『ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者』の思い出。

オレ流ゲームレビュー
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前後編に分かれたADV

 アドベンチャーゲーム(ADV)のシステムは昔から好きでした。

 基本的に静止画像とにらめっこしながら、そこかしこを調べてヒントを獲得し、ストーリーを進めていくことになるのですが、ゆっくりじっくりと考えられるプレイスタイルがしっくりきたんですよ。慌ただしくなくて。

 また、以前書いた『アドベンチャーゲームブック』の進め方にもノリが似ていて、取っ付きやすかったです。能動型紙芝居とでもいうんですかね。自分の考えで自由に話を進められるのが楽しかったです。

 もちろん“ゲームシナリオ”という見えない境界線の中をウロウロしているだけなので、制限の中での自由なんですけどね。

 そして任天堂がディスクシステム用に発売したADVアドベンチャーゲームが、この『ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者』です。

 このタイトルは前編と後編の2ディスクに分割されて発売され、そのことがとても印象深いタイトルでした。個人的には、ディスクを分割した効果として、以下の3つの点を挙げたいと思います。

  1. 大作イメージを演出できた
  2. 連載物のような連続性を演出できた
  3. やろうと思えば、いくらでも分割発売できる可能性が見えた

 ではそちらについて見てみましょう。

ディスク分割効果

大作イメージを演出できた

 ゲームが2本に分割されて発売される、なんてことは、おそらくファミコンでは初だったと思われます。

注)どうやら『ふぁみこんむかし話 新・鬼ヶ島(前後編)』の方が早いリリースだったようです(汗)

 もちろんデータ容量の物理的要因がそうさせたと思うのですが、受け取るこちら側に

すごい、これは大作だ

というイメージを植えつけるには、十分な演出となりました…結果的に演出になっちゃった、という方が正しいと表現だとは思いますが。

▲これが噂の2枚組ディスクゲームです

 ただそのことについては

ディスクシステムだからこそ、こんな芸当ができるんだ

さすがはディスクシステム

♪やればやるほどディスクシステム

といった感じで(笑)、ディスクシステムのブランド価値を上げることにもつながったと思います。

連載物のような連続性を演出できた

 前編と後編があるということは、当然前編の最後は“つづく”となるわけです。

 この辺が週刊連載マンガや、テレビドラマのような連続性を感じさせ、ゲームとしては斬新な演出となりました。

なんだよ、こんなにいいところで続くのかよ!

みたいな引きにすれば、後編の売上もカタいですよね(笑)。

 ユーザーも定期的な楽しみが増えるので、その間の辛いことに耐えられそうです(苦笑)。

やろうと思えば、いくらでも分割発売できる可能性が見えた

 上記のように、引きを毎回魅力的にすれば、このシステムで前編、後編といわず、永遠と続編を発売できるという可能性が見えました。

 実際にスクウェアは『聖剣伝説』をディスク5枚組で販売する計画をしていましたからね。

 このソフトは個人的にはすごく気になっていて、発売カレンダーを常にチェックしていたんですけど、見事に発売中止になってしまったようです(苦笑)。

▲もし現実になっていたら、こんな感じかな(笑)?

 どうやら

ディスクシステムでは企画が大きすぎた

という理由で発売中止となったらしいのですが、もし予定通り5部作完結していたら、ゲームのディアゴスティーニ(笑)となっていたのではないかと、ひそかに残念に思っています。

 ちなみに『聖剣伝説』はゲームボーイで無事にリリースされたようですね。その後続編がスーパーファミコンでも発売されています。

任天堂作品における異端児?

 ディスク分割だけで随分と盛り上がってしまいました(苦笑)。

 肝心の内容ですが、なかなかにシリアスで、随所に横溝正史感をにおわせるサスペンスに仕上がっていたと思います。明神村とか、戦国時代からの伝承とか、土葬習慣とか、いかにも金田一的なイメージですよね(笑)。

 シナリオも殺人、駆け落ち、旧家の遺産相続といった、なかなかにアダルトなテイストを放っており、ファミリーイメージが強くなっていた任天堂らしからぬ雰囲気をもったタイトルでした。

 ある意味任天堂作品においては異端児だったかもしれません。

▲あの任天堂が、ここまでの表現を!

 しかしながらプレイをしてみると、その暗さやどろどろした感じが、けっこうスリルがあっていい感じなんですよ。

 グラフィックは写実調ではないのですが、それでもしっかりと怖さを感じることができるんですよね。

 実際の話、今まで聞き込みをしていたキャラクターが、突然死体となって現れるのは、けっこうショックでしたから(苦笑)。トラウマになった小学生ゲーマーもいたんじゃないかな?

 でも続きが気になっちゃって、ついつい止め時を逸しちゃうんですよ(笑)。

▲何気に不気味な死体

 そんなシリアス志向ながらも、主人公を10代の少年探偵で設定している点は、コアユーザー層とのリンクを意識しており、少年マンガ的な設定ながらも、ユーザーの取っ付きやすさを増す要因となっています。

 もちろんリアリティという点においてはマイナスかもしれませんが、エンターテインメントとしてはこれでいいのかな、と思いましたね。

 他にも後半に3D視点の迷路があるなど、ゲームらしい演出を取り入れることで、テキストだけを読む単調な展開にならないよう、工夫が施されていました。結末もひねりがあってよかったですね。

▲ちょっと『ポートピア連続殺人事件』ぽいかな?

 話は変わるんですけど、前編のディスクに後編を書き換えちゃったという、おっちょこちょいな方はいたんですかね(笑)? いたらその時の感想を一言、ほしいなあ(笑)。

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