今週のキン肉マン特別読切-テリー・ザ・キッドの夜明け(後編)

今週のキン肉マン
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 ザ・魔雲天の息子・暴留渓ボルケーノからの果たし状を受け取ったものの、自分が勝てるのかと不安に駆られるキッド。指定された決戦の地は、テキサス・アマリロに存在する大渓谷である“パロ・デュロ・キャニオン”。この渓谷の空中に浮かぶように張られたリングで、二人は対峙します。

 リング上で暴留渓は「ブァホブァホ、よく逃げずにここへやってきたな? それだけはほめてやるぜ、テリー・ザ・キッド。フヌケテリーマンの息子と見くびっていたが、度胸だけはあるようだ…」と、余裕綽々の態度でキッドに対して圧をかけると、自信のなさからたじろぐキッド。

 すると魔雲天が「テリーマンよ! どうでぇこの舞台? 今から30年あまり前、おまえとオレが戦った時の秩父連山“断崖絶壁マッチ”を彷彿させるとは思わねえか?」と、因縁の相手であるテリーマンに叫びます。

 そしてあの時KOされて絶命し、超人墓場で辛い日々を送っていたこと、それでも一日たりとも復讐を忘れなかったこと、その恨みの炎が大魔王サタンの目に留まり、正義超人の息子たちを潰すミッションを受けて現世に帰ってきたことを告げます。

 さらに「そこでオレは自分の息子を作り、この暴留渓にオレの持てる超人柔術の必殺テクニックすべてを注ぎ込んだーっ、そして見事期待に応えるまでに悪魔柔術超人の芸術品として育ってくれたーっ」とテリーに向かって復讐の意を唱えると、「面白い! やってやろう」と、間髪入れずその復讐を受けて立つテリー。

 自分の意志を無視した父親の返答に困惑するキッドをよそに、テリーが「おまえの息子が悪魔柔術テクニックの芸術品なら、キッドだってオレが精魂込めて作り上げた超人レスリングの芸術品だ…」と、魔雲天に対し毅然とした態度で息子の実力に絶対の自信をみせると、「ブァホブァホ、いつもキン肉マンの腰巾着である…フヌケの親父はおまえを見捨てたらしいぜ」と、キッドを脅す暴留渓。

 そのタイミングで魔雲天が試合開始のゴングを打ち鳴らすと、暴留渓は一目散にキッドを捕獲しようと襲いかかるも、キッドは何とかそれから逃れます。すると「キッドよ…これまでの二日の猶予期間何してやがった~っ? オレを倒すための特訓を積んできたんじゃねえのか」と、弱腰のキッドを挑発する暴留渓。

 それに対しキッドは「パパは…この二日間、裏庭の切り株抜きの仕事をボクにさせるだけで、技のひとつも教えてくれなかった…」と、果たし合いの直前でも特別な訓練をしなかったことに準備不足を感じ、自分に自信が持てません。

 それでも周囲のヤジに対抗し、やけくそのドロップキックを仕掛けるも、まるで動じない暴留渓。ならばと得意のナックルパートを繰り出しますが、自身の拳を痛めるだけで、元レスリング部の連中からの失笑を受けます。

 すると暴留渓はキッドのストレートに合わせ、電光石火の飛びつき腕十字。なんとか回転してキッドが腕を抜くと、「少しは上達したようじゃねえか…オレも本気の出し甲斐があるってもんだぜーっ」と、まだまだ余裕をみせる暴留渓。

 完全にペースが暴留渓にあると感じたキッドは「こ…こっちからいかなきゃやられる…」と覚悟を決め、得意の低空に入るマッハタックル。しかし「ほらどうした? そんなんじゃオレをテイクダウンできないぜ…」と微動だにしない暴留渓は、「おまえの最高の必殺技を受けたところで、次はオレさまの番だ~っ」と、がぶった状態からキッドの首に柔術着の袖を絡めて腕を回して寝転び、回転地獄絞めの体勢に。

 窒息寸前のキッドの目にテリーマンが映ると、キッドは「パ…パパ、も…もうダメ…降参ギブアップしちゃって…いい…?」と、ここで試合をあきらめる弱気な発言をします。しかし「テキサスというのは男が男を示さなくてはならない場所…一度なめられたら一生なめられ続けることになる!」とテキサスの格言を口にし、キッドの弱気の虫を厳しくたしなめるテリー。

