80年代、高校3年の私を楽しませたアーケードゲームたち
前回は私が高校2年(1988年)のときに熱中したアーケードゲームをご紹介しました。
ラストは高校3年(1989年)のときにリリースされ、私の印象に残ったアーケードゲームについての雑感を書いていきたいと思います。
偶然なのかもしれませんが、すべてカプコンタイトルになってしまいました(苦笑)。意識してプレイしていたわけではないんですけどね…💦
ちなみにこのコンテンツ、めちゃくちゃ長文です。ご了承くださいませ(苦笑)。
ファイナルファイト(カプコン)

選べるキャラクター
“ベルトスクロールアクション”というジャンルを広めた、記念碑的なタイトルです。

キャラがデカくて、描き込みもすごいな!
というのが、初見の印象でしたね。
それはキャラもステージグラフィックもすべてひっくるめた印象で、個性豊かでカラフルなデカキャラが緻密な背景の中でワシワシ動いている様は、とても迫力がありました。
そしてプレイヤーは
- コーディ
- ハガー
- ガイ
の3名から好きなキャラクターを選択できました。

それぞれが身体能力において特徴と差があり、選んだキャラによって別のゲームをプレイしているような感覚が新しかったですね。
ハガーは元プロレスラーの市長というキャラだったので、繰り出す技がプロレス技ばかりで、プロレス好きな私としては、見ているだけでもおもしろかったです(笑)。
ただ動きがノロいので敵に囲まれやすい欠点があり、実際に使用するのはスピードのあるコーディーやガイだった気がします。ハガー、ごめん(苦笑)。
アクションゲームの固定観念を破壊
このタイトルの革新的だったところは、小難しい操作方法なしに、多彩な技が勝手に出ることでした。要はパンチボタンを連打していれば、連続技として流れるように技を出してくれるのです。
これは今までの
という、アクションゲームの固定観念を完全に破壊したシステムであり、プレイヤーに

なんかビシバシ技が出る!
気持ちいい~~っ!!
という爽快感を提供しました。

このシステムはゲームの初心者でも爽快感を享受できることを示しており、ゲーセンでゲームをプレイすることの敷居を下げる効果があったと思われます。
初心者でありがちな

どうせお金だけ取られて、すぐ終わっちゃうし…
という、インカムに対する障壁が少し和らいだのではないでしょうか。
二人同時プレイが熱い
このタイトルは二人同時プレイができるので、友人と協力してプレイするには絶好のタイトルでした。
同じ目的に向かって力を合わせて敵をなぎ倒すという楽しさの共有は、学生にとっては何物にも代えがたい青春の思い出となり得ます。
いやはや、“青春”なんてクサイ表現をついしてしまいましたが、ただこれは厳然たる真理だと思うんですよ。
おそらく数年後、数十年後に友人と再会した時に

二人で遊んだ『ファイナルファイト』、面白かったよな!
といったような会話で盛り上がった経験をされた方は、たくさんいらっしゃるのではないでしょうか?

そしてその思い出に華を添えるのが、“同士討ちも可能”というシステムでしょう。このタイトルは体力ゲージこそ減らないものの、相棒をボコボコに攻撃することが可能です。
それは『マリオブラザーズ』にて誕生したと思われる、“笑いながら相手のジャマをする”というプレイ文化の延長線上にあるものでした(笑)。
コンピューターゲームが生み出したこの新しい遊び方は、友人との屈折したコミュニケーションの取り方として、現在でも脈々と受け継がれています。もはや伝統芸能といってもよいでしょう(笑)。

おまえ、オレを攻撃すんじゃね~よ!

