角田裕毅、ドンガラガッシャンのちクルリのち罰則。

オレ流F1
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 2021F1GP開幕戦で多くの元チャンピオンを抜き去り、見事9位フィニッシュで2ポイント獲得と、上々のF1デビューを終えた角田裕毅。

 第2戦(エミリアロマーニャGP)もこの調子で突き進み、上位フィニッシュもいけると期待をされたのですが…現実はなかなか厳しかったです。ルーキーの洗礼というか、つまずきを経験したレースとなりました。

 ただそれは“先輩ドライバーに打ち負かされた”というものではなく、自身のミステイクによるものです。どんなミスかというと

  • 予選Q1のファーストアタックで、気負いすぎてクラッシュ
  • 決勝レースで単独スピン
  • 決勝レースでトラックリミット違反を繰り返し、5秒ペナルティ

といった感じです。

 その結果、フィニッシュは12位でノーポイントと、車のポテンシャルを活かせない、不満の残る結果となりました。

 それでは彼が犯してしまったミスについて、内容をより詳しく解説するとともに、反省すべき点、ミスの中でも感じられるポジティブな点の2面視点で見てみましょう。

予選Q1のファーストアタックで、気負いすぎてクラッシュ

 決勝のスターティンググリッド(並び順)を決める、大事な予選において、角田はファーストアタックでスリップし、回転しながらウォールへ激突。

▲かなり派手にやってしまいました。

 マシン後部はグシャグシャになり、タイムも記録できず、翌日の決勝は最後尾の20番手スタートがこの時点で確定してしまいました。

反省点

 このミスはかなり反省点が多いです。F1の予選というのは、20台のマシンがそれぞれ1周のタイムアタックをし、そのタイムが悪いドライバーから順に脱落していくサバイバルです。

 タイムが悪い順から決勝のスターティンググリッドが20位、19位、18位と後方になり、不利になるという仕組みです。

 Q1では20台中5台が脱落し、Q2でさらに5台が脱落、最後のQ3で1番目から10番目の位置が決まるわけです。

 つまり、Q1でクラッシュしてノータイムということは、イコール決勝のグリッドが一番不利の20番手になるということで、チームとしてはやってはいけない大きな損失なんですね。

 そんなわけなので、理論上Q1を通過するには14位以内に入ればいいわけです。14位以内に入れるポテンシャルが十分あるのならば、無理をした走りをしてリスクを増やす必要はないわけです。

 言い方を変えると、少し余裕を持った安全な走りをし、確実に14位以上をとることに注力すべきなのです。

 しかし角田は気負いからなのか、いいところを見せたがりすぎたのかわかりませんが、ここで無理をした走りをし、結果クラッシュしてしまったんですね。

 車と角田の技術を考えれば、Q3に進出できる可能性は十分にありました。だからこそ、彼ははやる気持ちを抑えて、プロ野球のピッチャーでいえば確実にストライクを取るために置きにいく、というようなアタックをするべきだったのです。

 このミスは決勝のスタートを不利にするだけでなく、メカニックに要らぬ作業を強いることにもなります。写真のようにかなりのドンガラガッシャンなので、おそらくメカニックは徹夜で修復作業をしたと思われます。

▲これをメカニックは一晩で修復するわけです。

 さらに、チームはこのクラッシュで億単位と思われる出費を強いられると思われます。チーム運営に予算制限がかけられている今のF1では、余計な出費は是が非でも避けたいところです。こういった財政面からも、こういった意識不足からくるミスは、彼の評価を下げる恐れがあります。

ポジティブ点

 とは言いながらも、彼はまだF1で2戦目のルーキーです。失敗して学んでいくプロセスが、どうしてもセットになる時期です。

 ここは彼がより素晴らしいドライバーに成長するための、必要過程と考えればいいのではないでしょうか。

 また、Q1からでもコンマ1秒を削ろうとする貪欲さ、チャレンジ精神という姿勢は、日本人離れしていて大物感を感じさせてくれます。要は今回の学びで力の出し方、出すタイミングを理解し、次回からそのようなミスがなくなればいいわけです。

 そして、彼は学びの吸収がとても早いドライバーなので、それが早い段階でできると思われます。次に期待したいです。

決勝レースで単独スピン

 決勝は雨が降り出し、とても荒れたレース展開となりました。最後尾グリッドからスタートした角田は見事なスタートを決めてポジションをジャンプアップ。レース中盤にはポイント圏内の10位までポジションをあげます。