 それを聞き、元レスリング部の連中の手下パシリに成り下がった自分を想像したキッドは、「いやだーっ! なめられるのは絶対に~っ」と叫び、足を振り上げて暴留渓の頭部を蹴り上げると、回転地獄締めから脱出。

 これに怒った暴留渓は「てめえ~っ、本当に生かしちゃおかねえ~っ」と、キッドを頭上に持ち上げると、頭部の火山口から怒気を込めた溶岩を噴出させる『火山大噴火ボルケーノイラプション』で空中高く舞い上げます。

 そして空中でキッドの首と足首をつかみ、その背中に両膝を押し当ててリングに叩きつける『マグマ灼熱落とし』を炸裂させる暴留渓。この強烈な一撃にキッドは大ダメージを受けてダウンします。これには元レスリング部の連中も、キッドが死んだのではないかと動揺する始末。しかしテリーマンは冷静に状況を見守ります。

 なんとか意識を取り戻したキッドが「ボ…ボクがこんなな…情けない姿なのに…なんでパパは怒らないの…? は…恥ずかしくないの? な…なんでボ…ボクから絶対に目を逸らさないの?」と聞くと、「それはキッド、おまえを信じているからさ…全然恥ずかしくなんかない…おまえは自分で絶対やり遂げられないと思っていた、切り株抜きの仕事を全部やり遂げた! パパはあれを見ておまえはさすが、テリー一族ファミリーの跡取り…と思った!」と答えるテリー。

 さらに「『自らの正しきを疑う者はアリンコ一匹にも勝てない』『しかし自らの正しきを信じる者は巨軍の兵よりも強い』パパはおまえの強さを信じている。おまえは私の誇りだ!」と、テリー一族の家訓を口にし、迷いなき信頼をもってエールを送ると、弱気になっていたキッドは勇気づけられます。

 そのとき、暴留渓がマットに落ちている何かに気づきます。それはキッドが切り株抜きのときに見つけ、お守り代わりにしていた四つ葉のクローバーで、それが先ほどの『マグマ灼熱落とし』の衝撃で落下したのでした。

 「そ…それはボクの…」とキッドがそれを拾おうとすると、「幸福を呼ぶ四つ葉のクローバーなんてのを、お守り代わりに持っていやがるからオメーは女々しいくらい弱いんだよーっ!」と、暴留渓はそれを踏みつけようとします。

 それを阻止すべくキッドは立ち上がり、「やめろーっ!」と怒りを露にし、渾身のエルボーを叩きつけると、「テリー一族の家訓、ふてるな! 恐れるなーっ」と叫び、マッハタックルで暴留渓をテイクダウンすることに成功。

 そしてその両足を脇に抱え、クロスロックしてステップオーバーし、「あきらめるなーっ! そうすれば必ず幸せな勝利を手にすることができるーっ」と叫んで、暴留渓を反り返します。

 この強烈な技に「な…なんだ~っ、こんな技…くらったことねえ~っ」と暴留渓が戸惑っていると、「暴留渓、絶対に降参ギブアップしてはならんぞ~っ」と、劣勢になった状況に焦る魔雲天。

 しかしキッドが情け容赦なく力を込め、その締め上げを強烈にすると、暴留渓はたまらず「ギ…ギブ……アッ…プ…」と口にし気絶。それを見て「やったぜ~っキッド~ッ、おまえは立派なテキサスの男だーっ!」と、いつの間にかキッドに感情移入して喜び、柔術着を脱ぎ捨てる元レスリング部の面々。魔雲天は「ボッファーッ」と怒りを露わにし、持っていた杖をへし折ります。

 試合を終えたキッドが、大事な四つ葉のクローバーのお守りを拾いあげると「私の息子マイサン…」と、リング内に入ったテリーが声をかけます。そして「やったな、キッド。よくぞ自分だけの手でテリー一族ファミリーに代々伝わる技をマスターしたな。あの技の名は“テキサス四つ葉固めクローバーホールド”というんだ―」と、自身のテンガロンハットを、キッドの頭にのせてあげるのでした。

 テリー・ザ・キッドのスピンオフ読切の後編です。今回は格闘決戦がメインでしたね。その決戦場が秩父連山特設リングを彷彿とさせ、お父さん世代をニヤリとさせます(笑)。そこにテリーと魔雲天が、保護者の立場とはいえ対峙する構図がたまらんですね。

