バベルの塔の最初の試練を見事突破したキン肉マンたち。だが超神たちは、それぞれの思惑を持つ混成集団にすぎず、超人に試練を課す真の目的は『新たな神の創造』だという衝撃の事実を告げられー⁉
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“数”の妙
“なぜ神は超人を創ったか”という理由に対し、“新たな神を創るため”という衝撃発言をしたエクスキューショナー。
そしてその発言についてネプチューンマンが

なぜ神はわざわざ新たな神を生み出す必要があった? そもそも神の狙いは何だったんだ?
と、ド直球な質問です。いいぞ、ネプ(笑)。
それに対してエクスキューショナーは即答はせず、まず別角度からの事実確認をリアル・ディールズに求めます。それはカピラリアの欠片の総数についてです。
カピラリアの欠片の総数108片というのは、つまりは神の総数となるわけです。
ここで…矛盾に気づくわけですよ。前作『キン肉マン』における神の総数105と、今回の神の総数108に差があることに。
たしかこれ…当時その矛盾をすでに突いていた読者の方がいましたよね。ログをあさってみたのですが、私ではなかったです(苦笑)。
ただ何かしらのきっかけでコミックスを読み直し、

…あれ? やっぱり数が違うな? いつものゆで先生のいい加減さかな?
なんて思った記憶がある(笑)ので、この数の違いというのは、心のどこかに引っかかっていたのは確かなんですよ。
そしてなんとその108という数と、それに満たない105(もしくは106)という数の差が、今回の話では大きな意味合いを持つんですね。
まず今回の108という数について、エクスキューショナーは

108とはそもそも神の数ではない。神の席の数なのだ。
という、思いもよらない事実を告げます。
なるほど…あくまで108というのは、神の枠数なのね。これはうまいこと設定したなあ。
と短絡的に結論づける思い込みの裏を突いた設定なわけですよ。
ごめんさい、私この時点でかなり目から鱗というか、この設定の素晴らしさにショックを受けてしまいました(苦笑)。
ああ~、もう大人になって、考え方が凝り固まったんだなあと、己の浅はかさを恥じる思いですよ。いや~うまい。この設定はうまい。
“完全”の妙
そしてエクスキューショナーは次の回答ステップに進みます。それが

実際のところ、認められた神の数は最大で107であり、108に到達することはなかった
という、“神は慢性的に定員不足であった”という事実です。でもって

…これの…何が悪いの?
という凡人読者(笑)の疑問に対する答えが、当時慈悲の神であったザ・マンの

この欠員を埋められないのは、我々がまだ不完全であることの証だ
という発言です。そして前回の引きである

神は…新たな神を創らんと欲し、超人という種を生み出したのだ……
というエクスキューショナーの問題発言は、なんとザ・マンの

新たな神が現れぬなら、神は…この手で創る!
という提案が発端でした。これを見て

結局言い出しっぺはマンちゃんかいっ!!
と、ズッコケそうになりましたよ(苦笑)。
衝撃の二人
この提案に他の神々が乗っかって試行錯誤したのち、出現したのが“超人”だったそうです。そしてこのとき我々は…1ミリたりとも想像しなかった構図を、ゆで先生によって見せられることになります。
それは…赤ん坊のゴールドマンとシルバーマン! この絵面、ここ最近見た絵で一番インパクトがあるかもしれません(苦笑)。
まさかあの将軍サマの新生児カットが見られるとは…なにかこう、不意打ちで背中を蹴とばされたくらいの衝撃がありました。
このエクスキューショナーの回顧録を見る限り、完璧超人始祖の壱式、弐式兄弟が、超人のアダムとイヴに相当するように思えます。
そしてゴールドマンとシルバーマンを創ったのも…ザ・マンに見えます。もしそれが事実ならば、先の大戦でザ・マンがゴールドマンに敗れたというのは、我々が思っていた以上にエグい意味合いを持っていた、ということが、あらためてわかります。
まあそれについてはまだ私の想像の範疇なのですが、ザ・マンがゴールドマンに敗れた事実については、神々の世界においては衝撃だったようです。エクスキューショナーも

