つ気になるのは、ヘルメットの重ね着です。

 彼は通常のフルフェイスヘルメットの下に、モトクロス用のヘルメットを被っていたことで、当時のちびっ子の度肝を抜きました(笑)。

 マスクの重ね着ならまだ納得できるんですよ。薄手だから。でもヘルメットの重ね着は、いくら世の常識にまだまだ疎いちびっ子でも

………!!

と、一時思考停止ですよ(笑)。どんなにオーバーヘルメットが抵抗少なく“スポッ”と抜けたとはいえ、

ヘルメットの下にまたヘルメットて…! ゴツゴツしすぎだろ!!

と、かなりの密閉状態であった彼の“顔面エコノミー症候群”の危険性を、誰もが心配したのではないでしょうか(笑)。

 しかも現れたヘルメットがモトクロスタイプだったために

あれ…?

これってビッグボディチームのミステリアン・パートナーかな…⁉

と、一時錯乱状態に陥ったちびっ子もいたかもしれません(笑)。

 おそらくゆで先生的には、ノーマルのヘルメットでは絵面的な面白味が少なかったため、デザインにテコ入れをしたのだと思われます。

 ただその結果、試合の準備をするバイクマンが、ガイコツ顔の素顔の上にまずビッグボディチームから拝借した(笑)ヘルメットを被り、その上からノーマルのヘルメットを

うんしょ、うんしょ💦

か~っ、きっついな、これ…

と必死こいて被っていたかと思うと、その面倒臭さに少々同情してしまいますね(苦笑)。

ファイトスタイル

バイクスタイル

 そのファイトスタイルは、ラーメンマンが分析したように、エンジンのパワーを利用し瞬発力を活かしたものが顕著です。

 エンジンの推進力を利用して体ごと突っ込む『マッドマックス・アタック』、バイクに変形し相手を轢く『モーター・サイクリング・キック』。

 そして即席のジャンプ台から勢いよく落下する『キル・ザ・スカイダイブ』。どれもこれもエンジンパワーを存分に活かしています。

 何よりも“彼がバイクの超人であること”をまったく裏切らないファイトスタイルだと言えるでしょう。この点、まさに“安心・安全”なファイトスタイルです。ま、安全じゃないんですけど(苦笑)。

 ただそれは裏を返すと、彼の攻撃はほぼほぼバイクスタイルでの激突に終始している、とも言えます。ですので

どうせバイクスタイルの攻撃に終始するんだから、はじめからバイクスタイルで闘った方がいいのでは…?

といった、人間スタイルでの彼のフォルムを全否定するようなツッコミが出てしまうのが辛いところでしょうか(笑)。

 特に彼のフェイバリットである『キル・ザ・スカイダイブ』は、いちいち体をガチャガチャと変形させる必要があり、インパクトはあるのですが

…なんか…面倒くさい技だな

という印象を子ども心にほんのりと感じた記憶があります(苦笑)。

 もちろん彼のキャラクターとしての持ち味はこの“トランスフォーメーション”にあるので、この演出はとても好きなんですけどね(笑)。

 躊躇せずに右腕をもぎ取って、前輪用の支柱フロントフォークにする、などというムーブは、体を部品としかみなしていない思考が垣間見られ、

さすがは機能面重視のロボ超人

という印象を与えました。

 しかしながら同時に

でも効率悪いよな

と、機能面での相殺的な感想を持ってしまいましたね(苦笑)。

 でも今思うに、バイクマンの前輪のフォルムは、腹筋ローラーでの筋トレに似ているな~と思います。

 実際あれでエクササイズをしていて

バイクマン・エクササイズ!

