『キン肉マン』512話では、アシュラマンの“世界一口の悪いエール”で覚醒したテリーマンが、誇り高き人生訓を大爆発させる! 絶対法則を覆す熱い想いは、湿った空気を乾かすかの如く、リングの攻守を一気に反転させる…!
そんな理屈をねじ伏せるテリーの痛快なる闘いを、今回も笑いと考察で深掘りします!
今週の注目ポイント
この記事にはキン肉マン週プレ最新話512(2025年11月17日配信分)の感想が記載されています。つまりネタバレ確実なため、十分ご注意ください。
また、著作権保護の見地から
①Webサービス版
②紙媒体
等でオリジナルの作品を事前に読むことを強くお勧めいたします。
最新話はこちら↓のリンクから!!

今週のキン肉マン第512話「声を大にして言えること!!」感想と考察
前回までのあらすじ
エンデマンの猛攻でKO寸前まで追い詰められたテリーマン。だがアシュラマンに叱咤され、自分の闘う理由を思い出すと、スター・エンブレムに輝きを取り戻し、立ち上がってきた! 前回の感想は☞https://oreryu.site/kinnikuman15-98
湿から乾へ―闘いのターニングポイント
最大のライバル・アシュラマンの“罵倒”という名のエールを受け、折れかかった心からファイティング・スピリッツを取り戻したテリーマン。不屈の闘志を再度燃やし始めます。
その様子を見てエンデマンは

しぶといチビめ! いくら立ち上がろうとも貴様の憧れや理想を反映した我が肉体には永遠に敵いはせぬ
と、テリーの闘志が無駄な灯になることを皮肉めいて強調するや、

さあ、己自身の憧れに潰されて死ぬがいいーーっ!
と、テリーめがけショルダータックルの猛ダッシュ。
このエンデマンの物言い、自身の能力に相当な自信がある証拠ですね。おそらくは
対戦相手の憧れ=一番苦手な要素
という姿を模している以上、闘いのイニシアチブは完全に握っている、という精神的優位性…つまり彼の“湿った戦術”の経験値が、彼をそうさせるのでしょう。
ただ…この戦術をぶつける相手が、ふっ切れてスカッとした状態の“乾いた戦術”に振り切ったテリーマンだというのは、一番相性が悪いような気がします。
というのもこの状態のテリーって、過去の彼を見る限りは、予定調和を覆すことに特化したキャラになりがちじゃないですか。
それを思うと、エンデマンは闘いのターニングポイントに、自ら突っ込んでいっているような感じがしてならないんですよね。

荒天から晴れ間―アシュラマン気圧のエグい高低差
その証拠に、エンデマンの列車衝突級の体当たりムーブに対し、覚醒したテリーマンはまったく怯む様子がありません。それどころか

何が憧れだ!
オレはその言葉に惑わされ続けていた!

確かにデカいヤツが羨ましくないと言えば嘘になる。だがな、散々お前に言われてハッキリ気がついた
と、それを小さい体で真正面から受け止める体勢に入るくらい、生気が漲っています。こうなるともう、いくらヘリで解説中のスカイマンが

無茶だ!
と叫ぼうが、関係ないですね。どっしりと腰を落とすや

オレの本当の憧れはなーっ!

そんな所にあるんじゃねぇんだよ~~っ!
と、自身の倍の大きさを持つエンデマンの猛突進を、小細工なしで受け止めることに成功。その背景には、高速列車の代表格である0系新幹線が。
これはもうあれですね、超人オリンピック予選での名場面である、『新幹線アタック』をオマージュした背景効果ですね。ここでこの演出をもってくるの、さすがとしか言いようがないです。説得力が出ますもんね、この動きに。
スカイマンもそれを連想したようで、

そうだ…テリーマンは…昔からずっとそういうヤツだったじゃないか!
と、直前の自分の言葉を撤回。そして前回罵詈雑言エールを放ったアシュラマンも

ほう
とテリーの意地のファイトについて、今回は最短文字数であっさりとした感嘆の意を漏らします。
それはまるで前回のディスりスプリント(笑)が爆弾低気圧の大嵐だとすれば、今回は晴れ間の見えるのどかな高気圧のようです。さすがは竜巻地獄の使い手、気圧の高低差を自在に操りますなあ(笑)。

