80年代に隆盛した、不良の温床?
ダメ。ゼッタイ。のスポット
受験を終えて無事高校に入学したのち、新たに私のライフワークとして加わったのが、“ゲームセンター通い”でした。
ゲームセンター。今でこそショッピングモールには必ず存在し、ファミリーで楽しめるプレイスポットとなっていますが、80年代においてはまだまだ“不良の温床”というイメージが色濃かった場所です。
ぶっちゃけた話、“ゲーセンに足を踏み入れたらおしまい”とか、“染まったら不良へ一直線(苦笑)”といった、“ドラッグに手を染めると人生終了”と似たようなにおいを感じさせ、PTAのお母さんにとって
ダメ。ゼッタイ。
的なスポットイメージ(笑)がまだまだあった時代だったと思います。
そんなスポットに私が足を踏み入れる大きな原動力になったのが、『R-TYPE』というシューティングゲームであったのは、以前書いた通りです。
しかしその前に、“不良の温床たるゲームセンターに潜入する”という行動を起こすための、ファーストアクションが必要でした。今回はそれについて書いてみたいと思います。
私が当時、“不良の温床”を含めゲームセンターに抱いていた悪いイメージは
- 不良の温床である
- 1ゲーム単価が高い
- プレイ時間と金額が折り合わない
- 麻薬的で金銭投入の歯止めが効きづらい
- ゲームの難易度が高い
といったものです。なかなか現実的な小僧でした(苦笑)。
スペースインベーダーで得た教訓
こういったイメージを得たのは、幼少期にデパートの屋上で遊ばせてもらったタイトーの『スペースインベーダー』の経験が大きいですね。
親からもらった100円玉を投入し、ドキドキしながらプレイをするも、思いのほか短い時間で撃沈。その経験から
え!? もう終わり!?
という、プレイ時間と金額の折り合わなさ及び難易度を知り、
でもめっちゃおもしろい。何回でもやりたい!
という、ゲームの麻薬的なおもしろさを知りました。
それは同時に“自制心を高く持ってそれに接しなければ、すべてをあっという間に吸い尽くされるという危険性がある”ということも学んだわけです。
ゲームの価格破壊
このように、私はゲームセンターにそれなりの警戒心を持っていました。そんな私をゲームセンターに誘ったのが、同じクラスになった同級生です。
駅前にゲームセンターがあるんだけど、一緒に行こうぜ!
との誘いに私が
でもなあ…1プレイ100円でしょ…お金がないよ
と現実的に答えると、その友人は
いや、100円で3プレイできるよ?
という、仰天フレーズを口にしました。
え? ゲーセンのゲームが100円で3回…? どういうこと? 33.333…円で1プレイできるの? それお得やん!
その情報が本当なのか知りたい好奇心にかられた私は、友人の後をついて駅前のゲーセンに侵入を試みました。
この両替機に100円を入れて、メダル3枚に交換するのさ。メダル1枚で1ゲームできるよ。
ほ、本当だ! 本当に33.333…円で1プレイできる!! この瞬間、私の“ゲーセン警戒5か条”のうちの一つが消去されたわけです(笑)。
- 不良の温床である
1ゲーム単価が高い- プレイ時間と金額が折り合わない
- 麻薬的で金銭投入の歯止めが効きづらい
- ゲームの難易度が高い
当時のゲーセンは多くの客を呼び込むためか、1プレイ100円という常識を破り、1プレイ50円という価格破壊を行った店が多くなっていたようです。そしてどうやらこの“100円=3プレイ”の店は、そこからさらに価格競争に打って出た店だったんですね。
もちろん店は安くした分、回転率を上げるために、ゲームの難易度を難しめに調整していたはずです。それでも今までの常識の1/2、1/3という価格は、資金力のない学生にとってはありがたかったですね。
ゲームセンター健全化の兆し
そしてゲーセン内を見回してみると、マスコミやテレビドラマで多く流れていた、ビーバップな感じの客層の方(苦笑)は、ほぼいませんでした。普通の学生や、人畜無害そうな大人がほとんどだったのです。
これを見て、私の“ゲーセン警戒5か条”からさらに一つが消去されます。
不良の温床である1ゲーム単価が高い- プレイ時間と金額が折り合わない
- 麻薬的で金銭投入の歯止めが効きづらい
- ゲームの難易度が高い
どうやらこの年代あたりからゲーセンの市民権が徐々に上がってきていたようで、健全な客層の比率が増えてきた頃だったんですね。
金額とプレイタイム
そして3枚のメダルを握りしめた私の目に飛び込んできたのが、例の『R-TYPE』でした。“反射レーザー”の革新性と派手さと、“フォース”のフレキシブルなギミックにすっかりと魅了されていた私を見て
これおもしろいよ。やってみようか?
と、友人は機械にコインを投入し、プレイを始めました。
一通り彼のプレイを勉強し、とうとう私のゲーセンデビューです。ドキドキしながらコインを投入し、『R-TYPE』をプレイしました。
結果として1面クリアまでは至りませんでしたが、自分の手であの反射レーザーを発射できたこと、フォースを着脱できたことはとても新鮮な経験であり、かなり満足いく時間を過ごすことができたのです。
ただ時間にするとそれはわずか数分でした。けっして長くはありません。しかし失った小遣いは100円ではなく、33.333…円です。
そして私はその日、200円を費やして6回『R-TYPE』をプレイしました。1プレイの時間は短かったかもしれませんが、合計すると十分満足できるプレイ時間を得ることができたのです。
そしてそのことは、自身が決めた予算内でプレイを終了することに対して大きな助けとなりました。のめりこみ過ぎることなく、ある程度のけじめを持って、中毒性があるコンテンツから自身をシャットアウトできたわけです。
これにより私の“ゲーセン警戒5か条”から同時に二つが消去されました。いわゆる“2枚抜き”ってやつです(笑)。
不良の温床である1ゲーム単価が高いプレイ時間と金額が折り合わない麻薬的で金銭投入の歯止めが効きづらい- ゲームの難易度が高い
ダメ。ゼッタイ。のスポット-そして解禁へ
さあ、残る障壁はあとひとつです(笑)。ただこれについてはゲームの性質、本人の得意不得意ジャンル等によって感覚が異なってくるので、判断が難しいところです。
ただ他人のプレイを横で見て、そのゲームが自分にできそうかどうかをジャッジすることで、コイン投入即瞬殺という危険から回避することは、それなりに可能でした。
ですので私の感覚としては、これも私の“ゲーセン警戒5か条”から消去してもよいと判断しました。
不良の温床である1ゲーム単価が高いプレイ時間と金額が折り合わない麻薬的で金銭投入の歯止めが効きづらいゲームの難易度が高い
どうですか。見事、ゲーセン通いが解禁された瞬間ですよ(笑)。
これにて私はなけなしの小遣いや、昼飯代をやりくりして捻出した小銭により、放課後のライフワークとしてさまざまな80年代後半のアーケードゲームを堪能することになったわけです。
それについては“その2”で、当時の思い出などを書いていきたいと思います。それではまた。
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