今週のキン肉マン第303話-オメガの落涙!!

今週のキン肉マン
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 アリステラの最大のフェイバリット『Ωハルマゲドンアベンジャー』から脱出し、下からの突き上げドロップキックを連打してアリステラと共に上昇していくアタル。その最高点に至ったところで、背中向きから回り込んで固めた技は…伝家の宝刀、『アタル版マッスル・スパーク』! 

 最大のフェイバリットを最大のフェイバリットで返されたアリステラが「グッ…ここでこんな技を!」と口にすると、アタルは「オレのものは不完全だが、それでもこれが今のオレに繰り出せる最大の慈悲の技。キン肉族の求め続けた魂ともいえるこの技で…お前を倒す!」と、体中から業火のクソ力をほとばしらせ、渾身の力をそこに込めます。

 アリステラは唯一動かせる首を左右に振り、なんとか技から逃れようとしますが、ホールドは解けません。そして「オレにも使えるはずだ! その力…オレにだってその力がっ! なのに! なぜ使えない~っ!?」と絶叫すると、とうとう思うようにならない悔しさから落涙。そのままどうにもできない状態でマットに激突し、『アタル版マッスル・スパーク』は豪快に炸裂しました。

 技が決まった後に一瞬の静寂が起こり、アリステラはホッケーマスクにヒビが入ったところで大きく吐血。リング上で完全にダウンします。しかし「オ…オレは…希望なんだ…オメガ最後の…唯一の…希望なんだ…」と意地でよろよろと立ち上がり、アタルに向かっていくものの、アタルの腹に頭を押し付けたところで「そのオレが…ここで…倒れるわけには…いか…ない」と口にしたまま、ずり落ちるように再度ダウンし、ゴングが鳴り響きます。ここでついに78分43秒にわたる大熱戦のタッグマッチは終了し、見事フルメタルジャケッツが勝利を手にしました。

 敗北を喫したアリステラは地べたに這いつくばりながら「惨めなものだ…ここまで息巻いておいて、なおも慈悲をかけられる。グウウ~ッ、いっそのこと完膚なきまで打ちのめすか、打ちのめされるか、そんな生死の二択のみで思考停止できればどれほど楽か……そしてこの試合の最中、何度もオレはそうしようとした。マリキータもそんなオレの胸の内を察し、労わるように同調してくれた。だがお前たちふたりは…それを最後まで許さなかった。考えることを求め続けた…敗北した今の瞬間まで、それはとてつもなく残酷な慈悲だ…だが…それこそ最も正しい態度であることもうっすらとはわかっていた。すべてはそこの小僧が言ったとおりさ」と、敗北者に慈悲をかけ、かつ思想の転換を推奨するフルメタルジャケッツをなじります。

 しかしながら「そんなオレの気持ちに…最後まで殉じてくれたマリキータマンには詫びの言葉も見つからない。だがここまでされては…認めざるを得ないのか…オメガの教えの敗北を。慈悲の技…オメガを打ち破るほどの力強さを…こうも見せつけられてはな」と、フルメタルジャケッツ側にも一定の理解を示しました。それに対してアタルは「オレの慈悲などスグルに比べればまやかしのようなもの。結局オレは自分の罪滅ぼしのために慈悲の真似事をやっているだけの欲深い男だ。だがお前は違う。決して私利私欲ではない。オメガのために滅私奉公を続けてきた。その純粋さは嘘ではない。その方向さえ間違えなければ、お前はスグルに匹敵する力を手にできる逸材だ。だからこそオレはここにやって来た!」と、自分を卑下しアリステラを称賛するという懐の深さをみせて次回に続く、です。

 スムーズに決着がつきましたねぇ。もう一波乱あるかと思ったのですが、流れるように決着しました。ちょっとびっくりです。前回両チームともにパートナーを失い、シングルマッチの形となっただけに、あと5~10話くらい続くのがパターンですからね。それがわずか1話で完結です。でも変に伸ばされるよりも、盛り上がったところで一気呵成に結末までいくのも悪くないですね。テンポもいいですし。

 そんな速攻終幕に導いた技が『アタル版マッスル・スパーク』。いわゆる『マッスル・スパーク・地』というやつです。キン肉族最大の奥義だけあって、一撃必殺の説得力は図抜けています。先のフェニックス戦では幻となった決め技だけに、今回このような非の打ちどころのない形で決まるというのは、アタルファンにとっては積年の願望だったに違いありません。まさに悲運の王族の、世紀を超えたリベンジとでもいいましょうか。何気にアタル兄さん、これで公式戦初勝利なんですよね。誰もが最強キャラの一人と推す人物なのに、とても意外な感じです(笑)。

