余りある電気を有する電気超人。しかし彼の役割は戦闘ではなくバイクマンの充電用小型電源機だった! そんな彼は作品史上でも1、2を争う不遇な扱いを受けることに!
噛ませ犬四天王の一人
彼は『キン肉星王位争奪編』において、ゼブラチームの次鋒として初登場しました。
彼について言えることは、ゆで先生から確実に

キミの役割は…噛ませ犬だから
という命を受けていた超人だということです(笑)。
事実、彼はラーメンマンの復活をセンセーショナルにするために、試合開始後わずか37秒、キャメルクラッチで真っ二つにされて敗北するという、見事なやられっぷりを披露しています。
このおかげでラーメンマンは大きくクローズアップされましたが、やられた方としてはかなりの辛酸であったのは間違いないでしょう。
実は『キン肉マン』という作品においては、彼のように“派手に負けること”ありきで登場した“噛ませ犬超人”がチラホラ存在します。
これは“格闘マンガ”というジャンルを創作する上では避けて通れないフェーズのため、どうしても彼のように惨めなキャラクターが出現してしまいます。その筆頭が
であることに異議を挟む人は少ないかと思われます(苦笑)。
試合中にそんな扱いを受けた超人として、他にも思いつくのは(カッコ内は対戦相手)
- ブロッケンマン(ラーメンマン)
- ブラックシャドー(宇宙一凶悪コンビ)
- ティーパックマン(ウォーズマン)
- ウォッチマン(ブロッケンJr.)
- ペンタゴン(ウォーズマン)
- ウルフマン(スプリングマン)
- ペンチマン(マンモスマン)
- ゴーレムマン(マンモスマン)
- キャノンボーラー(マンモスマン)
- キン肉マン ビッグボディ(キン肉マン スーパーフェニックス)
- ミラージュマン(悪魔将軍)
- サタン(笑)(ジャスティスマン)
などがおり、その中でも
- 短時間で
- いいところがほぼなく
- 結果惨殺された
という条件でスクリーニングすると
の4超人が“噛ませ犬四天王”なのではないかと思うのですが、皆さんいかがでしょうか(苦笑)?
涙を誘う噛ませ犬超人
彼らのような噛ませ犬キャラは、“格闘マンガであれば必要不可欠”と先ほど書きました。
これは避けようのない事実であり、他の格闘マンガにおいても噛ませ犬キャラは存在します。『北斗の拳』においては風のヒューイ、『聖闘士星矢』においてはユニコーン邪武などでしょうか。
ヒューイ、かわいそすぎましたもんね、扱い(苦笑)。
しかしながら『キン肉マン』という作品におけるそれは、他の作品のそれとは惨めさにおいて大きく異なる、ということを理解する必要があるかもしれません。
その理由は
という仕組みが伴っているからです。
そうです。ヒューイや邪武は、あくまで作者が創作したキャラなんですよ。しかしながらレオパルドンやモーターマンは、作品に採用されることを夢見て応募された読者創作キャラなんです。

オレのモーターマン、どうか採用されますように…!
なんて希望に胸を膨らませたちびっ子の期待を一身に背負っていたわけです。
それが…あの有様でしょ(苦笑)? 採用されたちびっ子はきっと

…………
こんな状態になったんじゃないのかなあ(笑)?
今の『キン肉マン』だったら採用超人の応募者が大人であることが多いので

アッハッハッ、噛ませ犬にされちゃったよ~っ♪
と自虐ネタで乗り切れるのですが、当時はそうじゃないですからね。当然

くそうっ!!
という気分になった可能性が高いし、とても大手を振って

あの超人、オレが考えたんだぜっ!
と友達に自慢もできなかったんじゃないかなあ(苦笑)? 超人ともども少し可哀想ですよね。
レオパルドンを超える不遇超人?
そんな彼の能力は、主に両腕の大型電池に大量に溜めた電力を用いて電撃を浴びせる、体を発光させる、頭のドリルを回して突っ込む、といったものでした。
『キン肉マン』という作品においては、おそらく初の電気を利した超人であり、使い方によってはかなり魅せる闘いができるポテンシャルがあったと思います。
しかし彼の洗練されているとは到底いえないフォルムデザインや、とぼけた表情(笑)のせいで、その能力に凄味を感じさせることはありませんでした。
そして何よりもラーメンマンによって

くだらん…ただの曲芸だ
酷評されてしまったことにより、彼の株は大いに下がる結果となってしまいます。
このあたりの蔑まれ方も、彼が“噛ませ犬超人”としてかなり惨めな部類にいる超人であることがわかろうというものです。
さらにダメ押しとして、あろうことかチームメイトであるバイクマンからも

