やりました! アルファタウリ・ホンダ(旧トロロッソ・ホンダ)のピエール・ガスリーが、とうとうグランプリ初優勝です! 苦難を乗り越え、手にした栄光はとても尊いものだと思いますね。
レース展開としては、絶対王者のハミルトン(メルセデス)がぶっちぎりのパターンだったのですが、やはりF1にはドラマが潜んでいるものでして。マグヌッセン(ハース)のマシントラブルによるセーフティーカー導入から、物語は意外な方向に転がり始めました。以下、ガスリー優勝シナリオのポイントを記載します。
- マグヌッセンのマシントラブルによるコース上のストップで、イエローフラッグ(追い越し禁止)発令。
- 10番手を走行中だったガスリーがタイヤ交換でピットイン。
- イエローフラッグに続き、セーフティーカー導入(先導車が入って安全が確立するまでスロー走行となり、各マシン数珠つなぎとなる=今までの差が0となる)。
- いろいろとあって、結果、ガスリーが3番手のポジションに。
- セーフティーカー時の不正ピットイン疑惑が首位のハミルトンに発生し、審議。
- リスタート数周後、ルクレール(フェラーリ)が大クラッシュ、赤旗中断。
- 中断を利用し、ガスリーは速さのあるミディアムタイヤにタイムロスなしで交換。
- 不正ピットインにより、首位のハミルトンに10秒ストップ&ゴーペナルティ(ピットに入り、10秒静止する罰)裁定。
- 2回目のリスタートで素晴らしい蹴り出しをみせたガスリーが2位に浮上。
- トップのハミルトンが10秒ペナルティを消化するためピットイン。
- ガスリーが29週目でトップに。53周のレースなので、残り25周。
- 猛追するサインツ(マクラーレン)を押さえ切り、見事1位チェッカー。
こんな感じです。かなりトリッキーな展開で、実は4の“いろいろとあって”は、10年に一度あるかないか、くらいの“いろいろ”でした。これを説明しても、F1に興味のない方にとっては???なので、詳細は省きますが、簡単に言うと
- 首位のハミルトンにとっては10年に一度くらいの不運
- ガスリーにとっては10年に一度くらいの幸運
が起きたということです(苦笑)。
このようなミラクルが起きたがため、レースはメルセデス圧勝の退屈な(失礼)シナリオから、いきなり普段優勝に縁がない(失礼)ドライバーたちの激戦シナリオに変わるという、とんでもなくエキサイティングなドラマへと発展しました。
ガスリーを追うのは2位のカルロス・サインツ(マクラーレン)と、3位のランス・ストロール(レーシング・ポイント)。誰が優勝しても初優勝という、近年まれにみるフレッシュさです。普段目にしない光景が突然繰り広げられると、観ているこちらも興奮してきますね。
こうなると個人的にはホンダエンジンを駆っており、数年前からホンダと苦楽を共にしてきたガスリーを応援するっきゃなかったので、4秒あったサインツとの差がファイナルラップで1秒に満たなくなったときは、もう手を合わせての拝み体勢ですよ(笑)。昨年2位を勝ち取ったブラジルGPの時もそうでしたけどね(笑)。
結果、彼はサインツに肉薄されてもミスをせず、要所を締めて勝利を勝ち取ることができました。いやはや、たいした男だと思いますね。10年に一度の幸運が手伝ったことは否めませんが、
- その幸運を得る位置に居ることができていた
- その幸運を逃さず利用した
- 自身が得たアドバンテージを絶妙にコントロールした
- トップを張った25周もの間、焦りからのミスを犯さなかった
というのは彼の実力なので、その見事な勝利を称えたいと思います。53周中、半分近い25周でトップを守り切ったのですからね。胸を張っていい勝利だと思いますよ。
そしてガスリー、サインツ、ストロールというトリオの表彰台もとても新鮮でしたね。メルセデス、レッドブル、フェラーリの3強がいない表彰台なんて、いつ以来だろう? 遠い目をしてしまうほど記憶を遡らなければなりません(苦笑)。でも表彰台で感慨深げに座ったガスリーを見ると、本当によかったなあと思います。
また、今回の勝利はいろいろな因縁が付随している点でも、記憶に残る勝利となりました。ざっと挙げると
- アルファタウリのホーム(イタリア)での優勝
- その前の優勝(当時はトロロッソ)も、12年前の同レース(イタリアGP)でベッテルが獲得
- ホンダとアルファタウリがタッグを組んで、ちょうど50レース目という節目での優勝
- ガスリーはフランス人だけど、イタリアに住んでいるので、地元での優勝
こんな感じです。なんかもうミラクルが多すぎて、朝からテンションが上がってしまった私でした(笑)。
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