あろうことか、ザ・マンがその超人に敗れた!
と、そこを大きく強調しています。相当物議を醸したようですよ、これが。
仰天の殲滅理論
この事件でザワついた神々は
- 今こそ超人を空席の神の椅子に据えるべき
- いや、危険だからやはり殲滅すべき
- サタンの方が超人よりまし
というように意見が分かれ、ここでそのザワつきを収めたのが調和の神だったそうです。
その調和の神が出した提案は

ザ・マンの罪を裁くべく、超人の大粛清を行う! 同志はきたれ!
という超人殲滅論でした。

…なんでそっち方向に行っちゃうの!
という穏健派の神々と、我々読者のツッコミに対する調和の神の意見が…また仰天なんですわ。

ザ・マンは…椅子に座るべき候補を作りすぎた!!
という、まさかの
理論です。この持っていき方というか、難癖の付け方にはびっくらこきました(苦笑)。
いや、呆れたというわけではないんですよ。こちらの展開も目から鱗で、その“してやられた感”で感動したのが正直なところです。
いや~今回のゆで先生は、1話で2回も予想のナナメ上をいってきましたよ?
なるほどね~、超人から神に昇格するのは、欠員の2名だけでいいンだわ、という理論ね~。それなのに地上には
- キン肉マン
- ゴールドマン
- オメガマン・アリステラ
を筆頭に、超神に勝ったプリズマン、マンモスマン、フェニックス、ビッグボディ、ジェロニモと、そのポテンシャルがある個体がわんさか出てきちゃった。
ここでビッグボディとジェロニモをサラリとカテゴライズできる現実に、自分自身書いていてちょっと驚きを隠せません(苦笑)。中学時代のオレ、びっくりするぞ、これ(笑)。
ま、それは置いといて、そういった状況を鑑みた上での

だから“間引き”を行う
という理屈なんですね~。いやはや、恐れ入りました。
そして私はゆで先生に謝らなければなりません。

…あれ? やっぱり数が違うな? いつものゆで先生のいい加減さかな?
この発言についてです。ゆで先生、あなたは“いい加減”ではありませんでした。大変失礼いたしました(笑)。
気になる2点
ただエクスキューショナーが語る歴史を見るに、気になることが2つほどあるんですよ。
①ザ・マンの思想矛盾問題の件
まず一つ目は、 ザ・マンの思想矛盾問題 です。
空席の神を超人から創り出すことを提案した張本人がザ・マンであるならば、先の大戦で彼がキン肉スグルを危険分子だとみなし、排除しようとした行動が説明できないんですよ。
だってねぇ、神に近づく能力を持った超人が現れるというのは、言い出しっぺであるザ・マンの本意なわけじゃないですか。
しかし彼はそれを危険分子とみなしたわけです…意味がわかりません(苦笑)。
その矛盾については悪魔将軍も指摘していましたが、その矛盾こそがザ・マンの変節と理解するべきなのでしょうかね。それが完璧超人始祖の空中分解を生んだと。
また、以下のような考え方もあったかもしれません。

超人から神が生まれるのは本意である

しかし下等な超人からそれが生まれるのは危険である
という理屈です。
つまりどんなに戦闘的ポテンシャルがあろうとも、神としての品格、思想、管理指導能力等が高度に備わっていないと、それは危険分子である、という考え方です。
要は横綱への昇進資格みたいなものですよね。心身ともに高度に成熟していないとダメ、という。それを無視して昇格させると、北尾みたいになっちゃうよと(苦笑)。
まあ北尾にも言い分はたくさんあると思うので、ここで悪い例としてあげるのは申し訳ないですけどね。世間的な認知イメージだと一番わかりやすくしっくりくる例なので…申し訳ないですが。
ただそういう懸念をザ・マンが持ったということは考えられますよね。ザ・マン弁護になっちゃうけど。
②“神超え”でザワつくのが遅すぎる件
二つ目は、超人の神超えに対して、天上界がザワつくのが遅すぎない? という件です。
エクスキューショナーの話によれば、ゴールドマンがザ・マンを破って初めて神々はザワついたとのことですが、それ以前にも神超えに等しい事例はあったわけですよ。
マリポーサを破ったロビンマスク、ゼブラとフェニックスを破ったスグルと、邪悪5神を破った時にはいうほどザワついていないんです。
それこそ最後の最後で神々をうっちゃったテリーマン、ウルフマン、ジェシー・メイビアなんて、視野にも入っていない感じです(笑)。
言ってみたら、“神に近い存在であるネプチューン・キングを倒したキン肉スグルは危険だ”と判断した邪悪5神の方が、よっぽど危機管理意識が高いくらいです(苦笑)。
それともあれかな、やはり神々にも序列があって、ザ・マンはその最上位に位置していたということなのかな。

