みなさん、こんにちは。
ご存知の方も多いと思いますが、2022年12月5日の配信で『キン肉マン』は新シリーズ連載400回を迎えました。
そのめでたい記念として、原作者であるゆでたまごの嶋田先生が

400回記念でみんなのイラストをTwitterに投稿してね!
とツイートし、お祭りイベントの開催が全キン肉マンファンに対して通知されたわけです。それに対して

記念すべきイベント…
これはぜひ参加したい…!!
とさっそく反応した私が投稿したのが、以下のイラストです。

今回はこのイラストを描き上げるまでのウラ話を書いていきたいと思います。ご興味ある方はどうぞ。
告知は突然に
その告知は2022年11月23日にツイートされました。

なんだ…このイベントは…!
絶対大盛り上がりするじゃないか…!!
と直感した私は、このお祭りへの参加を決意。12月5日に日付が変更する瞬間に向けた、イラスト制作ロードが開始されたわけです。
テーマ選定
まずはイラストのテーマをどうするかです。考え得るテーマとしては
- 推し超人一択勝負イラスト
- 名シーンの再現イラスト
- 大量超人参加のお祭り感イラスト
- 嶋田先生大好きなギャグネタイラスト
などが思いつくのですが、私は3の“お祭り感イラスト”がしっくりきたんですね。
そして思いついたのが“人文字”です。ほら、卒業アルバム作成時に大概企画されるじゃないですか、生徒が校庭に集まって、文字や校章を作って空撮するあれ(笑)。

あれだと多くの超人を集結させられるし、メッセージも同時に添えることができる。
そしてなによりも記念日感、お祝い感がバッチリなので

もうこれしかないだろ!
と、自分なりにテーマが決まりました。次は

どんなメッセージを人文字にするべきか…
と、人文字にすべきテーマの選定です。候補としては
- おめでとう
- 祝
- 400回
といったところですが、ここで頭をよぎったのが、人文字でググってでてきた校章やマークの人文字なんですよね。

マーク、いいよな。
…あっ! あるじゃん、最適なやつが!!
そうです。ここで『キン肉マン』における不動のシンボルマークである“KINマーク”を、人文字で形作るアイデアが浮かんだわけです。

KINマークをかたどって超人を並べれば…お祝いのシンボルとしては最高じゃないか!
と、私の心の中のギャラリーが大喝采したので、これを採用することにしました(笑)。
ラフ案作成
方向性と人文字のテーマが決まったということで、まずはラフ案をノートに殴り書きしてみます。こんな感じですね。


その人文字を、空からゆで先生が見ていたら面白いな…!
と思い、右上に飛行船に乗ったゆでたまご両先生を配置してみました。うん、悪くない。
そしてここでKINマークに費やす超人が一体何名くらい必要なのかの概算も出してみました。その結果、算出された人数が…
です。
この数字を目の当たりにしたとき、実は私は少し日和ってしまいました(苦笑)。

締め切りまであと11日…
40人も超人を描けるのか?
しかも色付きで…💦
そうなんです。作業時間はあと11日しかないんです。単純計算をすると、一日のノルマは
となります。

描けるのか?
仕事をしながら1日に4人も…!!
という不安が私を襲ったことを、根性なしと責める方はいないと信じたいです(苦笑)。
そして創作にまとまった時間が確保できる土日はそのうち4日。平日がバタバタした場合、最悪
という異常事態もあり得るわけです。さあどうするアキラ。やんのか。やれんのか!

…へのつっぱりはいらんですよ!
そう決まった(笑)からには、残された時間でどのようにこのミッションをクリアするのか。今度はその作戦を練っていきます。
超人量産体制の確立
11日で40超人作成。この難題をどうやってクリアするのか。そのためには、可能な限り制作手順をシンプルにする必要があります。つまり
- 過度な書き込みはNG
- 過度な塗り込みはNG
- 流用できるパーツは極力流用する
といったような創作方針が不可避なわけです。
言い換えれば超人を描く際には省ける線は省き、ディフォルメする必要がある、ということですよね。
で、自分なりにノートにシンプル超人を数体描いてみたのですが…

大変だぞ、これ…
という感想でした。

アナログで超人を描いてデジタル彩色するまでに必要な工程は
- 下書き
- ペン入れ
- 消しゴムかけ
- スキャニング
- 透過処理
- 彩色
となります。これを40体…。
もちろん直接デジタルで絵を描けば工程の3~5をショートカットできます。
しかし私はペンタブレットを持っていないので、それができません。そしてパスの技術もないので、パスによる直接描画も無理。
じゃあマウスで直接フリーハンド描画? いやいや、それこそあり得ない。マウスで安定した線を引ける人なんてごく少数ですよ。となると…無理だろ、これ。
さらに言うと、できれば今回のコンセプトで描き出される超人は、かわいさを強調した2等身キャラにしたい。そして

