【キン肉マン543話感想】“逸材”生贄サラマンダー!ファナティックのシゴデキ“スーパーバイザー化”とサイコマンとの共通点を考察

ファナティックがサラマンダーに“死の制裁”を加える瞬間を描いた『キン肉マン』543話感想用サムネイル。処刑としての闘いという本話の核心テーマを象徴する構図。 今週のキン肉マン
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『キン肉マン』543話では、再起を図ろうとしていたサラマンダーがとうとう“生贄”として処理されることに。“神の候補者”を自認していた超人は、いったいなぜ別な意味での“逸材”として、ここまで無残な姿にされてしまったのでしょうか?

そこには、冷酷で残忍な手段を選べるほどの、ファナティックの“時間超人というブランドを守るための強烈な使命感”と、“品質管理者としての責任感”が浮かび上がります。単なる残虐行為ではなく、時間超人の理想から外れた者を容赦なく排除する――まるで組織のスーパーバイザーのような姿です。

なぜファナティックは、ここまで徹底して“時間超人の理想”を追求するのか?
なぜ彼は、サラマンダーとの戦いでマグネット・パワーを使うことをためらわなかったのか?
そして、彼の言動や技、立ち位置が、なぜこれほどまでにサイコマンを彷彿とさせるのか?

今回は「“逸材”サラマンダーが“生贄”となった意味」「ファナティックのシゴデキ“スーパーバイザー化”」「“闘い”と“処刑”に対するファナティックの認識」「刻の神軍のビジョン認識に潜む弱点」「ファナティックとサイコマンの類似点」という5つの視点から、『キン肉マン』543話で描かれた“生贄”の意味と、ファナティックという男の恐ろしさを徹底考察します。

今週の注目ポイント

  • 実は仕事がデキるサラマンダー
  • “生贄”に潜む二つの意味
  • 暖簾分けとスーパーバイザー
  • マグネット・パワー解禁の意味
  • 刻の神軍の弱点
  • ファナティックとサイコマンの類似点

この記事にはキン肉マン週プレ最新話543(2026年9月7日配信分)の感想が記載されています。つまりネタバレ確実なため、十分ご注意ください。
また、著作権保護の見地から
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今週のキン肉マン第543話「火を噴けぬ生贄!!」感想と考察

前回までのあらすじ

1億パワーを誇った”五大刻”や”神の候補者ゴッズパワーズ“が次々とキン肉マンたちに敗れ去ったことで、ファナティックのように時間超人としての誇りを持つことが肝要だと悟った刻の神。

そんな時、自分に期待を寄せる刻の神のためにも1億パワーを備えた超人で実験成果を試したいと考え始めたファナティックのもとに、アシュラマンに敗れたサラマンダーが帰還。ファナティックは、時間超人の栄光の未来のために満身創痍で生還したサラマンダーを生贄いけにえにせんと、容赦なくとどめを刺しにかかった―――!! 前回の感想は☞https://oreryu.site/kinnikuman15-129/

やられ役の逸材?―仕事がデキるサラマンダー

 手負いの状態で戻ってきた同僚に対し、手荒い歓迎で応えたファナティック。彼のサラマンダーに対する狙いとはいったい何なのか。

本来ならあなたの薄汚れた口などに、足すらも突っ込みたくはないのですがねぇ

それでもここから噴き出す炎は厄介ですから、先に潰してしまうことにしました~!

