【キン肉マン522話感想】ロビン介入で善悪が逆転?ペシミマン躍進を決めた“読者の民意”

『キン肉マン』522話サムネイル。善悪反転と民意の揺れを象徴する構図。 今週のキン肉マン
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『キン肉マン』522話では、善玉と悪玉がリアルタイムで逆転するという、前代未聞の現象が発生。

ロビンマスクの介入はなぜ“無粋”に映るのか。
ペシミマンを“善”へとターンさせたのは誰なのか。
そして…この現象のすべての引き金は何だったのか。

SNS上でも確実にみられる善悪反転の変化――それは偶然なのか、仕込まれた演出なのか。

本記事では、522話に生じた読者による“善悪の民主化現象”について、独自の考察で読み解いていきます。

今週の注目ポイント

  • そのロビン、無粋につき
  • ロビン、陶酔のエゴイズム
  • ペシミマンの華麗なベビーターン
  • 民主的キャラ設定という摩訶不思議現象
  • なぜウォーズマンは敗北させられたのか
  • 神か伝説か? 驚異のゆでたまご式演出法
  • アシュラマンの切り札

この記事にはキン肉マン週プレ最新話522(2026年2月16日配信分)の感想が記載されています。つまりネタバレ確実なため、十分ご注意ください。
また、著作権保護の見地から
①Webサービス版
②紙媒体
等でオリジナルの作品を事前に読むことを強くお勧めいたします。

最新話はこちら↓のリンクから!!

キン肉マン公式サイト
最新情報や歴代「超人総選挙」結果もチェックできる!

今週のキン肉マン第522話「クレーターに降り立つ貴公子!!」感想と考察

前回までのあらすじ

宇宙崩壊を加速させていた元凶はときの神だった!

五大刻との一大決戦も、”1億パワー”を受け継いだ新たな時間超人”炎天えんてんこく“サラマンダーの出現により、アシュラマンとのエクストラマッチに発展!

炎で出来た腕を生やし自らも6本腕になったサラマンダー。炎の嵐と化した「紅蓮ぐれん地獄」でアシュラマンを巻き上げると、そのまま必殺の「サラマンダー ジェニュインテラー」を発動! 宣言通り、アシュラマンをマットにはいつくばらせた――!!

一方そのころ、パトムスキー・クレーターにロビンマスクが現れる! 敗れはしたが、ロビンマスクの自身の呪縛から解き放たれた闘いを見せてくれたウォーズマンに感動すると同時に、この覚醒を促してくれたペシミマンにも賛辞をおくる。お互い因縁がついたロビンマスク&ペシミマン、ここでもエクストラマッチが始まろうとしていた――!! 前回の感想は☞https://oreryu.site/kinnikuman15-108/

その男、無粋につき―ロビン介入が最悪たる理由

 シベリアの地に降り立ったロビンマスク。ザ・ワン軍の一員として宇宙の崩壊を食い止めるため、そして目の前で倒された愛弟子の仇を討つため、ペシミマンとの対決を高らかに宣言しました。

 しかし前回熱弁した通り、私個人としてはこの師匠の行動を“最悪のシナリオ”と位置づけています。その最大の理由は、私がウォーズマンとペシミマンのリマッチを切望しているからです。

 というのも、先のウォーズマンの“不遇極まりない敗戦”から我々ファンがカタルシスを得るには、

リマッチによるリベンジ、それ一択のみ!

だと思っているんですね。ですのでここでのロビンマスクの介入は、本当に無粋だと感じるんですよ。

“その男、無粋につき”を北野映画風にパロディ化。ロビンの無粋さを一発で伝える一枚。
▲今度北野武監督によって映画化されるそうです(苦笑)。

 彼が弟子のために良かれと思って行動すればするほど、今までのウォーズマンをどんどん否定してしまうんです。また、それは再びロビンが彼を呪縛することにもつながってしまう…それがもう耐えられなくて。