タッチとしては、やや図形的なピクト風味が欲しいな…
と思っていたんです。
ですので、仕上がりにバラつきが出てしまう直接描画はあまり望んでいなかったのも事実です。でも…パス描画の技術はない。じゃあどうする? オレ。
そこで私が出した答えは

パワポの図形描画でテンプレを作成する
でした。
パワポの図形描画は直感的な操作で直線、曲線、円、多角形が引けます。そして引いた線は反転や回転も自由自在です。
これは左半身を描き終われば、あとはそれらを反転コピーすることで右半身も作成できることを意味します。
そして両者を体の中心線で合体させれば…なんと半分の工程で超人のアウトラインを作成できるんですね。


しかも図形描画なので、狙っていた“ピクト風味のディフォルメ”も可能となります。私はこのやり方でまず
- ボディライン
- キン肉族頭部
- 円形頭部
の3種類のアウトラインテンプレートを作成しました。
つまり40体の超人を作成するための、基礎骨格を作成したわけです。そしてこれらテンプレを背景透過PNGファイルにしたところで材料は整いました。
このテンプレートを元に細部のディティールを上から描き分けて彩色していけば、おそらくは合理的な制作環境が確立されるのではないかと画策したのです。
ただここで

お祝いのイラストなのに、そんなコピペありきの、言い方を変えれば手抜きとも言えるイラストを作成してもいいのか!
と、もう一人の自分が強く私を責めてきたのですが、

それは違うぞ。
あくまで求めるべき完成形は
「たくさんの超人が笑ってKINマークをかたどる」
ことなんだ! それが優先だ!!
と跳ね返し(笑)、イラスト制作を断行しました。
本格作業開始
さあ、これから本格作業の開始です。画策したイラスト制作方法が本当に合理的なのか、まずは一体、描いてみましょう。描く超人は…当然キン肉マンでしょう!
用意した素材をフォトショップで開き、ボディ、頭部に分けて彩色していきます。キン肉マンのボディはギミックがないのでかなり楽です。
そして頭部に描き慣れたスグルの顔をマウスで描き入れ、額の“肉”の文字をテキストで入力…できた。なかなかよろしいのではないでしょうか。

制作所要時間は…約15分といったところでしょうか。ただ彼はかなりシンプルな部類なので、装飾が多い超人はもっと時間がかかるはずです。
ですので一体の超人を作成するのに、平均で30分くらいかかると見積もりましょう。となると40体を作成するのにかかる時間は…
となります。
う~む、これはなかなかにエグい。しかも超人以外にも飛んでいるゆで先生や飛行船、背景も描かなければなりません。
残りの土日が残り4日であることを考えると、最悪休日に5時間の作業を考えなければならなさそうです。だんだんと『七人の悪魔超人編』における、ミート救出タイムリミットじみてきてきました(苦笑)。
キャラ量産フェーズ
さあ、ここからは時間との闘いです。黙々とキャラの量産体制に入らなければなりません。
これ以降は作成時に印象的だったり、難儀したキャラ(笑)を中心にレポートをしていきたいと思います。
キン肉族系
まずはスグルを作成したということで、効率化も兼ねて同シリーズである“キン肉族系”から攻めていきます。要は頭にトサカ(アイスラッガー)がついているキャラ群ですね(笑)。
- キン肉マン
- フェニックス
- ゼブラ
- ソルジャー
- ビッグボディ
- マリポーサ
- グレート
- ネメシス
- シシカバ・ブー
以上の9体を作成していきました。
キン肉マンソルジャー

彼については迷彩ジャケットの“あるなし”が争点に。しかしタイムリミットを気にした私は

迷彩ジャケットは…時間があったら足すということで…!
と、泣く泣くカットを決めました。
ですのでフェニックス戦後半の、悲壮感漂うアタルを描いたと心に言い聞かせ、完成させました(苦笑)。
キン肉マンビッグボディ

