アタルに「キン肉マンに匹敵する力がある」と評価されたアリステラ。さらに「それを確信したからオレやフェニックスたちはお前を止めにきた。そして悪しきものは…逆にそこへつけこんだ」と付け加えます。それを聞いたアリステラは「確かにオレはその力にただ憧れ、手にできると信じてここまでやってきた。だが…道を見失った今のオレに果たして…それを手にするだけの資格があるのか?」と自問すると、「あるに決まってるだろう!」と、モニター越しにパイレートマンが大声で叫び、以下のようにアリステラはを鼓舞します。
- お前はオメガの救世主になる男だ。
- そう信じたから皆ここまで一緒についてきた。
- それはザ・マンを倒すという方法だけじゃない。
- 今もなおお前が救世主であることに変わりはない。
- お前の不幸は才能がありすぎたことだ。
- だからいつしかザ・マンを倒すという難題をひとり背負い込むことになってしまった。
- だがオメガの誰もが知っている。己のことより皆のために尽くそうとしてきたお前の努力を。故郷を愛するその優しさを。
- お前の価値はその強さと才能のみにあるんじゃない。
そして最後に「だから吾輩は今こそお前に苦言を呈す」と断った上で「お前の価値をお前が勝手に決め込むなーっ! もしも道を見失ったというのなら、背負わず仲間に聞けばいい!」と、当主であるアリステラを一喝します。
仲間の本気の激を受けたアリステラは「オメガの教えは絶対…これを守り広めるのが当主の務め。これまではそれを使命に生きてきた。だがその教えに過ちがあらば…悪しき伝統を正すのも、また当主にしかできぬ務め。なぁパイレートマンよ…オレの代でオメガを変えねばならぬのか?」と、次なる自分の使命を確認しながらもその方向性が正しいか尋ねると、「それが唯一の救いの道だと吾輩は思っている」とパイレートマンは即答。「すべてはオメガのために…か」と、散っていった仲間たちを想うアリステラ。
このやりとりを見ていたブロッケンJr.は「やっと…わかってくれやがったんだな、あのヤロウ…」ともらい泣き。そこにアタルが近づき「ブロッケン、お前は本当に泣き虫だな。だが弱虫ではない。その涙は…お前の誇りにしていい涙だ」と優しく声をかけると、ブロッケンは「隊長……チキショウ!」と、感極まったときの名言“チキショウ”が飛び出します。
このように両軍が雪解け模様になるものの、その流れを断ち切るかのように空からサタンが出現。「せっかく全てを手にするチャンスを与えたやったのに、それをふいにしおって。この役立たずどもが…もう少しはやってくれると思っていたが、オメガマン・アリステラ、お前の働きぶりには心底ガッカリさせられたものだ」と、オメガ軍をなじります。
それを受けて「ガッカリ…だと? それはやはり貴様に何かオレたちに隠している狙いがあったということか!?」とアリステラが問いただすと、「当たり前だろう。私が慈善事業でお前たちをただ支援してやるお人よしに見えるのか。我は悪の権化大魔王サタンであるぞ。お前はこの世の奇蹟とも言える逸材だった。神の1億パワーに自力で到達できる可能性のある超人などそうはいない。そんな恐るべき者が宇宙の辺境の地で誰にも知られず生まれていたとは…私も驚いたほどだ。だからわざわざ目をかけてやったのだ。お前が願うままに成長を遂げ、然るべき時が来たら必ずや…新たなる我が“依り代”としてやるためになぁ」と、サタンは自身の野望を暴露します。
それに対しアリステラが「じゃあ貴様は最初から…オレの身体を乗っ取るつもりで近寄ってきたということか?」と問うと、「ゲギョゲギョ、むしろそれ以外に何がある? お前は私に選ばれた。これは光栄に思うべきであるぞ! お前が順当に火事場のクソ力の秘密を会得し、1億パワー到達の素地を手に入れ、超人墓場に突入したところで私がその身体を奪い、その力でザ・マンを打倒し永遠に亡き者とする。さすれば私は望む全てを手にできるはずだった。同時にお前たちも念願もザ・マンを討ちを間接的に果たせる。お互いに何も損はない話だったはずなのだ。そこになんの不満がある?」と、サタンは自分の欲望とオメガの利害が一致していたと主張。
