はじめに
2024年7月7日、とうとう待望のキン肉マン新作アニメが始まりました。第二シーズンである『完璧超人始祖編』ですね。それを受け、アニメを視聴した際の雑感や、気になった点をピックアップしていきたいと思います。
また、原作連載リアルタイム時の私の懐かしき感想『今週のキン肉マン』を引用しながら、当時の私の浅はかさを笑いつつ(笑)、アニメ版ならではの特徴を一緒に見出していきましょう。
ただしこのコンテンツは壮絶なネタバレとなりますので、
まずはアニメ最新話を視聴!!
してからにしてくださいね!
今回のお話
今回のお話は第3話『執念のテキサス・ブロンコ!!』。
原作でいうところの第6話序盤~第9話後半までとなります。テリーvsマックス・ラジアル決着から決闘の穴オープン、謎(笑)? の五人衆登場までですね。
今回の内容は以下の予告編動画をご覧いただけると、よりよく分かるかと思われます。
それでは今回の気になった点、行ってみましょう!
今回の気になった点
テリーの流血がエグい
原作とアニメ版のラジアル戦を見比べて一番違いを感じる点が、流血の迫力でしょうか。迫力というか、痛々しさの表現力ですかね。
『ビッグラジアル・インパクト』で表現された、高速回転するタイヤ、切り裂かれる皮膚のイヤな音、そして飛び散る血。
原作では静止画面となり、点でのインパクトであった表現が、流れるような連続したインパクトに進化することで、『ビッグラジアル・インパクト』がその名の通り、凄まじいインパクトを持つ殺人技であったことを思い知らされます。

『ビッグラジアル・インパクト』ってここまでエグかったのか~
と、ラジアルの強さを再確認しちゃいましたよ。
原作ではそこまで思わなかっただけに、ラジアルにとっては嬉しいアニメ化だったのではないでしょうか(笑)。

チッチッチッ!手鼻!!
そんなエグい技で攻め立てるラジアルに大ピンチのテリーですが、ここで

チッチッチッ
と、人差し指を立ててフリフリするテリーお得意のポーズが炸裂! 根性キャラである彼の真骨頂ともいえる痛快なサイン、とうとう出ましたよ。これ、おそらく旧作アニメでは登場していないムーブだと思いますので、初出しでしょうか。
原作では“舌打ち”という破裂音を無理に言語化をしているため、上記のように少々バタ臭い表現となっていますが、アニメではリアルな“舌打ち”が再現可能です。それによってテリーの決して折れない根性を、あるべき姿で見せてくれたのはアニメならでは、という感じですね。
そして満身創痍の片膝立ちという、ボロボロながらも色気漂うポーズからの…手鼻! これ、原作連載当時の私も
手鼻(血)をかむテリー。
旧オレ流ホームページ:2012年1月16日記事より
と、ボソリとツッコんでいます(笑)。
イケメン枠のテリーが、そんな見た目のことなどお構いなく放つお行儀の悪さ。でも血が鼻に詰まったら息がしづらいですもんね。そりゃあ血ぃ、抜きますよ。でもってそこに

そんな見てくれ気にしてる場合じゃねぇだろう!
という、彼の質実剛健さが見えて痛快なんですよ。
そしてこのちょっとした仕草が彼の二つ名である“テキサス・ブロンコ”を際立たせており、今回のタイトル『執念のテキサス・ブロンコ』をより象徴していると思うんですよね。個人的にはこの試合で一番好きなシーンです。
さらにこのような彼の気迫あふれる言動を見たからこそ、原作連載時の私は
マックスラジアルに苦戦のテリーマン。でもジャイアントキラーというキャラなので、このくらいのピンチじゃまだまだ安心です。というか、どんなに不利になっても負けない気がします。なんか安心して見ていられるんですよね。
旧オレ流ホームページ:2012年1月16日記事より
という、絶大なる信頼感を持って彼の闘いぶりを見ていたようですね。
電車止めとドリフト・タックル止め
そして追い打ちの『ドリフト・タックル』を、両手を広げてガッチリと止めるテリー。これ、第1話のオープニングイベントである、“電車止め”を伏線にしたアクションですよね。
実は私、恥ずかしながら原作連載時はそれに気づきませんで。当時の感想にも一言もそれについて触れていません。何を見ているんだ(苦笑)。
でもこのような相関性をきちんと配置して演出してくるあたり、やはりプロの漫画家さんというのはすごいなあと思いますね。
ちょっとスプリングマンなラジアル
いたぶりの『サスペンションブーツ』、すごく痛そうでした。原作よりもかなり足首、伸びてますね。これを見て