と、自身の足をドリルのようにして回転させ、サラマンダーの口内の破壊をさらに進めていきます。

 なるほど、まずは火炎放射器の銃口を潰しにきたわけですね。道理と言えば道理。以前ストロング・ザ・武道がジェロニモの『アパッチのおたけび』に対し

技などというものは発動される前に防御してしまえば、何も恐れるものではない

と、やはりその口内にパンチをねじ込むというシーンがありましたが、それを彷彿とさせます。そして足先をドリルのように回転させる様子は、殺人遊戯コンビの『地獄のネジ回し』のようでもあります。一人ネジ回し状態です。

ファナティックがサラマンダーの口内を破壊する攻撃を描いたイラスト。ストロング・ザ・武道の“口内パンチ”や殺人遊戯コンビの“地獄のネジ回し”を彷彿とさせる構図。
▲この二つのシーンを思い出させます。

 いずれにせよ、口の中をグリグリする攻撃は見た目にもかなり痛々しいです。ハラボテ委員長とノックも

ヒイイ~ッ

って引いていますからね。数多の試合をその眼前で見て裁いてきた二人が引くのだから、その残虐さたるや…でしょうかね。

 そしてその結果、サラマンダーの歯はほとんどなくなってしまいました。

ボグァ~~ッ

と悲鳴を上げたその口は、まるでパペットのよう。こんな辛辣なシーンで若干の滑稽さを感じさせるサラマンダー、ある意味さすがです。自分の仕事、きちんとわかっているんですよね、この人(苦笑)。

 多くの人から“憐み”という同情を引き出しながらも、急にくすぐってくるんですよ。いや~、ひょっとしたらファナティックは、サラマンダーのこのような面を“逸材”と評価したのかもしれませんね(笑)。

歯が抜けてパペットのような滑稽な姿となったサラマンダーを描いたイラスト。悲惨さと滑稽さが同居する“プロフェッショナル道化”としての魅力を象徴する構図。
▲自分の仕事がわかっています(笑)。

二つの生贄―ファナティック、特別性の証明

 続いてファナティックは

ついでにその腕も邪魔なようですから、破壊しておきましょう

と、サラマンダーの左腕をアームブリーカーで無慈悲にヘシ折ります。いや、躊躇なくこれができる神経に、彼の底知れぬ冷徹さを感じますよね。

 そしてこれにも

これで両腕をクロスさせて炎を吐く大道芸は難しくなりましたね

と、相手の武器を奪う目的がありました。つまり彼はトンボの翅を一枚一枚剥いでいくような残酷さで、相手の強みを削いでいるのです。しかも飄々と。ここにファナティックというキャラの凄味というか、格の違いをまざまざと感じさせる部分が凝縮されているんですね。

 今回のタイトルは“火を噴けぬ生贄!!”です。この“生贄”というのはおそらく

次なる進化した時間超人を生み出す素材としての生贄

という意味でしょう。しかし一連のファナティックの闘いぶりを見ていると、

ファナティックの特別性を名実ともに証明するための生贄

という意味にも見えてきます。つまり以前刻の神が口にした

ファナティックは五大刻の中でも特別

という発言を名実ともにするための“生贄”という、ダブルミーニングにも思えてくるんですね。そう思えるくらい、ここまでのファナティックの無慈悲な制裁はエグいです。

ファナティックがサラマンダーを“生贄”として扱う場面を描いたイラスト。素材としての生贄と、ファナティックの特別性を証明する生贄という二重構造を象徴する。
▲刻の神発言を証明するための生贄でもある?

プロフェッショナル―アホ面の流儀

 そんなボコボコ状態のサラマンダーですが、

ナ…ナメるなよ…

と意地で起き上がってきます。本当に同情したくなるくらい悲壮です。悲壮なんですが…

歯が一本だけ残っている

んです。はい、アホ面なんです(苦笑)。そのお陰で彼の悲壮感に集中できないんですよ。だってこれを見たらツッコまずにはいられないじゃないですか。

なぜ一本残した

と。もうね、これはゆで先生の彼に対する“徹底した悪意”を疑ってしまうレベルです。まさに肉体的な悲惨さと、扱いの悲惨さの競演。ただこれこそが先ほど述べた

彼は自分の仕事をわかっている

なんですよね~。その視点でみると、とんでもないプロフェッショナルなんですよ、サラマンダーは。もう尊敬しかないです。

歯が一本だけ残るというアホ面となるも、自身の役割を果たそうとするサラマンダーのプロフェッショナリズムを『プロフェッショナル仕事の流儀』風にパロって描いたイラスト。悲惨と笑いが同居する“演者としての逸材”を象徴する構図。
▲とんでもないプロフェッショナル・サラマンダー。

ブランド価値の死守―スーパーバイザー・ファナティック爆誕

 そんなプロフェッショナル・サラマンダーは、意地の反撃です。

腕ならさっきの闘い(アシュラマン戦)で覚えた…これがあるーっ!