顔は幾何学描画で楽ができたのですが、アメフトプロテクターが…。構図的に両肩の肩当ての描画が難しかったです。ただその笑顔は

超神編において披露された素敵な笑顔っぽいかな?
と感じており、気に入っております。
キン肉マンマリポーサ

彼はなんといってもマスクの柄の複雑さです。過去“超人批評”時に一回しか描いたことがないキャラなので、腕がその図形を全然覚えていません。

けっこう複雑なんだなぁ、ジョージ…
と、思わず彼の本名を呟いて天を仰いだかどうかは定かではありません(苦笑)。
以上、9体の超人を完成させ、残り超人31体!
ペンタゴン系
キン肉族が終了したところで、次に作成しやすい超人の選定です。
やはりテンプレから大きく逸脱しないデザインのキャラが優先されます。つまりはペプシマンのような、円形頭部の全身スーツ的キャラですね。便宜上“ペンタゴン系”とします。
- ペンタゴン
- ブラックホール
- ウォーズマン
- デビル・マジシャン
- ペインマン
- ピークア・ブー
思いつく限り、この6体が頭に浮かびました。さっそく制作開始です。
ペンタゴン

翼を除けば、ほぼテンプレート外部品がない優良超人ペンタゴン! 顔面の☆マークもとてもシンプルで

最高かよ!
と、やや疲れてきた私にとって一服の清涼剤となりました(笑)。
そして翼の描写は格子模様で逃げるという、ハイ・テクニックを密かに使っております…バレバレか(苦笑)。
ウォーズマン

私の一推し超人であるウォーズマンは、絶対にマストです。
円形頭部のテンプレートを利用し、アゴのラインをシャープに。あとはシンプルな線で描き慣れたファイティング・コンピューターの顔を描いていきます。

う~む、いつもながらカッコいい!
と、シンプルながらも素晴らしい造形美にホレボレしながら描きました(笑)。
そして今回は「みんな笑顔で」がコンセプトだったので、当然“ウォーズマン・スマイル”です。このウォーズマンは、その後“アゴシャープ超人”のベースとなりました。
デビル・マジシャン


…ペンタゴン並みに工数の少ない、しかもカッコいい超人がいたぞ!
と、徳川埋蔵金に気づいたかの如く狂喜して(笑)着手したのが彼、デビル・マジシャンです。
胸当てが少しアレでしたが、かなりいい子でした、はい(笑)。そして笑顔が今回のテーマなので、目をニコニコさせました。
ペインマン

デビル・マジシャンで調子に乗った私は

こりゃペインマンもイケんだろ
と、陽気な完璧超人始祖に着手。好きなキャラでもあるので、筆が進みます。顔に配置したエアバッグをコピペしまくり、透過させてペタペタと体にも配置。
こだわりとしては、顔面のエアバッグからほのかに透けて見える笑顔ですかね(笑)。
以上、6体の超人を完成させ、都合15体の超人が完成! 残り25体!
正義超人系
やはり…どんなに難しいフォルムをしていようと、正義超人の主力メンバーはお祝いから外すわけにはいかないでしょう。
ですので、制作の合理性を度外視して
- テリーマン
- ロビンマスク
- ラーメンマン
- ブロッケンJr.
- モンゴルマン
の5体の制作に着手しました。

ラーメンマンとモンゴルマンって…同一人物じゃん。
流用する気満々でしょ?
と、もう一人の自分からの鋭いツッコミを受けたのですが

それは違うぞ。
あくまで彼らは別人格。
それぞれにファンがいる。そのファンに対して失礼だ!
と、あくまで高尚な立ち位置を崩さず、それを突っぱねて却下です(笑)。
ロビンマスク

本格的な一点もの、ロビンマスクの制作に入ります。顔はちびっ子の頃から100万回くらい描いてきたので、筆が早いです。
原作カラーでは目が赤なのですが、個人的にはどうもこれがしっくりきていません。ですのでしっくりくる黄色を採用します。
一番難儀したのが肩の輪っかです。ガッツポーズのときに、あれがどのような形状になるのかがよくわかりません。そこで

ま、何か赤色のエリアがあればいいだろ
と誤魔化したのは秘密です。
モンゴルマン

ラーメンマンを描き終えた後、私はすごいことに気づいてしまいまいた。

ラーメンマンを流用すれば、
モンゴルマンが短時間で作成可能じゃないか~
これは予想外のラッキ~(棒読み)
ということに(うそつけ)。
というわけで、さっそくラーメンマンをベースにモンゴルマンに着手です。モンゴルマンの顔の隈取も、ちびっ子の頃に山ほど描いてきたんですけど、なかなかいいバランスにならずに何度か描き直しました。
とはいえ、予想外(うそこけ)の時短でモンゴルマン、完成です。
以上、5体の超人を完成させ、都合20体の超人が完成! 残り20体! ちょうど折り返し点だ! というわけで次回に続きます。ではまた。


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