心震わす人生訓―テリーが人を惹きつける理由
このあり得ない状態を突きつけられて、目を丸くしたのがエンデマン。

このチビのどこにこんな力が!
と、思わず理解不能の思いを素直に口にすると、それに対して

オレはなぁ、誇れることなど大してないが、唯一声を大にして言えることがあるなら…それは人生に後悔したことがないってことだーっ!

たとえ左脚を失っても、オリンピック予選で敗退しても、すべて自分の心に正直に生きたがゆえの結果であり、何一つ悔いはない!
と、痛快この上ない啖呵を切ったテリーマン。まさにこれぞテキサスブロンコの真骨頂であり、テリーマンという男のこれ以上ない矜持。シビれるわ~。
テリーって作品中のところどころで、今みたいな“シビれる人生訓”を叫ぶことがありますよね。それがもうね、どんな超人よりも、ハンパなく心を打つんですよ。
ここで私が好きな彼の人生訓を、二つほどあげさせていただきます。まず一つ目は魔雲天戦における

苦楽をともにしてきた仲間だからこそ、命をすてることができるんじゃないかーっ
です。小5でキン肉マンに出会って間もなく目にしたこのシーンの衝撃は、今でも忘れられません。仲間のために躊躇なく闘う彼の姿に、ちびっ子ながらも魂が震えましたね。
もう一つはヘル・ミッショネルズ戦でネプチューン・キングに対して放った

この世に生をうけてきさまのようなやつらになめられっぱなしじゃ、生きている甲斐がないがねえんだよーっ!!
です。地球という無尽蔵なパワーを誇示する相手に対し、一個の超人が怯むことなくツッパる…これもまたテリーのトンパチぶりが生き生きと描かれており、拍手喝采のシーンでした。

こんな感じで、皆さんにもあると思うんです。心が震えたテリーの人生訓が。もしよかったらコメント欄で教えてくださいね。
そしてこのような“魂の人生訓”を叫ぶことができること…それこそがテリーマンという超人の、最大の魅力なのかもしれません。
まやかしという断言―後悔なき行動の果てに
そんなシビれる意地を見せたテリーは、“理想や憧れ”の具現化であったはずのエンデマンの体に対しても、

人生に後悔したことのないオレが、生涯かけて作ってきた己の身体を否定し、他の何かに憧れる?
と、痛烈な疑問を投げかけます。その疑問の根拠となる過去の回想シーンが背景に描写されているのですが、それがまた壮絶で。
大きな岩を頭上に掲げ、その負荷を右足一本だけで支えてスクワットをするテリー、野球のバッターのように斧を構え、片足立ちで大木を切り倒そうとしているテリー。
そのどちらからも、不自由な肉体ながら自分ができうる最大のトレーニングを懸命にこなしてきた様子が痛いほど伝わるのです。
そこには誇りをもって自身の肉体を作り上げてきたという、彼のプライドが確かに存在していました。これを見てしまうとね、テリーがそのあと口にした

ありえない。今のお前の身体は、僅かなオレの心の隙に乗じてかたどられたにすぎないまやかしの虚像
という、彫刻されたエンデマンの肉体に対する評価の説得力がハンパないんですよ。
つまり彼はこう言っているんですね。

お前の“彫刻される”という能力は、不完全極まりないものだ
と。今のお前の身体は

オレがたま~に感じる程度の憧れ
に過ぎないんだよと。
こうなってくると、以前考察したようにエンデマンの
対戦相手が決める能力
という特性が、大きな弱点として災いする展開になってきそうです。だってエンデマンの身体、テリーの憧れじゃなくなっちゃったんですからね。
ちなみに前の弱点考察についてはこちらをどうぞ↓。
そう考えると、エンデマンはお客様の真のニーズを把握しきれていない営業マンみたいですね(笑)。彼が旅行のプランナーだとしたら、