と、炎の腕を生やす能力を発動。腕が一気に6本に増えます。そして

これで左腕も復活よーっ!

と叫ぶと、ファナティックを6本の腕でガッシリとロックしてジャンプし、その頭をリングに叩きつけるムーブに。

サラマンダーが意地で立ち上がる瞬間を描いたイラスト。悲壮感と不屈の精神が同居する場面を象徴する構図。
▲まだだ、まだ終わらんよ!

 しかしファナティックは

ニャガニャガ

と余裕の表情を崩しません。その平然とした態度をサラマンダーが苛立ちをもって指摘すると

心頭滅却すれば火もまた涼しですよ

と自身の心境を口にするファナティック。そしてその直後に放たれたサラマンダーに対するダメ出しは、かなり厳しいものでした。そしてそれは単に彼に対する小言ではなく、ファナティック自身が持つ

神の候補たるものの条件と今後の決意表明

でもあったんですね。まず彼は

神の候補たる時間超人にはこの余裕が必要なのです。
でもあなたにはそれがない

とサラマンダーを評しています。要は感情曲線の振れ幅が激しいと言っているんですね。それは言い換えれば

対応が気分に左右されやすい

という指摘でもあり、ひいては“結果として対応が後手になりやすい”との指摘でもあるわけです。つまり彼は、

神の候補者には、感情を排し闘いの最善手をとれる精神性が必要

だと説いており、ある意味これは“完璧超人の教義”に近しいものだともいえます。彼が完璧拾式のサイコマンと瓜二つであることを思うに、この思想の類似性は二人の間の何かしらの関係性を疑いたくなる要素でもありますね。

 次に彼は

そんな未熟者が“五大刻”や“神の候補者”を名乗っていたことが腹立たしくて仕方ないのです

と、かなりキツい発言をしています。これ、サラマンダーというキャラの“全否定”なんですよね。そしてそのような厳しい表現をする理由の根源は、ファナティックにとってのサラマンダーが

ブランドの価値を貶める者

だからではないかと思います。

 例えるならば、ラーメン屋の暖簾分けでしょうか。元祖である『刻の家(ときのや)』から暖簾分けされたからには、

  • 豚骨醤油ベース
  • 太いストレート麺

といったような、犯してはならない厳格な伝統があるにも関わらず、『炎天家(えんてんや)』の麺は縮れている。なのに店主は偉そうに

ウチは『刻の家』の直系だ~っ!

と豪語し、それをウリにして営業しているので、ファナティックは到底許せないわけです。

ラーメン家系比喩を視覚化したイラスト。刻の家のブランドを汚す炎天家の“縮れ麺”が、ファナティックの怒りとブランド維持の使命感を象徴する構図。
▲“家”のブランドを汚す『炎天家』(笑)。

 ですので暖簾分け第一号の『終焉家(しゅうえんや)』たる彼は、『刻の家』ブランドの徹底した再定義とその厳守を心に誓うんですね。それが

そんな過ちを二度と繰り返しません。
あなたにはしっかり犠牲になっていただき、代わりに今度こそ確実に刻の神にお喜びいただける真の逸材を生み出す…それが私に課せられた使命なのです~っ!

