FILE.18-8 ファミリーコンピュータ その8

オレ流80's
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80年代に周辺機器のラッシュが起きた家庭用ゲーム機

 ファミコンは全国的なブームとなったため、それに伴う周辺機器も多数発売されました。

 それらはハードをパワーアップさせる、もしくは多機能化させたのですが、中には攻めすぎて違う意味で伝説になってしまった周辺機器もありました(笑)。

 ここではそんなファミコン周辺機器の、思い出に残る逸品、珍品を懐かしんでいきたいと思います。

光線銃(任天堂)/ 1983年

 ファミコン初期からあった、ガンタイプのコントローラーです。

 銃というのはエンタメの王道ですからね。その形でゲームがプレイできるというのは、そのバーチャル感がアップして、気分もあがったもんです。

 ソフトでは早撃ちの『ワイルドガンマン』、狩猟の『ダックハント』などが発売されました。どちらも友人の家で遊ばせてもらった記憶があります。

 でも行きつくのが、ブラウン管に銃口を押し当てて、速さと命中率を格段に上げるという反則技でしょう(笑)。誰もがこれをやったんじゃないのかな?

 ただこれを使ったソフトがいうほど出なかったのは残念ですね。もっと活用されてもよかったんじゃないかな、と思われたアイテムです。

ジョイスティック(各社)/ 1985年頃

 ファミコンが認知され、ブームが加速し始めたころに各メーカーから大挙してリリースされたのがジョイスティックでした。

 『アスキースティック』(アスキー)という高級志向のジョイスティックを筆頭に、

  • ジョイボール(HAL研究所)
  • ファミリーキング(スピタル産業)
  • オリジナル・ジョイスティック(ハドソン)

等のジョイスティックが、綺羅星の如く発売されました。

 ただぶっちゃけこれらって必要だったかな? というのが、時間が経ってからの感想です。

 というのも、どのジョイスティックも操作性という点では、ファミコンの十字ボタンコントローラーに敵わなかったからです。備えつけのやつが実は最強だったんですね(苦笑)。

 でもそのデザインにインパクトがあるので、すごそうに感じるんですよ。

 ファミコン雑誌にデカデカと広告が載るじゃないですか。いいな~って思っちゃうんです。でも実際に使ってみると

使いづれ~

みたいな(苦笑)。今で言うと“サムネ詐欺”にあたるのかな(笑)?

▲『ファミコン神拳』でもジョイスティックを大特集。

 とはいえ、連射機能がついているやつは付加価値があったと思いますけどね。正直連射なしでファミコンのシューティングは無理ですから。

 私はホリ電機(現:HORI)の『ウイングコマンダー』なるジョイスティックを持っていました。いただきものだったんですけどね。

 ジョイスティック部がアタッチメント式で、ボールタイプ、スロットルタイプ、スティックタイプの3種類に変化できるという優れものです。いいとこどりの欲張り商品でしたね。

▲3WAYが特徴的な『ウイングコマンダー』

 でも3種とも使用感に難があったので(笑)、連射モードにしたボタンを足の指で踏んで、操作は十字キーで行うというハイブリッドプレイを採用していました。これが一番効果的だった気がします。

 また、十字キーの右を押してセロテープで止め、ジョイスティックを左に倒して固定。そしてAボタンを連射にしてテープで固定し、『ファイナルファンタジーⅢ』の自動レベルアップなんてのにもトライしていました。

 方向キーを互い違いに固定することで、キャラがその場所で右往左往します。これにより行き止まりで延々と足踏みになるのを防ぎ、敵と勝手にエンカウントし続けることが可能となります。

 そして戦闘モードに入ったらAボタン連射なので勝手に戦闘。戦闘が終わるとまたマップを右往左往。これで自動化が成立します(笑)。

 これを寝ている間とか、学校に行っている間とかに行い、ACアダプターが異常に発熱するという経験もしました。火事になるっての。ですので皆さんはくれぐれもマネをしないでくださいね(笑)。

ディスクシステム(任天堂)/ 1986年

▲ゲームの書換が画期的でした。

 半導体の値上がりでROMカートリッジという形でのソフト供給に危機感を感じた任天堂が、それに代わるメディアとして開発したのがディスクシステムでした。開発元はハドソンらしいですけどね。

 磁気ディスクを採用したそれは安価、容量アップ、セーブ機能、音質の向上、ゲームの書換可能という特徴があり、当時は

夢の機械が登場したな!