先日のお客様のヒアリングを元に、ヨーロッパ漫遊ツアーをご提案します

いや…私の希望はアメリカ西海岸なんですが…

え?
といった状況に陥っているのかもしれません(苦笑)。

絶対法則を覆す理念―理詰めの天敵現る
そんな心理状態の中、テリーは足元に転がるエンデマンのオーバーボディのかけらをつかみ取ると、

真のミーの望みを知りたきゃその身体…イチからもう一回作り直してこいーっ!
と、そのかけらをエンデマンの胸に強く押し当てました。
するとそのかけらが発光し、それを機にリングに散らばっていたオーバーボディの多数のかけらが反応。あれよあれよという間にエンデマンのボディに戻っていきます。その姿はまるで逆再生のビデオを見せられているかのよう。
そしてエンデマンの姿はとうとう登場時の姿に戻ってしまいました。この想定外の事象に

バッコァ~ッ、完成したはずの像が…試合中にリセットを!?
と、頭を抱えるエンデマン。おそらくですが、今までの闘いにおいて、このようなイレギュラーはなかったのでしょう(苦笑)。
それだけに、意地と根性で普通ではあり得ない現象を生み出すテリーマンに対しては、兎にも角にも

…らしいな
と、微笑まずにはいられません。それを例えるならば、
ハンドルを右に切ったのに左に進む
みたいな現象であり、その理由を

途中で左に行きたいって念じたら行っちゃったんだよね
と平然と口にし、メカニックが頭を抱えている状態なわけです(笑)。
つまり理屈が合わないことを精神論で可能にしてしまうタイプであり、理詰めの攻撃をする相手ほど、彼みたいな存在は嫌なんだろうなあと、改めて感じましたね。
おそらく世の中のあらゆる研究所において、データの“外れ値”として忌み嫌われているに違いありません(笑)。

見えざる攻守逆転―冷静テリーの新必殺技!
そんな動揺した敵の隙を見逃すはずもなく、

お前の身体も正直に認めたようだぜ、ソイツは失敗作だったってなーっ!
と、意気揚々と左のパンチを放つテリーマン。しかしエンデマンはその手をガッシリとつかみ、

ぬかせーっ!
と、テリーを逆一本背負いで豪快に投げ切ります。う~ん、なかなかペースを譲りませんね。
そして仰向けになるテリーに被さるや、

いくら元の身体にもどろうとも、我の1億パワーは健在だーっ!
と、上からパンチの雨あられ。その強引ともいえる攻撃で、攻めのターンを絶対に渡さない気構えです。
ただですね、ここでテリーは下になりつつも、自身の両足でしっかりとエンデマンの脇腹を挟んでいるんですね。そう、柔術でいうところの“ガードポジション”ってやつです。
ですので私、攻守は入れ替わらなかったけれども、テリーは冷静だと見ていました。それどころか、自信たっぷりだった“彫刻ボディ”能力が予想外の瓦解をしたがために、その動揺を隠すかのように

1億パワーは健在だーっ!
と、大味な基礎体力に活路を見出さざるを得なかったエンデマンに対しては、平常心を失いかけていると感じましたね。
そう、絵面はテリーが一方的に攻められている構図で変わらないんですけど、その中身では完全に攻守逆転、つまり冒頭で書いた
エンデマンが攻防のターニングポイントに向かって突っ込んで行っている
様子そのものだと感じました。
それはまるでスーパーの駐車場誘導員たるテリーに、落とし穴のある駐車スペースにエンデカーが誘導されているかのようです(苦笑)。

そんな印象を持ってページをめくると、私の頭に浮かんだ想像を、テリーが全肯定してくれました。

わからねぇのかデカブツよ。
オレは今クローズド・ガード状態

残念ながらお前のパンチは効きやしない。なぜならオレがお前をコントロールしているからだ!
と、見た目の印象とはまるで逆の状態であることを、高らかに言い放ちます。来た来た、テリーが来たぞぉ!
するとテリーは一瞬のスキを突いて相手の胴体に回した両足を素早く相手の両上腕に押し当てると、