オレの登場前にキャラ被りすんなや!
と、バックステージに隠れていた誰かが毒づいていたかどうかは定かではありません(笑)。
テリー、無茶しよる…
ラジアルから剥落したタイヤカスから反撃の糸口をつかんだテリー。F1好きな私としては、この剥落したタイヤカスにちょっと萌えてしまったり(笑)。
そこからのテリー、己の体がぶっ壊れることをまったく気にしないラッシュ。カッコよくて拍手喝采なシーンなんですけど

無茶しよる…
という、保護者のような心配を視聴者に抱かせます。
これ、魔雲天戦を彷彿とさせるラッシュなんですけど、左ひじの肉が削れている様子まで描写しているので、かなりエグいんですよね。エグいけど、彼のトンパチぶりがよく描かれていて大迫力です。
そんなラッシュの中で、きちんと左腕をグルグル回すという彼のクセを入れ込んでいるので、観ているこちらとしてはついついニヤリとしてしまいますね。
フェイバリット・オンパレード♪
右タイヤを破壊してからのテリーの攻撃が怒涛でよいですね。『カーフ・ブランディング』、『テキサス・コンドルキック』、そしてトドメの『ブレーンバスター』。
これはある意味テリーマンの自己紹介といいますか、久々に作品を観た人、初見の人を対象にした『テリー・ザ・フェイバリット』というムービーにすら思えます。
そして流れるように一気に決着したテリーの試合に対し、連載当時の私は
試合のテンポがよくて好感を持てました。このくらいのスパンで唸らせる試合となれば最高ですね。
旧オレ流ホームページ:2012年1月23日記事より
と、『キン肉マンⅡ世』で長くなりがちだった試合展開から一転、テンポのよくなった第二シーズン初戦を高く評価していますね。
客席に紛れるスグル
原作では描かれていないのですが、アニメ版ではダウンカウント中に、変装したスグルが客席に座っているシーンを一瞬抜いていました。
このあたり、次のシーンへのつながりがよりスムーズに感じられるので、演出上のよい改変ですよね。ハンチング帽を目深にかぶり、コートに身を包んで観客に紛れいているスグルのスタイルは貴重です(笑)。
スグル見参!
ヒーローは遅れて参上する、という不文律がありますが、このシリーズのスグルはまさにそれですね。アニメ版ではテリーが

フッ…ハッハ、おそいんだよ…
と、安堵からくる嫌味を口にするという、オリジナル要素を加えています。これもよい改変ですね。
このシーンで何を一番表現したいかって、スグルが登場するといかに仲間が勇気づくのか、そして安堵するのかという、彼特有の“頼りがい”であり、それによるハンパない“支援効果”なわけです。
それがテリーの憎まれ口を一つ挿入することで、ものすごく強調されているんですよね。でもって、その後の

お前は宇宙で最も頼りになる助っ人だ
という直球で彼を挟むことで、キン肉スグルというキャラクターの規格外のヒーロー気質が浮き彫りにされるわけです。
ちなみにこのスグルがテリーを抱きかかえるシーンは、7人の悪魔超人編における、ブラックホール戦直前の二人のオマージュですよね。

そんな記憶の引き出しにしまわれたシーンを、さりげなく呼び出す仕掛けに心地よさを感じてしまいますね。
お漏らしは全カット(笑)
そんな勇壮な登場をしたキン肉マンですが、原作ではこの後3回もチビってます。しかもそのうち1回はウンチ(笑)。しかしながらアニメ版では全カットでしたね。
これは排泄物を使ったギャグは描かない(描けない)という、見えざるコンプライアンスなのかもしれません。もうお漏らしは地上波NGなのかもしれませんね。
その代わり、スグルが

今度はこの私が相手だーっ!
と、威勢のよい啖呵を切ったあとは、ガクガクの武者震いと宮野真守さんの情けな声をより強調してギャップを作っていましたね。
個人的には“決闘の穴”が出現したときの、内股で頭を抱える怖がり方が情けな可愛くてよかったですね(苦笑)。これもアニオリのよい追加表現でした。