と思ったもんです。

 まあ容量に関してはその後あっという間にROMに追い抜かれてしまうんですけどね。

 個人的には書換を重宝していて、やはり“500円で新しいゲームができる”というのは、資本のない子どもにとってはとても魅力的なサービスの提供でした。

 ただ生ディスクというのは売っていなかったので、新しいゲームを手にするには何かを捨てなきゃいけないんですよ。

 ですので、どのゲームを犠牲にするのかでかなり悩むんですよね~。クソゲーがあれば即決で生贄にできるんですけど(苦笑)。

 あとロードという読込時間を体験したのも、これが人生で初めてでしたね。オペレーションとしてはホントにイライラさせられたのですが、これで忍耐力がついたと、いい方に考えています(笑)。

 でも『レリクス暗黒要塞』というゲームは、この読込があまりに頻繁過ぎて、まともにゲームができないという悪しき伝説を残しています(苦笑)。

 私はプレイしたことがないので実際のところは知らないのですが、噂ではマップが切り替わる度にロードだったそうです。相当な忍耐力がないとクリアできないですよね、これじゃ。

 というか、デバッガーやテストプレイヤーが発狂しなかったのかな、なんてふと感じてしまいました(苦笑)。

 ちなみに私のディスクシステムは、友人の斎藤くん(仮名)に貸したまま30年間帰ってきていません。斎藤くん、そろそろ返してくれないかな…(笑)。

ファミリートレーナー(バンダイ)/ 1986年

▲リビングのテレビに時代を感じます(笑)。

 元祖体感ゲームとでも言うんですかね。コントローラーを足踏みマット化し、ファミコンで運動をしちゃおうというコンセプトです。ルームランナーの進化系とも言えるのかな?

 ですのでソフトは『ジョギングレース』とか『エアロビスタジオ』なんてものがありました。やはり運動系になりますよね。

 でもユーザーはゲームをしたい子どもたちなので、やはりエンタメギミックがないとすぐに飽きられてしまいます。

 そんな中、当時人気のあった素人参加系アトラクションバラエティー番組『風雲!たけし城』をファミトレソフトとして発売したのは、なかなかの企画だったと思います。

 プレイしたことないので、パッと見の感覚ですけどね(笑)。

 ただこのファミトレは、その後の『Dance Dance Revolution』や『Wii Fit』、2021年現在では『リングフィットアドベンチャー』に通じる原点周辺機器かな、なんて感じています。

 ゲームハードが何度進化しようとも、こういった運動系体感インターフェイスというものは、今後も必ず現れるのでしょうね。

ゲームリピーター(HORI電機)/ 1986年

 この周辺機器はめちゃくちゃアイデア商品だと思います。簡単にいうと、ゲームのリプレイを表示できる機器なのですが、当時は動画で保存なんて技術は当然あり得ません。

 ではどうやってリプレイを可能にするかというと、ボタン入力の信号を機器が記憶し、再度それを機械的に再入力することでリプレイを実現しているんです。

 要は機械が人間の操作を記憶し、寸分たがわずにもう一度プレイするんですよ。ある意味原始的というか、シンプルな仕組みです。

 でも先ほどの自分のプレイが再確認できるという事実。これでゲーム攻略の研究をしたちびっ子もいたかもしれません。完全にビデオ検証攻略ですよね(笑)。

 個人的に思ったのは、攻略本を作成しているスタッフにとっては神アイテムだったのではないかと思います。

 当時はゲーム写真、一発撮りでしたからね。超絶テクニックを要する操作での画面撮影に失敗した場合、これがあれば再現がボタン一つなんです。実際使っていた編集部ってないのかな(笑)?