という力強い宣言なわけです。要は

『終焉家』のオレが散らばった家系店舗を全部チェックし、ダメな店は破壊する。
そして今後の暖簾分けは全部この『終焉家』が立ち会うぞ

という、全家系店舗のスーパーバイザーが爆誕した瞬間だということです。

ファナティックが“ブランド監督者”として家系店舗をチェックする場面を描いたイラスト。スーパーバイザー化と品質管理者としての責任感を象徴する構図。
▲ブランドを汚す店舗は許しません!

 そう考えると、冷酷で残酷な仕打ちを淡々と行うファナティックですが、彼なりの責任感と使命感に忠実に従っている真面目なキャラクターであるともいえるんですよね。雇っている側からすれば、その人事考課は間違いなくS評価をつけたくなるのではないでしょうか。

 でもこのスーパーバイザーの厳しい裁定に対して、サラマンダー店主はこう答えるんです。

知るか、ボケェェ、死ねーーっ!

 これ、要は

ストレート麺なんて知るか、ボケェェ、死ねーーっ!

って言っているんですよ。もうね、本当に役割をわかっています、サラマンダー。シビれるくらい100点満点のリアクション。しかも…きちんと歯が一本で叫んでいる(笑)。これ、私が映画監督だったら

カーーーット! サラちゃん、最高!!

って、ガッツポーズをしながら叫んでいます、きっと(笑)。

監督がサラマンダーの“100点満点のリアクション”にガッツポーズするイラスト。サラマンダーの道化としての逸材ぶりを象徴する構図。
▲監督、渾身のガッツポーズ(笑)。

格闘と処刑―マグネット・パワーに見るファナティックの認識

 ではファナティックはサラマンダーの攻撃に対し、どのように対処したのか。それはネメシス戦でも見せた、マグネット・パワーでの防御でした。そう、磁力をコイル状に放出し、そのクッションで落下をあっさりと防いだのです。

 ここで重要なのは、彼がネメシス戦においてはマグネット・パワーについて

あんなものを闘いに持ち込むのはドーピングのようなものですよ

と、その発動を控える意思があった、ということです。つまり

ズルいから極力使いたくない

という信念を持っていた、ということですね。しかし今回は迷うことなくこの力を発動しています。これって…彼の信念が変化したということなのでしょうか?

ファナティックがマグネット・パワーを使用する場面を描いたイラスト。格闘ではなく“処刑”としての合理的判断を象徴する構図。
▲この信念が変わった…?

 個人的な解釈としては、それはNOだと思っています。ただ…今現在の闘いが、その信念を適用する必要のないものだと彼が認識している可能性はあるのかな、と。

 つまり今行われているものは、“闘い”ではなく“刑罰”なのではないでしょうか。もっとわかりやすく言えば、“格闘”と“処刑”の違いです。

 “格闘”とはいわばお互いの技術の競い合いです。それだけに技術や地力の向上につながる選択をすることが合理的なのです。そんな価値観があるからこそ、ファナティックはネメシス戦において

あんな力(マグネット・パワー)なんかに頼っていたら、本来の技術がおろそかになる

と、その利用の非合理性を説いていたんですね。

 しかしそれが“処刑”であるならば、そんな価値観など不要なわけです。なぜならば、ギロチンを抑えている縄を切るのに斧を使おうが炎で焼き切ろうが、そこに是非はないわけじゃないですか。縄が切れさえすれば刑は執行できるのですから。

 つまりファナティックは刑を執行するにおいて、マグネット・パワーの使用が楽だから使用したにすぎないのではないでしょうか。それは裏を返せば、この闘いは

闘いという概念にする価値もない

と、彼が判断しているともいえます。ある意味サラマンダーにとっては最大最悪の侮辱であり、だからこそファナティックの冷徹さが際立って見える描写となっている、ともとれるのです。

格闘(技術の競い合い)と処刑(縄を切るだけ)の違いを図解したイラスト。マグネット・パワー解禁が“闘う価値すらない”という侮辱であることを象徴する構図。
▲ファナティックにとっては縄を切るだけの行為だった?