ゴッ…パ…パンチが出せねぇ…
と、エンデマンのパンチを完全封鎖。さらに

どんなにパワーがでかくても、同じ二本の腕、二本の足がある超人同士、寝かせてしまえば…同じなんだよーっ!
と啖呵を切ると、相手の腕を下から足で絡めとって回転して極める『オモプラッタ』によってエンデマンを軽々と這いつくばらせ、さらに左手を脇固めに捉える複合技である

テキサストルネード・リバースショルダークラッシュ!!
を炸裂させて次回に続く、です。
嶋田先生と柔術―選ばれし男・テリーマン
またもやテリーマンの新技が炸裂です。しかも柔術的ムーブから繰り出されるサブミッション…シブすぎます。というか、やはり地味な技であることは間違いありません(苦笑)。
▲オモプラッタ(オモプラータ)の資料動画です。
でもテキサスクローバーホールドといい、これがテリーマンなのでしょう。普通に人間が使える技をフェイバリットとする…だからこそ彼は数ある超人の中でも、より人間的で親しみやすいキャラなのではないでしょうか。
そしてこの柔術ムーブは、現在柔術に鋭意挑戦中の嶋田先生の思いが、かなり作品に乗っかっているようにも感じます。
おそらくですが、先生ご自身が身をもって経験した実際の格闘技術を、どのキャラにアウトプットさせるかについての脳内会議があったと思うんですよ(笑)。
そしてその会議を経て、「やはりこいつだろう」と達した結論がテリーマンだったのではないのかな、と。その理由は前述した通りで、

現実のテクニックは、人間に一番近いキャラが使うことで説得力が増すよな
という、嶋田先生の思いがあったような気がするんですよね。
ですので、今のテリーマンはひょっとしたら嶋田先生の分身濃度が高いのかもしれません。そう考えると、テリーマンはやはり勝つんじゃないかな…なんて思えてきましたね。

第512話感想とまとめ
以上、今回の感想と考察をまとめると
といったところでしょうか。
そして今回は惜しくもピックアップできなかったポイントが、まだまだあります。それらについては一言雑感ですが、次の項をご参照ください!
第512話の小ネタ感想―気になったシーンピックアップ
その他気になった点は
- 0系新幹線、懐かしいなあ。
- 今回一言のみのアシュラマン。もっとガンガンくると思ってたけど、意外に大人しかった。
- 他人様に誇れることなど大してない…いやいや、それはご謙遜だよ、テリー。
- 山ほどあるよ、本当は。
- テリーってスマートハンサムっぽいけど、練習とかを見るとかなり泥臭くてアナログだよなあ。
- 自分の生き様に誇りを持てるテリーはカッコいい。
- 中井先生的には、元に戻ったエンデマンの方が描きづらいのでは…(苦笑)。
- 嶋田クン、勘弁してよ…みたいな(笑)。
- 頭を抱えるエンデマン、滑稽(笑)。
- 逆一本背負いは佐々木健介選手を思い出しちゃうな。
- 寝かせてしまえば同じ…またもやカールゴッチイズム漂うテリーマン。
- トレーニングの仕方もゴッチさんっぽいし(笑)。
- 関節怪しい超人に関節技…そのチャレンジ精神たるや、よし(笑)!
こんなところでしょうか。テリーマン、完全にチェンジ・オブ・ペースとなったので、次回の攻め口にも期待大ですね。それこそさらなる柔術技が炸裂するのかもしれません。
みなさんも今回感じたことやその後の展開予想などを、よかったらXやコメント欄に書いてくださいね!
お知らせ
超人批評のご案内
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今回はウォーズマン再批評その6として、

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会話形式で進むので、読書が苦手な方でもスルスル読める構成。例えを多用した所長の解説は、ちょっとおバカなマロ(笑)でも理解できるわかりやすさですよ。
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コメント
同じ二本の腕、二本の足がある超人
ってのをアシュラマンがいる前で言うことにはなにか伏線が?って穿ってみてしまいます