『キン肉マン』540話では、ロビンマスクの「真剣勝負」の哲学とウォーズマンの慈愛が、ついにペシミマンを”笑える未来”へと導きました。そして彼は、自らの信念を崩すことなく”さすらい人”として新たな人生へ旅立つことになります。さらに物語のラストでは、満を持して刻の神が姿を現し、新章の幕が上がりました。
なぜロビンは「真剣勝負」の先に友情を見出したのか?
なぜウォーズマンだけがペシミマンを救うことができたのか?
なぜペシミマンの何気ない一言は、「笑える未来」への完全共鳴だったのか?
そして、ゆで先生はなぜこれほど美しい伏線回収を描くことができたのか?
今回は「ロビンの訓諭」「ウォーズマンの慈愛」「ペシミマンの婉曲的な意思表示」「刻の神編の新章開幕」という4つの視点から、『キン肉マン』540話が描いた”笑える未来”の真意を徹底考察します。
今週の注目ポイント
この記事にはキン肉マン週プレ最新話540(2026年8月3日配信分)の感想が記載されています。つまりネタバレ確実なため、十分ご注意ください。
また、著作権保護の見地から
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等でオリジナルの作品を事前に読むことを強くお勧めいたします。
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今週のキン肉マン第540話「”真剣勝負”が拓く未来!!」感想と考察
前回までのあらすじ
ロビンマスクの勝利で決着したペシミマンとのエクストラマッチ。改めて自分の指導方法が間違っていたことをウォーズマンに謝罪するロビンマスク。そして、弟子の壁として立ちはだかり続けられるように自分も成長し続け、自分の壁となっているキン肉マンをいつか超える。それが自分なりの最上級の敬意の形だと語る。
一方、ウォーズマンの想いまで乗せて闘ったのに敗れてしまった己の不甲斐なさを嘆くペシミマン。しかしウォーズマンは、「紛れもない友情パワーの持ち主だ」とペシミマンの手を取り――。 前回の感想は☞https://oreryu.site/kinnikuman15-126/
素晴らしきロビンの訓諭―真剣勝負の先に見えるもの
ペシミマンの行動を全肯定し、彼を友情パワーの持ち主だと断言したウォーズマン。その様子を後ろから見ていたロビンは、

だから真剣勝負はやめられない
と、“分かり合う闘い”の醍醐味を口にします。
この“真剣勝負”というフレーズ、もはやこの作品におけるロビンの代名詞となっていますよね。発端はマンモスマン戦だったと思います。己の存在が消えてしまう仕掛けが発動しても

真剣勝負にそんなものは関係ないわーっ!
とタワーブリッジを解かずに断行したシーンに、彼の覚悟をまざまざと感じたものです。だからこそ、敵であるマンモスマンと分かり合えたんですよね。以降、彼が

真剣勝負
と口にするのは、

分かり合う闘い
と同義であり、それが彼の“座右の銘”であったことにあらためて気づかされた感じです。それだけにこのタイミングで彼がこのフレーズを口にするのは、ある意味最も的を射ているのかもしれませんね。

そしてロビンは

ロビンマスク…
と反応したペシミマンに向けて、持論を展開していきます。

お前だけじゃない。
そこのウォーズマンも、この私も人と関わるのがありえないほどヘタクソな不器用者ばかりだ

しかしある男との出会いをきっかけに、友情という概念を理解した。いや…させられた
その男とは…もちろんキン肉スグル。ロビンが指し示すその男について、無言で頷くウォーズマン。二人の思いは完全に共鳴しています。

私にとってはその最初のきっかけがまさに“真剣勝負”!

お互いの持てる力の粋を出しきり、全身全霊で闘い抜く。
その先にしか見ることのできない至高の共感
と、“友情”という得難い共感の源泉が、
- 超人オリンピック決勝戦
- グランドキャニオンの決闘
といったキン肉マンとの二度に渡る真剣勝負にあり、それぞれが“分かり合うための闘い”であったことを、とうとうと説いていきます。いや~背景にオーバーラップされる、過去の激闘回想がたまりません。
そんな自身の経験談を語ったロビンは、

お前も今、その手応えを少しは感じているのではないか?
と、改めてペシミマンに問いただします。
すると無言ながらも、これまでのウォーズマン戦、ロビンマスク戦を深く反芻するペシミマン。激闘を経て彼の胸に去来するものは、いったいどんな感情なのか。

