今週のあらすじ
モニター越しにスグルと対峙するアリステラ。

しかし哀しいことだなァ、オレとお前がこうしていがみ合わなければならないというのは。
そうは思わないか、キン肉マン?
と切り出すと、以下のように俯瞰した超人界の現状論を語ります。
- キン肉星の大王になるためには神の信認が必要だったと聞く。
- だがなぜ何もしないあんなヤツらの許可を取らねばならないのか。
- そのシステム自体を不思議に思ったことはないのか。
- 考えたこともないだろう。それはオレたち超人がヤツらに飼い慣らされているからだ。
- “神を疑ってはいけない”という考えはヤツらの洗脳である。
- お前には早く気づいてもらいたい。
このようにアリステラは彼の持論を展開した後

そこでだ!オレはお前のことを個人的には気に入っている。
だから満を持して提案しよう。オレたちと手を組まないか
と、予想外の誘いをスグルにかけます。さらに

本当に超人のための世創りを望むなら、神などという危険極まりない不確定要素は邪魔にしかならない

そしてその排除を実現できる可能性のある超人がこの世にふたりいる。
それがオレとお前なのだ!

そんなオレたちふたりが手を組めば神の時代は本気で終わらせることができる!
真の超人の超人による超人のための新時代が始まるのだ!

どうだ? 面白いと思わないかキン肉マン!?
そしてオレとお前がこの世の新たな神となるのだ
と、神不要論と新たな超人世界の創造を持ちかけます。
それに対してスグルは

アリステラよ、私はできることならこの世の誰とも仲良くしたいと思っている

お前とだって闘わずに済むなら手を取り合い、オメガの星だって一緒に救う道を考えていきたい

だがしかし…今のお前と手を組むことは…私にはできない!
と、その申し出をきっぱりと拒否。

なぜだ?
と問うアリステラに対し、スグルは以下の理由を挙げます。

- お前は邪悪な念に囚われている。
- この世を良くしたいとかは頭で考えた理屈だ。
- その心の奥底は怨みの念に縛られ、その一点に衝(つ)き動かされている。
- よってそんなヤツとは手を組めない。
というもの。さらに続けて

- お前と手を組むということは、ザ・マンを倒すことになる。
- 先ほどパイレートマンはそれを私にさせられないから手は組めないと私に言った。
- だがお前は逆に手を組もうと言ってきた。私がお前に賛同できない一番の理由はこの違いだ。
と、軍団内でのアプローチの矛盾を指摘します。スグルがなかなか鋭い指摘をしてきたことに対しアリステラは

- お前は頭がいいのか悪いのか全くわからんがその通りだ。
- 結局オレはお前のことなど考えてはいない。
- オレが常に考えているのは何がオメガの救いになるか、それだけだ。
- 星を救う、ザ・マンを倒す、神の世を終わらせる、全てはオメガの悲願に間違いないのだが、その優先順位は我らの中でもそれぞれ異なる。
と、ある種の開き直りを見せたかと思うと、六鎗客の中でも目的への微妙な温度差があることを口にします。そしてパイレートマンに対し

なぁパイレートマンよ、お前は星の再生こそ最優先だという立場だったが、それはオレの今の技も見てもまだ変わらぬか。
それでキン肉マンにほだされたのか?
と、パイレートマンのスグルへの感化をチクリ。
それに対してパイレートマンは

アリステラよ、吾輩は今このキン肉マンと闘ってよくわかったことがある

我々が目指してきた一連のオメガ救済計画には根本的な矛盾があった。
欠陥といってもいいだろう
と、自分たちの行動規範に不具合があったことを示唆。

どういうことだ?
とアリステラが問うと、

そもそも我らは“火事場のクソ力”とはただの力と考えていた。
超人強度の壁を崩す物理的な鍵にすぎぬと

だがそうじゃない。違ったのだ。
“火事場のクソ力”とは…わかりあうという彼らの唱える心のあり方そのものだった。
怨みの歴史に生きてきたオメガの民にはそれは理解に苦しむほどの
と、パイレートマンなりの“火事場のクソ力”の理解を口にします。
するとアリステラは

お前は…何を言っているんだ。
まさかとは思うが、もしやそれはこのオレに『ザ・マンとわかりあう道を探れ』とそういうことか
と、パイレートマンの心の変化に反論。しかしパイレートマンは

そこにたどり着けぬなら…この力の真なる解放は永遠に不可能。
そのほかに道はもはや…ないと悟った
と、アリステラの反論に屈することなく現在の心情を正直に話します。
同志の心境の変化を聞くも、当然受け入れられるはずもなく

何をバカげた…ザ・マンとわかりあう?
できるわけないだろーっ!!!