刻の神軍の脆弱性?―ビジョン純化の犠牲となったサラマンダー

 そしてやはり、ギロチンの縄は切られるんですね。技から脱出したファナティックは、

あなたにはこの技で確実に死の制裁を与えてしんぜましょう!

と、ネメシスをKOした自身のフェイバリットである『永遠の最終楽章エターナル・コーダ』の体勢にサラマンダーを固めていきます。ここでハラボテ委員長に

あれは完璧拾式・サイコマンの奥義“輪廻転生落としグリム・リーインカーネーション”と瓜二つの必殺技!

と叫ばすの、またもやいろいろと勘ぐってしまいますよね。先ほどの“完璧超人っぽい教義”と相まって、我々にファナティックとサイコマンには何か関連があると思わせるような、ゆで先生の誘導というか。それこそゆで先生が読者に対して

ファナティックとサイコマンが瓜二つなの、重要設定だから忘れないでね!

と、念押しをしているようにすら感じられます。

ファナティックのフェイバリット“永遠の最終楽章”が炸裂する場面を描いたイラスト。サイコマンの“輪廻転生落とし”との類似性を強調する構図。
▲疑惑の念押しに感じられるフェイバリットが炸裂。

 そして完全に動けなくなったサラマンダーは、

ボワワ…死の制裁…全ての時間超人は…未来の救いを約束された存在ではなかったのか…?

という、もはや“あきらめの境地”ともとれる言葉を弱々しく口にしてしまいます。その内容から感じることは、

刻の神軍のメンバーは、軍団のビジョンをそれぞれの尺度で解釈している

というものであり、

その認識にバラつきがあるのではないか?

という疑問です。サラマンダーがエンデマンの記憶を継承した転生超人だということを考えれば、エンデマンも同様の認識だった可能性があります。

 つまり刻の神軍は、実は“軍団のビジョン認識”において脆弱性を持っており、それが今回の対抗戦の惨敗によって露呈してしまったわけです。そしてファナティックはそこに危機感を感じ、今回のスーパーバイザー化…いうなれば

ビジョンの純化教育

を決断したともとれるのです。

刻の神軍の“ビジョン認識のズレ”を図解したイラスト。サラマンダーの最期の言葉と、ファナティックの純化教育の必要性を象徴する構図。
▲バラついたビジョンの統一が急務?

 そんな立志ホヤホヤの人物だけに、今が一番己の理念に厳しい時期だといえます。だからこそ彼がサラマンダーの問いに対し

ええ、これがあなたへの救いですよ

これでしっかり生まれ変わって次はより刻の神に祝福される高位の存在となってこの世に現れてきてくださいな~~~っ!

という辛辣がすぎる答えを口にしてしまうのも、

わからないではない…

という、普段だったら絶対に生まれない“許容”が生まれてしまうのです。その結果サラマンダーに待っていた未来は…左腕と右足がもげた形でマットに転がるという、これ以上ないくらいの惨状。もう涙なしでは語れない有様です。

 こうなると、彼については“タイミングが悪かった”という部分も大きかった気がしますね。家計がピンチで

今月の食費は切り詰めないと…

と意を決した母親に対し、

母ちゃん、今日のおやつがないんだけど、どこ?

といつも通り聞いたら、しこたま怒られた小学生くらいタイミングが悪かったように思えます(笑)。

家計がピンチの母親に怒られる小学生の比喩を視覚化したイラスト。サラマンダーの“タイミングの悪さ”と悲哀を象徴する構図。
▲なんでこんなに怒られるの(苦笑)?

楽観的処刑の裏側―管理監督者たるファナティックの目論見

 そして無惨な姿になったサラマンダーに対し、ファナティックは

そう落胆しないでください。
あなたの死は決して無駄ではないのですから

と、かなりあっけらかんとした慰めの言葉をかけるんですね。その背景には

どうせ生まれ変わるんだからいいでしょ?

