FILE.18-5 ファミリーコンピュータ その5

オレ流80's
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80年代、高校2年の私を狂わせた家庭用ゲーム機

 今回は、私が高校2年(1988年4月~1989年3月)のときにプレイしたソフトの雑感を書いていきたいと思います。

信長の野望・全国版(光栄)

▲カタカナのフォントがないんですよ…

 私が生まれて初めてプレイしたシミュレーションゲーム(SLG)です。それまでそのジャンルに対しては

あんな数字が羅列しているようなゲームをして、何が面白いのかな?

という印象があり、あまり食指を動かされませんでした。

 ただ友人が「面白いからやってみな」とこのソフトを貸してくれたので、せっかくだからとプレイしてみました。

 元々歴史は好きで、戦国武将にも興味があったので、ゲーム背景に戸惑うことはありませんでした。上杉、武田、毛利、長宗我部などの武将がどのあたりを治めていたか等は、予備知識としてありましたからね。

 しかしゲームが始まると、何をしてよいかがわからず、かなり戸惑いました。画面に表示されている情報量が多すぎて、何が何やらわからないんですよ(苦笑)。

 そのように戸惑っている間にも、画面下部からは、コンピューターが操作する大名が精力的に動いている様子が次々と報告されるわけです。

 安房の里見氏が1ターン目で相模の北条氏に滅ぼされたり(笑)。もう自分だけが何もできず、置いてきぼりにされている気分を味わいました(苦笑)。

▲下のアニメーションはかわいらしい(笑)

 ですので、攻略のヒントを友人から聞くなり、自分でいろいろと試してみるなりして、徐々に効果的・効率的な進め方を会得し、なんとかクリアすることができました。

 初回は長宗我部氏でクリアしましたよ。信長じゃねぇのかよ、って感じですが(笑)。

 ちなみに効果的な進め方のポイントの例としては

  1. 初期は隣国の弱小大名を暗殺し、領地を空白地にする。
  2. そこに軍を入れて自国とする。
  3. 敵に侵攻されない絶対安全国を作り、生産特化国とする。
  4. そこで生産した米を高値のときに売る。
  5. そのお金で兵士を買い、隣国を侵略する。
  6. 中盤からは人海戦術でゴリ押しして全国統一(笑)。

こんな感じです。人によってオススメな戦略が他にもあると思いますけど。

 上記のようなコツをつかむと、あとはサルのようにいろいろな大名でプレイしまくりですよ。上級者が必ずやるのが、弱小大名を使っての全国統一です。

すごい、別所氏で統一したぜ!

みたいな(笑)。完全な自己満足です。

▲HEX画面での戦闘にも慣れました

 友人と一緒に8人プレイも何度か試みました。

ガチで生き残り合戦だ!

なんて意気込んでプレイするのですが、時間がかかりすぎてなかなか直接対決にならずに解散、なんてことも多かったですね(笑)。

 その他、個人的には大名のグラフィックスが好きでした。写実調で渋いんですよ、基本的に。そこがリアルで感情移入しやすかったです。

▲渋い面々。明智と羽柴はイベントの“本能寺の変”が発生しないと登場しません

 これが変なアニメ顔だったら、ちょっと萎えちゃったかもなあ? ちなみにメーカーの光栄は、その後のシミュレーションゲームもこの渋顔路線だったので、プレイする側としては嬉しかったですね。

 結果的にこのゲームは、私にアクション、シューティング、RPGというゲームジャンルの他に、シミュレーションというジャンルも面白いということを教えてくれました。

 そして私のゲーム守備範囲をイチロー並みに大きく広げてくれたのでした(笑)。

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真田十勇士(コトブキシステム)

▲タツノコプロっぽいビジュアル

 先ほどの『信長の野望』でも書きましたが、当時は戦国時代や武将に興味が湧いていた時期でして、海音寺潮五郎とか司馬遼太郎とかを読んだりしていたんですよ。

 そんな少年が必ずや辿り着くであろう武将が真田幸村でして、大敵に孤軍で挑んでいくという痛快さやカッコよさ、長いものに巻かれない反骨的な生き方に、判官びいき精神をくすぐられまくり、それによるヒロイズムにどっぷりと浸かることになるわけです(笑)。

 さらに幸村には優秀な10人の忍者がいて、様々な場面で彼を助けていた、なんて物語もあり、“反骨ヒーロー × 忍者”という、中2病患者を重症化させるには十分すぎるその設定に、私は完全にしてやられたわけです。

カッコいいじゃねえか、霧隠才蔵!

