ファン歴40年を目前にし、その集大成として描いた野望が“超人募集での採用”です。ファンならば一度は勝ち取りたい栄誉ですよね。
前回は選考者たるゆで先生が、どういった観点で採用を決めているのか、その傾向を研究してみました。その結果、理想の超人はラーメンマンであることを突き止めた次第です。
ですので、今後新超人を考える上での大原則をラーメンマンとし、なるべくそこから逸脱しないように創作をしていきたいと思います。
とはいえ、ゆで先生お二人とも、デザインや能力の方向性でタイプな超人がいるはずです。
そこで今回は、実際に採用された超人と、そこに添えられたゆで先生のコメントを研究することで、その採用傾向を深堀してみたいと思います。
そのための資料としてひじょうに役立つのが、2014年に発刊された『キン肉マン 超人閻魔帳』です。ここに20体の採用超人と、それを選んだゆで両先生の採用理由が掲載されているコーナーがあるんですね。

そこからヒントとなるコメントを引用したいと思います。
超人閻魔帳にみる事例紹介
ディノ・ボーラー

今回の「デカいヤツ」枠。採用時に全体バランスも考えます。

シンプルで描きおこしやすかったです。
嶋田先生のコメントでわかるのは、採用には“部門枠”がある、ということです。つまり
- 正統派部門
- デカイヤツ部門
- 小さいヤツ部門
- メカ部門
- ギャグ部門
といったような、部門賞があるんですね。
ですので、やみくもに1の“正統派”だけに集中して何枚も応募するより、1~5をバランスよく考えて応募する方が、採用率が高いかもしれません。
また、中井先生の“描きおこしやすさ”もポイントだと思われます。細かいディティールや、凹凸が多すぎると、描くのが大変ですからね。制作における作業効率も当然必要です。
ですので、あまり描き込みすぎない、というのも重要なポイントでしょう。つまり“引き算の美学”を使ったデザインがよいと予想できます。
皮むき鬼

一見ギャグっぽい見た目とは裏腹に、とても痛そうな武器を持っているギャップがいい! いかにも「キン肉マン」っぽい超人で好きです。
皮むき器を使った色々な必殺技を想像できますね。

顔がなくてシンプルな見た目が好きですね。描き方次第で、いくらでもカッコ良くできると思います。
どんな技を出すのか想像しやすいのも良いですね。
嶋田先生は一時期お笑い芸人を本気で目指そうとしたことがあるくらいお笑い好きなので、こういった直球のバカらしさが大好きみたいですね。
あとは“ギャップ”、“色々な必殺技を想像できる”もポイントでしょうか。
中井先生はここでも“シンプル”に高評価です。あとは“描き方次第ではいくらでもカッコ良くできる”も、絵師っぽい視点ですね。
また嶋田先生同様、“技を想像しやすい”と感じているようです。変に凝ったものより、直球でイメージできる個性の方が強そうですね。
スコープマン

学校にあるものって、子供にわかりやすくていいんですよ。

メカっぽいデザインに超人らしさを加えていくのは楽しいです。
嶋田先生は「読者は小学4年生をイメージしている」とよく言っていますが、その典型でしょうかね。たとえ読者年齢層が上がったとしても、これが彼の大原則であることは変わらないのかもしれません。
中井先生は絵師としての楽しさを推していますね。根本的に“機械 × 人間”の融合が好きなのでしょう。先に書いた部門でいうと4ですかね。そこにシンプルさをねじ込むのはなかなか至難ですが…。
ミミズクマン

この得体のしれない不気味さは、活かしがいがありそうです。技も一風変わったものにしたら、カッコ良いかもしれません。

鳥の中でもミミズクはとても特殊なモチーフなので面白いですね。一般的な鳥超人と一線を画した闘いが期待できます。
採用超人で多いのが、動物とのコラボです。やはり生物ならではの多様な生態がヒントとなり、アイデアが膨らむからでしょうか。両先生とも“一風変わった技や闘い方”の想像に、魅力を感じているようです。
チンギス・ハン・ガー

名前のインパクトで決めました(笑)。闘うところを想像したら面白そう。

選んだのは相棒ですよ(笑)。
ここでは中井先生の発言から、嶋田先生の好みのタイプがわかります。先のリストでいうと、5ですね。ダジャレの魔力に抗えないタイプなのでしょう、嶋田先生は(苦笑)。
ゴーストマン

相棒が好きそうな超人かなと思っていたら案の定、気に入ってましたね。

凶悪そうな雰囲気が好きです。
逆にここでは嶋田先生の発言から、中井先生の好みのタイプがわかります。一言で言うのならアメコミキャラでしょうか。
たしかに中井先生のアメコミ好きは有名ですからね。そう考えると、アメコミキャラにもヒントがあるかもしれません。その中でも凶悪そうなデザインがヒットするのかもしれませんね。
リターンマスク

このマスクは、他に全くないアイデアで興味をひかれました。攻防のどちらにも使えそうかなと。

マスクがいいですね。マスクの形状が変わると、戦法も変わったり…。面白い闘いを見せてくれそう。
両先生が、マスクのアイデアを称賛しています。一点工夫超人とでもいいましょうか。結局は“闘い方が想像しやすい”に帰結するんですけどね。
これが何かウリを一点、というやつなのでしょう。
研究のまとめ
以上、『キン肉マン 超人閻魔帳』より採用超人のタイプ別研究をしてみました。これをまとめると
を絶対の指針としつつ
- イカした正統派
- 体格の大小
- 流行メカや日用品とのコラボ
- 動物とのコラボ
- ダジャレ超人(嶋田先生用)
- アメコミ風超人(中井先生用)
といった感じで、6体くらい応募できればベストでしょうか。ただ6は1と共通でもいいかもしれません。
もうひとつ言うと、過去に採用されていないモチーフをしっかりと予習しておく、というのは必要でしょう。いわゆる“かぶり防止”です。一生懸命考えたのに

このモチーフの超人は既出だよ。
では泣くに泣けないですから(苦笑)。
そのためには、以前購入した学研の図鑑『超人』が大きな力となりそうです。要はここに出ていないモチーフを選べばいいのですからね。
また、この『超人』は図鑑だけに、カテゴリー別に超人が載っているので、モチーフ探しのヒントにもなりそうです。
以上、なんとなく戦略が整ったので、次回は応募の注意事項と、効率的な超人作成法を探ってみます。ではまた。


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