 ですので私が期待する展開は、

…だが私がお前と闘うことで、ウォーズマンは再び私の呪縛に囚われることになる

なのでペシミマン、もう一度わが弟子にチャンスをくれないか? 私がウォーズマンを鍛え直し、そして必ずお前から勝利できるようにしてやる

とロビンが身を引き、弟子のリマッチを交渉すること。その一縷いちるの望み、はたして成就するのか注目して読み進めました。

リマッチ希望の“理想未来”を描いたワクワク系イラスト。アキラの夢を視覚化。
▲これが私の切なる願いなんです。

ロビンが醸す無粋の根源―陶酔のエゴイズム

 ペシミマンの決闘状たるテンガロンハットを勢いよく投げ返したロビン。そしてそれをしっかりとキャッチするペシミマン。

 それを両者の合意となし、身につけていたマントを脱ぎ捨て、

トゥ!

と勢いよくロビンがリングイン。奇しくもそのマントは、ダウンしているウォーズマンに毛布をかけるかのごとく、その身に重なります。

 そしてヒーロー的キメポーズで着地したロビンは

怨敵“五大刻ごだいこく”のひとりではあるが、ウォーズマンの新境地を切り拓いてくれたペシミマン。お前には最大級の敬意をもって…

ぜひ手合わせを願いたい

と右拳を突き出し、グータッチを要求。さすがは仮面の貴公子、この闘いを可能な限り私怨や遺恨を削ぎ落したものにシフトしようと、大人の提案をします。

 しかし…この言動もまた、空気の読めない天然行為だと怒っちゃう人は多いんじゃないかな…? いや、前回からそうなんですけど、ロビンってやっぱり少しズレてますよね。

 彼の名誉のために書きますけど、彼はとても大人で立派です。

  • 弟子を倒した仇敵に対して激高せず冷静に対応
  • 弟子の成長を促したという点をきちんと評価
  • 滅ぼすべき敵に敬意を持つ
  • 遺恨試合ではなく手合わせという純粋な力比べを要望

このように、どこからどう見ても人間ができた、ひとかどの人物です。何一つ非難される点が見当たらないんです。そして私はそんなロビンが大好きです。大好きなんです。

 でも…それに不快感を持つ人は見抜いているんですよ。

あ、この人は自分に酔っているだけなんだな

って。おそらくロビンの思いは純粋なものでしょう。でもその根底には、

自分が理想とする姿をトレースして悦に入っている

面が多々あり、しかもそれに本人が気づいていないんですよ。

 つまり彼は“自分が主役の脚本を即興で作り、それに従って行動する”人種なんです。本人がそう思っていなくても、宝塚歌劇団の役者さんのように、芸術的に体が動いてしまうキャラなんです。

ロビンの“陶酔エゴイズム”を宝塚で可視化。文章の核心を視覚で補強。
▲彼の頭の中では宝塚歌劇団がリプレイされている?

 でも結果的にそれは相手を思いやっているようで、自分を一番思いやっているんです。そう、自分が大好きなんです、ロビンは。

 そしてそんな“ナチュラルなエゴイズム”を、ここまでの彼の言動から感じ取ってしまう人ほど、この闘いを“無粋”だと嫌悪してしまうのでしょうね、きっと。

 ちなみにこのロビンのエゴイズムについては、感想文仲間のたけGさんが熱く語られています。ロビンファンの方には耳が痛くなるような“毒”かもしれませんが(苦笑)、とても興味深いのでぜひご覧ください。

キン肉マン第521話「12本の腕の行方‼の巻」感想・2部構成。アシュラマンの受難と、招かざる客と。(毒成分強めのため注意)
12本の腕が交錯する勝敗の行方、アシュラマンは一体どうなるのか。一方で新たな試合の展開に、複雑な気持ちが交錯して、いったいどうなる?どうする?たけGマンの感想は一体どうなるのか!どーも、たけGです。●前回の振り返りと、いつもの注意事項。サラ...