 で、魔雲天のここに至った設定ですが、超人墓場で復讐に燃えて石臼を回していたら、大魔王サタンにその怨念が通じて“正義超人ジュニア抹殺”のミッションを授かって現世に復活したそうです。

 ここで“超人墓場”と“大魔王サタン”というフレーズが出るのですが、そのフレーズの詳細を知ってしまった今となっては、何か変な感じもしますね。石臼を回しているその監督者にはアビスマンがいたわけだし、ミッションを出したサタン様は…あんな感じの人だったし(苦笑)。

 でも“正義超人ジュニア抹殺”というミッションを、わざわざ息子を作って達成しようとしたのは、気の長い話ですね。直接自分でやりゃあいいのに、と思ってしまいました(苦笑)。

 あれですかね? ひょっとして超人墓場で石臼を回していたら、年老いてしまったんですかね? それとも10歳そこらの子ども抹殺に、バリバリの悪魔超人が対峙する、というのもプライドが許さなかったのか。

 どちらにせよ、そのために彼は妻をめとり、子どもを作り、一から超人柔術を教え込み、アマリロまで移住してきたわけです。いや~ホント、頭が下がります(笑)。

 もし奥さんが見つからなかったらどうするのかとか、子どもが生まれなかったらどうするのかとか、そもそもミッション達成のために子どもを産んでくれ、なんてことを奥さんが受け入れてくれるのか、とか考えなかったのかな(苦笑)? というか、こうなると彼の奥さんがどういう人なのか、俄然興味が湧きますね。そのスピンオフを今度はお願いしたいです(笑)。

 試合はまあ、ありがちな展開というか、オーソドックスです。序盤全く敵わず、父親のエールでブレイク、そして勝利と。こう書くと身も蓋もないですが(苦笑)。でもこのページ数で収めるには、それしかないですけどね。

 ただそういった中にも、しっかりと親子の信頼と絆、伝統や基礎訓練の重要さ、テキサンとしての意地、そして自力で得た必殺技フェイバリットと、押さえるべきツボを押さえています。特にテキサス・クローバーホールドを会得するくだりが、偶然的な要素を装いながらも、結果として必然的なものだったという印象を与えているあたり、ゆで先生お得意の表現力かな、と思います。

 別の表現軸として、キッドに愛想をつかしていた元レスリング部の連中が、途中からキッドを心配し出し、最後には応援している、という表現に、主人公の行動が周りの心を動かしているという、いわゆる自己変革性を客観的に表現していると思います。最後柔術着を脱いじゃってますから、彼ら(笑)。このコマに、流行技術柔術伝統技術プロレスに負けたということを、端的に表していると思いますね。

 あとテリーマンの、一貫して息子を信じ、ブレないところがいいですね。地味だ地味だと言われた彼ですが、寡黙な負けず嫌いというか、なめられ嫌いというキャラクターが表現されていると思います。

 昔はもう少しチャラチャラしていたし、よく喋っていたと思うのですが、年を取り余分なものが削ぎ落されたような印象を受けます。おそらく今回の話でも人気が再燃することはないかと思うのですが(失礼)、その男気が響いた人にだけわかればいい、みたいな潔さすら感じますね。

 最後にテンガロンハットをそっと息子の頭にのせてあげるシーンがありますが、これはテリーがキッドを男として認めた最初の証明書、というイメージですかね。これも派手さはない行動ですが、しみじみと良さがあふれるシーンだと思います。

 その他気になった点は

  • このリング、誰がこさえたんだろう。カーペンター化した魔雲天かな(笑)?
  • しかし暴留渓はブサイクだな(笑)。
  • 今回の石臼回しのシフトは、悪魔超人軍団の順番らしいです。
  • いまだに浮いている人と、石臼を回している人の、ステイタス差がわからない…。
  • 魔雲天のオーバーオールがかわいすぎる(笑)。
  • 息子は「ブァホブァホ」、親父は「ボッフォボッフォ」(笑)。
  • 逆さになってもこぼれない溶岩。
  • このあたりはティーパックマンやカレクックと同じ(笑)。
  • 暴留渓のギブアップは、サンシャインのそれを思い出させる。
  • このあと魔雲天は説教かな? それとも優しい父親なのかな?

 こんなところです。来週はベンキマンの読切の再掲載だそうです。

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