そしてロビンは一通り自身の経験談を語った後、

一度でもそれを見て知ってしまったら…フフフ…この世は壊してしまうには惜しすぎる
と、分かり合う闘いの後に見えてくる世界の価値が、眩いばかりの尊さを持っていると、自嘲気味に口にするのです。
このロビンの結論、響きますねえ。なぜならば彼の訓諭は
- 押しつけのない経験則であり
- かつては自身も否定派だったことをにおわせ
- 敵の大義を無価値化し
- 同時にライバルに対して最大の敬意を払っている
からです。
1について、彼がスグルとの対戦を経て感じたことの吐露は、彼の素直な感情です。そこに押しつけがましさはまるでありませんでした。これまでの彼の経緯があまりにも自己中心的だっただけに、この告白の純粋さがより際立つ効果を与えたのかもしれません。
2はかなり重要な点です。彼は結論を口にしたときに、伏し目がちに笑ったんです。つまりそれは彼にとって

思いもしない結果が待ち受けていた
という、正直な気持ちを表しているわけです。裏を返せば

否定していたことが現実のものとなった
ともいえ、それは彼もまたスグルと闘うまでは
闘い=分かり合うこと
など、微塵も考えていなかったことを告白しているのです。
つまり彼はこの“自嘲を帯びた結論”を語ることで

私もお前と同じだったんだよ、ペシミマン
と、反発しあっていた彼との類似点を提示することになり、それはおそらくペシミマンにとって共感への強いフックとなったことは間違いがないと思われるのです。

そんな説得力あふれる彼の言葉は、自動的に3に到達します。そう、破壊を望んでいた者が、その対象に
愛惜の念
という価値を刻み始めているからです。ロビンはペシミマンのその思いに対して

私もそう思うよ
と、そっと寄り添ってあげたにすぎません。しかしこの独白的な寄り添いは、価値転換が始まっているペシミマンにとっては、深く刺さったことでしょう。
そして4、それらの訓諭がすべて事の発端である
キン肉スグルへの最大の敬意
へと回帰している点が美しいです。
ロビンはなんだかんだいって、この試合のおいしい所をすべて持っていったキャラだといえます(苦笑)。しかしそんな欲しがり屋のキャラが、

すべてはキン肉スグルのお陰である
と、最大級の敬意を払ったのです。これが美しくないわけがない。その美しい“友情”が、ペシミマンに響かないわけがない。そのような点で、彼の訓諭は素晴らしかったと、個人的には評価しています。
ペシミマンを包む慈愛の手―ウォーズマンの母性
そんな素晴らしい訓諭に対し、同じ虐げられたロボ超人の立場から補足をしたのがウォーズマンでした。

醜いものをたくさん見てきた者ほど、美しいものに気づけばその尊さがわかる

だからオレもこの世界を守りたくなった。立派な正義超人になろうと心に決めたんだ

そしてそれはオレだけの話じゃない。
おぼろげだったお前のその気づきは、この闘いで今や確固たるものとなった
ロビンの訓諭を仮に父性的なものだとするならば、ウォーズマンのこの補足はまさに母性的なニュアンスを含んでいたものだと思います。その象徴が、
握って離さない手
にあると、私は感じました。
両手で優しく包み込むようにペシミマンの右手を握るウォーズマン。話の流れで左手を一度自分の胸に持っていくゼスチャーをしますが、その手はまたそっとペシミマンの手を包むために戻っていく。そこに
ロボ超人としての深い共感と愛情
が感じられ、彼の言動により深い温かさを感じさせるのかもしれません。

余談ですが、ウォーズマンが今のペシミマンのように厭世的であったとき、今回のウォーズマンのように深い母性を惜しげもなく注いだのがビビンバだったと、私は思っています。

そんな考察をもって今回のウォーズマンを見ると、

ああ、人は与えられたものを与えるものなんだな
と、何やらとても感慨深い思いが湧き出してしまいますね。
“笑える未来”という約束―ペシミマンを救う者
そんな深い愛情をもって噛みしめるようにペシミマンを諭していくウォーズマン。ペシミマンがその思いに応えるかのごとく、思慮を巡らせながら彼の言葉に聞き入ることを確認すると、ウォーズマンは最後にこう締めるのです。