負けた言うても、邪悪5神でしょ…?
的な扱いだったら、ちょっと邪悪5神、かわいそうすぎますね(笑)。
とまあ、こんな感じで多少引っかかる部分はあるのですが、今回の展開は総じて“してやられた!”感の強い、素晴らしいストーリーテリングだったと思います。
そしてこの後、調和の神がどんな持論を追加するのか。とても楽しみですね。
その他気になった点
その他気になった点は
- エクスキューショナーの指を天に向ける“サブゥーポーズ”は、なかなか印象深いです。
- 知らない方はぜひググってみてください。
- 明らかにロビンより多いウォーズマンのセリフ数。リーダー交代の成果か?
- “神”と漢字で記載された椅子。シンプルデザイン(笑)。
- 着席時、左足を組むのが神の作法なのでしょうか(笑)。
- 褐色肌がデフォルトとなった邪悪5神。
- モブキャラ神たちは、とても強そうには見えない。
- というか、爺さんとオッサンばかり(苦笑)。
- プロトタイプの赤ん坊が怖すぎる(笑)。
- この不採用となった赤ん坊が独自進化して、次の敵になっても面白いかも。
- 何度も言いますが、金銀兄弟の赤ん坊姿は衝撃的。
- 『神威の断頭台』の一枚絵は、芸術品といってよいくらいカッコいい。
- “サタンの方がマシ”とは、どういう了見か(苦笑)。
- 慈悲の神を敬愛はしているんだ、調和の神は。
- 勝ったのに影が薄いジェロニモ。
こんなところですかねえ。


コメント
超人を超神が作った設定は面白かったですね。
創造主が違うから超人に人型・動物型・物型と色々な種類が存在することに納得できる感じがしたので。
いやあ、ホントに衝撃の事実の大連発で、昨今のキン肉マンでは屈指のインパクトのある回でした。
ザ・マンの神昇進資格=横綱昇進の例え、絶妙で凄く分かりやすかったですww
正直、超神編は面白いけど完璧始祖編ほどではないな…と思ってましたが、俄然面白くなってきました。
天界の各陣営の思惑に、地上の超人たちが色々な形で巻き込まれている壮大なストーリーだったんですね。
次回も凄く楽しみです。
あと確かに、神威の断頭台の一枚絵、ゆで先生の画力が天元突破してますw
近年まれにみる衝撃回でしたね
しかし個人的には神の椅子が気になりますね
これ神自身が用意したとすれば最初の数の106になるはずですから
神の椅子はあらかじめ用意されていた、ということになりませんかね?
ということは、神を作った存在があるって事にもなりませんかね?
エクスさんも認められたとか言ってるしザ・マンも現れぬと言ってるんで
神より高位な存在がいるのは確実なのでは
もしや新シリーズの布石?
赤ん坊の銀さんの顔にめっちゃ吹き出しました(笑)
金さんはまだそこまでなのに、銀さんの場合表情のせいでインパクトの強いこと強いことw
気になられていた2点目については、やはりそれだけメガネの神を筆頭にした邪悪神たちが有能(裏を返すと天界にいる神が極端に言うと無能)であるという証左でしょうね。
まあ、「中枢から追い出された邪悪神のことなんぞ気にする価値もない」っていうのが天界の神々の大多数の認識だったのかもしれませんが(苦笑)
グロロの大将ほどの人望が多分彼らには無くて、それが余計に反応のギャップを助長したのかも(汗)
個人的にそれ以上に気になったのは、ビグボの前に姿を現した時に「両者共存の道は最早なし!」って超神サイドは発言してるんですよね。
なのに、天界に有力な超人連れてって神に据えるっていうのは…なんか違うのでは?って思いますねぇ。
なんかよう分からなくなってきた(苦笑)