 でも一つ弱点があって、敵がランダムで動くゲームにはまったく対応できないんですよ。

 敵さんも先ほどと寸分たがわず動いてくれて初めて成立するリプレイなので、これが担保されていないとあっという間にリプレイ破綻が起き、ゲームリピーターはただの箱となってしまいます(苦笑)。

 でもこういったオチがある感じ、80年代っぽくてかわいさすら感じますよね(笑)。

エキサイティングボクシング(コナミ)/ 1987年

▲体感ならぬ“体汗”です(笑)。

 これはソフトに付属している専用コントローラー? がすごいやつです。

 ファミリートレーナーよろしく、体感ゲームのカテゴリーに入るもので、空気を入れた人形に圧力センサーが搭載されており、こいつをバシバシ叩いてボクシングをするんですね。

 プレイしたこともないし、実物を見たこともないのですが、そのインパクトは写真だけで充分伝わりますよね。なんかクリスマスシーズンによく出てくる、煙突から出てきたサンタのエア人形みたいです(笑)。

 おそらく見た目のインパクトだけで子どもは大興奮間違いなしです。

 でもでかすぎてスペースが必要なのと、このエアバッグがテレビに被って画面が見づらかったんじゃないかな、なんて思います。

 人形を見ながら同視線でブラウン管を見るというのを両立させるのが難しそうですね(苦笑)。

 ただファミコンがここまで創意工夫されるハードになっていたことを象徴するようなソフトとして、とても印象深いソフトです。

 似たようなものでは、バリエの『トップライダー』があり、これは膨らませたエアバイクにまたがり、ゲーム内でバイクレースをする体感ゲームソフトでした。いやはや、いといろと考えるもんですね。

▲これもなかなかの珍品です。

3Dシステム(任天堂)/ 1987年

▲未来感溢れるゴーグル。

 ゲームが仮想現実を追い求める性質のコンテンツである以上、3Dというワードは避けては通れないものです。技術革新がある度に、この3Dへのチャレンジは必ず訪れますね。

 昔からある簡易な立体視法として、赤青フィルムを利用したものがありました。ファミコンでも『とびだせ大作戦』(スクウェア)でそれを採用していましたね。

 しかし赤青式はカラー表現ができないという最大の弱点があり、満足のいく立体視とは言い難い状況でした。

▲シンプルなんですけどね。

 そんな中登場したのが、左右シャッター方式の立体視法を採用した3Dシステムでした。

 この方法により、カラーでの3D表現が可能になったわけです。まさに夢を実現する画期的なアイテムで、ちびっ子たちにとってその訴求力は抜群でした。

 とはいえこの3Dシステムはけっこうお値段が張っていたので、対応ソフト数が少ないという状況で少年が投資するには、なかなかに厳しい状況でした。

 ですので、私はそのシステムを購入した白田くん(仮名)の家に通ってプレイさせてもらいました。ちなみに白田くんは“財布の紐が緩いおばあちゃん”という、最強の助っ人がいた友人です(笑)。

 実際にプレイしたときの感想としては、やはりカラー立体視の感動がまずありましたね。

 その時は疑似3Dシューティング『ファルシオン』(コナミ)をプレイさせてもらったのですが、宇宙空間を漂う隕石などがいい感じで浮遊しており、

おお~~っ

と驚いた印象があります。「スターウォーズっぽいなぁ」と思いましたからね。

 3D表現というのは、

  1. 飛び出す表現
  2. 引っ込む表現

の2種があり、これらを組み合わせて疑似空間を作り出すものです。

 ですので、隕石の浮遊は①を利用しているのですが、この3Dシステムはどちらかというと②の表現の方が得意だったように感じます。要は“奥行き”の表現で、3Dっぽさを強調するんですね。

 しかし映像の迫力という点では、②よりも①の方が圧倒的に刺激的です。ですので、個人的にはこの部分が弱めなのがやや気になりました。

 とはいえ①には“テレビのフレームが没入感を阻害する”という弱点もありました。これはいかに画面が飛び出してきても、テレビフレームを超えた画像は表示できないという、当たり前な制約です。