そんな今のお前になら…その地平の先に“笑える未来”があるんじゃないか?
いや~、ここでこの締めを持ってきたかぁ、ウォーズマン! 思わず心が震えちゃいましたよ。参った~。
笑える未来。これこそが先のウォーズマンとペシミマンとの闘いにおいて、“分かり合うため”の約束でした。

当時はそれがあと一歩のところで叶わず、ペシミマンは

笑える未来…か。
もしもこの先それが理解できる日が来たら、オレは今日を思い出し心でお前に詫びるだろう。
だがそんな日は永遠に来ない

オレに祝福を与えられるものなどどこにもいないのさ。
生みの親である“刻の神”ですら…オレの空っぽな魂にはな
と、彼方に発見した小さな希望の光に、自ら蓋をしたのです。

この時はもうウォーズマンの悲劇的な敗北も相まって、

じゃあ一体全体、誰が彼を救うのよ?
と、ヤケクソで毒づいた思い出があります(苦笑)。そこで私が到達した答えが

それはウォーズマンしかありえない
でした。そして今、“笑える未来”という二人の約束をキーに、その希望が目の前で叶えられようとしている…これは魂震えますって。だって前の試合の伏線が、ロマンあふれる形で回帰しているんですから。
もちろん一番の望みは、リマッチに勝利してのこの形でしたよ? 正直な話、そこは納得しかねる部分があります。けれども、

ウォーズマンにペシミマンを救ってほしい
という願いについてだけは、“セコンドを経た慈愛”という形で今まさに成就しかけているので、素直に嬉しさを感じましたね。

ニコイチの闘い―ウォーズマンのゴール強奪?
そしてこの展開を見ていると、一連のペシミマンとの闘いは、やはり以前私が考察した
超人師弟によるニコイチの闘い
であると思いました。

この考え方は、ペシミマンと分かり合うプロセスを、超人師弟が
前半(担当弟子)…闘いとは分かり合うことを教える
後半(担当師匠)…分かり合えたことを自覚させる
と役割分担したのではないか、というものです。そしてこの仮説は、

あながち間違いではなかったのかな
と、僭越ながら感じております。しかも後半の“自覚させる”という点においては、ウォーズマンのセコンド介入というサプライズもあって、多分に弟子の方も担当比率が高かったと思うし、だからこそウォーズマンファンが納得しやすい結末を生んだ理屈にもなっていると思うのです。
そんな中、個人的に一番ニヤリとしているのが、ペシミマンに弾かれたウォーズマンのシュートを、ロビンが押し込むという“ごっつぁんゴール”と予想されていた決勝点を、今回の“笑える未来回帰”によってウォーズマンがさらに押し込んだ、という事実です。
つまりロビンがチョンと押し込んだボールがゴールラインを割る前に、ウォーズマンがものすごい勢いのスライディングでそれを押し込みゴールを強奪した、という感じです。ここに師匠に対する弟子のささやかな“反抗心”を勝手に想像し、悦に浸っているんですね。これ、共感してくれる人いるかなあ(苦笑)?


ペシミマンの婉曲的完全共鳴―その美しき文学的伏線回収
では超人師弟によるニコイチの訓諭を受けて、世捨て人たるペシミマンはどのようなリアクションをするのでしょうか。作中ではウォーズマンの締めの言葉に大きな衝撃を受けている描写が見られるので、かなり心に響いたと思われるんですけどね。
ですので彼は“笑える未来”に共感はしてくれると思います。ただし群れることはきっと嫌いだと思うので、エクサベーターのようにそのまま留まることはせずに、放浪の一匹狼となって消えていくのではないでしょうか。そんな予想をした上で見ていきましょう。
二人の言葉をおとなしく聞いていたペシミマンは、

ニキ…二キニキ、ニキニキニキ…
と笑い出すや、握られていたウォーズマンの手を“バシィ”と弾きます。そして自身のコートを拾って立ち上がるや、それを再度羽織って

ニキーー!
と、帽子を手で抑えて斜に構えるいつものポーズに。これは超人師弟の声に対する拒絶なのでしょうか。ひねくれた彼の性格を思うに、それも十分に考えられますが、さすがにそれは…悲しい。
するとペシミマンは突然タバコに火をつけて、