しかしアリステラは「何もかも不満だらけだ。オレが他人に操られるのも気に食わないが、そもそもそれではこの世の仕組みは何も変わらん。今のザ・マンの首がただお前にすげ替わるだけではないか。そんなものはオメガの望みなどではない!」と不満を訴えると、「お前たちの望みの本質など知ったことではない。だがそのような議論さえも意味をなすものではなくなった。なぜならお前たちは…失敗した! 何が慈悲だ。新たな希望だ。そんな世迷言に屈し、恨みの念の薄れたお前たちにもう利用価値はない。この私の期待を裏切った罪はあまりにも大きい。よってこれより制裁を加える。死ねーっ」と、サタンは口から鋭い槍をアリステラに向かって打ち放ちます。
鎗が一直線にアリステラを貫こうとした瞬間、その間に突然一筋の影が飛び込みます。彼を守るために体を張って犠牲になったその影の正体は…なんと死んだと思われていたマリキータマン! 串刺し状態で「お…お前のことは…必ず守る…」と言い次回に続く、です。
アリステラ、とうとう正義超人側の説得を理解してくれたようですね。それを手助けしたのがパイレートマンの苦言というか、当主に対する激ですよ。これがなかなかに感動的でいい。パイレートマンの熱さが伝わってきます。また「迷えば聞け。海図を読むのは慣れている」なんてうまいことをいうので、パイレートマンさん素敵っす、みたいな気持ちに思わずなってしまいましたよ(苦笑)。でもこんなやりとりを聞いていると、アリステラは本当にいいヤツなんだなあと思いますね。そんな同志の温かい感情で、頑なだった彼の思想が、かなり柔軟になってきました。
そしてそれにほだされたブロッケンがもらい泣きするのがまたいい。浪花節、大好物なんだな(笑)。でもこの人情味って、彼の魅力を存分に高めているんだよなあ。感情に裏表がない、つまり素直で純粋。若僧の特権ですよ。そして名言の“チキショウ!”。“チクショウ”じゃなくて、“チキショウ”であることが彼らしくていいんです。このね、江戸っ子気質のべらんめえ口調ってのがまた彼に似合うんですよ。ドイツ人なのに(笑)。悔しさや失望を表すこの言葉を、こんなにポジティブな意味で使える人ってもはや彼しかいないんじゃないかな。
そんな気持ちのいい人情話で盛り上がっていた雰囲気をぶち壊したのが大魔王サタン。ここでアリステラは自分の依り代にする予定だったという、彼の目論見が暴露されました。要は肉体の乗っ取りを企んでいたんですね。これを聞くと、二つほど似たような事例を思い出しますね。一つ目はバッファローマンとサタンとの関係です。この時はバッファローマンの血を担保に、超人パワーを付加してもらう契約でした。二つ目は黄金のマスク編におけるゴールドマンとサタンの関係です。あの時悪魔将軍として実体化したゴールドマンは、サタンの依り代だったといってもいいのかな? なんて思ってしまいました。
まあ当然そんな利用のされ方なんてアリステラにとっては願い下げなわけで、ここで両者のアライアンスは完全に決裂。その流れでサタンがアリステラを切る発言をしたとき、私の頭の中によぎったのは“制裁”でした。そう、バッファローマンがキン肉マンに敗れたあとに受けたあれです。そのイメージが頭に浮かんだ瞬間、ページをめくると…思った通り鋭利な鎗が発射。バッファローマンの時のポールとまったく同じ展開です。うわ~ブレないな、サタン(苦笑)! なんて少々ずっこけたのですが、今回はなんとマリキータマンが身代わりにそれを被弾。死んだと思っていたのに、凄まじい忠臣ぶりです。でも結局死んじゃうんだなあと思うと、このスタイリッシュ超人のはかなさに思わず涙ですよ。でも当主が生き残った以上、正義超人との共闘は確定的ですかね。彼の死が犬死にならないよう、アリステラには無茶をしてもらいたくないものです。
その他気になった点は
- パイレートマンには“男気”というキャラが備わったな。
- オメガ六鎗客の飲み会メニューはマンガ肉(笑)。
- ギヤマスターの食事の仕方が一番謎です(笑)。
- ギヤの中心に肉を押し込んでミンチするのかな?
- アリステラがサタンの依り代候補だったなら、スグルも当然候補なのかな?
こんなところです。
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