2022シーズン以降のF1を考える。

オレ流F1
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 先日お話ししたとおり、2021シーズンを最後にホンダはF1から撤退することが決まりました。これはとても残念なことであると同時に、今後のF1勢力図を大きく変える可能性があることも示しています。今回はそんな2022シーズン以降のF1における、個人な懸念点を書いてみたいと思います。

レッドブルグループのPU問題について

 ホンダ撤退後の一番の懸念点は、ホンダのパワーユニットを積んでいたレッドブルとアルファタウリが、どこのメーカーからPUパワーユニットを供給してもらうのか、という点です。というのも、ホンダがいなくなると、PU提供するメーカーはメルセデス、フェラーリ、ルノーの3社に限られます。この3社の現状とレッドブルとの関係性を考えたときに、レッドブルはPU供給に漕ぎ着けるまでに、けっこう苦戦するんじゃないかと。その理由は3つあります。

▲ようやく勝てるパワーユニットになってきたのになあ…
  1. PU供給メーカーの物理的な問題
  2. ルノーとの確執
  3. レッドブルが持つ脅威

 ではそれぞれについて詳しく書いてみましょう。

1.PU供給メーカーの物理的な問題

 PUメーカーは基本的に自分のチームを持っています。メルセデスAMGF1チーム、スクーデリアフェラーリ、ルノーDPワールドF1です。それがまず第一にあり、他のチームに同じPUを販売して供給しているわけです。2022シーズンで予想される各メーカーの供給先は

  1. メルセデス…マクラーレン、アストンマーチン、ウィリアムズ
  2. フェラーリ…ハース、アルファロメオ
  3. ルノー…なし

 という状況です。ただ作業量的にいって、メーカーが供給できるのは2~3チームが物理的限界ではないかといわれており、この時点でメルセデスとフェラーリが外れます。でもルノーが全然フリーじゃん、ルノーでいいじゃん、と思われるかもしれませんが、そうでもないんです。それについては次に話しますね。

2.ルノーとの確執

 レッドブルはですね、ルノーと仲が悪いんですよ(苦笑)。実はレッドブルとルノーのタッグは、ホンダとレッドブルがタッグを組む直前の2018年まで続いていたんですが、特に2014ー2018の間に、PUパフォーマンスと供給の姿勢において、悪口の言い合いをしていたんです。

 レッドブルはトップチームのレース屋ですから、PUへの要求事項のレベルが高く、そのクオリティに対してとても厳しいんですよね。ちょっとでも落ち度があったら、PUメーカーにガンガン文句を言うイメージです。

 それに対してルノーも譲らないんですよ(苦笑)。謝ったところを見たことがないくらいです(笑)。それどころか「それはそっちが悪いだろ」「あれは○○だったからできない」といったような、反論や言い訳をまくしたてるイメージです。

▲ネイビーの人と、イエローの人がバチバチやり合うんです(笑)

 結果、ケンカです(笑)。ですので、こんな確執のあった者同士が、まだその当事者が両チームの首脳部にいる状態で、もう一度手を組むのは考えがたいです。もちろんレッドブルはPUが欲しいし、ルノーもPUの開発と検証の精度を上げるために、1チームくらいユーザーが欲しいとの現実があるので、利害は一致しているんですけどね。

3.レッドブルが持つ脅威

 最後はレッドブルが速いシャシーを開発する、という単純な理由です。何を言っているかというと、自チームが食われる可能性が高い相手にPUは渡せねえよ、という意地悪に近い感情です。

 先ほども書いたように、PUメーカーは自分のチームも持っています。となると、当然理想は自チームが1番速くて、供給先チームは2番手、3番手であることが望ましいわけです。

 そりゃそうでしょう。自分で開発したPUなんだから、その特性を一番よく知っているメーカーチームが、それを一番うまく利用できなければおかしいわけで。なのにユーザーチームにどうしても勝てない、なんてことが起きたら、ちょっと恥ずかしいしカッコ悪いわけです。

 さらに言えば、PUメーカーは自社の開発とブランドイメージ向上をF1で成そうとしているので、“ユーザーに打ち負かされました”では、製品の優位性はアピールできるけれど、組織としてのブランドイメージは悪くなるので、その結果はネガティブキャンペーンになりかねません。

 ところがレッドブルはこれをやらかす脅威がめちゃくちゃあるわけです。速いですから。だから各メーカーとも、レッドブルにPU供給することは嫌がるのではないかと予想されるわけです。

▲カスタマーであるレッドブル(前2台)に勝てないルノーF1(黄色)

 正直な話、昨年、今年と、レッドブルとバチバチにやり合ったメルセデスが「レッドブルにPU供給します」なんてストーリーは、まったくもって想像できません。敵に塩を送るどころではないからです。

 以上、3つの理由からレッドブルはなかなかに苦しい後継ぎ探しが待っていると思われます。アルファタウリに関しては、レッドブルほど脅威ではないので(苦笑)、もう少し簡単にPUを供給してもらえるかもしれません。

 そうなると、ルノーと和解してPU供給を受けるのが現実的かな、と思えてきます。過去の確執は水に流して、大人の対応で商談を、といった感じですね。でもうまくいくのかな? ホントに仲悪いからな(苦笑)。

私自身のF1観戦の仕方について(笑)

 さて、ここからは個人的な問題です。2022シーズンから、私はいったい何を中心に据えてF1を観ればいいのでしょうか。「そんなこと知ったことか」という声が多数出そうですね、はい(苦笑)。そんな反応を予想しつつ、いろいろと書くことで自分を見つめてみたいと思います。