善悪の逆転現象―ペシミマンのベビーターン

 ではこの紳士的なロビンからの要望に対し、ペシミマンはどう反応したのか。それは…とてもそれまでの“ニヒルで感情の起伏が少ない超人”とは思えないほどの、熱い怒りを伴った激情ともいえる反応でした。

 ロビンが差し出した右拳をバシィと払いのけると、

ハァ? 手合わせなんて生ぬるいこと言ってんじゃねぇよ!
今すぐにでも殺してやるぜーっ

と、まるで狂犬のようにロビンに怒声を浴びせるペシミマン。 そして横たわるウォーズマンをチラリと見るや

あそこで寝ている…アイツの代わりにお前をなぁ!

と、両拳を合わせてボキボキと関節を鳴らして凄む形相からは、彼の闘いが“ウォーズマンの尊厳を守るため”のものであることが、痛烈に伝わってきます。

 そこにはきっと、ロボ超人たる彼の

絶対に譲れない部分

があるのでしょう。そしてロビンは彼の倫理観の中に埋もれている地雷を、躊躇ちゅうちょなく踏みつけてしまったわけです。

 ただですね~、地雷を踏んだロビンの“地雷対処法”がまたすごいんですわ。彼はいきり立つペシミマンにまるで怯むことなく近寄ると、

面白い

と、静かなトーンで力強く言い放ち、真っ向対峙したんです。つまり地雷を避けるどころか、2つめ3つめと探し当てては、ガシガシとそれを踏みつけながら歩いたんですよ。

ロビンの“地雷踏み抜きムーブ”を表現。読者の笑いと理解が同時に起きることを狙った一枚。
▲あえてすべての地雷を踏む貴公子。

 この決して引かない“フェイス・オフ”からも、ロビンという超人が“脅しには屈さない”高い精神力を持つ超人であり、それどころか脅してきた相手を凌駕する“上からのスタンス”で、相手からマウントを奪おうとする胆力の持ち主であることがわかります。

 そんな彼の“上からロビン”言動について私は、『バベルの塔編』から顕著にあらわれてきた特徴だと感じています。自分に対する絶対の自信というか、傍若無人ぼうじゃくぶじんな側面が強くなってきているんですよね。かつての完璧超人的といいましょうか。

 そしてそれは確実に相手の神経を逆なでするんですよ。このロビンのリアクションを眼前で見たペシミマンには、おそらく

いけしゃあしゃあとこの野郎…!!!

と、その怒りの炎にさらなる薪がくべられたでしょうし、ロビンを無粋と感じる読者もまた、彼に感じていた嫌悪感をさらに増したことでしょう。

 そしてその結果…悪玉であるはずのペシミマンを支持する層が激増するという怪現象が発生することとなり、期せずして彼は善玉への華麗な転身・ベビーターンをはたすという、作品内においても異例の状況を生み出すことになるのです。

 しかもウォーズマンの“かたき討ち”をする役割は、間違いなくロビンマスクのものであったはずなのに、今現在の状況を俯瞰ふかんすると、ペシミマンがそれを行う構図に完全に入れ替わっちゃってるんですよね。もう摩訶不思議まかふしぎです(苦笑)。

ペシミマンとロビンの善悪ステイタス逆転現象を、陰陽マークを利用して表現した一枚。今回のテーマを視覚で一発表現。
▲善玉と悪玉が入れ替わる逆転現象?

キャラ設定の民主化―ペシミマンのターンを決めた“民意”

 ではこの両者の珍しい“逆転現象”を、もう少し考察してみましょう。

 まずペシミマンですが、彼はもう完全にウォーズマンを仲間だと認定していますよね。いや、すでに“親友”の域に達している可能性すらあります。でないと

殺してやるぜーっ

なんて物騒なことを口にするほど怒らないですよ。

 そして彼が発した“魂のいきどおり”は、多くの共感を呼んだに違いありません。彼の叫びを聞いて

よう言った!

100%同意するぜ!