噴水のようなラジアルの血
完璧超人鉄の掟ともいえる“敗北=死”によって、ラジアルが自害するのですが、その時の流血がハンパないです。まるで噴水のような感じで、東京ドームを血に染めていましたね。
これ、かなりショッキングというか、残酷な描写です。今回のアニメを観ていると、その辺のリアリティというのはかなり追求しているような印象を受けますね。
これを良いと感じるか悪いと感じるかは人それぞれの好みですが、今回のアニメ化で

ちびっ子ファンを開拓する!
という観点からすれば、かなり彼らを怖がらせてしまうのではないかな、と感じました。
おそらくですが、親御さんと一緒に視聴するちびっ子も多いと思うんですよ。そんな未来のファン候補が、この生々しい血しぶきで離れていかなければよいのだけど…と、少し心配です。

わ~、ジュースの販売機みた~い!
というちびっ子、いないですから…その前に知らんか、噴水ジュース販売(笑)。

オマージュ効果の対抗戦
原作ではテリー勝利の直前で、バッファローマンのメディカル・サスペンションが解かれる描写が挿入されるのですが、アニメ版ではそれはカットでした。
しかしそろそろ彼らの装置が解かれる頃合いだと予想した完璧無量大数軍は、次のバトルに“アイドル超人ゆかりの地での対抗戦”を提案。そのために彼らのシンボルアイテムが合体して、巨大なマシンガンを作り出します。
これを見て原作連載時の私は
なんか展開が「黄金のマスク編」の悪魔騎士を彷彿とさせますね。
あの時は巨大な拳銃だったけど、今回はマシンガンですか。そして放たれたキャラがそれぞれ穴の中で待つ、というのも地獄巡りを演出した悪魔騎士っぽいです。
旧オレ流ホームページ:2012年1月30日記事より
と、黄金のマスク編の序章を連想しています。これ、今でもゆで先生ご自身のセルフオマージュだと思っています。
そして完璧無量大数軍が史跡・名勝の地で待つという点は、7人の悪魔超人編の対抗戦オマージュでしょう。つまりこの『完璧超人始祖編』の序盤は、
- テリーを助けるスグル(BH戦直前)
- 敵方が銃火器になり、各地へ散る
- 史跡・名勝を舞台に対抗戦開始
という流れであり、過去シリーズの記憶をそこはかとなく思い出させる仕組みになっていることに気づきます。
これも久々のスグルシリーズ続編ということで、我々の記憶を呼び覚ますための仕掛けなのかもしれません。これを見ることで深層心理が刺激され、

思い出してきた、思い出してきた!
という効果を得た人もいたんじゃないかな?
ちなみに原作連載時の私は、この対抗戦の流れを見て
ここからメディカルサスペンションを終了したアイドル超人との団体対抗戦になるわけですね。メンバーは…キン肉マンとバッファローマンは決定でしょ。あとイラストに出てきたロビンとウォーズマンも決定なのかな?
正直ウォーズマンにはシングルでカッコイイ勝利をあげさせてやりたいなあ。
旧オレ流ホームページ:2012年1月30日記事より
と、アイドル超人vs完璧無量大数軍という素直な予想をしております。しかも

アイドル超人との団体対抗戦になるわけですね
と、いかにも玄人然とした書き方…鼻につきますね(苦笑)。
お前…呑気にそんな偉そうなこと言ってると、このあと天と地がひっくり返るほどの衝撃を受けることになるぞ、このバカが(笑)。
両国の土俵が回転(笑)
各地試合会場の紹介で気になったのが、両国国技館のリングです。
相撲の取り組みが行われている最中、土俵が中央から破壊され、その中からリングが登場。お相撲さんにすごく迷惑でしたね。あれ、力士と行司、大丈夫だったのかな(苦笑)?
これってアニオリの演出なんですけど、私は超人オリンピック・ザ・ビッグファイトの準決勝、キン肉マンvsウルフマンでの、リング⇒土俵へのどんでん返しを思い出してしまいました。
謎(笑)?の5人衆キターッ!
用意された決闘の穴に

大丈夫。この私がなんとかしてみせる!
へのつっぱりはいらんですよーっ!
と、勇壮に突入するスグル。さっきまで震えまくっていた男には到底見えません(笑)。
そしてそのスグルにテリーが続こうとするところで…