みたいな(苦笑)。

 そんな感じでしたので、この『真田十勇士』というタイトルが発売されると知るや、いかに発売メーカーが怪しめなコトブキシステムであろうとも(失礼)、“購入待ったなしだぜ”状態になってしまったわけです(笑)。

 で、実際のゲームですが、かなりよくできていたと思います。

 このゲームは既存のRPGの概念を壊すことに果敢にチャレンジしていて、その最たるものが“レベルをなくした”ことです。

レベルがないって、じゃあどうやってキャラクターを成長させんのよ?

と思いますよね。

 このゲームはHPが兵力に置き換えられており、その兵力は道中でエンカウントした敵と交渉し、自軍に引き入れることで強くなるんですよ。

▲甲賀忍者をスカウトしました

 また、猿飛佐助を筆頭とした十勇士を徐々に仲間にすることでも、パーティーが強くなります。

 最終的には幸村 + 十勇士の、計11名のキャラクターと、それぞれの配下の兵隊軍団の総数がパーティーの全戦力となり、レベルアップの代わりとなっています。

 これはなかなかに斬新でしたね。敵を仲間に誘うというシステムが、『デジタルデビル物語 女神転生』に似ていて面白いと感じました。

 そしてその仲間の忠誠度を維持するのに俸禄を与えなければならないこと、その俸禄である兵糧が、相場によって金額が変わるなど、やや光栄のSLGシミュレーションゲーム的な匂いを漂わせていて、戦国物ソフトのイメージをより高める演出となっていました。

 幸村や十勇士はそれぞれ侍、甲賀忍者、伊賀忍者、僧兵といった出身属性をもち、その属性によって相性のよい敵、悪い敵があったり、敵を仲間に勧誘する場合は同属が有利だったりといった、キャラクターの個性づけがされていて楽しかったです。

 慣れてくると最適解がすぐに分るので、やっていて気持ちがよかったですね。

 さらに、キャラクターデザインが可愛らしくて好感を持てました。

 70年代から80年代初期の、子ども向けアニメキャラのような感じで、オタク臭がしていないんですよね。見ていて取っつきやすかったです。

 ただイベントシーンに挿入されるグラフィックはリアル志向という、よくわからないところもありました(笑)。

 個人的にはこちらも嫌いではなかったので別に構わなかったのですが、統一感がないよな、とは思いましたね。

▲かわいいキャラクター

 ゲームシナリオは正直あまりよく覚えていないです(苦笑)。ただ飽きることなく淡々とクリアするまでプレイできた記憶があるので、それなりに楽しくサクサクとプレイできたのでしょう。

 そんな優秀なタイトルだったのですが、一点だけ難がありました。それは…幸村の歩く速度が遅い(苦笑)。これにはかなりウンザリした記憶がありますね~。

 このタイトルでまず思い出すのがそれなので、当時リリースされていた他のRPGソフトと比べても、相当遅かったんだと思います。これさえなければもっと完成度が高いタイトルだったんだけどなあ。

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三国志 中原の覇者(ナムコ)

▲いわゆる“ナムコ三国志“です

 前述したように、歴史や武将に興味を持っていた私は、日本史だけではなく三国志にも手を出していました。

 そして『信長の野望』でSLGの面白さを知った私は、次に光栄からリリースされる『三國志』を心待ちにするほどまでに成長していたんです(苦笑)。

 ところがこれがなかなか発売されない。私が記憶する限り、リリースが決定してから何回か発売延期をしていたと思います。

 そんなおあずけを食らっている最中に発売されたのが、ナムコの『三国志 中原の覇者』でした。

 正直いって買うつもりはなかったんですよ。なかったんですが…とにかく『三国志』のゲームがやりたかったんです(苦笑)。

 代償行為じゃないですが、とりあえずこれで欲求を満たすか、といった衝動買いに近かったですね。こう書くとひじょうにナムコに失礼ですが(笑)。

 でもこのタイトル、アタリでした。すごく面白くて熱中しちゃいましたね。光栄のような数字の羅列感が少なく、内政等がシンプルで取っつきやすかったです。

 このあたり、ナムコが光栄と差別化をはかってきたことがよくわかります。どちらかというとマニア受けのよい光栄に対し、ナムコはSLGのライトユーザーをターゲットにしていたと思われます。