と、拍手喝采した方も多かったと思うんです。

 かくいう私も、彼にかなりほだされた口です。おそらくですけど、彼の噓偽りのない“小細工なしの激情”が、人々の心を打ったのでしょう。だから彼はベビーフェース認定されたのだと思います。

 それに対してロビンは思慮の深くも“プライドの高い理性”で対応しました。しかしそれが鼻についた。エゴイズムが透けて見えた。だからこそ支持を失い、一部でヒール認定されてしまったのではないでしょうか。

 対立構造はシンプルなんですよ。ペシミマンが子どもでロビンが大人なんです。『ぼくらの七日間戦争』じゃないですけど、権威を振りかざす大人(ロビン)に対して、それに異を唱える純粋な子ども(ペシミマン)の対立構造なんです。

 そんなペシミマンの、親友の尊厳を回復しようとする“ジュブナイル的反骨心”に読者…特にウォーズマンファンがこぞって共感したものだから、このような怪現象が起きたんだと思うんですよね。

“ジュブナイル構造”を『ぼくらの七日間戦争』のパロディで視覚化。ペシミマンの純粋性が一瞬で伝わる。
▲『ぼくらの七日間戦争』ならぬ『ペシミの代理戦争』?

 そしてこの現象のすごいところは、ストーリーの進行途中でシームレスに逆転現象が起きたことなんです。

 何が言いたいのかというと、今までも『キン肉マン』という作品では、

  • ウォーズマン
  • バッファローマン
  • ネプチューンマン

と、数多くのキャラのベビーターンがありました。ただそれらはすべて

新たなシリーズが始まってからターンした

という特徴があるんです。つまりそこには“キャラの属性変化は新展開を機に行う”という不文律が存在していたんですね。シームレスではなく、必ず区切りがあったんです。

過去のベビーターンを一覧化し、今回の“異例性”を補強する資料イラスト。
▲全員新シリーズから善玉転換しています。

 しかし今回のペシミマンのベビーターンはそうではなく、物語の進行中に起きたという、レア中のレアパターンなんですよ。だからすごいんです。

 もっと言えば、このターンは非常に“民主的”なんです。この現象は作者であるゆで先生が

はい、ここからペシミマンは善玉になりま~す

と一方的(≒独裁的)に描いたものではなく、ファンが勝手に“善悪総選挙”を急遽開催し、その投票結果をもってキャラをベビーターン、もしくはヒールターンさせたという現象なんですよ。

 ですので、それはファンの総意…いや、もっと選挙チック言うのであれば、民意から発生したという点で、とても民主的な奥深さを持つに至っているんです。

 そしてそれこそが、今回の逆転現象に対して我々読者が感じた“摩訶不思議さ”を作り出した原因のひとつなんじゃないのかな、なんて感じるんですよ。

 だってそんなマンガ、他にあります? 物語の途中で、読者が民意で勝手に悪玉キャラと善玉キャラを入れ替え認定しちゃうなんて…。

 もうね、フィクションの範疇はんちゅうを超えているんですよ。ファンがリアルな感情をもって、キャラのステイタスをシームレスに操作しちゃってるんです。完全に作品が“双方向化”しているんですよ。

民意のテーマを“選挙”で表現した構図。ペシミマンとロビンのマニュフェストを真剣に見て、どちらに投票するか悩む女性ファン。
▲二人のマニフェスト対決。あなたならどっちに投票する?

神か伝説か―ゆでたまご演出の恐ろしさ

 そんな考察をしているうちに、私はもっと恐ろしいことを考えついてしまいました。かなり妄想が入っていることは重々自覚した上で、ちょっと語らせてください。

 私が恐ろしいと思ったのは、前述した“キャラ設定の民主化”を、

実はゆで先生が狙って誘導していたとしたら!?

ということなんですよ。そう、この普通のマンガ作品ではあり得ない双方向現象を、ゆで先生があえて起こそうと計画的にストーリーテリングしていた場合なんです。

 もしそれが真実だとしたら、これはもう天才という次元を遥かに超越した、神の領域ですよ。

 だってゆで先生は、読者の感情の揺れ動きから総選挙が自然発生するように下準備をし、民意によるキャラ転換という双方向的で摩訶不思議な読書体験を、読者に提供したわけですからね。