この弱小超人が参加した理由は、オレの充電用小型電源機としてだ
と、とんでもない蔑みを受けています。
これはまさに“味方に後ろから刺される”、もしくは“死人に鞭打つ”という、到底あってはならない裏切りだといえるでしょう(苦笑)。
そう考えると、彼は
- 作者に“噛ませ犬”になるよう指令されている
- その能力やキャラクターを全否定される
- 死してなお鞭打たれる
という、作品史上でもまれにみる仕打ちを受けた超人だといえるでしょう。
それはある意味“6コマ殺”という圧倒的に不名誉な扱いを受けたレオパルドンをも凌いでいるともいえ、それこそ救いの与えられない不遇超人だった、とも言えるでしょう。
そう考えると彼はとてもかわいそうな超人であり、そのボロ雑巾のような扱いに対し考案したちびっ子は

彼の名誉の回復を断固求める!!
という要求を、声を大にしてゆで先生に求めてもいいのではないのかな、なんて思いますね(苦笑)。
ですのでゆで先生、彼にもレオパルドン同様、名誉を挽回するエピソードをご用意していただけないでしょうか。よろしくお願いいたします。
SDGs超人?
大量生産と大量消費を是とした20世紀のツケとして、21世紀の国際社会は地球環境の保全や持続可能な社会の形成を無視することはできなくなってきました。
CO2を排出する化石燃料の燃焼は悪となり、自然エネルギーから生まれたクリーンエネルギーが世界の注目を浴びています。
この世の中の移り変わりにより、闘いというフィールドでは輝けなかったモーターマンが、とうとう貴重な戦力として世の注目を浴びるのではないかと、個人的には期待しています(笑)。
バイクマン曰く彼の両腕の巨大電池は

超人が数百試合闘ってもありあまる電力を蓄えている
とのことなので、彼が一家に一人配備されれば、万が一の災害時にも安心です。それこそテスラのイーロンマスクが

モーターマンを中心とした、新しいライフスタイルの提案
なんてものをビジネスとして高らかに掲げるのも、時間の問題なのではないでしょうか(笑)。

正義超人の存在意義が“人間の安全を守る”であるならば、彼は格闘とは違った形での社会貢献が可能だということです。
この点にフィーチャーすれば、彼の超人としての潜在能力は、大いに評価されてもよいのではないでしょうか。
そして持続可能な社会を実現する“SDGs超人”として世の中から必要とされれば、彼の汚名も雪ぐことができるのかもしれませんね。
でもあれか、彼は正義超人じゃないからそんな頭は微塵もないかもな(苦笑)。
実は稀有なフォルム
そんな新たな活躍が期待される(笑)モーターマンですが、実は私、彼のオンリーワンともいえる特性に気づいてしまったんですよ。
ここで皆さんに確認なのですが、以下の超人ラインナップをご覧いただけますでしょうか。
- ミスター・VTR
- ミキサー大帝
- ペンチマン
- ザ・マンリキ
- バイクマン
これらの超人は、『キン肉星王位争奪編』に登場する器具・工具超人の精鋭たちです。このカテゴリーにわれらがモーターマンも所属することに異を唱える方はおそらくいないでしょう。
そしてこのカテゴリーにおいて、モーターマンだけがオンリーワンな部分があるんですよ。それは…
という特性です(笑)。
他の器具・工具超人たちはですね~、清々しいほどにド直球で、名前をそのフォルムに反映しているんですよ。
しかしながら、われらがSDGsの星・モーターマンにはそれが確認されないんですよ。私が記憶する限り、モーターとは

というフォルムをしているのですが、彼にはそのフォルムのデザインへの反映が微塵も感じられません(苦笑)。
その特殊性といったら

…あれ? キミってたしかモーター…マン…だったよね?
モーター、どこいった?
と、思わず二度見をしてしまう勢いです(笑)。
おそらくは“MOTOR”とこれ以上ないくらいわかりやすく記載されている、胴体にあたるボックスにそれが格納されているのでしょう。
そして隠されたモーターで頭のドリルを回転させ、ラーメンマンが言うところの“曲芸”(笑)を生み出しているのだと思われます。
そう考えると、彼のフォルムは“メイン部分をあえてブラインドにする”という革新性を持っており、そのような意味において彼は、数ある超人の中でもかなり稀有なフォルムを持つ超人だと言えるでしょう。
そのデザイン発想方法はまさに“コロンブスの卵”と言ってもよく、なかなかに大胆で斬新なデザインスタイルだと思います。だってねえ、

よ~し、がんばって採用される超人を考えるぞ~っ!
と意気込んでデザインを開始して、メインを隠す発想は出ませんて(苦笑)。
それだけにその境遇においてはかなりの辛酸をなめた彼ですが、この点においてだけは他に誇れるオンリーワンな部分を持つ超人として評価したいな、と思うわけです。
おわりに
以上、噛ませ犬かつ死してなお鞭うたれた不遇超人・モーターマンについての考察でした。
最後はなんとか彼の唯一無二な特性を見出すことができ、地に落ちた彼の名誉を少しでも回復させる手助けができたかな、なんて自賛しています(笑)。
…って誰ですか?