フ~~~~ッ
と、おもむろに一服。そうだ、彼は作中では珍しい喫煙者だったんだ。しかも食後の一服ならぬ戦後の一服が、ルーティンとして体に染みついているかのようです。
そんなマイペースを貫く彼が、紫煙漂う中で空を見上げながら発した言葉は、

オレの空っぽの魂…今からどこまで埋められるかなんてわかりゃしねぇがよぉ…

とりあえずウォーズマン…お前には一言、詫びておかねえとな
というものでした。
皆さん、お気づきになりましたか? これ、“笑える未来”に対する彼なりの婉曲的な
完全共鳴
の意思表示なんですよっ!! なぜならば、彼は以前口にした持論をすべて撤回したからです。
まず初めに彼は

オレの空っぽな魂には、刻の神ですら祝福を与えられない
という以前の発言を、

オレの空っぽの魂…今からどこまで埋められるかなんてわかりゃしねぇが
と、これから“空の魂を満たす”意思を表明することで撤回しています。そして二つ目に

“笑える未来”を理解できる日が来たら、オレはお前に詫びるだろう
という発言に対しては

ウォーズマン…お前には一言、詫びておかねえとな
と告げることで、自分は“笑える未来”を理解したと、これまた前言を撤回したのです。つまり彼はウォーズマンに対し、喫煙所でボソッと口にした世間話のようなテイストで

お前の思想に共感するよ
と、思想の感化を告白したわけです。これ、裁判ならば“全部認容”、労使交渉ならば“満額回答”レベルの成果ですよ。そう、“分かり合うこと”に対する満額回答です(笑)。

ただ…それにしてもわかりづらい。ペシミマンの一連のセリフは、まるで夏目漱石が“I love you ”を

月が綺麗ですね
と、文学的奥ゆかしさをもってあえて回りくどく訳したとされる逸話と同じくらいの婉曲さです(苦笑) 。ただ自分の本音を

愛している
とは直言せずに

月が綺麗だ
と置き換えた点に、彼の“ひねくれ者の照れ隠し”という、アイデンティティ変容に対する最後の抵抗…というか美学が見え隠れするようで、いかにも彼らしいなあとも感じますね。

…すべては感化されねぇからな
みたいな(笑)。きっと荒々しくウォーズマンの手を跳ね除けた行動も、このような彼の意地だったのでしょうね。
そしてこの唸るような伏線の回収劇に、ゆで先生の文学的構成力をも見た思いです。それこそ

ああ、この文学的な美しさを表現したいがために、ウォーズマンは負けたのかもしれない
と思わされるほどの出来栄えでした。納得し難いはずの展開なのに、その婉曲的な美しさゆえ、気を抜けば思わず受け入れてしまいそうになる…そんな美しい幻惑にも似た余韻を残してくれました。本当に脱帽ですよ、先生(汗)。

風の吹くまま、気の向くまま―さすらいのペシミマン
そんな“らしい”答えを出したペシミマンは、

ニキィ!
と叫んで勢いよく開脚ジャンプでリング外へ出ると、無言で後ろを振り返ることもなくツカツカとその場から離れて行きます。
その唐突な行動にウォーズマンが

どこへ行く?
と問いただすと、ペシミマンはグッとコートの襟を立てて右手を挙げるや、ただ一言

風の吹くまま、気の向くまま
と告げて、いずこかへ去って行きました。

そしてその姿をただ見送るだけしかできなかった師弟は

…彼はもう大丈夫だ

ああ、ヤツの新たな人生に幸あらんことを
と、それぞれが彼に対する別れの言葉を贈ることで、パトムスキークレーターの激戦は終幕となるのです。
いや~ペシミマン、最後までペシミマンを貫き通しましたね。ちょっとカッコ良すぎでしょうよ、アイツ…。そしてやはり彼は一匹狼であることを選択しました。

共感はしても群れない
きっとそんな意思表示だったのでしょう。つまり彼にとって“共感”は“束縛”足りえないんですね。ただ彼はもう野に放たれた虎ではなく、笑える未来を糧に魂を満たす希望を