 そして私が考える、ゆで先生が取った演出の道筋は以下の通りです。

  1. 全身全霊をかけて闘ったウォーズマンをあえて敗北させることで、理不尽という不満を読者に植え付けた
  2. ペシミマンがウォーズマンに感化されることで、理不尽な不満をペシミマンが受け継いだ
  3. それによりニヒルキャラであるはずのペシミマンが、少年のような激情というギャップ表現を持つことに対する強い説得力を与えた
ゆで先生の“神演出仮説”を視覚で整理。読者の理解が一気に深まる。
  1. そのペシミマンの激情に火を点けるために、ロビンにあえて大人のKY言動をとらせ、ファンもろとも挑発した
  2. その結果、純粋少年vs権威大人という対立構造が際立ち、怒りの臨界点を超えたファンによる“リアルタイム善悪転換総選挙”が見事達成された
  3. この双方向的演出により、読者は通常以上の感情移入やカタルシスを得る結果となった
上記“神演出仮説”の視覚化整理の続き。

 どうですか。あまりにもスケールが大きく、かつ深淵なる演出技法だと思いませんか? これが正しいとすると、我々はかなりの前段階から“マンガ界初の演出法”ともいえる、ゆで先生がこさえたレールに乗っていたのです。

 そう思うと、前回のペシミマンがタバコに火を点けるという演出は、実はフェーズ4に移るための合図だったようにすら思えてくるんですよ。だってこれを境にタバコだけでなく、ペシミマンの怒りに見事に火が点いたんですから。

ペシミマンの“ハードボイルド性”を最大化したイラスト。今回の象徴。
▲この渋いタバコタイムが合図だったのか…?

 しかもこの演出をスタートさせるには

ウォーズマンの敗北

という絶対条件が必須なんです。宇宙の誕生に起点たるビッグバンがあったように、この演出には起点たる“ウォーズマンの敗北”なくしては成立し得ないんですよ。そう考えると、

なぜウォーズマンが負けなければならなかったのか

という理不尽極まりない物語における、圧倒的説得力を持つに至るのではないかと、私は思ってしまいました。

 もちろん嫌ですよ? いくら画期的演出実現のためとはいえ、ウォーズマンを敗北させるなんて…ウォーズマンファンの私としては到底受け入れ難いです。どんな理由があろうとも、ウォーズマンには公式リザルトで勝利を刻んでほしいし、それこそが我々ファンがカタルシスを得る唯一の方法なのは間違いないのですからね。

 しかしながら今回の摩訶不思議な逆転現象が、“彼の敗北ありき”で起きたことは事実です。ですので、仮にこの現象が本当にゆで先生の“意図的演出”であるならば、彼の敗北が“栄誉ある起点”になったと、彼を誇らしく称えようと思います。

 だって…ウォーズマンは、あの“ビッグバン”と同等の存在なんですから。すべての原点ですよ。すごいぞ、ウォーズマン(笑)。

“敗北=起点”という構造を宇宙的スケールで描いた一枚。ウォーズマンがすべての起点であることを表現る。
▲超人界のビッグバンことウォーズマン(笑)。

 …とまあ、いろいろ妄想しましたが、今回の現象が偶然の産物であったとしても、こんなレアな現象を生んだのだから、伝説的演出であることに違いはないと思うんですよね。つまり今回の件でゆで先生は

  • 意図してやったなら神の演出
  • 意図してないなら伝説の演出

と、どちらに転んでも

称賛しかない!

という評価を確立したわけです。いや~、すごいですよね、もう。

 そしてこうなると、彼ら二人のヒートアップはもう制御不能でしょう。つまりそれは私の一縷いちるの望みであった

ロビンが引いてリマッチへ

という可能性が、きれいさっぱり消え去ったことを意味するわけです。

 う~ん、やはり素人の浅はかな願望なんて、そうそう実現するもんじゃないんですなあ(泣)。

バカさ加減からのひらめき―アシュラはっちゃく爆誕

 すると場面は再びスリランカのアシュラマンvsサラマンダーへ。ペシミマンvsロビンはしばしお預けのようです。

 ただこっちもねえ、アシュラマンが大技を食らい、絶体絶命でしたからね。気になるその後が描かれてありがたいです。

 リングで大の字になったアシュラマンには、ダウンカウントが唱えられます。刻々と進む敗北へのカウントダウン。しかしサラマンダーは、お行儀よくそれを待つことはしませんでした。

貴様はいい役目を果たしてくれた。我ら“神の資格者ゴッズパワーズ”の恐ろしさを万人によーく伝える…見せしめとしてなあーっ!