なんて思いながらやっている方はいるんじゃないかと、一人勘ぐっている次第です(笑)。

エレキスタイル

 そしてバイクフォルム以外で特徴的なムーブは、彼もまたモーターマン同様、電気の力を使うという点です。

 ただ彼の場合はモーターマンのように電気でダメージを与えるのではなく、『エレキリング』という能力で電気を物質化し、利用する方が顕著でした。

 それは電気を輪の状態にして相手を拘束したり、自身が走る専用道を作ったりするなど、闘いをアシストすることに重点を置かれています。

 この“電気の物質化”という表現は『キン肉マン』という作品においてはポピュラーな表現方法であり、『サンダー・サーベル』等でも同様の表現がなされています。

 これは物理化学の観点から見ると、あまりにも現実と乖離している表現であり、言うなれば“三日月に腰掛けるキャラクター”に近い表現かと思われます。

 ある意味とてもメルヘンチックな表現とも言えるのですが、それがストーリー上でしれっとまかり通ってしまうことが驚きです(苦笑)。

 それは『キン肉マン』という作品が、いかに“直感的で無茶な表現をテンポの良さで読者に納得させる力”を持っているかの表れ、とも言えるでしょう。

 ですので、ふと我に返ると

『エレキリング』で相手を拘束した上で体当たりをしまくれば楽勝なのでは…

自分で専用ロードを作れるなら、サンダードームの仕掛け要らんよね…

といったツッコミが脳裏をよぎるのですが、結局は

ま、いっか。

次回も楽しみだな♪

に落ち着くわけです(苦笑)。

 これについては、それが許される作品スタイルを構築したゆで先生の勝利と言えるでしょうか。あれ? ゆで先生のファイトスタイル解説になっちゃった(笑)。

弱点が多い超人?

 彼はその瞬発力のアドバンテージから、なかなかにパワフルでスピードあふれる難敵のイメージがあります。

 しかしながら、よくよく見ると制限が多い超人であることが浮き彫りとなってきます。

 まとめると以下のような感じでしょうか。

  • 第三者にタイヤを投入してもらう必要がある
  • 球体の環境がないと能力を存分に発揮できない
  • ガソリンが切れると動けない(=仮設給油所が必要)
  • 電気が切れると動けない(=モーターマンの同行が必要)
  • ヘルメットが2個必要(笑)

 まあ最後のは冗談ですが(笑)、外部要因にかなり委ねられたファイトスタイルであることに間違いはないでしょう。

 つまりそれは自分ではどうしようもない要素を抱えながら闘いを行わなければならないことを意味しており、そのままそれが弱点となってしまうわけです。

 闘いを行うたびにサンダードームの部材、仮設給油所、モーターマンを帯同して会場入りしなければならないのは、かなりしんどいことでしょう。

 ゼブラも彼を雇ったあとに

キミ…いつもそんなに荷物、多いの?

と、思わず質問をしてしまったかもしれません(笑)。

 そしてガソリンや電気による強大なパワーの恩恵を受けられるのと同時に、それが大きな弱点にもなっているという彼の闘い方は、普遍的な脆弱性を伴っているようにも感じられますね。

彼の維持管理費を考える

 以上のように、彼は多くの付帯物を必要とした超人です。

 さらに言うと、自動車にカテゴライズされる彼は、納税や車検といったさまざまな義務を課されており、雇い主たるゼブラのトータルでの維持管理費は、バカにならないのではないかと思われます。

 もしゼブラチームが会社機構として存在していたとしたら、

経費の立替請求?

何の経費だ?

軽自動車税です

もうそんな時期か。

あれ? キミの排気量はたしか…

はい。

胸に刻まれたエンブレムの通り、750ccです!

…6,000円になりますね。

一番高いカテゴリーやないかい!!

なんてやり取りが、二人の間では頻繁に行われていたことでしょう(笑)。

 他にもバイクマンには思いつく限りで

  • 自動車重量税
  • 自賠責保険
  • 任意自動車保険
  • 車検費用
  • ガソリン代
  • 駐車場代
  • メンテナンス代

などの経費があり、年間で15万弱のランニングコストが発生する可能性があります。ですので

キミは…事故を起こすことが日常なんだから、保険なんてかける意味がないだろう?