わはははは、ゴメン、ゴメン
なんていうくだらないコミュニケーションを取った方、たくさんいるんじゃないかな(笑)?
でもこれがすごくいい思い出になるんですよね、不思議と。

多彩な敵キャラ
このタイトルには、個性豊かな敵キャラがわんさか登場します。
パンクなやつ、ビア樽みたいなやつ、グリーンベレーみたいなやつ、そして色っぽい姉ちゃんと思ったら…ジェンダーレスだったやつ、みたいな(笑)。

その一人一人の動きがそれぞれ個性にあふれており、時折発するサンプリング音源での声もまた、彼らを生き生きとさせていました。
そして面ごとに登場するボスもドレッドなラッパー系、日本かぶれのズレたサムライ、不良悪徳ポリスマンなど、個性のオンパレードです。
今にして思えば、その後世界的にヒットする『ストリートファイターⅡ』での、キャラクターメイキング手法の源流がここにあったように感じます。
ムフフなデモ画面
最後に、思春期真っ盛りの男子学生の視線をくぎ付けにしたのが、デモ画面で流れていた囚われのジェシカの姿です(笑)。
このゲームの目的は簡単に言えば

ワルにさらわれた彼女(娘)を取り返せ!
というものです。コーディーにとっては彼女、ハガーにとっては愛娘、それが囚われのジェシカなんですね。
そのジェシカが…なんとも…煽情的な格好にさせられていて…誰もがついつい横目でチラリと見てしまうわけですよ、そのデモ画面を(笑)。

それもまた『ファイナルファイト』を語る上では外せない強烈な思い出だと、個人的には感じています(苦笑)。
おわりに
クリアは…全然できなかったですね。3面のボスにたどり着くので精一杯でした。
ただ当然スーパーファミコン版の『ファイナルファイト』も購入しましたし、PS2の『カプコンクラシックスコレクション』でも、アーケード版で遊びましたね。
『カプコンクラシックスコレクション』は無限コンティニューができるので、それでなんとかクリアしました(苦笑)。
一番好きなキャラはガイでしたね。3人のキャラの中で、一番ジェシカとは遠縁なのに、義侠心でギャング団に立ち向かっていく男気がカッコよくて好きでした。
といいつつも、コンティニュー画面の悲惨な末路を見ると


一番貧乏くじ引いているよな…
とも思いながらプレイしていましたけどね(笑)。

天地を喰らう

本宮版三国志『天地を喰らう』とは
高校時代は『三国志』にどっぷりとハマっていた時期でして、吉川英治の『三国志』はもちろんのこと、親からもらった昼飯代をやりくりしては、横山光輝の『三国志』のコミックスを買いあさっていました。
その三国志愛は本宮ひろ志版の三国志である『天地を喰らう』をも当然網羅しており、ジャンプ連載時(1983年~84年)には小学生だったために

ちょっと…よく意味がわからない内容だな…
と感じていたこの作品も、数年後にあらためて愛蔵版のコミックスを購入することで

なんだこれ、めちゃくちゃおもしれーじゃん!
なんで連載打ち切っちゃったんだよ!
と、その作品の面白さを再確認していたのです。
…こんなマンガだったんですよ。かなり荒唐無稽で天界とか魔界とかまで出てきちゃうんですけど、そのスケールの大きさがまた本宮先生っぽくていいんです。
魔界編が終わった後は一応通常の歴史モードに戻るのですが、呂布、董卓と、登場するキャラがいちいち強烈に描写されているので、ひじょうに印象深い作品となっておりました。
勝負師! カプコン!
ですので、このタイトルがアーケードゲームとしてリリースされたときはびっくりしましたね。
それはどちらかというと

まさか『天地を喰らう』がゲームになるとは…!
という、意外性のびっくりの方でした。
というのも、『天地を喰らう』は数年も前に連載が終了した上に、爆発的に人気が出た作品ではなかったからです。
そんなどちらかというと“知る人ぞ知る”というマンガの版権をわざわざ取って、敢えてアーケードゲーム化したカプコンの勝負師ぶりにびっくりしたわけです。
しかも当時はこの作品のアニメ化や映画化の話もまったくなかったし、リメイク作品が連載されるという話も皆無でした。つまり、カプコンには何一つ旨味がない版権物だったのです。
ですので、なぜカプコンがこの作品に白羽の矢を立てたのか、いまだに謎なんですよ(苦笑)。
もちろん光栄等の影響で三国志が市民権を得てきている時期ではありました。ですのでカプコンが三国志の世界観をコンテンツとして狙うのは