と、称賛という皮をかぶった皮肉を高らかに叫ぶと、天高くジャンプ。

 そしてそのまま空中でエビ反って自身を球体にすると、尻尾を発射口として火炎放射する『サラマンダーキャノンファイヤー』を浴びせます。これによってダウンしながら体を焼かれるという地獄絵図を、強制的に描かされるアシュラマン。

 いや、これは容赦ないな。ただでさえ『サラマンダー ジェニュインテラー』がKO必至の破壊力なのに、そのあとに火あぶりって…このサラマンダーという超人、慈悲という回路が完全に欠如しています。まさにキン肉マン版の

汚物は消毒だーっ!

状態ですよ。見ていて本当に痛々しいです。

サラマンダーの火炎放射を、北斗の拳の“汚物は消毒だ”でパロディ化。文章の勢いを視覚で補強。
▲ヒャッハーッ(笑)!

 そしてそれを食らうアシュラマンも

いかん、技のダメージもあるが、火傷の影響で腕や脚に十分な力が入らん…

ここまで全身あらゆるところを焼きつくされては…

と、八方ふさがりを自覚するかのような、弱々しい言葉を口にします。いや、ここは“この時点で彼にまだ意識があったこと”を褒める方が先でしょうか。意識があれば、まだ望みはつながりますからね。

 そして実際、アシュラマンは身悶みもだえしながらも、

全身!? いや、全身じゃない! 火傷の損傷を一切負っていない部分がある。それは…!

と、唯一ダメージを負っていない箇所に気づき、

カカカーッ、そうか、最初からこうすれば良かったんだ。我ながらなんともマヌケな闘い方をしていたものだ

とニヤリと笑みを浮かべます。おそらく確固たる打開策がひらめいたのでしょう。

 しかしそんなことはつゆ知らず、自嘲するアシュラマンに対して

どうした魔界の王子プリンスとやらァ、あまりの情けなさにとうとう気でも触れたのかーっ?

と、下品極まりない憎まれ口を叩くサラマンダー。この自分の野卑やひなキャラを崩さない姿勢、逆にお見事です(苦笑)。

 このサラマンダーからの挑発に対し、アシュラマンは言い返すわけでもなく、

ああ、情けないことこの上ない。
お前など最初から私の敵ではなかったのだ

そこに気付かずここまで闘い続けていた、己のバカさ加減が時々嫌になる

と、あくまで闘いにおける己の不手際に自己嫌悪するんですね。これはもう完全に『あばれはっちゃく』における父ちゃんの名言

てめぇの馬鹿さ加減にはなぁ、父ちゃん情けなくて涙が出てくらぁ!

状態です(笑)。もうね、セルフで父ちゃんを演じちゃってるんです、アシュラマンは。

 そしてこの瞬間、新番組『アシュラはっちゃく』が爆誕です(笑)。土曜夜7時半からのひらめき課題解決カタルシス、再び!

“アシュラはっちゃく”を視覚化。今回のアシュラマンのひらめきや自己嫌悪を『あばれはっちゃく』のパロディで表現。
▲父ちゃん情けなくて…からのひらめいた(笑)!

 そしてあばれはっちゃくにノスタルジーを感じてしまった方は、ぜひこちら↓から昭和ノスタルジーに浸ってください。

超回復と安全地帯―アシュラマンの勝ちフラグ?

 ではアシュラマンが自己嫌悪するほどの盲点、さらにはサラマンダーなど敵ではないと言い切る秘策とは何なのか。それは…

私にはこれがあったのだからな。阿修羅面…冷血!