いやあ~、一般人に対しては一応必要なので…

という、わけのわからない会話がリングサイドでなされていたかもしれません。

 さらに加えて

  • 仮設給油所維持費
  • モーターマン維持費(笑)
  • サンダードーム維持費
  • バイク修繕費

も必要となり、これらランニングコストは税金等よりも多額となることは間違いありません。ですので

ゼブラ様、サンダードームのフェンスの修繕をしたいのですが…60万円ほどになります。

そんなにかかるのか⁉

もっと複数の業者から見積りを取りなさい

わかりました。

あとタイヤが寿命です

キミ…いるだけでお金かかるね

と、守銭奴のゼブラからはその存在を少々煙たがられ始めていたかもしれませんね(笑)。

 そして超人二人分の働きを期待されていた割には一勝もできず、コストばかりかかった超人として、その費用対効果の悪さばかりが強調されてしまい、さらにゼブラの信頼を失った超人だったとも言えそうです(苦笑)。

おわりに

 以上、バイクマンについての考察でした。意外と存在そのものにお金がかかる超人であることがわかり、びっくりですね(笑)。

 また、帳簿上彼をどのような勘定科目で記載するかも悩ましいところです。

  • 労務費
  • 減価償却費
  • 消耗品費

こんな選択肢が可能ですからね。

 ですのでもしゼブラが彼を“消耗品費”で計上していたのがバレたら

ゼブラ様にとって私は消耗品扱いなのですか⁉

いやいや、そうではなく、君は10万円未満で取得できたから一括償却して…💦

と、詰め寄るバイクマンの尊厳を傷つけないよう言い訳をするゼブラが見えるようで、なんとも気の毒です(苦笑)。

 というかバイクマン、さすがに10万円未満では取得できないか。どんだけ中古なんだよ(笑)。

 そう考えると、きちんと“車両運搬具”として資産計上して減価償却費にし、

キミは私の資産だよ♥

と言ってあげた方が、彼との人間(超人)関係は円滑に進むのかもしれませんね(笑)。

今回はアクメ将軍さん、harmonics-squeal666さん、poison-rock-n-rollさん、\200さん、超人墓場のTVさん、チワワさん、emotion.510115さん、0ng1b649786146gさん、TKマンさん、ほか、たくさんの方からリクエストをいただきました。ありがとうございました。

【リクエストはこちらから】

    TAMAYA-GROUP楽天市場店
    ¥16,500 (2022/06/12 19:45時点 | 楽天市場調べ)

    コメント

    1. ( 雨) より:

      更新ありがとうございます

      バイクマンの腕を外して行う変形は初見時のインパクトが大きかったです
      可変式プラモデルの「差し替え変形」みたいだなと感じました
      また2重ヘルメットの下がドクロというのもインパクト大でした

      後に2世で同じ変形バイク超人のメルトダウンが登場しましたが、彼はタイヤが始めから体の一部だったり差し替え無しで変形出来たりと変形に関してはバイクマンの上位互換だと思いました
      しかし彼も彼で足先が横倒しのタイヤなので、靴が履けず土足厳禁の所に入れない、踵を付けて気をつけが出来ない、満員電車で踏まれまくる等、日常生活が大変そうです

      • アキラ アキラ より:

        ( 雨) さん、こんにちは。

        私もバイクマンの素顔がドクロだった件、インパクトが大きくてけっこうビックリしました。

        ただ初見時はリアルドクロだったのに、次の週からはメカドクロなっていて「シェーッ!」となりましたが(苦笑)。

        メルトダウンを見たときは、真っ先に「バイクマンのセルフオマージュだな」と感じましたね。そしてたしかに日常生活が厳しそう…(苦笑)!

    2. uzuki より:

      バイクマンが備品or資産扱い…これまた盲点だった着眼点
      役所の方も超人扱いか資産扱いかで頭抱えた事でしょう
      有限会社ゼブラ(勝手に命名)社長のゼブラも頭抱えながら
      夜中にそろばんパチパチしていたかもしれませんね
      「超人派遣会社め、厄介な奴派遣しやがって…」てな感じで

      • アキラ アキラ より:

        uzukiさん、こんにちは。

        書いていて「なんか…お金のかかる超人だな…」と思っていたら、こんな結末にたどり着きました(笑)。

        彼はゼブラから報酬をもらっているので、労務費でもお金がかかっているんですよね。

        そしてソロバンをはじくゼブラ…ウケます(笑)。

    タイトルとURLをコピーしました