 それは戦争フェイズの演出にも多分に現れています。

 HEX画面における計略はバラエティに富んでおり、それはRPGにおける魔法に似ていて、RPG慣れしたSLG初心者に対して取っつきやすさを演出していました。

▲計略が魔法っぽいです

 武将同士の局地戦では4つの陣形が選択でき、歩兵、騎馬兵、弓兵がチョコチョコ動いた合戦模様(笑)を見せてくれます。

 この兵士の動きをプレイヤーは好きなときに指示でき、そのさじ加減で戦局を有利に進められるなど、このあたりもSLGながらACTアクションゲームの要素を取り込むという、ライトユーザーへの配慮が感じられます。

▲動きがかわいいんですよ(笑)

 そして武将同士が接触すると、一騎打ちとなります。1ターン毎に攻撃をしあい、体力を削っていく様は、RPGにおける戦闘シーンを彷彿とさせます。

 このように、戦争フェイズではあらゆる部分で演出を張り巡らせ、ライトユーザーのSLG流入の敷居を低くしています。

▲“キンキン”という金属音がします

 武将のグラフィックはお世辞にもカッコよくはありませんでしたね。光栄のリアル描写が好きな私としては、物足りないことこの上なかったです。

 ですがこのゲームの武将は、表情のアニメーションパターンが豊富で、人間味に溢れているんですよ。だから見ているうちにだんだんと愛着が湧いてきちゃって、途中からは可愛らしく感じていましたね(笑)。

 結果的には味があるキャラクター群という評価になりました。

▲関羽百面相です(笑)

 こんな感じでユーザーフレンドリーな部分が随所に現れていたゲームだったので、無事クリアはできました。

 そしてそのタイミングで光栄の『三國志』が発売されるわけです。夢の“三国志リレー”がここに完成ですよ(笑)。贅沢だったなあ。

 ちなみにプレステの『ナムコアンソロジー1』でこのタイトルの続編である『三国志Ⅱ 覇王の大陸』が収録されており、数年前にゲームアーカイブスからダウンロードして、どっぷりとハマった思い出もあります(笑)。

 いやあ、ホントにお手軽に楽しめるいいゲームでしたよ。

飛龍の拳II ドラゴンの翼(カルチャーブレーン)

▲ひそかに私のイチオシです

 前作である『飛龍の拳』は、友人から借りてめちゃくちゃにハマったタイトルでした。

 のちに『ストリートファイターⅡ』で花開く、対戦型格闘ジャンル黎明期のゲームで、1対1のいわゆるタイマン勝負を中心としたゲームでした。相手はコンピューターのみですけどね。

 その対戦システムは“心眼システム”というもので、自分や対戦相手のスキが表示された瞬間に、攻撃や防御を行い、その一瞬の判断を誤った場合はダメージを受ける、というシステムでした。

 このシステムは今でも画期的だと思っていまして、連続して続くスキの突き合いは、反射神経が大きく物を言う分、本当の格闘の雰囲気を味わうことができ、とてもスリリングでした。

 そんなどハマリシステムを継承したこの『飛龍の拳II ドラゴンの翼』は、リリース発表からとても楽しみでして、予約までした記憶があります(笑)。

▲赤い◎印が自分や相手のスキです

 実際にプレイした感想は、演出が派手になって、よりエンターテインメント性が増しながらも、核となる“心眼システム”の楽しさは損なわれていないな、といった感じでした。

 派手な演出の最たるものは、今回からキャラクターが変身するようになったことです。

 そのデザインがなかなかにカッコいいんですよ。聖闘士星矢というか、『天地を喰らう』の趙雲子龍というか、中2心(高2だったけど)をそそるデザインです(笑)。

▲龍戦士に変身です

 そして今回からは、主人公である龍飛には4人の仲間(龍戦士)が合流し、チームとなって敵と闘うストーリーとなりました。

 その展開は少年ジャンプ黄金期の、ヒットの方程式に準じており、当時の私ではなかなか抗うことは難しかったです(笑)。

 ちなみにこの4人はその後の続編でも主要キャラとなり、このタイトルでそのキャラクター設定の基礎が構築されることになりました。

 また、何気にBGMが素晴らしいです。

 音源が良い、ということではなくて、曲そのものに中毒性があり、今でもオープニングや戦闘シーンの曲を口ずさむことができます。

 このソフトの広告では、BGMについて

サウンドがすごい! 作曲は、あの坂本龍一と同じ芸大出身の天才音楽家が担当

とあり、かなり虎の威を借る狐のような表記にずっこけた記憶がありますが(苦笑)、しっかりと結果をだしているのでよしとします(笑)。

 ただ当時のカルチャーブレーンの広告は、上記のような誇大広告といっても否定できないくらいのギリギリさで攻めている印象はありました。子ども心にも

ちょっと広げる風呂敷が大きすぎないかな?