でした。笑い面、怒り面と続き、最後の残された冷血面。このモードが彼の打開策だったんですね。

 その言葉通り、彼が冷血面にチェンジした途端に、全身の火傷がみるみる回復。今までのダメージを完全に払拭ふっしょくした時点で

カカカ、もういいだろう

冷血面の凍える血を全身に流すことで、火傷の痛みはすっかり消え去った!

と意気揚々と叫び、次回に続く、です。

 いや~普段はさほど日の目を見ない“冷血面”ですが、ここで一気に注目のモードとなりましたね。実はコメントやX上で、

現状打開のキーは冷血面では?

という意見が多く、この展開を見て皆さんさすがやな、どこかの予想全外し感想文書きとは違うなと、感心しているところです(苦笑)。

 そして火傷に対するカウンターとして、すごくわかりやすいですよね、冷血面。もちろん本来の意味では“冷血=冷気”とはならないのですが、イメージ優先で納得感を表現する

キン肉マン構文

においては、十分通用するカウンター表現だと思います。

 そして面白いのは、今までダメージを無効にする“超回復”能力は、サラマンダーたち時間超人の専売特許だったのに、今回はそれを“冷気”という限定手法ながらも、悪魔超人であるアシュラマンが利用した点でしょうか。

 おそらくですが、この機転によってアシュラマンのダメージはほぼゼロ、つまりリセットされたと推察されます。要は“試合は仕切り直しになった”ってことなんですよ。

 普段は敵の理不尽な回復能力で試合が振り出しに戻るシーンにおいて、大きなストレスを感じていた我々読者ですが、今回ばかりは拍手喝采ですね。水野晴郎さんチックに言うと

いやぁ、超回復って、応援する方が使うと本当に気持ちがいいものなんですね

という感じでしょうか…って古いか(笑)。

 でもゆで先生としては、今までイマイチ描写が弱かった冷血面を、今回の闘いで華々しくブレイクさせてあげようとしているのかもしれませんね。

超回復の爽快感を“水野晴郎”の名フレーズで表現。読者の脳内で声が再生されることを狙った一枚。
▲水野晴郎さんのキメゼリフです。

 さらにこの展開における注目点は、アシュラマンの“勝ちフラグ”らしき発言が見られたことです。具体的には

お前など最初から私の敵ではなかったのだ

というセリフですね。これは解釈のしようによっては、

攻略法さえ間違えなければ楽勝

という宣言にも聞こえるんですよ。

 イメージ的にはシューティングゲームのボス戦における安全地帯の発見、みたいな感じでしょうか。それが見つかるまでは

こんな敵弾の雨あられ、避けられっこない!

と匙を投げていたのに、安全地帯を見つけた瞬間

お前などオレ様の敵ではない

と、コントローラーを片手に、ポテチを食べながら攻略したあの時の我々ですよ(笑)。

シューティングゲームの“安全地帯”比喩をそのまま視覚化。文章の理解度を補足する一枚。
▲安全地帯さえ知れば楽勝だゼ(笑)!

 そんなね、ある意味現金な試合展開が、すでにアシュラマンには見えているのかもしれません。そしてぜひともそのままシングルマッチ初勝利を手にしてほしいですね。

第522話感想とまとめ

 以上、今回の感想と考察をまとめると

  • ロビンの介入は無粋そのもの
  • ナチュラルエゴイスト・ロビンマスク
  • シームレスな属性逆転というすごさ
  • 読者の民意がキャラ設定を覆す双方向演出
  • ウォーズマンはすべての起点・ビッグバン
  • 神にも伝説にも転がる恐るべき演出法
  • アシュラマンはアシュラはっちゃく(笑)?
  • アシュラマンに勝ちフラグが立つ?

といったところでしょうか。

 そして今回は惜しくもピックアップできなかったポイントが、まだまだあります。それらについては一言雑感ですが、次の項をご参照ください!