どうしたんだパイレートマン、今の試合を見ていたか?
散った仲間のおかげとはいえ、オレにもその力の片鱗は使えた。
あの力を再び手にすればザ・マンとも張り合える

そこのキン肉マンと闘いさえすればオレにだってその力が…お前だってそれはもう実は既に手にしているんじゃないのかーっ!?
と、アリステラは激高し、パイレートマンに詰め寄ります。
しかしパイレートマンは

本物の“火事場のクソ力”の威力は…そんなものじゃない
と、自分の棟梁が何も理解していないと哀しい目をします。それを見たアリステラは

しかしオレたちは!
もうここまで準備したんだーっ!
と、背中のオメガハンドでリングマットをえぐると、超人墓場へ続くワームホールを誇示。

今さら後戻りなどできるものかっ!
気の遠くなるほどの遥か古から先祖代々託された悲願なんだぞ!
それがもう僅か目の前に口を開けて…!
と、計画は止められないことを主張し、そのワームホールに目をやると…その空間に一人の超人が腕組みをして立っているのを発見します。
その超人が

この通路ならもう使えんぞ
と口にすると、アリステラは

こちらから攻め込む前に向こうから仕掛けてくるとは。
ザ・マン本人なら面白いが。いや、ヤツが放ったその手先か…
と、予想外の展開にも返り討ちの精神状態にスイッチ。そしてそのワームホールから徐々に安土城リングに登場した超人は…なんとキン肉マンソルジャー! そして次回に続く、です。

今週の感想
やばい…展開が面白すぎる…(苦笑)。いやはやしかし今回はテキスト多かったなあ~。入力大変でした…(泣)。
でもそれだけストーリーがドラマチックに動いた、ターニングポイント的な回でしたね。
まずはアリステラの“神っていったい何様なのよ?”理論から話は展開しました。彼の疑問や言い分はもっともで、
- 何もしないヤツら
- 洗脳されているだけ
- 不確定要素
といった端的な“神不要論”は的を射ています。
強いて言えば“超人の創造主”ということでの敬意で今の関係性となっているのかな、とも思うのですが、この作品における神のキャラクター設定が不確定なのでなんともいえません。
もちろんこのシリーズでそれはハッキリしていくと思うのですが、現時点では難しいです。見方によってはゆで先生のふわっとした設定に、登場キャラであるアリステラがツッコミを入れた、ともとれますよね(笑)。

ゆで先生がきちんとした設定をしてくれないから、あいつら(神)の役割や立ち位置、重要性がわかんねぇよ。
だから役に立たないって思っちゃうんだけど
みたいな(笑)。これってなかなかに強烈な自虐ですよね。
この“神不要論”に反論できないスグルに対し、アリステラはまさかの電撃共闘提案ですよ。
これにはびっくりしましたけど、個人的には問題解決のチャンスだとも思いました。彼らは悪い連中ではないし、無駄な戦闘を回避して星の救済を協力する、という図がかけるからです。
ただ問題は…ザ・マンを含む神の殲滅にも手を貸さねばならない、というところでしょうか。いまの関係図からいくとそれは無理ですよね。だってスグルはザ・マンと既に分かり合っちゃったんだから。今更戦闘ができるわけもない。
そう考えると、なんでオメガの六鎗客は前戦の対完璧超人始祖のときに加勢に来なかったのかなと。あの時点では同盟を組んだ悪魔超人とともにウェルカムだったのに。遠すぎて間に合わなかったのかな? さすが宇宙の最果て、オメガケンタウリ星団(笑)。
このアリステラの誘いにスグルが出した答えはNO。その理由がスグルらしく、スグルらしくない。らしいのは