という、時間超人…特に五大刻が持つ“転生”という習性への楽観視があるのでしょう。実際、サラマンダー自身がエンデマンが死亡したのちに転生したキャラでしたからね。

 そしてスーパーバイザー宣言をした彼は、その後まもなくして生じるであろう、彼の転生を管理しようと待ち構えているわけです。しかもそこに自身が研究して得た何かをドッキングさせようとしている。

 次回はおそらく彼が目論んでいる、新たなる転生の儀式が披露されると思われます。そこに被検体となっているジャスティスマンやネメシスがどうかかわってくるのか…興味は尽きないですね。

研究所で新たな存在が誕生しようとする場面を描いたイラスト。転生儀式と超人合体の可能性を象徴する構図。
▲やはり超人合体は行われるのか…?

ファナティックとサイコマンの類似点―勇み足の能吏監督者

 最後に、今回の話を通じて私が全体的に感じたことについて、二つほどお話させていただきます。

 まず一つ目は、ファナティックが推し進めようとしている“刻の神軍のビジョンの純化”が、はたして

刻の神本人の思想と一致しているのか?

という点です。というのも、ファナティックが刻の神の意向をうかがう前に動き出してしまっていることが気になるんですよ。

 前に考察した通り、刻の神は現時点では言葉遣いも含めてかなり温和です。ですので、今回ファナティックが下したような急進的な純化教育を欲していない可能性があるわけです。

純化教育は大事です。
しかし処刑ではなく、育てましょう

という意思を持っているのかもしれない。つまりファナティックは“勇み足”を行っている可能性があるのです。能吏たる彼の仕事の早さが、逆にアダとなってしまうわけですね。

 そしてスーパーバイザーのビジョンの取り違えは、組織全体をあっという間に歪ませるという、致命的危うさをはらんでいます。そりゃそうですよね。川上に毒が流れれば、川下は汚染されるがままなのは道理ですから。

 つまりこの辺りの整合性がはっきりするまでは、

ファナティックの行動は刻の神軍としては間違いかもしれない

という視点を常に持ち続けなければならないかな、ということです。

刻の神(川上)と軍団員(川下)のビジョンの乖離をギアの摩擦で象徴したイラスト。ファナティックの勇み足が組織全体を歪ませる危険性を示す構図。
▲川上がズレると川下の乖離幅は大きい。

 そして二つ目は、そんな勇み足管理職嫌疑のあるファナティックが、『完璧超人始祖編』におけるサイコマンの立ち位置と、かなり似通っている点です。

 サイコマンは一言でいうと、完璧超人始祖の実務家でした。それこそ主君たるザ・マンの意向を忠実に行動に移す能吏だったのです。この辺りの考察については、私のKindle本に超人批評・サイコマンとして書き下ろしていますので、ご興味ある方はぜひどうぞ👇。

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 そしてサイコマンの執る政策は、他の始祖からすると

なんかズレてるんだよな、コイツ

という共通認識が如実にあったように感じます。その最たる例が、彼が

マグネット・パワーを我々で有効に利用しましょう

という仲間に提案した時に、総スカンを食らったことでしょうか。

サイコマンがマグネット・パワー利用を提案するも、他の完璧始祖に総スカンを食らう場面を描いたイラスト。ファナティックとの政策のズレを象徴する構図。
▲総スカンを食らったマグネット・パワー利用提案。

 このように、彼は組織おけるシゴデキの実務家ではあったのですが、いかんせんウケが悪い。まあそうなってしった要因は、彼にビジョンを伝える主君、ザ・マンの変節があったからなんですけどね。

 ただそうだとしても、彼がザ・マンの変節を肯定した時点で他の始祖と比べてセンスがズレていた証明でもあり、それが勇み足の政策を実行していたという評価となる可能性もあるんですよね。