第522話の小ネタ感想―気になったシーンピックアップ

 その他気になった点は

  • あごひげのある海坊主っぽくも見える、帽子を取ったペシミマン(苦笑)。
  • マントがウォーズマンの顔にかかっちゃってたら、縁起でもない事態が(苦笑)。
  • ペシミマンが案外激情家だったのには驚きました。
  • 黒目がないのに目で演技ができる男・ペシミマン。
  • 二人のフェイス・オフは、ロビンvsランペイジマンを思い出す。
  • そういやロビンのマントはランペイジマンのお下がりだったね。
  • 『サラマンダーキャノンファイヤー』のポーズは、『ゲームセンターあらし』の“水魚のポーズ”から影響を受けたのかな(笑)?
  • 怒り面のニヤリ顔はレア。怒ってんだか笑ってんだか(笑)。
  • ヒュオオオ~ッ、ヒョオオ~ッ…ごめん、ちょっと笑っちゃった(笑)。
  • 好きだなあ、鳩が豆鉄砲を食ったようなサラマンダーの表情…。
  • 昔は冷血面、ハニワみたいな表情だったのに…カッコよくなってきてるなあ。

 こんなところでしょうか。次回は冷血面のアシュラマンよる、怒涛の反撃ターンですかね。一気に形勢を逆転してほしいです。そして夢のシングルマッチ初勝利へ…!

 みなさんも今回感じたことやその後の展開予想などを、よかったらXやコメント欄に書いてくださいね!

お知らせ

超人批評のご案内

 超人批評の最新作をご紹介します。今回は記念すべき超人批評100回突破シリーズとして、第1回の批評超人でピックアップしたウォーズマンの再批評を数回に分けてアップ。

 そしてとうとう今回、ウォーズマン再批評が最終回を迎えました。今回は

ウォーズマンとは何者なのか

という、彼のアイデンティティの最深層に迫っていきます。

 はたしてウォーズマンというキャラの根幹は何なのか。それについて、多くの事例と資料をふまえ、深々と考察をいたしました。

 そしてありがたいことに、この批評は嶋田先生からも

深い考察ありがとう。
作者が涙してしまいました

という、ありがたいメッセージをいただいております。ご興味わいた方は、ぜひご一読くださいませ。

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コメント

  1. ケン山形 より:

    アキラさん、いつも楽しく拝見しています。私の今後の予想ですが、阿修羅バスターで決めてくると予想します。冷血面で氷で固めて落下。その刹那、サラマンダーがバラバラになってしまうので、いかん、着地寸前で三面がパリーン! 炎で氷が少し溶けて なんとアシュラマン第4の顔「涙面」 慈悲の阿修羅バスター!
    で情けをかけ、なぜ俺をバラバラにしなかった? クモの化身として、トカゲとは分かり合える、なーんてロマンティック展開。を予想します。

  2. Xn より:

    はじめまして。
    五大刻のとの戦いが始まった頃から、楽しく拝読いたしております。

    私は、小学生の頃からロビンマスクが大好きでしたが、
    「ペシミマンの中にせっかく芽生えたものを昇華させられるのは、やはり、ウォーズマンしかいない!だから、この二人は再戦すべきだ!!」
    と思っておりましたので、今回のロビンの言動には、
    困惑と共に腹立たしさをも感じました。

    しかしながら、こうも思いました。
    「もしかしてロビン、ペシミマンをわざと怒らせようとしてる?煽ってる?」
    と。
    ペシミマンがウォーズマンに対して深い友情を感じているのはもはや明白ですが、
    ロビンは、その感情を意図的に逆撫でし、自らに対して怒りを向けさせることで、
    ペシミマンに、「友情パワー及び火事場のクソ力」を身に着けさせよう(自発的に昇華させよう)としているのではないかなと。
    さらに言えば、ロビンはそれをウォーズマンへの最後の手向けとして、
    文字通り、「命がけ」即ち、死ぬ覚悟で行おうとしているのではないかとも思えます。

    私も、漫画やアニメの展開予想が当たったことがほとんどありませんので、
    「一個人の私的意見」として軽く読み飛ばしていただくと幸いです。

    以上です。

    追伸:
    何年先になるかわかりませんが、ペシミマンがアニメに出るときは、
    ぜひとも、爆笑問題の太田光さんに演じていただきたいです。

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