と思いましたから(笑)。

 そういえばファミコン雑誌の『ハイスコア』はこのソフトとタイアップをしていたのか、強くプッシュして連載マンガまで掲載していましたね。

▲水野晴朗やアントニオ猪木まで動員した大風呂敷広告(苦笑)

 クリアは無事にできました。そして大言壮語なニュアンスを感じさせた広告(笑)に対しても、結果的には大きく逸脱しない範囲で収まっていた、名作にカテゴライズされるに恥じないタイトルだったと思います。

 その後、対戦型格闘ゲームというものは、『ストⅡ』に代表されるように、自分のタイミングで攻撃、防御をするシステムが定番となるのですが、“スキの可視化”というこの“心眼システム”も、個人的には捨てがたいシステムでしたね。

 それだけにこのシステムが廃れてしまったのは残念でして、進化の過程で駆逐されてしまったイメージがあります。

 同じヒト型ほ乳類でありながら、ホモ・サピエンスに敗れたネアンデルタール人、といったところでしょうかね(苦笑)。

三國志(光栄)

▲しぶいオープニング画面

 先ほどナムコ版三国志で書いたように、発売日が遅れたこともあいまって、その発売を心待ちにしていたタイトルです。

 当時は吉川英治の『三国志』から始まり、横山光輝の『三国志』、そしてナムコの『三国志 中原の覇者』と、三国志に対するお勉強は万全でした。学校のお勉強は抜けまくりでしたけど(笑)。

 そしてとうとう本命の光栄版『三國志』を手に入れます。

 ソフトの値段がファミコン本体とイコール(14,800円)という衝撃も何のその、待たされた気持ちはそんな値段さえ乗り越えます。

光栄のソフトは高いのが当たり前

という刷り込みもあり、その価格が逆に

データがみっちりと詰まってるんだろうなあ

といった、SLGとしての箔をつけていた感もあります(笑)。

 君主は劉備でプレイです。吉川英治の『三国志』を読んだばかりだと、どうしても劉備に肩入れしてしまいますよね。

 まずは呂布を董卓から引き抜くことから『三國志』は始まります。基本中の基本ですね(笑)。そして内政と外交をチマチマと行うのですが、春先に『信長の野望 全国版』をプレイしていたこともあり、操作についてはいうほど戸惑いませんでした。

▲まだカタカナフォントは採用されていません(笑)

 このゲームは武将の知力が90を超えると軍師となり、プレイヤーの選択したコマンドに対してアドバイスをしてくれます。「よいおかんがえです」とか「ほかにやることはないのですか」といった感じです。

 このコンピューターがアドバイスをくれるというのが、当時は新鮮でしてね。

 ちょっとした人工知能感といいますか、コンピューターならではの未来感が感じられて、21世紀に向けた電脳社会を垣間見ることができました…ってちょっと大げさだけど(笑)。

 そうなると、がぜん興味が出てくるのが、本来バカと言われている脳筋武将を、軍師に仕立て上げることです。呂布とか張飛がインテリっぽくアドバイスをくれたら、さぞかし痛快だろうなと(笑)。

 で、せっせと彼らを教育しちゃうんですよ。1ターンで知力は1しか上がらないから、まあ時間がかかります。それだけに彼らが軍師としてアドバイスをしてくれた時は、ものすごい達成感がありました。偏差値30からの東大合格じゃないけど

あの張飛がよくぞここまで…

みたいな(笑)。

▲合成ですけどね。こんな感じです

 そんなキャラクター達のグラフィックは素晴らしかったです。

 色数は少ないけど、パソコン版等と比べても、出色の出来なんじゃないでしょうか。ファミコン版のドット絵を担当したデザイナーさん、素晴らしい仕事をしましたよね。

 リアル系できちんと書き分けができていて、イケメンキャラはとてもカッコいい。

 個人的には趙雲、馬超、周瑜、陸遜が好みでしたね。イケメンは使っていて気持ちがいいんですよ(笑)。彼らは特に能力値も高いし。

 ただ他のキャラクターもそれぞれ味があってよかったです。董卓なんて本当に悪そうな顔してるし(笑)、その他のおっさん然としたキャラも、そこら辺を歩いていそうなリアリティがあります。

 そうなんですよ、最近のゲームキャラクターは、こういった自然なおっさん顔が皆無なんですよね。アニメ顔イケメンばかりで。そこら辺、個人的にはつまらないなあと感じています。

▲誰が誰だかわかりますか?

