皆さんご存じの“お家拝見”型長寿番組です。ただ「存在は知っているけど、番組はまともに見たことがない」という方は多いのではないでしょうか。
それもそのはず、特に首都圏地域のオンエアは土曜日の朝4時半という、なかなかにアナーキーな時間帯(苦笑)。録画をして視聴するマニア以外の方にとっては、なかなかリアルタイムでは目にすることが難しい番組と思われます。
今回はそんな隠れキャラ風コンテンツなのに、30年以上も続いているというこの番組の魅力をお伝えしたいと思います。ちなみに公式サイトはこちらから。

出会い
私がこの番組の存在を知ったのは30年前です。高校3年の頃か、浪人している頃でしょうか。その時点でこの番組がいかに長寿番組であるかわかると思います。当時は土曜の朝7時半という、ある程度まともな時間帯(笑)でオンエアされていたようなので、朝食時にチャンネルを合わせたとかそういうパターンでしょう。
実はその時一番印象に残ったのは、番組コンテンツではなくて、オープニングとエンディングに使用されている小田和正の『BETWEEN THE WORD & THE HEART』でした。
この軽快で小気味のよい、キャッチーな曲が心地よく、『渡辺篤史の建もの探訪』といえば小田和正の『BETWEEN THE WORD & THE HEART』という印象が刷り込まれました。“レンタルレコード友&愛”あたりでCDをレンタルした記憶もあります。レンタルレコードって言葉が80年代どストライクだけど(笑)。
もちろんこの曲だけでなく、番組も面白い切り口だな、とは思っていたのですが、特にリピーターになるわけでもなく、たまたまテレビをつけたときにやっていれば観る、程度のお付き合いでした。ただその後、30年近くほとんど触れることなく時代は流れていきます。
再会
私は実は“超”がつく朝型人間です。以前にも『休日の早起きが好きです』という文章も書いているくらいです。
ところがこれを書いて以降も、年々その早起きが極端になっていき、平日の早起きは当然のこと、休日でも平日と変わらないくらい早く起きるようになりました。今現在(2020年9月)何時に起きているかといいますと…引かないでくださいね。朝3時です(笑)。もはや朝とは呼べないかもしれません。
何が言いたいかもうおわかりですよね。このように私は超朝型人間なので、現在『渡辺篤史の建もの探訪』がオンエアされている時間帯は、バリバリのオンタイムです(笑)。休日のスタートを切る時間帯ということもあり、はじめに目にするテレビプログラムだったりするんですね。そんなわけで、何気なく観てしまうことが多いんですよ。
ただ最近は流し見するというよりは、その時間を待ちわびて、腰を据えて視聴するというマインドになってきました。なぜそんな心境になったかというと、この番組の良さが30年の空白期間を経て、ようやくわかってきたからなんですよ。以下にその魅力をいくつか挙げますね。
渡辺篤史の建もの探訪の魅力
一日のはじまりにふさわしい番組温度
人間、やはり朝から急激な運動したり、ステーキのような重い食事をするのは難しいし、体にも抵抗があります。それは脳や精神面でも同じことがいえ、眠っていた脳や体をじょじょにウォームアップしていく方が、いろいろな面で負担が少ないです。
その点『渡辺篤史の建もの探訪』は抜群の番組温度を持っています。レポーターである渡辺篤史の低く落ち着いた、柔らかみのある声、静的なカメラワーク、静かな空間を醸し出す建築物など、すべての情報がじっくりと染み入ってくるんです。
このグラデーション感といいますか、起き抜けの脳や体を刺激することなく、緩やかに情報収集をしながら一日のスタートを迎え入れられる感じがいいんですよね。番組が絶妙な適正温度を持っているんですよ。だからこそ早朝4時半という時間帯での、リアルタイム視聴に価値を見出してしまったんですよね。
家へのこだわりが、普通に興味深い