あるかもな~
とは思うんです。
でもそこで『天地を喰らう』で勝負を賭けようとした英断がすごいんですよ。これ誰がGOサインだしたんだろう(笑)? 相当な本宮ファンがカプコンにいたのかな?
だって企画書を書いて

本宮ひろ志の『天地を喰らう』で行きましょう!
と熱弁しても、絶対に社内の空気は

…そのマンガ知らないんだけど。
本当にインカム稼ぐほどの集客力があるの?
となったはずなんです(苦笑)。ああ、本宮先生、ゴメンなさい(苦笑)。
ですので、この企画がまかり通ったこと自体、奇跡だったのではないかと(笑)。ただ個人的には

カプコン、渋いとこ突いてくるな!
わかってんじゃん!!
と絶賛でしたけどね。とはいえ、これはかなりのレアケースな反応だったのではないか、と思います(笑)。
ファイナルファイトの先輩?
ゲームの内容は、『ファイナルファイト』の三国志バージョンです。あ、元も子もないか(苦笑)。
ただリリース時期としては『天地を喰らう』の方が半年ほど先でしたので、正確には『ファイナルファイト』の基盤を作った“ベルトスクロールアクション三国志”という言い方が正解なわけです。
ですので、『ファイナルファイト』はこの作品のノウハウを生かして、ベルトスクロールアクションの金字塔となった、と言えるのかもしれません。
このタイトルは若かりし日の劉備の義勇軍による黄巾賊討伐から、当時朝廷で横暴の限りをつくしていた董卓討伐までを、その舞台背景としています。
ですのでプレイキャラは
- 劉備玄徳
- 関羽雲長
- 張飛翼徳
- 趙雲子龍
という、劉備自身と早くから劉備に使えていた武将の4名で構成されています。

そして『ファイナルファイト』同様、それぞれの身体能力において特徴と差があり、選んだキャラによってゲームの難易度が変わってきます。
逆に『ファイナルファイト』と違うところはキャラのレベルアップがあり、その成長の仕方でキャラの差別化を行っていました。
レベルアップすると使用する武器がグレードアップするのですが、そのあたりは流行のRPG的な要素を加えている感じがしましたね。
本宮趙雲にホレる
使用キャラはもう、趙雲子龍一択です(笑)。
まず誰がどう見てもビジュアルがカッコいいです。本宮マンガにおける王道のイケメンであり、青い鎧はデザイン的にもヒーローが装着するそれです。

これだけ揃っていると、中二病真っ盛りな年頃としては、彼を選ぶ以外の選択肢はないんですよ(笑)。しかも彼は初心者向けの、扱いやすいキャラでもありました。
また、個人的には

あの本宮趙雲が、こんなに生き生きと動いている…!
という感慨もありました。
というのも彼、マンガの中では登場したとたんに連載が終了するという、とても消化不良な扱いを受けたキャラだったんですよ。
初登場シーンでは2ページ見開きでならず者を正義の剣で成敗するという、めちゃくちゃカッコいいデビューを果たしているんです。
あのビジュアルでこんな派手なデビューをしたものだから、当然私はその時点で

なんか、カッコいいやつ来たーーーっ!!
と、彼の虜ですよ(笑)。なのにその数週間後には連載が打ち切り。
幼心にも

あれ…?
あのカッコいいキャラ(小学生だから名前を覚えられない)、これでお役御免?
と、彼の不遇さに同情したものです。
そんな気持ちを心の奥底に引きずっていたものだから、数年経って彼がゲームとはいえ、主力キャラで画面狭しと大暴れしているのを見たときは、けっこう感慨無量だったんですよ。
そんな幼き日の想いもあったので

あの本宮趙雲が、こんなに生き生きと動いている…!
と感動してしまったんですね。
そしてそんな魅力的な趙雲子龍は、その後の趙雲像に大きく影響を与えたと、個人的には感じております。
特に光栄の『三國無双』における趙雲子龍は、