いや、デザインにモーターがないのはあえて隠したわけじゃなくて、投稿者がネーミングの仕方を間違えただけだろ
なんて言う人は!
それはまったくもって違いますよ!? 彼は“モーターマン”だけど、あえて“モーター”を描かないという逆転の発想をデザインに落とし込んでですね…その芸術性を…計算され尽くした…幾何学の美を…ジウジアーロの再来とでも言うべき……!!
…すみません。彼は“ドリルマン”と表記すべきところを、投稿者が“モーターマン”と間違えて書いて送っちゃった超人です(笑)。
※今回はアクメ将軍さん、\200さん、matsumiyaさん、tossyさん、TKマンさんほか、たくさんの方からリクエストをいただきました。ありがとうございました。
【リクエストはこちらから】


コメント
更新ありがとうございます
私も初見でモーターマンのモーター要素とは?となっていましたが、しっかりツッコミが入っていて面白かったです(笑)
また、モーターマンの試合時間37秒は実況が「大会最速試合」と言っていましたが、裏を返すとレオパルドンの試合時間0.9秒(作者発言)がなかった事にされている事になるので、記録すら残されなかったレオパルドンがNo1不遇だと個人的に思います
しかし本編でレオパルドンがあの大活躍をしたので、彼にも電力を活かした活躍があるかも…なんて思ってしまいました
( 雨) さん、こんにちは。
そうなんですよね、最短試合は確実にレオパルドンVSマンモスマンなんですよね(苦笑)。
あれですかね、レオパルドン戦はゴングが鳴っていないから、公式タイムが計れていない、という実情があるのかもしれませんね。
ただ仰る通りレオパルドンはランペイジマン戦で名誉を回復できたので、不遇さではモーターマンが一歩リードかな、なんて思いました(笑)。
レオパルドンは見た目強そうだけど
モーターマンは見た目からしてカマセっぽいのがネックですね
しかも今後出てきたとしても超神や神が対処できない存在が相手なわけですから
何しても通用しなさそうなのがなんとも
でも今のゆで先生なら電池の直列つなぎとか並列つなぎを活かした
新フェイバリットを考えそうでもあるので
ちょっと見てみたい気持ちもあります(ドリルはどうした
uzukiさん、こんにちは。
そうですね、見た目がね~(苦笑)。
でも今の中井先生だったら、彼すらカッコよく描けるはず? です。
仰る通り、いろいろな工夫ができそうな超人ですからね。おもしろい技がたくさん出せる気がします。
スティムボード
ホークマン
と掲載されたので
今回はタイルマンが登場かな?
と思っていました
(フランス出身超人)
ソコでモーターマンの登場
…って 彼もフランス出身だったんですね(驚)
モーターのくだりと同様に
気が付きませんでした
噛ませ犬…
個人的にはゼブラチームって バイクマン以外は「う~ん」な感じですね
技巧感が無いですし
芸術建造物 機械製品 電気工具 工業道具
コレも技巧?
つかささん、こんにちは。
フランス超人並びは…実は狙ったわけではなく、偶然です
私もモーターマンがフランス出身だと今回初めて知りました(苦笑)。
ゼブラの批評でも書きましたが、彼は技巧の巧を匠と勘違いしてメンバーを集めてしまったのだと思います(笑)。
噛ませ超人ですか…この記事には出てませんが回想でタツノリに倒されたアスタリスクはどうなんでしょう?
モーターマンは、体内のモーターが核ならばいっそのこと機械超人の特性を生かして外殻をもっと強靭なボディーに改造してNEWモーターマンにパワーアップとか想像したりして……そこまで行くともうモーターマンじゃないかw
クォーターシェルさん、こんにちは。
返信が遅くなり申し訳ございません。
そうですよね、特性をコアにしたのなら、外殻をそれこそダイヤモンド級に固くして、その強みを守ってほしかったですね(笑)。
でも実際はけっこうもろかった…(苦笑)。
リクエストに応えていただきましてありがとうございます。
アキラさんの解説、相変わらず面白くて笑ってしまいました。なんでそこまで深堀して笑いを引き出せるのか・・センスに脱帽です。これからも頑張ってください。応援しております。
tossyさん、こんにちは。
リクエストしていただいた超人で、もし楽しんでいただけたのならば、望外の喜びです。
もっと楽しいテキストが書けるよう、がんばっていきたいと思います。応援感謝です!!