 そんな考察をすると、ファナティックとサイコマンは

  • 主君に対する官房長官のような役割である
  • ビジョンを実行に移す実務家である
  • 主君に対する忠誠心が高い
  • 政策がズレている(笑)可能性がある
    • ファナティック⇒刻の神のビジョンに対して
    • サイコマン⇒他の始祖との考え方に対して

という点で、とても似ていると感じるのです。そして前述した他の類似点も含めてまとめると

  • 教義が完璧超人のそれに近い
  • フェイバリットの形が同じ
  • 立ち位置が近しい
  • おまけにフォルムがそっくり

という感じとなります。もうね、これだけで見れば完全に“クロ”ですよ(苦笑)。そんな彼の秘密がいつ明かされるのか、楽しみに待ちたいですよね。

ファナティックとサイコマンの比較表を描いたイラスト。教義・役割・政策のズレ・技の一致など、二人の“完全一致疑惑”を象徴する構図。
▲外見以外にも類似点が多い二人。

第543話感想とまとめ

 以上、今回の感想と考察をまとめると

  • サラマンダーは演者としても100点満点の“逸材”だった
  • 今回テーマ“生贄”には、二つの意味があった?
  • ブランドの維持にスーパーバイザーとして乗り出したファナティック
  • “処刑”に“格闘のプライド”は不要
  • 刻の神軍の弱点は“ビジョン認識のバラつき”?
  • ファナティックの急進的改革は“勇み足”の可能性も
  • やはり様々な面で似ているファナティックとサイコマン

といった感じとなるでしょうか。

 今回はファナティックの冷徹な制裁行為の裏で、実は神の候補者のブランド維持やビジョンの純化という、彼のプロフェッショナルな責任感や使命感が浮き彫りになった回だと感じました。

 と同時に、優秀な実務家ほど陥りやすい“独善的解釈”による独走のリスクもあり、その点が過去のサイコマンと重なる印象を受けました。また、なんといってもサラマンダーがプロフェッショナルの道化であったことが光りましたよね(笑)。

 そして今回は惜しくもピックアップできなかったポイントが、まだまだあります。それらについては一言雑感ですが、次の項をご参照ください!

第543話の小ネタ感想―気になったシーンピックアップ

 その他気になった点は

  • 笑顔で制裁をするファナティック。やはり狂気。
  • すべてのコマが“顔芸”となっているサラマンダー。
  • 結局“超回復”のちょの字もでなかった…。
  • ファナティックは笑いながら怒る人だから怖い。
  • 吐血がわりに小さな炎を吐くサラマンダー。
  • アシュラマン戦でもそうでしたね。そういう構造(笑)?

 こんなところでしょうか。

 みなさんも今回感じたことやその後の展開予想などを、よかったらXやコメント欄に書いてくださいね!

お知らせ

超人批評のご案内

 直近にアップした超人批評をご紹介します。今回は記念すべき超人批評100回突破シリーズとして、第1回の批評超人でピックアップしたウォーズマンの再批評を数回に分けてアップ。

 そしてとうとう今回、ウォーズマン再批評が最終回を迎えました。今回は

ウォーズマンとは何者なのか

という、彼のアイデンティティの最深層に迫っていきます。

第106回 ウォーズマン(Ver.2)その7(最終回)
なぜウォーズマンは40年を超えても私をトリコにし続けるのかを考察するシリーズの最終回は、“優しさ”という彼の根幹パーソナリティを深掘り考察することで儚くも美しい本質に迫り、ウォーズマンとは何者なのかを総括します!

 はたしてウォーズマンというキャラの根幹は何なのか。それについて、多くの事例と資料をふまえ、深々と考察をいたしました。

 そしてありがたいことに、この批評は嶋田先生からも

深い考察ありがとう。
作者が涙してしまいました

という、ありがたいメッセージをいただいております。ご興味わいた方は、ぜひご一読くださいませ。

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