本宮趙雲の影響を色濃く受けてデザインされたんじゃないかな…?
なんて勘ぐっていますけどね(笑)。
プレイの思い出
ああ、脱線ばかりで全然ゲーム本編の感想を書いていませんでした(苦笑)。
ただ…ぶっちゃけこのタイトルについては、これ以上の思い出はないんですよ。なぜならばプレイが下手くそすぎて、全然先に進めなかったからです(苦笑)。
特に右攻撃と左攻撃で別々にボタンを使い分けなければならない仕様が、私のテクではどうしてもついていけなくて。
ただ面のボスを倒すと、迫力の本宮一枚絵が挿入されたり、攻撃時に

ぬぬぬ! でやぁ!
といったボイスがでるのは印象深かったです。でも…それ以上は…(泣)。

万事がこんな感じだったので、そこを解消した『ファイナルファイト』は、やはり遊びやすいと感じてしまいますね。
その後の『天地を喰らう』
その後、このタイトルは『天地を喰らうⅡ 赤壁の戦い』という続編がリリースされました。1がそれなりに評判がよかったからなのでしょうか。
『天地を喰らうⅡ 赤壁の戦い』では、使用キャラが関羽、張飛、趙雲、黄忠、魏延の準五虎大将となっており、馬超ファンが憤慨した形となっています(苦笑)。
まあ赤壁の戦い時はまだ馬超、劉備軍に参入していなかったですからね。仕方ないでしょう。
さらにはファミコンでもRPGとしてこの『天地を喰らう』がリリースされます。これはかなり遊びましたね。とてもよくできたRPGでした。
こちらもアーケード版同様Ⅱも発売され、どちらも遊びやすくて相当にハマった記憶があります。
このように、初リリース時には

まさか『天地を喰らう』がゲームになるとは…!
という驚きしかなかったこのマンガのゲーム化ですが、結果から見ればカプコンはきちんと版権料分の稼ぎを得たのではないかと思われます。
そう考えると、この作品のゲーム化を推し進めた方の慧眼が、あらためて評価されるべきだと思いますね。
そして本宮先生にしてみれば

まさか連載後に数多くの三国志キャラのデザインをすることになるとはなあ~
と、作品連載中では果たすことのできなかった仕事を、ゲームにおいて成し遂げるという、なかなかイレギュラーなご経験をされたのではないのかな、なんて思いますね(笑)。

ストライダー飛竜

ゲーセンで唯一のワンコインクリア
カプコンが1989年にリリースした『ストライダー飛竜』は名作の誉れ高く、根強いファンを持つタイトルです。
実はこれ、私にとっては本当に思い入れが深いアーケードゲームなんですよ。
というのも、私がゲーセンで唯一ワンコインクリアできたタイトルが、この『ストライダー飛竜』なんです。
もうそれ以外はね、志半ばで

……無念なり…
となったタイトルばかりで。ゲーセンの利益率アップに大きく貢献していた、カモネギ高校生でした(苦笑)。
そんな有野課長ばりのいいお客さんが一念発起して、このタイトルクリアに向けて本気で取り組んだわけです。
そう、思えば学校の定期テスト対策よりも、こちらを優先させていたなあ(笑)。
ここがスゴいよ、ストライダー飛竜
ではなぜそんなモチベーションがこの『ストライダー飛竜』には生じたのか。当時の私が惚れ込んだ理由を記していきたいと思います。
多彩にアクションしまくり
このタイトルを初めてゲーセンで見たときに、キャラクターの多彩で派手なアクションに魅了されてしまいました。
一番印象が強かったのが、側転をするように大きく浮遊するジャンプフォームですね。さらにそこから鉤爪を駆使して上のフロアにクルクルとよじ登っていく動きがとてもトリッキーかつアクティブで、

なんか派手でカッコいいぞ!
…操作してみたい!!
という気持ちにさせたんですよね~。
その他、刀(サイファー)攻撃、スライディング、よじ登り、天井移動など多彩なアクションがありました。

