悪魔超人第一の刺客! 1000を超える強豪超人データコレクションも、持ち主の間抜けさで宝の持ち腐れに?
時事ネタ超人のリスク
文章を書いているとよくあるのですが、そこに時事ネタを織り込むと、どんどんそれが風化していき、数年経つと恥ずかしいくらい時代遅れのものになったりするわけで。
ステカセキングもそんなにおいを持つ、時事ネタ超人でした。
モチーフになっているのは、当時の最新モバイルミュージックプレイヤーだったウォークマンです。
…といっても、最近の子にはわからないかもしれませんね。物心ついたころにはすでにCDやMDが全盛だったのではないでしょうか。現在でいえば間違いなくi-Podでしょう…って、こんなネタも数年すると風化するんだよなあ。
ちなみにステカセキングの“ステカセ”とは、“ステレオカセット”の略ですからね。そこんところ、よく覚えておいてください(笑)。
イロモノ beats 実力者
さて、彼は7人の悪魔超人の一人として登場しました。
そのデビューはなかなか印象的で、当時の最高実力者であったウォーズマンの背後にまわり、脚のヘッドホンから大音量の『地獄のシンフォニー』をくらわせて一発KOという派手なものでした。
そのコミカルな容姿からかませ犬的オーラがプンプンしていただけに、不意打ちとはいえKOされたウォーズマンにとっては不幸だったかもしれません。

ええ~、あのウォーズマンが、あんなイロモノ野郎に…
というイメージを持った方は多かったのではないでしょうか。
逆にいえば、そんなイロモノ野郎ですらこの実力なのだから、残りの6人は推して知るべし、といった凄味を与えることに一役買ったともいえます。
策士ぶりと向こうっ気
彼はキン肉マンと闘う権利を得るために、『エリーゼのために』という音楽を流します。それにノってついつい踊ってしまったキン肉マンが思わず指を刺してしまい、栄えある初戦の相手の指名を勝ち取りました。
なかなか姑息な手をつかう一面をもっているといえますが、それ以上にキン肉マンの好きな曲をきちんと調べていたという点を評価してあげたいと思います。
まあ好きな曲だからといって、自分が指差されるように仕向けるのも、ある種の賭けだと思いますが(笑)。
そんな彼を他の悪魔超人は「ひきょうだ」となじりますが、

悪魔超人にひきょうなんてことばはない!!
という名言(?)で返し、向こうっ気の強さも見せています。
実力は弱小超人?
肝心の実力の方はといいますと、キン肉マンから“ドしろうと超人”という酷評を受けているとおり、残念ながら弱小超人的なイメージが漂います。
というのも、彼の2大必殺技である『地獄のシンフォニー』と『超人大全集』以外での戦いぶりがあまりにもお粗末であり、凄味を感じさせないからでしょう。
また、その容姿も手伝ってか、コミカルなイメージが先行してしまい、“悪魔”というイメージを読者に印象づけられていないからかもしれません。
しかしながら、必殺技の一つである『超人大全集』はなかなかおもしろいアイデアだと思いますね。テープに超人データを1000人以上もストックし、それを再生することによってその超人になりきってしまうという、なかなかに個性的な必殺技でした。
それによって一瞬でしたがウォーズマン VS キン肉マン、ラーメンマン VS キン肉マン、ロビンマスク VS キン肉マンという戦いが再現されます。
これは“1000対1”という、途方もないハンデをキン肉マンが背負わされてしまったイメージを喚起させることに成功しています。読んでいた当時は

これはしんどいなあ~
と思いましたからね、実際(笑)。
今で言えば、ハードディスクに数万の超人データをストックしていて、いつでも引き出せるといった感じでしょうか。
対戦中の相手のデータもダウンロードしてコピーしちゃうとか…って、こういったネタも数年したら時代遅れになっちゃうんだって。まあいいか、もう書いちゃったから(笑)。
結局彼は、もう一つの必殺技である『地獄のシンフォニー』も、音楽番組が技の途中で終了してしまったという、ありえない理由のために破られてしまいます(笑)。
最後には超人大全集にて“3年前のキン肉マン”というデータを再生してしまうという、これまた考えられない痛恨のミスを犯したがために墓穴を掘り、敗北の憂き目にあっています。
このあたりのツメの甘さというか、敗因のあまりの情けなさが、彼の弱小超人ぶりをより印象づけている原因だと思われます。
使い方次第では最強?
どちらの必殺技ももう少しうまく使えば、もっと強力なものとして存在できたはずなのに、使い手の間抜けさ加減で有効に利用されなかったといった感じですね。
まあその辺のお粗末さも含めてステカセキングという超人の個性として味があるのかもしれませんが。
とどのつまり、彼の個性ってその“バカさ加減”なんですよね(笑)。逆にいうと、その“バカさ加減”によってキン肉マンは命拾いしたというか。
もし彼の頭脳がもう少し明晰で、データをもっときちんと管理していたり、有効な利用をしていれば、ちょっと手に負えない可能性がありましたから。使い方次第では最強なんじゃないかな?
正直、超人大全集の中に“悪魔将軍のテープ”があったらと思うと、ゾッとしますからね。でも彼じゃあ使いこなせなかったかな(苦笑)?
このあたり、彼にとって1000人の超人データというのは宝の持ち腐れだったかなあ、というイメージが強いですね。
ただ負けたとはいえ、キン肉マンに全治10日の深手を負わせたことは評価してよいと思います。ミート救出のタイムリミットが10日という設定であったことを考えると、最低限の働きはしたことになりますからね。そこだけはさすがは悪魔超人といったところでしょうか。
ただあの程度のダメージで全治10日というのも少々首をかしげるところではありますが(笑)。
古き良き時代のラストマッチ
思うにですね、彼との試合は古きよき時代の、最後の試合だった気がするんですよね。
ここでいいう“古きよき時代”というのは、ギャグテイストと格闘が絶妙にブレンドされた、初期キン肉マンの演出法という意味でなんですけど。
必殺技であるはずの『地獄のシンフォニー』をあやまってリングサイドの観客にかけて

相手まちがっとる
とつっこまれたり(笑)、音楽の時間が終わってあわてて新聞のラテ欄を見たりと、殺伐とした中にほんわかとした表現が織り込まれていて、なんかほのぼのしちゃうんですよね(笑)。
その後のシリアス格闘路線もスリル満点でいいのですが、こういったコミカルな路線も妙にノスタルジーを感じさせるというか。
『キン肉マン』という作品をあえて前期・後期にわけるならば、このあたりがその分岐点なのかもしれないと思ったりします。
そういった意味で考えると、彼のコミカルさというのは、最後の愛すべきキャラクターだったのかもしれませんね。
※今回は本田さん、梵天丸さん、SAITOHさん、ぽんさん、高橋さん、玲緋さん、rrrrrrrrrrrrrさんほか、たくさんの方からリクエストをいただきました。ありがとうございました。


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