風の吹くまま、気の向くまま
探すさすらい人となった…だからこそウォーズマンは

…彼はもう大丈夫だ
と、彼をそのまま送り出したに違いないのです。そして願わくは、ウォーズマンの危機に颯爽と登場する彼の姿を、どこかで見たいものですね。

しかしてパトムスキークレーターにおける二つの激闘には幕が下りました。ウォーズマンファンとしては辛い部分も多々ありましたが、この一連のエピソードのテーマが
世を悲観した超人の成長譚
であり、主演がペシミマンだったとするならば、キン肉マン『刻の神編-ペシミマンの章』の大団円として、純粋に拍手を送りたいと感じています。
刻の神、降臨!―さらに解像度が上がったその正体
そして場面はサグラダファミリアの地下研究所に移り、そこでは研究に没頭するファナティックの姿が。並べられたカプセル型培養ポッドにはジャスティスマンに加え、彼が倒したネメシスもまた、その中に据えられています。
そんな中、ファナティックが手にした板から磁力が発生している描写を見る限り、“マグネット・パワー”に関する研究のようですね。考えられるのはやはり新たな時間超人製造法でしょうか。二人のサンプル超人を抱えているだけに、どうしても遺伝子操作をしたキメラ的な超人、もしくはクローン超人の製造を画策しているように思えちゃいますね。
するとファナティックの背後から

首尾はどうか…ファナティックよ
という声が。時間超人の最高幹部であるファナティックに対する上からの物言い…となると、この発言の主は一人しかいません。そう、おそらく刻の神その人でしょう。
ただ研究に没頭していたファナティックの応答が遅れると、突然

おい、親方様に返事しないか!
と、座っていた椅子を蹴る女性ピエロのような超人が登場。

だ、誰?
と戸惑っていると、その狼藉を

やめなさい、ピノ!
と諫める大柄の超人が、その背後からシルエット姿で現れました。出た~っ、刻の神! その存在が公表されて早3年、満を持してのラスボスのオンタイム登場を見て次回に続く、です。
いや~ペシミマンの新たな人生の選択も衝撃的でしたが、今回はラストにさらに衝撃的なシーンが控えていましたねぇ。とうとう刻の神が姿を現しましたよ。ただその前に、ファナティックに突っかかった女性超人について見てみましょうか。
その恐れ知らずな言動から、刻の神の威を借るお付きの超人のような感じがしますね。ひょっとしたら刻の神の参謀兼、マスコットキャラの役割なのかもしれません。“スグルに対するミート”みたいなポジションでしょうか。
そんなイメージを持ったので、おそらくは非戦闘超人なのではないかと予想しています。ただ戦闘以外の大きな役割を持っている可能性は高いですよね。その風貌がピエロっぽいので、ファナティックとの共通性も感じられます。もしかしたら同族の超人なのかもしれません。その近親性があるからこそ、あのような狼藉を働ける根拠になっているのではないかと。

でも仮に彼女が戦闘超人として闘うのであれば、これは作品における大エポックです。というのも、『キン肉マン』という作品において女性超人はとても少なく、かつ戦闘を行ったキャラクターなど皆無だからです。
強いて挙げるならば、『キン肉マンⅡ世~オール超人大進撃~』で闘った、フィオナとOKANくらいでしょうか。ただこの作品は正史に対するパラレル作品であり、正史に組み込むにはやや無理があります。つまり正史としての女性の戦闘超人は皆無なのです。
それはおそらくゆで先生が持つ

男性と女性を同じ土俵で闘わせたくない
という、暗黙のルールが存在しているからではないでしょうか。実験場たるパラレル作品ではよいけれども、正史においてはこれが不文律として深く刻まれている可能性があるのです。
ですのでもしこのピノが戦闘を行った場合、その禁が破られたことになり、それは同時にゆで先生の新たなる表現の挑戦が行われたことを意味するわけです。これはこれで興味深くもありますけどね。
そして最後に刻の神についてです。黒塗り状態の登場ながらも、白抜き線でディティールが描かれているため、よりデザインの解像度があがっていますね。パッと見のイメージでは、

あれ? けっこうイケメンキャラじゃね?
と感じさせる出で立ち。円錐形の頭巾と、腰に巻いた布のせいか、私には仏教系の大僧正をモチーフにしたデザインのように感じましたね。