それらとステージ特性が組み合わさることで、飛竜は画面上を縦横無尽に動き回ることになり、プレイヤーだけではなく、後ろで見ているギャラリーをも楽しませる映像演出がありました。
そしてそれらスピーディーかつアクロバティックなアクションは、飛竜が持つキャラクターである“忍者を祖とする裏エージェント”というイメージを十分に表現しています。
それはゲームの舞台設定とゲームシステムが高度にリンクしていたことを裏づけており、プレイヤーのインカムを誘う大きな要因となっていたと思われます。
そんな飛竜のアクションは、今でいうところの“パルクール”に近いのかな、なんて思うことがありますね。
あの動きがプレイ中ずっと続いているような感覚。そりゃカッコいいですよね(笑)。
設定が中二病を刺激しまくり
そして飛竜のキャラ設定が中二病を刺激しまくった、というのもすごさの一つでしょうか。
- 忍者の末裔
- 暗躍集団ストライダーズ所属
- 戦闘、諜報のプロフェッショナル
- 最年少A級ストライダー
どうですか。少年ジャンプをこよなく愛する高校生にとっては、ヨダレもののキャラ設定じゃないですか(笑)。

それはまさに『料理の鉄人』で鹿賀丈史が

“忍者”をベースに“戦闘”と“諜報”という下味をつけ、“暗躍”のスパイスを適量。
そして“プロフェッショナル”な技術で一気に調理。
腕をふるうのは“最年少”で“A級”調理師となった天才シェーーフ!!
なんて紹介しちゃうんじゃないかと思うくらいの魅力あふれる設定であり、鼻腔をくすぐるその料理には、とてもじゃないけど抗えませんでしたね(笑)。つまりは

いただきます!
と両手を合わせて、硬貨を挿入するのは不可避だった、ということです。
さらにはその舞台設定が、独裁者(グランドマスター)によって統治されている、近未来サイバネティクス世界であったのも、少年の心を大きくくすぐりました。
そしてそんな強大な権力機構の中にただ一人で潜入し、破壊工作および暗殺を遂行するという影のミッションが、たまらなくカッコよかったですね。
キャラが個性ありまくり
前述のように、プレイヤーキャラである飛竜については垂涎ものの魅力と個性がありましたが、このタイトルに登場するその他キャラも、彼に負けないくらいの魅力あふれる個性を放っていました。
個性ありまくり味方キャラ
味方においてはオプションキャラに
- キノコ型ロボット
- サーベルタイガー型ロボット
- タカ型ロボット
が登場し、どれもがメカニカルで個性豊かです。

そして彼らは桃太郎に付き従う犬・猿・雉の如く、一生懸命に飛竜をフォローしてくれるんですよ。ただ知らぬ間にいなくなっていることも多く、

…意外と忠誠心は薄いんだな
というほんのりとしたツッコミをプレイヤーに感じさせる、愛らしいキャラでした(笑)。
そしてサーベルタイガーとタカについては、そのデザインとモチーフから

バビル二世かな?
と、ロデムとロプロスが脳裏によぎった方も多かったかもしれませんね(笑)。
個性ありまくり敵キャラ
敵キャラはもっと個性のオンパレードです。
- 『ロッキー4』のドラゴ感プンプンな強化人間“ストロバヤ”
- 20人を超える人が合体したムカデ“ウロボロス”
- 『スターウォーズ』感プンプンのロボ殺し屋“ソロ”
- 『キングコング』感プンプンの巨大メカゴリラ“メカポン”
- 『香港カンフー映画』感プンプンの中華な三姉妹拳士“東風三姉妹”
- 『ネバーランド』感プンプンのヒゲ船長“ひげ丸ジュニア”
- メカニカルな恐竜“ラゴウ・メカニック”
このように箇条書きにしているだけでも、入力する言葉が個性的すぎて、タイピングしながらついつい笑ってしまいます(笑)。
さらには、どいつもこいつも素敵すぎるほどの“元ネタオマージュ臭”を濃厚にお持ちです(苦笑)。ただそのオマージュのおかげで、このタイトルが表現したい“世界観”は、より瞬時にプレイヤーにお届けできたとも言えるでしょう。

