被写体を操る映像機器超人。そこから繰り出される様々な機能技は、超人プロレスを根底から揺るがすチート技だった!?
コロナ禍で甦るその面影
2020年初頭から猛威を奮ったコロナウイルスは、コミュニケーションのあり方や文化を大きく変えたといえるでしょう。
その最たるものは、Zoomに代表される会議ツールではないでしょうか。テレビ電話を数歩進めたようなそのサービスは、非接触コミュニケーションを求める需要に大きな貢献をしました。
そして、それらサービスのオプション機能として当たり前になったのが、バーチャル背景です。これは皆さんご存知の通り、

プライベートな空間をオフィシャルの場に晒したくないです
という要望から追加された機能で、背景を好きな画像に変更してコミュニケーションがとれる、というものですよね。

でも皆さんはそこで思い出しませんでしたか? 少年時代の懐かしい何かを。

これっていわゆる…ミスター・VTRの『シーン・チェンジャー』じゃん!!
なんて(笑)。そうなんです。それは21世紀に突入し、とうとう彼の能力が一般社会で汎用化された瞬間だったんですよ(笑)!
作品における“トレンド枠”超人
このように、コロナ禍でほんのりとその存在を思い出された彼は、『キン肉星王位争奪編』において、マリポーサチームの次鋒として初登場しました。
そのフォルムはド直球のオーディオ・ビジュアル系で、当時のAV機器を寄せ集めたような外見をしていました。当時は家庭用ビデオデッキやビデオムービーが、一般家庭に普及され始めた頃です。
つまり彼は『キン肉マン』という作品において、時代のポイントポイントで登場する“トレンド枠”の超人だったといえるでしょう。ステカセキングもその一人として数えられると思います。
これはゆで先生が超人選定をする際に、“時代を象徴したモチーフ”といったポイントを重要視していたからだといえます。
もちろんこの手法で登場する超人はイロモノ扱いとなる可能性が高いし、時代と共に風化する恐れもあります。実際彼を初めて見たときは

これはまた…イロモノ感がプンプン漂うヤツが来たな…!
と思いましたからね(苦笑)。
しかしゆで先生はそんなリスクは承知の上で、今現在のトレンドを最大限に利用した、物語の盛り上がりを優先したわけです。このあたり、ゆで先生の作風が色濃く表れているキャラだったと言えるでしょう。
反則級のその能力
彼は機器系超人であるので、その能力は当然モチーフとなったビデオカメラとビデオデッキに付随したものになり、
- 相手を縮小させる『ズームアウト』
- 撮影映像を一時停止することで、被写体も同時に停止させる『アクション・ストップ』
- 戦闘ステージを変える『シーン・チェンジャー』
といった能力がありました。
ぶっちゃけこれらの能力は、使いようによっては無敵なのではないかと思われます。
相手を止めて小さくし、踏みつぶせばジ・エンドですからね(苦笑)。このコンボだと、悪魔将軍とてかなわないんじゃないかなあ?
それくらい彼の技は反則級であり、その表現方法を間違えれば『キン肉マン』という作品内の闘いのルールを根底から揺さぶり、物語を白けさせるのに十分な能力を持っていたといえるでしょう。
ある意味それはフィクション内におけるチート技ともいえ、彼が潜在的にひじょうに危険な能力の持ち主であったことがわかります。あ、もちろん格闘というよりは、制作サイドにとって危険、という意味ですが(苦笑)。
しかしながらこれらの反則的能力を除くと、彼の格闘能力というのは
- ドロップキック
- メキシカン・ローリングクラッチ・ホールド
の二つだけという、その極端な貧弱さが白日の下にさらされます。この事実は今回この文章を書く上で初めて気づかされ、

よくこれだけで試合が成立したな…
と驚愕しましたね(苦笑)。
でもたしかにリアルタイムで読んでいた時には、そんなことまったく気づかなかったなあ。これはゆで先生の見せ方がうまい、ということなのですかね(笑)。
やはり気になるその生い立ち
彼のような機器超人を見て思うのは、やはりその生い立ちです。

生まれてきたときからあんなスタイルをしているのかな?

というか、どういう過程で生まれてきたのかな?
といったような、漠然とした疑問を思うと夜も眠れません(苦笑)。
先天的なのか、後天的なのか、もしくは物質だった機器に魂が宿ったのか。ホント、いろいろと想像が膨らんでしまいます。
個人的には機器の進化が起きたときに、彼らはどうするのだろう? という疑問も強いですね。機器の進化というのは日進月歩なわけじゃないですか。最新の機器でさえも、少ない年月ですぐに風化してしまうくらいの。
そう考えると、彼のような機器超人たちは、自分たちが常に“時代遅れ”となるリスクを背負って生きていることになります。これはかなりプレッシャーなんじゃないかな、と思いますね。
いうなれば、製造業における工場機器の運用に近い感じでしょうか。どこかでアップデートをしていかないと競争に勝てないし、そしてそれは永遠に続いていくという。
ですので、彼は彼なりに体のアップデートを繰り返しており、『キン肉星王位争奪編』の時代はたまたまあの姿、能力だったのかもしれません。実は『シーン・チェンジャー』なんかも

へへへ…これは先日導入したばかりの、最新機能なんだぜ…
なんてタイミングだったのかもしれませんね(笑)。
おわりに
というわけで、もしも彼が令和の今現在までアップデートを繰り返していたとしたら、その姿は…スマホだったのかもしれません。
となると、もうこの当時の面影はまるでなくなったフォルムになっていることが予想されます。つまり妙に薄くて平べったい形で闘うわけですよ。
そして多数のアプリを引っ提げて、さまざまな機能でキン肉マンを苦しめたのかもしれません。それこそ80年代とは比べ物にならないくらいの、反則級の技の目白押しで(笑)。
※今回はアクメ将軍さん、セントラルボーイさん、ミラーフェイスさん、ブラックバインドさん、もちもちさんほか、たくさんの方からリクエストをいただきました。ありがとうございました。
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コメント
アクション・ストップはさすがにチートだと思いますが、ズームアウトは元々超人って巨大化できたはずなんであんまし決定打にはなり得ないんじゃないですかね?
シーンチェンジャーは…まあ、他にも何らかの方法でリング上の風景変えるのいますからこれもさして問題ではないのかと。
たかPさん、こんにちは。
超人の巨大化と、飛行設定って、すごくグレーですよね。初期の怪獣退治時代の名残といいますか、これが現在でも公式の能力なのかどうかがイマイチ
よくわかりません。
ただ公式だとすると、ミスター・VTRのチート技同様に、大いに試合を白けさせてしまう危険な要素でありますね。
どうも卍です。
これまたマイナーな超人を抜擢しましたね。でも主人公と戦ったので私は
出番が多かったのが救いの超人という思いがあります。
能力的には確かにペンタゴンと並ぶチート超人ですが、どちらも決め技が
無いとも言えますね(ゲームではあるし、体勢ならフォーディメイション
キルへ移行していたが)
余談だが進化続けていればスマホになっていたかもとコメントされてます
が、これを見て仮面ライダーに登場した「テレビバエ」と、あるエロゲー
に登場した「スマホバエ」を思い出しました(笑)