 そしてジョージ・ラッセルとバルテリ・ボッタスの接触大事故があり、その清掃作業でレースが一時中断します。

 セーフティーカー先導でレースが再開され、角田のさらなるジャンプアップを期待していた矢先に、彼は単独スピンのミスを犯し、せっかくの追い上げを水の泡にしてしまいました。

▲タイヤもまだ温まりきっていませんでした。

反省点

 レースが再開されると、彼は空いたインに飛び込み、ポジションアップを果敢に狙いました。しかしそのインラインは雨でまだ濡れており、とてもスリッピーなラインだったんですよ。その結果、彼は滑ってクルリとスピンをしてしまったわけです。

 ちなみに彼の一つ前を走っていたのは絶対王者のルイス・ハミルトンで、彼がミスしてインを開けていたわけではなく、単に滑りやすいラインだから開けていただけなんです。

 ですので、そんな滑りやすいラインに自ら飛び込むというのは無謀な仕業で、スピンという結末になりやすいということは、他のドライバーならみんなわかっていたことなんですよ。

 だからあの時は無謀なチャレンジはグッと抑えて、別の確実なチャンスをうかがうべきだったわけです。仮に賭けが成功したとしても、相手は経験でも腕でもマシンでも上のハミルトンです。その後また抜き返される可能性が高いわけですから、無理をする必要はまったくなかったわけです。

 それだけに、これは彼の経験不足というか、若さがもたらしたミス、といえます。結果これでポイント圏外へ脱落してしまったので、チームとしては大きな損失を被ることになってしまいました。

ポジティブ点

 とはいえ、目の前に7度の王者となったハミルトンがいて、さらにシチュエーションとしては隙がある。レーサーならば仕掛けたくなるのがさがってやつかもしれませんよね~。

 そんな本能で角田が突っ込んで行ったというのならば、その心意気は買えますよね。絶対王者に臆することなくチャレンジするルーキー。規格外じゃないですか。失敗しちゃったけど、痛快な試みではありますよね。

決勝レースでトラックリミット違反を繰り返し、5秒ペナルティ

 レースではトラックリミットというルールがあります。簡単にいうと、“コースからはみ出しすぎちゃダメ”というルールです。

 レースはコンマ数秒を削るような走りが求められます。そのため、ドライバーはサーキットのコーナーを攻めるときに、道幅を車半分くらい超えてライン取りをし、その遠心力を最大限に使ってタイムを縮めることがよくあります。

▲このように、白線から4輪がすべて出たら違反です。

 ただそれをやりすぎると、コース外まで使って走るというルール無用のレースになってしまうので、

「この白線から4輪が超えたら忠告だよ」
「何回か繰り返したらペナルティね」

というコーナーが何個かあるわけです。

 角田はこれを何回か犯し、結果5秒ペナルティをくらう結果となりました。

反省点

 コンマ数秒を削るために命を賭けて走っている競技で、5秒という時間は途方もなく大量の時間です。それをペナルティで加算されるというのは、本当に本末転倒です。

 ピットからは無線で角田に「あそこのコーナーをオーバーするな」と何度も忠告を飛ばしたはずです。しかし彼はトラックリミット違反を何度も繰り返し、とうとうレースコントロールから5秒加算の罰則を受けてしまいました。

 結果的には5秒を加算されても、12位という順位が変わることはなかったのですが、これはたまたまです。

 仮に彼が9位や10位という、ポイント圏内ギリギリでフィニッシュしたとして、この5秒加算で11位以降のポイント圏外へ転落する可能性もあったことを考えると、やはり犯してはいけないミスだったといえます。

ポジティブ点

 自分のミスでスピンをし後退した順位を、彼なりになんとか取り戻そうとして死に物狂いでプッシュしすぎた結果、違反を犯してしまったと考えるのであれば、その意地というか責任感を評価したいですね。

 大きなミスを起こした後でも、闘争心が燃え上がっている証拠だと思えば、今後も彼には伸び代があると思えるので、次のレースも楽しみです。

まとめ

 以上のように、今回は角田にとってほろ苦いレースとなってしまいました。周りからやいのやいの言われると思いますが、それにへこたれず、そしてへそを曲げず、修正してくれることを期待します。

▲自分が許せないというオーラを出す角田選手。

 おそらくみんな彼が大成してくれることを願ってのことだと思いますので、頑張って欲しいですね。まあこの程度でどうこうなるメンタルではないキャラクターであることはハッキリしているので(笑)、全然大丈夫だと思いますけどね。

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