つまり説明を受けることなく“闘うべき組織”のポテンシャルが想像でき、プレイヤーは

なるほど、アレのあんな感じか
といった感じで、このタイトルの舞台背景やディティールを容易に理解できるんですよね。
そして彼らは元ネタキャラの力を借りつつも、『ストライダー飛竜』という作品内において、まばゆいほどの魅力を振りまいていたのです。
演出がハリウッドしまくり
このタイトルは、ステージ開始前にシネスコのような形でショートドラマが挿入されます。これがまた映画のような雰囲気を存分に醸し出しています。
しかも音声合成を駆使し、キャラクターに英語、中国語、日本語と複数の言語をしゃべらせ、そこに字幕を挿入することで、その映画的効果をさらに増しているんですよ。
そしてこの多言語演出は、プレイヤーに対して国際色豊かな印象を与え、A級ストライダーがまさに世界をまたにかけて暗躍している様を、強烈にイメージさせてくれました。

また、飛竜が駆け巡るステージは
- カザフシティ(カザフスタン)のモスク周辺
- シベリアの雪山と無人発電所
- 空中戦艦バルログと反重力装置
- アマゾンとアマゾネス
- 第三の月の都
とバラエティに富んでおり、その一つ一つのステージが、そのままハリウッド映画の舞台背景になりそうです。
1と2では東西冷戦をテーマにしたスパイ物、4では未開の地を冒険する考古学者物、3と5では近未来SF大戦物と、

まるでハリウッド映画の宝石箱や!
といった感じで、プレイヤーをハリウッドの世界に誘ってくれるのです。
この“これでもか”と言わんばかりのごった煮ステージ設定は、このタイトルがエンターテインメントを貪欲に追求したタイトルであったことを、如実にあらわしていると思います。
飛竜のセリフがイカしまくり
これはもう有名なセリフというか、名言なんですけどね。
前述した挿入ドラマにおいて、飛竜が敵の空中戦艦に対して一言物申すシーンがあるんですけど、そのときのセリフがイカしているんですよ。

空中戦艦バルログあるかぎり
世界は我々のものだ
とのたまう敵に対し

きさまらにそんな玩具は必要ない
と斬り捨てて、単身破壊工作に赴くんです。カッコいいでしょう(笑)? もうね、

『ストライダー飛竜』といえばこのシーン!
と目が輝いちゃう方は、私だけではないはずです(笑)。

ワンコインクリアへの道
このように、さまざまな点で私を魅了しまくった『ストライダー飛竜』。
ただ、皆さんに大事なことを言い忘れていました。この時点で私…
そう、上記の感想はすべて
なのです(笑)。
いや、冗談抜きの話で、ギャラリーとしてそのプレイを見ているだけでも本当に面白かったんですよ。
そしてゲーセン歴も3年目を数えるほどになっていたので、アクションゲームにおける自分の実力というものは、ある程度認識していたわけです。
そんな私がこのタイトルに対して直感したのは

こいつは…オレの手には負えないな
というものでした。身の程を知る、という感じですかね(苦笑)。
ですので、飛竜を縦横無尽に操るゲーマーのプレイを“じ~~~っ”と見ていただけだったんですね。
ただそれをずっと行っていると、

そこでジャンプ

二回打ったら一歩下がる

下のルートから入って
二つ目の足場から上へ
といったように、このゲームの攻略法を丸暗記してしまったんです。
その精度は自分で言うのもなんですが、かなり正確だった記憶があります。そう、私はギャラリーとして他人のプレイを凝視し続けていたおかげで、脳内イメトレの修練を相当につんでいたんですよ(笑)。

そしてふと好奇心がわいたわけです。

これ…ワンチャンやれそうじゃね?
みたいな、チャレンジ精神ですよ。
で、ドキドキしながら硬貨を投入し、スティックを操ってみると…

やばい!
オレってばけっこうデキる!!
という、好感触な結果を得たんですね。
もちろんいきなり最終ステージに到達、みたいなことではなかったんですけど、初プレイで普通に3面くらいまで行けたんじゃないかな?
ただアクション下手にとって、初プレイでこの結果というのは、クリアをしたのと同等の価値があるわけです…ちょっと言い過ぎか(笑)。
でもこれによって

