第70回 チエの輪マン

オレ流超人批評
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全身が知恵の輪のオモチャ超人。オリンピック史上、もっともアホらしい試合を披露した彼だが、かわいい顔して実は意外と手に負えない存在だった!?
出身 不明
超人強度 30万パワー
必殺技

チエの輪絡み

主な戦績 キューブマン●

最弱イロモノ超人?

 『キン肉マン』に登場する、いわゆる“イロモノ超人”は数あれど、その中でも

…彼が最弱なのではないのか…?

と読者の誰しもに思わせる超人、それがチエの輪マンです(笑)。

 彼は2回目の超人オリンピックで初登場しました。そして一回戦でキューブマンと闘い、今となっては“新旧オモチャ対決”として伝説となった試合? を披露し、全身をバラバラにされて完敗しています。

 その散り際に発した

ウ~~~ン、近代のオモチャにゃかなわん…

という迷言で爆笑を誘ったのちにひっそりと消えていくという、明らかにゆで先生が“一発ネタ”をやりたいがために仕込んだ超人だったといえるでしょう(笑)。

デザインは中井画伯か?

 彼が読者応募超人だったのか、それとも中井画伯のオリジナルなのかは、いまいち判然としません。

 というのも、作品中に彼の出自を記載したページがないんですよ。ですのでベンキマン同様、中井画伯が嶋田先生の指示のもと、デザインした超人の可能性が高いです。

 おそらくですが、嶋田先生は時事ネタイロモノ超人枠として、キューブマンの決勝トーナメント進出は決めていたのだと思われます。

 なぜならば、『アメリカ遠征編』にて去っていったちびっ子読者を再度取り込むためには、彼は重要なキャラクターだったからです。いやホント、大人気でしたから、ルービックキューブ(笑)。

 そしてちびっ子ウケが狙えるキューブマンを使って、ギャグ路線の試合を提供することで、失った読者を取り戻す作戦だったのでしょう。

 そして彼の個性をより色濃くするために嶋田先生が思いついたのが

そうだ、新旧オモチャ対決にしちゃえ

というギャグ対決だったのではないでしょうか。

 そこで当時最先端のオモチャであったキューブの、わかりやすい比較対象として

相手は…昔のオモチャ、ズバリ知恵の輪だろ!

と直感し、知恵の輪に白羽の矢が立ったのかもしれません(笑)。

中井画伯、困惑?

 もし上記の想像が正しかったとすると、それを振られた中井画伯はかなり困惑したのではないでしょうか?

 だって…知恵の輪をどうやって超人にするのよ? って話ですからね(苦笑)。

嶋田先生
嶋田先生

あ、中井クン?

今度知恵の輪の超人を出すからさ、デザイン、うまい感じでよろしくね!

中井画伯
中井画伯

え? 知恵の輪?

ちょ、ちょっと! 嶋田クン!?

みたいな(笑)。

 こんな無茶ブリをされて

了解っす!

と笑顔で即答できる方は皆無だと思われます。

 おそらく中井画伯も相当に頭を悩ませたことでしょう。

中井画伯
中井画伯

知恵の輪を擬人化て…!!

と思いながら、クリップのような金属を見ては

中井画伯
中井画伯

ああでもない、こうでもない…

なんてペンを走らせていたんですかね(笑)。

 ですので、そんな苦悩の中生み出されたのがあのチエの輪マンだったとすると、とても感慨深いキャラクターですよね。

モチーフを刻印するという稀有なデザイン

 上記のようなやり取りが本当にあったかどうかはさておき、彼のフォルムを初めて見たときに

なんか…小っちゃいスカスカのホネホネみたいのがおるぞ…?

という感想をもった方は多いのではないでしょうか(笑)。

 そのデザインは子ども心にも

これは…ちょっと強引だ…!!

と思わせるもので、デザインをする側の試行錯誤が容易に想像できるフォルムをしていました。

 そしてその額には

チエノワ

とカタカナで明記されており、“そこで己のアイデンティティをすべて公にしてしまおう”とでもいうべき自己主張が、燦然と輝いていました(笑)。

 この表現方法については

チエノワて!

とツッコんだちびっ子がたくさんいたのではないかと思います。

 おそらくですけど、デザインをした側としては

描いたはいいけど…これ初見でモチーフが何だかわかる人、いないんじゃないかな…?

という心配があったのではないでしょうか。

 ですので、その対策として

ならば…ええい、これでどうだ!