 私がF1を見始めたきっかけは、偶然と小林可夢偉かむいの存在です。偶然とは、初めてハードディスクレコーダーを購入してテンションが上がり、いろいろと試して録画をしたいざかりのとき(笑)に、たまたまF1の2011シーズン開幕戦のプログラムがオススメかなんかで表示され、「そういえばF1って最近はどんな感じなんだろう? キリもいいし、試しに観てみるか」ってな軽い感じで予約録画をしたという偶然です。

 でもって、試しに観てみたら意外と面白い。さらには小林可夢偉という若い日本人ドライバーが、名のある外国人ドライバーをバッサバッサとオーバーテイクしているじゃないですか。なかなか痛快なドライバーがいるもんだな、しかも日本人だと興味を持ち、応援するようになったんです。

▲日本GPで3位表彰台を勝ち取った小林可夢偉

 そうしたらもう、ガッツリとどハマリですよ(笑)。観ていくうちにどんどんルールやら仕組みも覚えてきて、いろいろな楽しみを発見しました。このように、番組を気まぐれで予約録画した偶然と、小林可夢偉の活躍が、私をF1の深みに誘ったわけです。

 そうしているうちに、小林可夢偉がシートを喪失。このときもかなりの喪失感がありましたが、それと入れ替わるようにして、今度はホンダが2015シーズンからPUメーカーとして参戦。マクラーレン時代の苦汁をなめた数年を経て、現在に至っているわけです。

 以上の流れをみるに、なんだかんだ言って、私は多分にナショナリストの特性を中心に据えて、F1を応援していたことになります。ドライバーなり、PUメーカーなりで日本が絡んでいるからこそ、応援にも力が入っていたわけです。

 しかし2022シーズンからは、それがないかもしれない。そうなったときに、私は何を中心に据えてF1を観ればいいのかと、ちょっと不安に思ってしまうんですね。最悪な話、それを起点にしてF1から遠ざかってしまうかもしれない。でもそれはそれで自分自身が寂しい。

 となると、やはり望みは角田つのだくんですよ。レッドブルジュニアに入って、F2(F1の一歩手前のカテゴリー)で活躍している彼が、来シーズンにF1のシートを勝ち取り、久々の日本人ドライバーとしてデビューする。

 そうなれば、おそらく私のF1に対するモチベーションは下がることはないでしょう。彼がアルファタウリからデビューできれば、またアルファタウリ、そしてその兄弟チームのレッドブルを応援できる。もう私のF1に対するモチベーションは、角田くんの双肩にかかっているといっても過言ではないです。

▲若干20歳の期待の星・角田くん

 とはいえ、日本の関わりが皆無になった(本当は皆無にはならないんだけど…エンジニアの方とか日本人でいらっしゃるので)F1という最悪のシナリオになったとしても、実際は観戦し続けると思いますけどね(苦笑)。ナショナリズム抜きにしても、スポーツとして好きですから。でもその熱量にどうしても差がでてきてしまうことは否めません。

 やはり観戦するからにはね、感情を揺さぶらかし、揺さぶらかせられながら、ガッツリと観たいですからね。というわけで角田くん、頼む。以上です。

コメント

  1. ほんだ より:

    アキラさん、こんにちは
    ホンダの撤退、残念ですね。なんか出たり入ったりを繰り返して、何がしたいんだろうって思ってました。同じ姓なだけに残念です。

    いくつかF1界に以前から気になる点があるんですが、素人なので詳しい人に教えてもらいたいと思い、コメントさせていただきます。

    1.ホンダは自チームは持ってないんですか?そして何故なんでしょうか?
    2.アストンマーチン、アルファロメオはなんで自チームにPU供給しないのでしょう?自動車メーカーとして恥ずかしくないの?

    以上、二点です。特に2は同じマシンに2つ以上の自動車メーカーのマークがあるのはかなり違和感あるんですよね。マクラーレンに関しては、元々がF1チームなので、あんまり違和感ありません。アキラさんにしてみたら、そんなこと言われても・・・って感じかもしれませんが。

    そんなときは「黙らんか!!!両の眼で結果だけを見ておれば良い」と言ってください。

    • アキラ アキラ より:

      ほんださん、こんにちは。

      とにかく残念です。エベレストの頂上が見えているのに、天候悪化で泣く泣く下山、というイメージですね。

      ご質問につきましては、私もそこまで玄人ではないので正解かどうかはわかりませんが、感じたことをお答えしますね。

      1.単純にリソース(お金、人)が割けないか、割りに合わないと感じたのではないでしょうか。おそらく前回のフルコンストラクト体制(2006~2008)で懲りたのかもしれません(苦笑)。オールホンダでF1参加をすると、エントリー費用でがっつり上納させられますし…

      だったら専門分野に特化し、リソースを集中させた方が、経費的にも資源的にもいい、という判断だったのかもしれません。

      2.これは私も同感です。ただし、ネーミングライツで広告として利用したい、という戦略なのでしょう。

      あと昨今のF1パワーユニットは複雑でお金がかかりすぎるので、投資としては二の足を踏んでしまうのは否めません。ホンダが参戦したのは、技術屋としてのプライドだけなんじゃないかな、なんて思ったりもします。

      あとアストンマーチンやアルファロメオは、もうF1パワーユニットを自社で開発できる環境や技術がないのかもしれませんね。

      レッドブルの今後については、両の眼で結果だけを見てみようと思います(笑)。

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