邪悪な念に囚われた行動には乗れない
という点。これはホント、スグルらしい、わかりやすいNOですね。行動のベクトルが怨みつらみでは、確かに加勢しがたい。このあたりが正義超人のイデオロギーなんでしょう。
オメガも正義超人の範疇なんだと私は思っているのですが、歴史の中に“仇討ち”が脈々と含まれているのは大きな違いです。
でもこれはね…アリステラが悪いわけではないからなあ。彼の欠点とは指摘しづらいですよ。だからといって互いに譲歩できる部分でもないし…ただただ、現状で物理的に噛み合わない事実があるだけ、というところでしょうか。
そしてスグルらしくないのが、相手の発言に矛盾があるからという、えらく理知的な理由です。
確かにアリステラの言っていることとパイレートマンの言っていることは真逆です。ぜんぜん気づきませんでした、私(苦笑)。こんな論理的に正論を言うスグルは初めて見た気がします。それだけに違和感があるというか。
でもそれについてはアリステラが

お前は頭がいいのか悪いのか全くわからん
と、私の代弁をしっかりとしてくれていますね(笑)。ゆで先生、用意周到(笑)。
オツムが弱そうな相手から、予想外の強烈なピッチャー返しをくらったアリステラでしたが(笑)、開き直りと詭弁でそれをかわすという荒業を披露(笑)。この辺、若干もったいないです。せっかく前回でそのカリスマ性がアップしたのに、小者感を匂わせてしまいました。
そしてその矛先はパイレートマンに飛び火しますが、もうパイレートマンは思想変革が起きてしまい、もとの志には戻れないようですね。ある意味これがスグルの真骨頂なんですど。アリステラのいう

ほだされた
というのは言い得て妙です(笑)。
ただ彼の言う“火事場のクソ力”論はなかなかに注目で、これまたふわっとしていたこの力の定義が確立しつつあることを表しています。

“火事場のクソ力”とは…わかりあうという彼らの唱える心のあり方そのものだった
ですからね。深いですよ。さらには

そこにたどり着けぬなら…この力の真なる解放は永遠に不可能。
そのほかに道はもはや…ないと悟った
と、悟りまで啓いてしまいました。
これは完全にパイレートマン、ほだされてます(笑)。もうオメガの思想には戻れないかも。アリステラにとっては一枚岩だった軍団に初めて亀裂が入り、ショックだったでしょうね。
ついつい大声を張り上げてしまいますが、ここで強烈なゲストが登場。ワームホールにシルエットが現れたとき、皆さんどんな気持ちでした? 心躍りませんでした? 私はワクワクしながらそのシルエットの正体を頭の中でデータ検索してましたよ(笑)。
私のデータベースが弾き出したキャラクターは
- キン肉マンソルジャー 本命
- ジャスティスマン 対抗
- ザ・マン 穴
- ソルジャーマン 大穴(笑)
でした。
まあ誰もが1を予想したと思うのですが、私はあえての2押しでした。1を外した理由は

まだもったいない
という心情的なものです。もっと引っ張れるだろ、ゆで先生、みたいな(笑)。
2は一度このシリーズに出ているのでね。彼が因縁深きオメガの民と一戦交えるというのもヨダレものだったので、2を願ったんですね。
ちなみに3外しは謹慎しているからなあという理由で、4外しはこれやったらギャグだよ、という理由です。でも4だったらそれこそ伝説ですよね(笑)。
結果的に登場したのはキン肉マンソルジャー! 最終ページのカッコ良すぎるたたずまいを見たときは、先ほど思っていた「まだもったいない」感はふっとんでしまいました。
まさにベストタイミング! これで正解だよ、ゆで先生! みたいな(笑)。とにかくおいしすぎるぞ、キン肉アタル!
その他気になった点は
- 眉間にシワが寄るアリステラ。ホッケーマスクなのに(笑)。
- アリステラは意外とジェスチャー好き。「そこでだ!(パチン)」「お前なのだ!(ビシィッ)」みたいな(笑)。
- 野望が強いな、アリステラは。
- 「できるわけないだろーっ!!!」を見たら「ホレてまうやろーっ!!!」が頭をよぎった(笑)。
- 『キン肉マン』では珍しいエクスクラメーションマークの三連打。
- それほどお怒りか、アリステラ。
- 弱気なパイレートマンは、友情パワーに屈しそうになったタッグ時のサンシャインがダブる。
- 一言もしゃべらないマリキータマン。
こんなところでしょうか。今回はプレイボーイですぐに次の話が読めます。嬉しいんだけど、これからまた感想書かなきゃ。忙しいなあ(笑)。


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