 クリアはできました。その後は当然の如く弱小君主でプレイしたり、しばりプレイをしたりと、やり込み要素溢れるプレイを楽しみました(笑)。

 その他、キャラを題材にしたくだらない落書きマンガを描いて、授業中友人を笑わせたりしたのも、いい思い出ですね。

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グラディウスII(コナミ)

▲コナミ会心の一本です

 シューティングゲームはまったく得意ではないので、基本購入しないんですよ。ですがこのタイトルは買ってしまいました。

 というのも、ファミコン情報誌に掲載されている記事を見る限り、ファミコンの限界を超えているのがありありとわかったので、その技術を体感してみたかったんですよね。

 当時、ファミコンのスペックでアーケードゲームを再現するのは不可能でした。もちろんこのタイトルも、ニアリーイコールな結果は出せていません。

 ただ可能な限りの技術を駆使し、少しでもアーケード版に近づけようとしている様は尋常ではなく、技術者の意地とプライドが見えた一本でした。

 私が特に感動したのは、そのBGMです。これ…ぶっちゃけアーケード版を超えています。

 もちろん音質等は超えることができないのですが、メロディーはファミコン版の方がイカしていましたね。1面、2面、3面と神がかっています。

 先ほど音質は超えていない、と書きましたが、ファミコンの音源という観点からみると、限界をとうに超えています。それくらい素晴らしいです。

 しかもこのクオリティで、独立した音源チップを搭載しておらず、ファミコン元々の音源でこれを構築していると知ったときは、もう開いた口が塞がらなかったですね。

 グラフィックも当時の最高峰じゃないでしょうか。

 コナミは昔からグラフィックがきれいでしたが、ここまでのノウハウの集大成というか、“ファミコンの限られた色数でカッコよく見せる方法”を熟知し、その最高点を今回で更新した感じです。

 もう1面のプロミネンスから

おいおい!

って思いましたからね。ファミコンでよくここまでやったなと感動していたら、3面の氷のステージでまたびっくりですよ。

 氷というか、ちょっとアメジストっぽかったですけど(笑)、それでも攻撃を加えるにつれてそれが細かく分裂していき、破片が画面一杯にあふれていく様など、一昔前のファミコンでは技術的に考えられなかった表現ですから。

▲1面のプロミネンスです

 また、ボスの大きさも特筆物です。

 各ステージに当たり前のように大きなボスが登場し、しかもグリグリと動くので、ファミコンはそれが可能なスペックを持つハードなのだと勘違いしてしまうくらいです。

 いやいや、そうじゃないでしょと。数年前なら

できるわけない

100%無理

と即答されていたことを、創意工夫と技術で可能にしちゃったんですよ。それもすべてのステージで。

 3面ボスのクリスタルコアなんて、出会って一目見た瞬間に

ありがとう!!

という気持ちになりましたからね(笑)。

▲素晴らしい出来のクリスタルコア

 その他にも、とうとうオプションが4つついたり、それがローリングするアレンジがあったり、パワーアップの音声がきちんとあったりと、随所でプレイヤーを感動させる技術が多々見られたタイトルでした。

 残念ながら、私の方で技術力が不足していたために、クリアはできませんでしたけどね(苦笑)。

ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者 (任天堂)

▲ちょっと寂しげなオープニングです

 アドベンチャーゲーム(ADV)のシステムは昔から好きでした。

 基本的に静止画像とにらめっこしながら、そこかしこを調べてヒントを獲得し、ストーリーを進めていくことになるのですが、ゆっくりじっくりと考えられるプレイスタイルがしっくりきたんですよ。慌ただしくなくて。

 また、以前書いた『アドベンチャーゲームブック』の進め方にもノリが似ていて、取っ付きやすかったです。能動型紙芝居とでもいうんですかね。自分の考えで自由に話を進められるのが楽しかったです。

 もちろん“ゲームシナリオ”という見えない境界線の中をウロウロしているだけなので、制限の中での自由なんですけどね。

 そして任天堂がディスクシステム用に発売したADVアドベンチャーゲームが、この『ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者』です。

 このタイトルは前編と後編の2ディスクに分割されて発売され、そのことがとても印象深いタイトルでした。個人的には、ディスクを分割した効果として、以下の3つの点を挙げたいと思います。