と、その額に

チエノワ

と、大体的にモチーフを言語として刻印したのではないかと思われます。

 “文字を排して絵ですべてを表現する”ということをデザインのルールとするならば、この手段はある意味禁じ手といえるでしょう。ミキサー大帝の胸に“ミキサー”ってラベリングされているようなものですからね(笑)。

 とはいえね…怖かったんだと思いますよ? わかります、お気持ちわかりますとも(苦笑)。

作品随一のかわいさを誇る超人に

 そんな“禁じ手”を使って生まれたチエの輪マンですが、結果的には作品随一のかわいさを誇る超人になったと、個人的には感じています。

 超人としてはかなり小さな体、そしてコミカルな動き。構造がどうなっているのかよくわからない、液晶シートのような目(笑)。

 それらの特徴が集約されたデザインは、見るものをほっこりとさせるかわいらしさを存分に身に纏っていました。

 知恵の輪じたいがキーホルダーじみているので、根本的にマスコット感を漂わせているんですよね。

 そしてそのかわいらしさにトドメを刺すのが…

チエノワ

という、禁じ手の刻印だと思うんですよ。これが

ボクはチエの輪マンだよ♪

みんな、ヨロシクね!

なんていう可愛らしい自己紹介となっており、デザインの投げやりなばかばかしさ加減(失礼)も相まって、

なんだコイツ、キュートだな!!

というメロメロ感を、相手に植えつけるんですよね(笑)。

 つまり“禁じ手”であったはずの表現方法が、結果的には彼の可憐さや癒しの魅力を増幅させることにつながったわけです。

 実際の話、JRで行われたスタンプラリーを行った際、出会って一番ほっこりしたのが彼でしたからね(笑)。

 五反田駅構内の掲示ポスターで

ここだよ

と我々を導いてくれた彼は、かわいらしくて本当に印象深かったなあ(笑)。

▲五反田駅で出迎えてくれたチエの輪マン。かわいい(笑)。

彼の予選シーンを想像する

 彼の外見やかわいらしさばかり書いてきたので(苦笑)、ここらで彼の超人としての力量を考察してみたいと思います。

 彼に関して一番思うのが

…よく予選を勝ち抜けたな…

という点です。

 そうなんですよ。どんなにイロモノ超人だ、しょーもない試合だと蔑まれたとしても、彼は由緒ある超人オリンピックの決勝トーナメント進出者なんですね。

 つまり彼が

  1. 超人ふるい落とし
  2. 恐怖の火炎地獄・50メートル力泳
  3. 恐怖の新幹線アタック競技
  4. 死のハイロード 50km耐久ローラーゲーム

という4つの過酷な試練をくぐり抜けてきたことは事実なんですよ。

 ですので、ホカホカなグルメ料理と化したウナギマンたちとは、イロモノ超人としての格が違うんです(笑)。

 そう考えると、彼が1~4の修羅場をどのようにくぐり抜けてきたのか、という点にがぜん興味が湧いてくるわけです。

 ただ残念なことに、この予選中に彼が登場するコマは、目を皿のようにして見回しても1コマも見当たりません。ですので、我々はそれを想像するしかないのです。

 というわけで、さっそく想像してみましょう(笑)。

超人ふるい落とし

 均整のとれたボディの超人しか通過できない『超人ふるい落とし』。 

 テリーマンラーメンマンなどの、実力者たちが涼しい顔をして通過していた様子が印象的でしたが、実はチエの輪マンも余裕の表情で通過していたのかもしれません(笑)。

えっ? あの体で!?

と、誰しもが二度見をする勢いで意外に感じるでしょうが(笑)、おそらく“チエの輪一族”に属するカテゴリーでは、

ボクはとっても均整がとれている美ボディなんだよ♪

という判定結果だったのでしょう(笑)。

▲実はこのような感じだった(笑)? ©ゆでたまご

 逆三角形に絞られたマッチョマンこそが超人としての理想体型。そんな我々の固定観念を、彼は盛大に粉砕してくれたわけです。

恐怖の火炎地獄・50メートル力泳

 イロモノ超人軍団の多くが犠牲となった『50メートル力泳』。迫りくる火炎に追いつかれないよう、ガソリンプールを泳ぎ切るという、なんとも過酷な予選です。

 そんな厳しい競技を、あのかわいらしい超人はどうやって乗り越えたのでしょうか?

ボクは体が金属だから、燃えないんだよ♪

 なるほど、そういうことですね! 合点がいきました(笑)!!

恐怖の新幹線アタック競技

 東京駅から新幹線を一両投げて、どこまで滑走させられるかを競うこの競技。どう見ても非力なチエの輪マンには不利な競技です。

 しかし終盤にタザハマさんが紹介してくれるリストでは

  • 47位 キャッサバ(浜松)
  • 48位 ピーマン(静岡)
  • 49位 キン肉マン(新横浜)
  • 50位 ウルフマン(有楽町)
  • 51位 プリプリ男(東京?)

という記録があり、彼は少なくとも浜松以上の記録を出していたことがわかります。

 ですので、ああ見えて意外と力持ちなのかもしれません。それとも

本当は浜松町だったんだけど、記録員が間違えて浜松にしてくれたんだよ♪

なんていう、超絶ラッキーがあったのかもしれませんね(笑)。つまりキャッサバの上に彼が潜んでいた、みたいな。

▲実は47位で通過していた(笑)?