また、ピノに対する丁寧な言葉遣いから
理性的かつ理知的なインテリキャラ
というイメージが湧きました。思慮深そうなキャラなので、きっと彼には彼なりの深い理や信念があるのでしょう。
特に第二シーズン以降の『キン肉マン』は勧善懲悪の単純思想から脱却し、
- 敵には敵なりの主義・主張がある
- その思想を完全に否定しない
- 主張の衝突こそが“闘い”である
- その結果“分かり合う”ことを目的としている
という明確なガイドラインが成立しつつあります。
それに刻の神を当てはめたときに、彼の主張である
宇宙崩壊
にもまた、きっと我々を唸らせる理屈が存在している可能性が高いのです。
一見すると“絶対悪”にしか感じられない刻の神の主張。それに対してゆで先生がどのような理を添えるのか。ひじょうに興味深いです。
第540話感想とまとめ
以上、今回の感想と考察をまとめると
といった感じとなるでしょうか。
今回は“ニコイチ”の超人師弟による真摯な父母的訓諭によって生まれ変わったペシミマンの“旅立ちの章”、というイメージが強いですよね。一人の超人の成長譚が大団円を迎え、興味深い新章のページをめくった…そんな印象です。
そしてその新章には満を持して敵の頭目が登場し、そこにはモハーヴェ砂漠からグレートⅢが向かっている…はたして彼らがどのような接触をし、物語がどう転ぶのか、興味がまったく尽きませんよね。
そして今回は惜しくもピックアップできなかったポイントが、まだまだあります。それらについては一言雑感ですが、次の項をご参照ください!
第540話の小ネタ感想―気になったシーンピックアップ
その他気になった点は
- ドキッ! 不器用者だらけのパトムスキーリング(笑)!
- 夏の風物詩番組かな? 火曜ワイドスペシャル的な(笑)。
- 帽子とカツラのポロリもあるよ(笑)。
- 大讃美を受けているのに、モニターのスグルの顔…マヌケ(笑)。
- やっぱりウォーズマンは優しいなあ。
- 二回体に電流が走ったペシミマン。腰痛治りそう(笑)。
- ペシミマンのデビュー曲は『だからその手を離して』かな(笑)?
- ペシミマンはちゃんとタバコ吸えているのかな(笑)?
- ペシミマンの去り際のポーズは絵画的ですらある。
- グッタリ状態のネメシス。大丈夫なのかな?
- 椅子を蹴られてもまったく動じないファナティック。
- 「お?」という表情がかわいくもある(笑)。
- ピノはゆで先生のキャラメイクにおける新たな挑戦だろうな。
- 刻の神は前髪垂れ系なのかな?
こんなところでしょうか。
みなさんも今回感じたことやその後の展開予想などを、よかったらXやコメント欄に書いてくださいね!
お知らせ
超人批評のご案内
直近にアップした超人批評をご紹介します。今回は記念すべき超人批評100回突破シリーズとして、第1回の批評超人でピックアップしたウォーズマンの再批評を数回に分けてアップ。
そしてとうとう今回、ウォーズマン再批評が最終回を迎えました。今回は

ウォーズマンとは何者なのか
という、彼のアイデンティティの最深層に迫っていきます。

はたしてウォーズマンというキャラの根幹は何なのか。それについて、多くの事例と資料をふまえ、深々と考察をいたしました。
そしてありがたいことに、この批評は嶋田先生からも

深い考察ありがとう。
作者が涙してしまいました
という、ありがたいメッセージをいただいております。ご興味わいた方は、ぜひご一読くださいませ。
キン肉マン以外の雑文のご案内
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コメント
ペシミマンの『詫び』については、ここで気づかさせられました。確かに言ってたわ。すぐに気づくとは流石アキラさん。
ロビンは自身の技に対して自惚れる余りに相手に、そして真剣勝負に背を向けたことで敗北し、歴史的な屈辱を味わいました。そんなロビンマスクですから自然と真剣勝負に一過言あるキャラになってしまいます。だからこそ本当は開いていたペシミマンの心の扉の前にある厚い蓋をブチ破るには必要な『クソ師匠』であったのは間違いありません。優しく照らす陽光に対して意固地になってコートを脱がない天邪鬼だっているのです。そんな奴のコートを脱がすのは太陽でも、ましてや北風でもなく大渦!「ほ〜らコートを着たままだと水を吸って溺れてしまうぞ〜」とか吐かしながら相手を水に沈めるクソ野郎だったのです!(笑)
ついに出てきた(たぶん)刻の神のシルエット!
前髪の形状といい体つきといい、これはもしかして俺が昔冗談で言った「刻の神の超神名は『アヴェニール』かも!」が現実味を……流石に無いか