こいつをやっていける自信がつきました
というマインドになったのは確かでした。正直な話、ゲーセンのゲームでこんなに手応えを感じたタイトルはありませんでしたからね。
となると、あとはイメトレで学習した動きと実際のレバー操作とボタン操作での動きのズレを補正するだけでした。
いやホント、そのアジャストだけで、どんどんプレイ時間が伸びていったんですよ。そりゃそうですよね、正解のルートと動きは完璧に頭の中に叩き込まれているんですから。
この“やればやるほど結果が伴う”という現象は、ゲーム下手にとっては痛快でしたね~。今までは

100円投入してプレイ時間3分
なんてこともザラだったので、

100円投入してプレイ時間20分
というプレイ時間は、費用対娯楽効果(笑)において抜群のパフォーマンスを発揮したといえるわけです。めったにないですよ、こんなこと。
そして…! 私はとうとうゲーセンのアーケードゲームにて、夢のワンコインクリアを達成したのです。あの時の達成感は本当に忘れられないなあ。その代わり勉強の達成感が犠牲になったけど(苦笑)。
さらにプレイをしていた私の後ろには、多くのギャラリーもいました。ちょっと前までは自分もその中の一人だったのに、

オレがこの中心にいるなんて…!!
と、感慨もひとしおでした。
しかし私はそれに対して得意気になるわけでもなく、クリア後のネームエントリーを終えた後は

さてと、もう行かないとな
と、いかにも“クリアして当たり前”という表情を演出しながら、クールにその場を立ち去ったわけです…すみません、ただの自己満足です(苦笑)。
そしてその後は、訪れたゲーセンにこのタイトルがあった場合は

軽く肩慣らしで『ストライダー飛竜』でもクリアしとくか
といったような、ゲーセンにふらりと現れてはサッとゲームをクリアして去っていくという、“スゴ腕のゲーム風来坊”のような気分を堪能できました。

こんな気分を味わえたのは、人生で唯一、このタイトルだけでしたけどね。ただ現実には誰も私のことを“スゴ腕のゲーム風来坊”とは見なしていなかったことをお断りしておきます(苦笑)。
なぜ下手くそがワンコインクリアできたのか
でもなんでこんなアクション下手の私が、このタイトルだけクリアできたのでしょうか。
もちろん前述したように、他人のプレイを見まくった、というイメトレも、その大きな要因ではあるのですが、今から考えると以下の2点も大きな要因だったのではないかと思います。
操作性が抜群によかった
私はイメトレで得た動きをトレースすることでゲームのクリアに至ったのですが、もし操作性がダメダメだったならば、イメージの動きが再現できずに、そこに至っていなかったと思うんですよね。
そう考えると、イメージを再現する操作性がこのタイトルは抜群によかったのだと思います。
あれだけ多くのアクションをこなす飛竜に魅了されてこのゲームに手を出したので、自分の思ったようにそれが叶うのはとても痛快で、そのレスポンスのよさには大きく助けられたのだと思います。
攻略パターンが限定的で覚えやすかった
『ストライダー飛竜』は派手でエンターテインメント性あふれる作品なのですが、その攻略方法は意外と限定的だったように思えます。
もちろん細かい部分では、プレイヤーによって攻略方法の差があるかもしれませんが、核となる部分はけっこう一本道だったような気がしますね。
つまり決まった流れ、決まった動きをしっかりと覚えさえすればある程度進める、という側面が大きいゲームだったように感じます。

ですので他のプレイヤーのプレイを暗記していた私にとっては、攻略法に余計な遊びが少ない分、惑わされることなくその一本道に集中でき、結果ゲームのクリアにつながったのではないのかな、なんて思っています。
カプコンの飛躍とストライダー飛竜
そんな思い出深い『ストライダー飛竜』ですが、このタイトルが業界を揺るがすヒットを飛ばし、評価を得たのかというと、そうでもなかったですね。
いわゆる“ゲーセンに数多ある中の一ゲーム”というポジションだったと記憶しています。
ただこの80年代後半に良質なタイトルを堅実に発表し続けたことがカプコンの地力となり、数年後訪れる『ストリートファイターⅡ』での驚異的なセンセーションにつながったのではないのかな、という気がしています。
また、作中に登場する“空中戦艦バルログ”、“東風三姉妹”については、