 個人的には51位のプリプリ男の存在が昔から気になっていて、

記録“東京”て、新幹線1ミリも動いとらんやんけ!

と一人でツッコんでいましたね(笑)。皆さんはどうでしたか?

死のハイロード 50km耐久ローラーゲーム

 そして最終予選である『50km耐久ローラーゲーム』も、彼は激戦をくぐり抜けたことになります。

 あの骨ばった小さな体で、なみいる巨体の超人たちの間をくぐり抜けるように疾走していたのでしょうか。その姿を想像するだけで笑いがこみ上がってきます(笑)。

 そんな彼のリザルトは何位だったのでしょうか。誌面を見る限り

  1. ウォーズマン
  2. ラーメンマン
  3. ブロッケンJr.
  4. ティーパックマン
  5. ベンキマン
  6. キューブマン
  7. ウルフマン
  8. キン肉マン

となっているので、6~9位の間ということになります。意外とすごいですよね。

 普通に考えればペンタゴンが6位だと思うので、チエの輪マンが7位という可能性も十分にあるわけです。だって相手はウォッチマンとキングコブラですからね。十分食える(笑)。

 7位っていったらあなた、F1だったらポイント獲得順位ですよ。6ポイント獲得です。おめでとう、チエの輪マン(笑)。

 あれですかね、140cm、30㎏という小学生なみの小ささでスキマをくぐり抜けるのが得意だったのか、体重の軽さが有利に働いたのか。

 個人的にはあまりになで肩の彼では、周回表示するデジタル機器が背負えなかったんじゃないかな、なんて心配しています。

 ひょっとしたら

アレ背負えないから自己申告でいいと、係員が言ってくれたんだよ♪

ということで、数周ほど少なく数え間違いをして、ゴールしていたのかもしれませんね(笑)。

その存在自体が恐ろしい超人(笑)

 以上のように、彼は見えないところで激しく(笑)予選を勝ち抜いてきたわけですが、本戦ではご存知の通り、特に格闘をすることなく新旧オモチャ対決で敗れます。

 そしてこの試合は勝者であるキューブマンが

し…信じられんようなアホな勝利……

とスグルに揶揄されるくらいバカバカしい試合であり、そのバカげた試合に敗れたチエの輪マンのステイタスは、地を這うくらい下がったといえるでしょう。

 それこそ冒頭に書いたように

…彼が最弱なのではないのか…?

というイメージがしっくりきてしまうほどの、体たらくぶりだったわけです。

 しかしですね…その評価が実は数多あまたの超人を相当に苦しめているんですよ、驚くべきことに。

 というのも、2回目の超人オリンピックには1回目の決勝トーナメント進出者や、アメリカマット界の強者も多数参加していました。

 しかしその強者たちは、ほとんどが決勝トーナメントに進出できていないわけです。ですのでチエの輪マンに

ボクは超人オリンピックのファイナリストだよ♪

と言われてしまうと、

となってしまうし(笑)、さらに読者から

…彼が最弱なのではないのか…?

と言われれば言われるほど

と、比較論法で肩身が狭くなってしまうのです(苦笑)。

 つまり彼は存在そのものが、多くの超人たちに

穴があったら入りたい…

という羞恥心を抱かせるという、とんでもなく恐ろしい超人だったんですね(笑)。

おわりに

 以上、チエの輪マンについての考察でした。

 作品中随一のかわいさを誇るこの超人を深掘りしていくと、実は相対的に多数の超人をおとしめているという非情さにたどり着いてしまいました(苦笑)。

 しかも彼は、自分がそんな精神的攻撃を与え続けているなんて、夢にも思っていないんですよね(笑)。

 ただそんな精神的攻撃を受けている超人たちは、間違いなく彼にイライラとさせられていることでしょう。それこそ

…この知恵の輪、はずれねぇなあっ!!

というくらいの(苦笑)。

 そんな精神的攻撃を無自覚に与え続ける超人。そう思うと

意外とナチュラルに手に負えないヤツだな

と、個人的には感じたりしていますね(笑)。ではまた。

今回は梵天丸さん、チルチルさん、アクメ将軍さん、ミスター鍵っ子さん、ゴジューさんほか、たくさんの方からリクエストをいただきました。ありがとうございました。

【リクエストはこちらから】

    コメント

    1. uzuki より:

      ゆで先生の一発ネタの為にアメリカ超人たちに熱い風評被害が…!
      プールはそもそも金属だから底を歩いた可能性もありますね
      普通の超人なら息継ぎが心配になるけど彼は知恵の輪だから
      「息継ぎ?いらないよ」的なノリで行けそうな気がしなくもない

      • アキラ アキラ より:

        uzukiさん、こんにちは。

        まさに存在自体が名誉棄損状態ですよね(笑)。そして確かに彼はプールで泳ぐ必要がない(笑)。

        このテキストを書いていて、チエの輪マンは発する言葉の語尾に♪をつければ、すべて彼らしくなるという事実に気づいてしまいました(笑)。

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