今週のキン肉マン第295話-業火のスープレックス!!

今週のキン肉マン
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 ブロッケンJr.に向けたアリステラのラリアットを、身を挺してブロックしたアタル。その全身は燃え盛るように光り輝いています。「もしや…この力は……!」とアリステラが反応すると、「ああそうだ。これがお前たちの見たがっていたもの。スグルの“火事場のクソ力”に相当するオレのキン肉族としての特殊な力、その名も“業火のクソ力”だ!!」と、出し惜しみなく奇跡の力を放出するアタル。

 そしてアタルはアリステラのバックに回ると、フルネルソンからのドラゴンスープレックス。それは一撃では終わらず、そのまま側面のリングにも叩きつけるという連続ドラゴンで、王位争奪編でフェニックスに食らわしたものを彷彿とさせます。さらに「ブロッケン、お前はよくやった。ここからはオレの仕事だ、後退しろ!」と、そのままブロッケンとスイッチ。それを聞いたブロッケンが「だが隊長、その力を使うのは…」と、業火のクソ力を狙う相手にあっさりとそれを披露する危険性を危惧するも、「構わん。そもそも持てる力は全て使わねばコイツらは倒せん。出し惜しみなどして敗れでもすれば…それこそ先祖に顔向けできんわーっ!」とアタルは叫び、カットに飛び込んできたマリキータマンをも蹴りで一蹴します。

 アタルのドラゴンスープレックス二連弾を浴びたアリステラはそのまま立方体リングから落下するも、間一髪ロープを掴み、それを防ぎます。そして掴んだロープで振り子の原理を利用し、なんなくリングに復帰。マリキータマンが「いよいよ念願の…」と声を掛けると、「ああ、わかっている!」とアリステラは答えます。

 そしてリングで再度対峙した両雄は、中央でガッチリとロックアップ。「待っていたぞこの力! いよいよオレがその力を己のモノとして神を超える日が来るのだ!」とアリステラが興奮気味に言うと、「オレはそれを止めに来た!」と即座に対抗するアタル。するとアリステラは「お前はなぜオレがオメガ最後の希望といわれるか、残虐の神から聞いてきたのであろう? だがオレの気持ちまでは理解できまい! オレの生い立ちが培ってきた星を背負うこの使命感までは…」と、自分の立ち位置をアタルに説明し始めます。そして「今でこそ一族を率いる立場だが、幼き頃のオレはオメガのできそこないと蔑(ないがし)ろにされ生きてきた。全てはそこが始まりだった」と、過去はダメ超人だったという衝撃の告白をします。

 ここからアリステラの出自について話がシフト。内容は以下の通りでした。

  • アリステラは弟のディクシアとの双子として、オメガ宗家の跡継ぎとなるべく生を受けた。
  • しかしアリステラが5歳のとき、生まれながらの重大な欠陥があることが判明した。
  • それは弟のディクシアの超人強度が一族最高の8600万パワーだったのに対し、兄のアリステラはたった95万パワーしかなかったという事実だった。
  • 測定器の故障も考えられたがそうではなく、正真正銘の95万パワーであり、それはオメガの民としては異常に低い数値であった。
  • それからアリステラは宗家の跡取りという立場でありながら、冷遇されていった。
  • さらに弟のディクシアは見たモノに姿を変えるという特殊な変身能力まで備えていたが、アリステラにはそれも備わっていなかった。
  • 同じ遺伝子を持つ双子なのになぜこうも違うのかと、アリステラは劣等感に苛まれた。
  • そして彼は“オメガのできそこない”と揶揄され、バカにされるようになった。
  • アリステラは誰にも期待されることなく、逆に弟のディクシアはオメガの宗家を継ぐべき人材として育てられるようになっていった。
  • そんなアリステラを真正面から馬鹿にして攻撃をしかけてきた超人がおり、アリステラは秘めた力でそれを粉砕した。
  • そんな大立ち回りを演じたあと、健康診断時に身体の異変があらわれた。
  • 95万だった超人強度が500万パワーに成長して増えていた。
  • 超人強度は生まれながらにして不変、そういう常識をアリステラは打ち破った。
  • 彼はできそこないなんかじゃなかった。

 そんな過去をアタルに話し、さらに「わかったことは闘いの中で対戦相手の強さに合わせて、どんどん超人強度を成長させていける能力を持つということ。つまりはオメガの悲願である神超えの可能性すら秘めた、オメガ史上でも類を見ない究極の突然変異体だったのだ!!」と、自身のストロングポイントを高らかにアピールして次回に続く、です。