『ストⅡ』のバルログや春麗の元ネタかなあ?
なんてことを想像し、ゲーム業界の歴史や裏話に思いをはせたのも、なかなか楽しい思い出です。

そして、このタイトルがメガドライブをはじめ様々なハードに移植され、21世紀になってもリメイクや続編が制作される姿を見ていると、

この作品の影響でクリエイターになった人も多いのかな?
なんていう、大ヒットはせずともその類まれなるセンスは確実に未来のクリエイターの胸に届いていたような気がして、ちょっと嬉しくなりますね(笑)。
おわりに
以上、アーケード版『ストライダー飛竜』についての思い出でした。
おそらく高校三年間のゲーセン通いキャリアの中でも、一番真剣に取り組んだゲームがこのタイトルだったのではないでしょうか。
それくらいこのタイトルの舞台設定、キャラクター、アクション、演出、グラフィック、操作性は魅力的かつクールであり、今なお色あせていないと感じています。
ホント、おすすめのタイトルなので、未プレイの方はぜひプレイをしてみてください。
でも…その真剣さの1%でも受験勉強に傾けていれば、浪人生活というルートはひょっとしたら回避できていたかもしれませんね…(苦笑)。ではまた。

その他印象的だったタイトル
他にもいろいろと思い出深いタイトルがありますが、キリがないので一言雑感で紹介して終わりにしますね。
R-TYPE II(アイレム)
シューティングゲームに革命を起こしたと言っても過言ではない『R-TYPE』の2作目です。

これはテンションあがるぜ~っ!
と思ったのですが…もう私ごときの腕ではついていけない難易度になっていました。
いや、下手くそだからなんでしょうけど、1面もろくにクリアできないんですよ。そうなると、短時間でお金が飲み込まれる状況になってしまって。
ですので早めに見切りをつけてしまった感があります。その後PSPでダウンロードしたんですけど、やはり1面すらクリアできませんでした。
当時の現象はどうやら夢ではなかったようです(苦笑)。
スーパーモナコGP(セガ)
『パワードリフト』同様、スプライト拡大縮小機能を使用した疑似3Dレースゲーム。
高速に流れる街並み、ウォール、コースのアップダウンを見事に表現しており、当時の疑似3Dゲームとしては最高峰だと思われます。
当時はマクラーレン・ホンダを駆るセナやプロストが無敵状態であり、バブル景気も相まって日本にF1バブルが到来した時期でした。
そんな世の流れにもマッチしたタイトルであったのですが、タイムをシビアに競うゲームという性質上、ライトユーザーにとっては敷居が高かったです。
ステアリングにはフォースフィードバックも採用されていたようで、現在のレースシミュレーターで使うハンコンの先駆けのような、バーチャルな仕掛けもあったんですけどね。
そして久々に動画をあらためて観ると…

コースが全然モナコレイアウトじゃないじゃん!
ということに気づいてしまいました。なまじF1をよく鑑賞するようになったので、わかっちゃうんですよ(苦笑)。
まあ誰もそこの整合性は求めていなかったと思われるので、流れる街並みでモナコっぽさが出ていればよかったのでしょうけどね(笑)。
クォース(コナミ)
このタイトルはプレイしたことがないのですが

なるほど、こう応用してきたか
と、けっこう感心してしまった記憶があるタイトルです。
要は不ぞろいのガタガタした図形に対してドットをあてがうことで整形していき、きれいな四角にしていくゲームです。
そう、お気づきかと思われますが、

これって『テトリス』の逆じゃん
というコンセプトでした。
前年のリリース以来、社会的なブームとなっていた『テトリス』を、コナミがうまく応用したゲームだったんですね。
その抜け目のなさといいますか、改良思考といいますか…見事だな、と思いました(笑)。
おわりに
以上、私が高校3年(1989年)時のアーケードゲーム雑感でした。
やはりカプコンの勢いが凄まじかった、という印象です。ここからさらにカプコンは発展していき、数年後の『ストリートファイターⅡ』にて最盛期を迎えるわけです。
これにて一旦ゲームセンター思い出シリーズは完結となります。長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。ではまた。


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