 そのフレームが境界線となり、それを脳が認識することによって仮想空間から現実空間に認識を戻してしまうんですね。確かに迫力はあるんですが、

フレームの外がねえんだよなぁ

としらけるわけです。

 ただこれはこのシステムが悪いわけでなく、当時の3Dシステム全般の弱点なんですけどね。これを打開するには、現在の360°VR技術が確立されるまでの、四半世紀を超える時間が必要となりました。

 それとは別に、このシステムには大きな弱点がありました。…シンプルに眼が疲れるんです(笑)。

 つまり長時間プレイには向いていないシステムであり、とことんゲームをやりたい少年たちにとっては、大きく矛盾するシステムなんですね。

 しかもこのシステムはけっこうゴツいので、準備して設定するまでにそれなりの手間がかかります。そしてその手間を乗り越えても、プレイできる時間は少ない。

 となるとどうなるか…そうですね、押し入れにしまいっぱなしになるわけです(泣)。

 また、対応ソフトがいうほど発売されなかったのも、このシステムの押し入れ行きを助長させる結果となりました。こうして夢のカラー3Dシステムは、儚くもそのお役目を閉じたわけです。

通信アダプタ(任天堂)/ 1988年

▲いろいろと書籍類が多いです。

 現在はネットでなんでも決済できる世の中になりましたが、80年代はそんなこと夢のまた夢でした。しかしながら、その夢に迫ったアイテムが通信アダプタです。

 電話回線を利用したこの通信アダプタにより、なんと80年代に株取引やホームバンキング、はたまた馬券購入まで可能にしていたんですよ。信じられないですよね。完全にオーパーツです(笑)。

 そもそもファミコンを通信端末として株取引に利用するという企画力がすごいです。

 証券会社にとっては、もはや事実上“一家に一台”となっているファミコンを利用すれば、多くの潜在的なユーザーの確保を担保した状態からセールスができるので、大きな魅力を感じたんでしょうね。

 すでによく耕された土地で野菜を栽培するようなものです。

 ですので、このファミコントレードはそれなりにマーケットとして成功したように思えます。

 当時私は学生だったので、それを体験する機会はなかったのですが、バブル経済絶好調の時代にこのファミコントレードで儲かった人がいるかと思うと、80年代ドリームを感じずにはいられませんね(笑)。

パワーグローブ(パックスコーポレーション)/ 1990年

▲アメリカが生んだ伝説のコントローラー(笑)。

 操作系周辺機器で一番の迷作がこれなんじゃないかな、なんて思っています(笑)。

 ゲームを腕で直感的に操作してしまおうという野心作だったのですが、操作同一性が担保されず、まともにゲームができなかったというコントローラーです。

 見た目はね~、かなりそそるんですよ。サイバーで(笑)。もうそのままメガテンの“ハンドヘルドコンピューター”じゃないですか。

 未来感バリバリで、飾り物という用途でもいいかな、なんて思っちゃいます…う~ん、やっぱりいらないや(笑)。

 パワーグローブで思い出すのは、その宣伝方法です。

 パックスという会社がこれを発売していたんですけど、広告に“パックスのしわざ、その1”なんてコピーを入れて、いかにも

これからパックスがファミコン界にイノベーションを巻き起こしていくぜ!

なんて勢いで、このパワーグローブを宣伝しているんですよ。

▲コピーとしては優れていると思います(苦笑)。
▲なかなかに興味をそそる広告です。

 でも“パックスのしわざ、その2”を見た記憶がないので、結局大風呂敷を広げたまま、どこかに行っちゃった、なんて結末でしたね(苦笑)。

おわりに

 以上、ファミコンにまつわる周辺機器をいくつかピックアップしてきました。

 やはり感じるのは、圧倒的販売台数を誇るファミコンを利用し、大きなヒットを飛ばしてやろうという各社の創意工夫ですよね。

 その野望が成就し社会的な成功を収めた周辺機器、はたまた黒歴史となってしまった周辺機器。

 悲喜こもごもであったのですが、業界が元気いっぱいだったことを象徴するものとして、とても興味深い社会現象であったと今さらながらニコニコしてしまう私です(笑)。

 そして思い出はその9へ進みます。

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