この番組は毎回素人さんの戸建てを訪問し、その設計コンセプトや工夫、アピールポイントなどを紹介し、またそこに住まう家族のライフスタイルや群像なども紹介します。
皆さんご自宅を全国放送で紹介したいくらい(苦笑)なので、家へのこだわりは相当なものです。十人十色、千差万別という言葉がしっくりくるくらい、そのコンセプトは様々であり、観ているこっちを飽きさせません。
建坪が意外と小さいのに、うまく空間を使って広く感じさせているなあとか、この収納は合理的だとか、天窓が効いているなとか、いろいろと勉強になることが多いです。勉強したから何に生かせるんだ、と言われそうですが(苦笑)。
でもですね、自分が気づかない視点からの工夫を目の当たりにするのは、楽しいものですよ。あと基本的に紹介される家はとてもきれいに維持されているので、観ていて気持ちがいいです。
時にはアンチな意見も言っちゃったり(笑)
まあ私も人間だし、好みもあるので、紹介者のコンセプトすべてに感心するわけではないです。時には「これはないなあ」とか「趣味悪いな」なんて悪態をついて視聴することもあります(笑)。
ただこんなアンチな意見もですね、番組を楽しむ上ではいいのではないかと(笑)。それこそ登場する紹介者さんに対して「なんか鼻につくな」とか「面倒くさそうな性格だな」とか「仕事で担当になったらやだな」なんて思うこともあるし。
でもそれでこその十人十色だと思うんですよ。色々な人がいて色々な性格があり、色々な好みがある。それに対して感心する場合もあれば、悪態をつく場合もある。悪態をついたとしても、それは自分の正直な感想であり、脳内で消化する分には何も問題はないですしね。
健全ではないかもしれませんが、ちょっとしたガス抜き、ストレス発散でしょうかね(笑)。まあそれがしたくて視聴しているわけではないですけど(苦笑)。たまにはね(笑)。
希望に満ちた家族が魅力的
アンチな感じを持つこともたま~にありますが、出演する紹介者とご家族の皆さん、総じて希望に満ち溢れていて魅力的です。やはり「こうしたかった」という夢を達成した方々ですし、新築に近いタイミングで出演する方が多いので、言動に幸福感や満足感が見え隠れしますよね(笑)。
もちろん「ちきしょう、いいなぁ」なんてひがみ根性でそれらを見ることもできるのですが、人がこれからの将来に向かって希望を持ち、生活をしていこうとする様を見るのは、単純に嬉しいですし、微笑ましいですね。こちらも頑張ろうかなあ、なんて気持ちにさせてくれます。
また、番組では途中で必ず昼食シーンを挿入するんですよ。奥様がキッチンで作った料理を、家族そろっていただく。こだわりのキッチンで作ったからこそ、ホクホクの笑顔で皆さん昼食を食べているんですよね。小さいお子さんが嬉しそうに食べている様をみると、こちらも嬉しくなります。
そういえば先日出演した家族は、奥様が子どもの頃、親と一緒に『建もの探訪』に出たそうです。2代続けての出演ということで、渡辺篤史も感慨深かったようです。ここらへん、長寿番組だからこそできる芸当ですね。
やはり影響が大きい小田和正
そして最後は、やはり小田和正です。この番組は30年以上延々と『BETWEEN THE WORD & THE HEART』を主題歌として採用しているんですよ。ブレなさ加減がハンパないですよね(笑)。
おかげで30年前に刷り込まれた感情がよみがえり、余計に番組を楽しめています。やはりこの番組にはこのテーマですよ。オープニングとエンディングにおいて、見事な区切りづけをしてくれます。名曲は30年経とうとも名曲ですね。
以上、『渡辺篤史の建もの探訪』の魅力についてでした。もし興味を持たれたら、超早起きしてのリアルタイム視聴をぜひおすすめします(笑)。

渡辺篤史の建もの探訪
渡辺 篤史 (著)
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