 アタルの発光現象はやはり“業火のクソ力”でした。相手が手ぐすねを引いて研究しようとしている力をあっさりと出すのは危険だと思うのですが…これはブロッケンが読者の代弁をしてくれましたね(苦笑)。しかしさすがはアタル、そんな小さなことは歯牙にも掛けず、この力を使わないとグロリアスには勝てないと、迷わず実を取りに行きます。

 そんな思いで繰り出した技が…ドラゴンスープレックスの二連弾。これはまたオールドファンにとってはたまらない演出。立方体リング、ドラゴンスープレックス、連発。80年代が一気に脳内によみがえります。ノスタルジーっすなあ(笑)。フェニックスチーム戦で戦闘モードに入った時のアタル、カッコよかったなあ。でもあの時はブロッケンが散ったことによる怒りからスイッチが入ったから、だったらもっと早くからギヤ上げとけ、という突っ込みもありましたけどね(苦笑)。そう考えると、ブロッケンはアタルのロコモーションドラゴンは初見なんだな、何気に(笑)。

 さて、今回一番のトピックスは、なんといってもアリステラの出自が細かく描写されたことでしょう。以前私は、オメガの六鎗客はオメガの正義超人なのではないかと書いたことがあります。それはゆで先生が、今回のテーマに正義超人と、他星の正義超人との闘い、つまり近親イデオロギーの対決を選んだのではないかと感じたからです。

 そう感じさせた理由は、オメガの六鎗客がスグルを中心とした正義超人軍団と同じような匂いをほのかに感じさせるからです。彼らの目的、アリステラの立場など、徐々に彼らの事情がわかるにつれて、それはどんどん色濃くなってきました。そして今回のアリステラの出自で、それはさらに強まったと個人的には感じています。

 というのも…皆さんも感じたと思いますが、アリステラはスグルなんですよ。オメガのスグルなんです。幼少期には“できそこない=ダメ超人”と蔑まれていたこと、その後どんどん強くなっていったこと、一族の継承者であること、その境遇がとても共通している。

 これを見ると、前述の私の予想もあながち間違っていないのでは…と感じてしまいます。これで大はずれだったら恥ずかしいけど(苦笑)。でもゆで先生、あえて寄せてきているよなあ。この路線が正しいとすると、今回は両軍が闘っていくうちに、正義超人軍は同族と闘っているという感覚を味わっていくと思われます。すでにスグルは「あいつらの言い分もわかる」と同情的になってきているし、この辺の対立構造の構築が今までと違ってとても難しそうです。

 なぜならば、抗争ストーリーというのは、思想が真反対の軍団同士が闘うのが一番わかりやすいし、感情移入しやすいからです。それを今回はあえてベクトルが近い軍団同士を闘わせようとしている。お互いの立ち位置の差が少ないから、対立の表現が難しいし、それがゆえ微妙なベクトルのズレを最大限に利用して、物語をドラマチックに仕立てなければならない。つまりはより高度なストーリーテリングにゆで先生は挑戦しようとしている、といえます。これはねぇ、大変だと思いますよ。

 また、超人強度というシステムについても、もう一度本腰を入れて設定をしなおそうとしていることがわかります。とりあえず以前より確定している定義というのが、超人強度は生まれながらのもので不変である、ということ。その定義を覆す存在がスグル、アリステラであるということ。また、その他の正義超人にも、この定義を覆す萌芽があるということ。その要因として、火事場のクソ力、友情パワーが関係していそうだということ。

 今まで矛盾が多く、定義もあいまいだった、いうなれば“ゆで先生最後の宿題”ともいえる(笑)超人強度というものが、今回どこまで理論武装できる設定となるのか。その設定は、すべての肉フリークの腑に落ちるものとなりうるのか。この辺も興味が尽きないですね。

 その他気になった点は

  • オメガ宗家のホッケーマスクは、先天性のものだったのか…(笑)。
  • 食事はどうやってとるのかな? 口元の2穴から押し込むのかな?
  • 異形ともいえるあの双子でも、赤ん坊や幼児期はとてもかわいらしい。中井画伯、すごいな。
  • 目が丸いディクシアは、ちょっとマヌケに見える(笑)。
  • アリステラのデフォルトで自信なさげな表情も、ダメ超人らしくて絶品。
  • 超人強度測定器は、金属探知機となんら変わりないな(笑)。
  • それを無垢な表情で通り過ぎるディクシア、かわいい。
  • でも驚愕の8600万パワー(笑)。
  • 親父にはオメガハンドないのな。

 こんなところです。

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