注)この論文は1994年のものです。
650万部。これがある週刊雑誌の発行部数と聞いて、驚く人は多いのではないだろうか。普通、雑誌であれば100万部突破すれば、相当な売れ筋である。書籍においては50万部も突破すれば、大ベストセラーである。
また、この驚異的な発行部数を誇る雑誌の正体が実は「マンガ」であることを知り、さらなる驚きを覚える人も、少なくはないはずであろう。
その雑誌の正体は『週刊少年ジャンプ』(集英社、以下『ジャンプ』で統一)。もはや敵は朝日か読売か、といわれるほどの、怪物雑誌である。
いずれ止まると言われ続けて25年、部数は衰えることなくその名の通り“ジャンプ”を重ね、1968年(昭和43年)創刊時のわずか10万5千部から
- 1970年(昭和45年)115万部
- 1977年(昭和52年)210万部
- 1979年(昭和54年)304万部
- 1984年(昭和59年)403万部
- 1988年(昭和63年)500万部
と次々に記録をぬりかえ、平成6年現在では、とうとう650万部を突破してしまった。
この数字がどのくらい図抜けているかというと、他の有力3誌『少年マガジン』(講談社)、『少年サンデー』(小学館)、『少年チャンピオン』(秋田書店)の合計部数を上回るのである。
ちなみに日本の人口約1億2千万を650万で割ってみると、18人に1人は何かしら『ジャンプ』を買って目を通しているという結果が現れる。
このように絶大な人気を誇る『ジャンプ』であるが、このパワーはいったいどのような要素、背景、システムから生じているのであろうか。また、この図抜けた発行部数が、他の業界にどのような影響を与えているのであろうか。本論ではそのような観点から、『ジャンプ』の分析をしていきたいと思う。
そのために、以下のような章立てをした。
それでは、さっそく第一章に入ろうと思う。

描きたい!!を信じる 少年ジャンプがどうしても伝えたいマンガの描き方
週刊少年ジャンプ編集部(著)
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