①大作イメージを演出できた

 ゲームが2本に分割されて発売される、なんてことは、おそらくファミコンでは初だったと思われます。

 もちろんデータ容量の物理的要因がそうさせたと思うのですが、受け取るこちら側に

すごい、これは大作だ

というイメージを植えつけるには、十分な演出となりました…結果的に演出になっちゃった、という方が正しいと表現だとは思いますが。

▲これが噂の2枚組ディスクゲームです

 そのことは「ディスクシステムだからこそ、こんな芸当ができるんだ」とか、「さすがはディスクシステム」とか、「やればやるほどディスクシステム」(笑)といった感じで、ディスクシステムのブランド価値を上げることにもつながったと思います。

②連載物のような連続性を演出できた

 前編と後編があるということは、当然前編の最後は“つづく”となるわけです。この辺が週刊連載マンガや、テレビドラマのような連続性を感じさせ、ゲームとしては斬新な演出となりました。

なんだよ、こんなにいいところで続くのかよ!

みたいな引きにすれば、後編の売上もカタいですよね(笑)。

 ユーザーも定期的な楽しみが増えるので、その間の辛いことに耐えられそうです(苦笑)。

③やろうと思えば、いくらでも分割発売できる可能性が見えた

 上記のように、引きを毎回魅力的にすれば、このシステムで前編、後編といわず、永遠と続編を発売できるという可能性が見えました。

 実際にスクウェアは『聖剣伝説』をディスク5枚組で販売する計画をしていましたからね。個人的にはすごく気になっていて、発売カレンダーを常にチェックしていたんですけど、見事に発売中止になってしまったようです(苦笑)。

▲もし現実になっていたら、こんな感じかな(笑)?

 どうやら“ディスクシステムでは企画が大きすぎた”という理由で発売中止となったらしいのですが、もし予定通り5部作完結していたら、ゲームのディアゴスティーニ(笑)となっていたのではないかと、ひそかに残念に思っています。

 ちなみに『聖剣伝説』はゲームボーイで無事にリリースされたようですね。その後続編がスーパーファミコンでも発売されています。

 ディスク分割だけで随分と盛り上がってしまいました(苦笑)。肝心の内容ですが、なかなかにシリアスで、随所に横溝正史感をにおわせるサスペンスに仕上がっていたと思います。

 明神村とか、戦国時代からの伝承とか、土葬習慣とか、いかにも金田一的なイメージですよね(笑)。

 シナリオも殺人、駆け落ち、旧家の遺産相続といった、なかなかにアダルトなテイストを放っており、ファミリーイメージが強くなっていた任天堂らしからぬ雰囲気をもったタイトルでした。

 ある意味任天堂作品においては異端児だったかもしれません。

▲あの任天堂が、ここまでの表現を!

 しかしながらプレイをしてみると、その暗さやどろどろした感じが、けっこうスリルがあっていい感じなんですよ。グラフィックは写実調ではないのですが、それでもしっかりと怖さを感じることができるんですよね。

 実際の話、今まで聞き込みをしていたキャラクターが、突然死体となって現れるのは、けっこうショックでしたから(苦笑)。トラウマになった小学生ゲーマーもいたんじゃないかな?

 でも続きが気になっちゃって、ついつい止め時を逸しちゃうんですよ(笑)。

▲何気に不気味な死体

 そんなシリアス志向ながらも、主人公を10代の少年探偵で設定している点は、コアユーザー層とのリンクを意識しており、少年マンガ的な設定ながらも、ユーザーの取っ付きやすさを増す要因となっています。

 もちろんリアリティという点においてはマイナスかもしれませんが、エンターテインメントとしてはこれでいいのかな、と思いましたね。

 他にも後半に3D視点の迷路があるなど、ゲームらしい演出を取り入れることで、テキストだけを読む単調な展開にならないよう、工夫が施されていました。結末もひねりがあってよかったですね。

▲ちょっと『ポートピア連続殺人事件』ぽいかな?

 話は変わるんですけど、前編のディスクに後編を書き換えちゃったという、おっちょこちょいな方はいたんですかね(笑)? いたらその時の感想を一言、ほしいなあ(笑)。

 以上、私が高校2年のときに遊んでいたタイトル雑感でした。その他に

  • ワードナの森(タイトー)
  • ファミコングランプリII 3Dホットラリー(任天堂)
  • サムライソード(カプコン)
  • ファイナルファンタジーII(スクウェア)

といったタイトルも、さまざまなルートから借りたりしてプレイしましたね。ディスクシステムの書き換えが安価だったので、こちらもけっこう利用していました(笑)。

 そして思い出はその6へ続きます。

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