 このようにアタル陣営を祝福したいところなのですが、今回はそれ以上に、志半ばで敗れたオメガ陣営のやるせなさの方が心にぐっときてしまいました。だって…あのアリステラが泣くんだもんなあ。悲願を達成できない、無力な自分に対するどうしようもない哀しさ、情けなさからきた涙だったんだろうなあ。彼はその双肩にオメガのすべてを背負って闘っていただけに、責任を果たせないという申し訳なさも相まっていたのでしょう。それがヒシヒシと伝わるだけに、非常に不憫で可哀想だなあと。

 その後に両者が語り合う内容もたまらなくいいですね。アリステラはアタルがかけた慈悲がかえって残酷であるという、ある意味衝撃的な価値観を吐露しました。なるほど、立場が違えば慈悲も人を傷つけるという視点はとても新しい考え方だと思います。“慈悲=絶対善”であると育ってきた我々にとって、とても考えさせられる意見でした。しかしアリステラも、結局は“慈悲=絶対善”であることを認めていたんですね。でもそれを受け入れたら自分たちの信念が、理念が、教えが全否定されてしまう。そんな葛藤を痛々しいくらい語ってくれています。

 そしてその考え方や行動が正しいと思わせてくれたのは、ブロッケンJr.の武骨で不器用な表現ながらも、真摯な気持ちがこもった熱い訴えでした。「すべてはそこの小僧が言ったとおりさ」といったアリステラのこの一言に、今回彼がアタルのタッグパートナーとして抜擢されたことの正しさを証明することとなりました。ブロッケンの言う「仕事(任務)を遂行する」という点で、最大級の成果はおそらくこれだったのではないかな、とも思いました。なんかブロッケン、選ばれるべくして選ばれたんだな、なんて感じてしまいましたよ(笑)。

 そんなやりとりがあった後、やはり最後のシメはアタルです。彼の言動がまたカッコよすぎるんですわ(苦笑)。自分は罪滅ぼしで慈悲の真似事をやっているだけで欲深いんだと、まず自分を卑下して一段落とします。そして弟のスグルは本物の慈悲を持っていると格の違いをアピール。さらには敵であったアリステラの私利私欲のない純粋さを称えて、暗に精神的には自分より上のステージにいると評価します。もうね、謙譲の精神ですよ。自分がへりくだり、相手を上に上げてあげる。究極のカッコつけマンですよね、ホント。でもこのテクニックについついやられちゃうんだよなあ(苦笑)。まいったね。

 さて、これで話はひと段落ついてしまったわけですが…これでシリーズ終了なんですかね。今回大きいのは、アタルがアリステラに対し“不殺(ころさず)”を行った点です。これでアリステラはまた動くことができ、次の話の展開が膨らむわけです。今後考えられる展開としては

①このままシリーズ終了
②サタンよりも上にいる黒幕の野望が判明し、次の戦闘ステージに進む
③正義超人とオメガが協力し、オメガの星を救う新シリーズが始まる

こんな感じかな? まず①はないと思うんですけどね。個人的には③が流れ的に面白いと思うんだけど、星を救うことと超人同士の戦闘をどう結び付けるかが難しいと思いますね。格闘のない話づくりって、このマンガではかなり難しいと思うんですよ。

 となるとやはり②かな? ザ・マンが今回の闘いには影ですべてを操っている黒幕がいることを示唆していたので、そいつらがとうとう表に出てきて全面対抗戦になると。前にサタンは黒幕ではないと個人的に予想したので、その線を除外すると、やはり相手は神々かな…? 神々と正義超人、オメガ、完璧超人、悪魔超人連合軍が闘うとか…一番嫌なのは、せっかく助かったアリステラが、サタンよってあっさりと処刑されることですね。ここまできたらアリステラは仲間として共闘したいところですよ、うん。

 その他気になった点は

  • 上着がはだけたアタルはカッコいいな。
  • なんとか技から逃れようとするアリステラの必死さはホント、胸を打つ。
  • マットに激突寸前のアリステラの表情。やるせない。この表情を表現した中井画伯はすごすぎる。
  • おそらくこの作品史上に残る気持ちの入った表情だと思う。
  • 『アタル版マッスル・スパーク』は縦回転が入るんだね。
  • アタルは基本、仁王立ち。
  • アリステラはスグルに匹敵する進化を遂げられるのかな? がんばってほしいな。

 こんなところでしょうかね。

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