テリーマン、てめえは休んでりゃいいんだよ!
と、謎(笑)? の5人衆が登場! 正体わかっていても燃えるわ~っ。その声の主は

テリーマン、てめえは休んでりゃいいんだよ!
といった感じで、おそらくは魔雲天かと思われます。
原作では誰がしゃべったかまるでわからないシーンだったのですが、アニメ版ではここにテリーが過去激闘を繰り広げた相手を添えることで、このシーンによりノスタルジーを感じさせる演出としていますね。グッジョブだと思います!
次回予告!
次回、第4話は『強襲!悪魔超人軍!!』です。
正義超人と完璧無量大数軍の対抗戦は第2戦以降、世界に散らばる6つのリングで同時開催されることに。
その各会場には戦線復帰が濃厚な正義超人主力組ゆかりの地がそれぞれ選ばれたが…完璧超人が待つその決戦場へ飛び込んでいったのは、まさかの電撃参戦で乱入してきた悪魔超人たちだった!?
まずはウォーズマンに変わってリングインしたステカセキングが、冷酷無比なターボメンと激突する!…ってな感じで、12年前に世間を大いに騒がせた、あいつらの衝撃的復活参戦シーンが拝めます。
いや~、あの時の興奮のリプレイ、楽しみに待ちましょうか。ではまた。
アニメの感想に続き、原作の感想も読んでみたいと感じた方は、こちらもどうぞ↓。
サグラダファミリアであのネメシスを手玉に取る五大刻・ファナテックを中心に、熱く、そして時には面白く語っております。今回は劣勢だったネメシスがとうとうリミットブレイクです!
個々の超人についての深堀り考察に興味がある方は、超人批評をどうぞ。最新批評はこちら↓、真ソルジャーチームとなっております。
実は『キン肉星王位争奪編』において、あのビッグボディチームよりも不憫だった伝説のチームについて、その哀愁と笑いを交えて考察しております。
テキスト後半には40年ぶりにメンバーが再会する、『真ソルジャーチーム夢の同窓会』も掲載されていますので、ご興味でた方はぜひ。
先日発表された、『超人総選挙2024』の結果分析なども書いてみました。各キャラの順位をカテゴリー別に並べ直したりして、さまざまな相関性や気づきについて書いております。
ご興味わきましたらば、ぜひどうぞ。
キン肉マン以外でも興味深いコンテンツを探している方はこちら↓なんていかがでしょうか。
先日発売41周年を迎えたファミコンについての思い出話です。80年代のちびっ子に大きなカルチャーショックを与えたファミコンの、社会的ブームについて雑感を記しております。
奇しくも今はちょうど夏休み真っ盛り。となると…

ハドソン全国ゲームキャラバン!
ですね。そんな懐かしき時代を思い出された方はぜひ。
というわけで皆様、次回お会いしましょう。ではまた。


コメント
マックス・ラジアルに轢かれてしまった、テリーマンの傷だらけどころではない壮絶な描写を前回観て、マックス・ラジアルが自ら制裁を受ける場面が原作以上に凄まじい事になると予想していたら、大幅に超えてしまった描写でありましたね…
時間帯が深夜帯の本放送で正解でありましたよ…
傷や流血の描写がかなり痛々しい感じで演出されていますよね。
リアル志向という目的なのでしょうけど、あの噴水流血はかなりすさまじかったです。
上の枠のジャンルからアニメカテゴリ見つけようとしてもなかったから右枠の方からやっと出てきましたわ。上からは飛べないんですね。
本題にやっぱりこの時間帯にして正解だと思いますわ。昼か夕方でもしやったら今の時代苦情がくるのが目に見えますからね。
アニメはアニメで漫画には描かれなかった要素を所々いれてくれるのがまた見てて楽しい所と漫画には無いカラー付きで描かれるのが面白いです。しかも12年前の連載だから記憶がうる覚えなのがまたいいw
もし東映だったらキン肉マンまた尻で穴に放り込まれてますね。
下等超人、こんにちは。
すみません、上のグランドメニューには設定していないんですよ、アニメの感想。
時間帯については、あの表現だったらたしかに日曜朝とかは無理ですね(苦笑)。ちびっ子にもたくさんみせたいから、もう少しマイルドな方がよいかな~なんて思っています。
過去のエピソードを今の技術で再現してくれているのはボーナスですよね。もうホント、第一シーズンも完全リメイクしてほしいです!