はじめに
2024年7月7日、とうとう待望のキン肉マン新作アニメが始まりました。第二シーズンである『完璧超人始祖編』ですね。それを受け、アニメを視聴した際の雑感や、気になった点をピックアップしていきたいと思います。
また、原作連載リアルタイム時の私の懐かしき感想『今週のキン肉マン』を引用しながら、当時の私の浅はかさを笑いつつ(笑)、アニメ版ならではの特徴を一緒に見出していきましょう。
ただしこのコンテンツは壮絶なネタバレとなりますので、
まずはアニメ最新話を視聴!!
してからにしてくださいね!
今回のお話
今回のお話は第6話『策略の四次元空間!!』。
原作でいうところの第16話~第18話までとなります。ブラックホールのドラゴンスープレックスから赤き死のマントまでですね。
今回の内容は以下の予告編動画をご覧いただけると、よりよく分かるかと思われます。
それでは今回の気になった点、行ってみましょう!
今回の気になった点
序盤攻防の追加
影しばりドラゴンスープレックスで見事ダルメシマンを投げたブラックホール。そこからの展開が少し変更されています。
まずはブリッジから後方回転しての、ローリングジャーマン。これ、原作ではジャパニーズ・レッグロール・クラッチでした。少し派手さが増しています。
そして影に隠れてからの、コブラツイスト。ヌルヌルと絡みつく動きに、スグル戦を思い出させます。でも…いいな、BHのやつ、追加表現されて…カーメンさんなんて野犬のシーン、逆にカットされていたよ…(泣)。
ギャワン(笑)
ダルメシマンが二―ドロップを自爆した際に発した
ギャワン!
という絶叫はちょっとかわいかったです(笑)。『8メンブラックホールキック』を食らった時の
キュウウ~ン…!
もかなり…。悶絶している姿も完璧超人らしくなくて、逆に好感がもてたりして(笑)。
このあたり、実際の声を当てられるアニメならではの表現の広がりですよね。声優の檜山修之さんがいろいろなバリエーションを考えて作品に臨まれているのがよくわかる部分です。
ターンバックルの不気味な物体
試合を優勢に進めるブラックホール。彼の四次元殺法の恐ろしさを、スグルvsブラックホールのプレイバックシーンを挿入して補完します。何度も書きますが、第1シーズンもリメイクしてほしい…。
イケイケのブラックホールは蛇の影となってターンバックルを駆け上がります。これはスグルの体にまとわりついてからのコブラツイストを思い出させますね。
そしてターンバックル最上部に到達した彼は、背面ポジションで反り返るようにニョキニョキと出現。
これ、原作でも同じ動きをしているのですが、グニャニョロからのプリプリした軟体表現、魚眼レンズで見たように誇張された顔面がどアップで出現する表現によって、不気味さ満点なんですよ。これはアニメ版の追加演出が素晴らしい効果を生んでいると思いますね。
ブラックホールといえば、洗練されたスタイリッシュなカッコよさでファンを引き付けていると思うのですが、このように気味の悪いギミックを入れた表現もまた“異星人”というイメージを喚起させて、ファンを虜にしているのでしょう。まさに個性爆発です。
ちなみにイケイケのBHを見た原作連載時の私の感想では
・相変わらず序盤は悪魔超人の優位…危険だ。
旧オレ流ホームページ:2012年3月26日記事より
・でもブラックホールの攻撃は流れるようで美しい。テクニシャンぶりが存分にわかる。
・何度目だろう、バッファとスプリングマンのドヤ顔…(苦笑)。
と、序盤優位の危険さを指摘しつつも、彼の流麗な動きに確かな満足を得ていたようです。ただ観戦中のディアボロスにに対してチクリと一言、言い放っていますね(苦笑)。
1億×1億=?
分身したブラックホールの本体を探すのに
犬の嗅覚は人の1億倍。
完璧超人のオレの嗅覚は犬の1億倍、よってお前を見つけるのは容易
と発言しています。これ、原作では
完璧超人のオレの嗅覚は人の1京倍
と言っています。
つまり原作では人基準で自分の嗅覚との差を表しているのですが、アニメ版では人から犬、犬から自分、という二段階方式でその差を表すように改変しているんですね。
この改変は、おそらくは1京(いっけい)という音の響きに耳なじみがないからだと思われます。“いっけい”と聞いて“1京”と瞬時に変換、なかなかできないですよね。また、
1億倍のさらに1億倍
と、“1億”という同じ桁数の数字を2回続けることで、印象深さが増す効果があると考えたのかもしれません。
このあたり、“京”をダイレクトに視認できる原作版との相違点がクッキリと浮かび上がって面白かったです。ただ
1億×1億=…?
の答えが瞬時に出てこなかったことは、内緒にしておきますね(笑)。
ちなみに答えは1京です。同じなんですよ、結局(笑)。でもこの桁数、彼らの“無量大数”という軍団名と微妙にリンクしていてよいですね。
そしてこの異常嗅覚の持ち主に対して、原作連載時の私は
・嗅覚が1京倍って…おならスパークで悶絶しそうだ(笑)。
旧オレ流ホームページ:2012年3月26日記事より
と、ボソリとつぶやいています(笑)。
物知りテリーマン
ブラックホールの逃げ道である、影を消し去るダルメシマンの『唾液分泌シールド』。アニメ版ではこの技の特性をテリーマンに
あれは手術室における無影灯の役割をはたしているんだ!
と追加説明させています。
これは原作にはなかった点で、技の特性がちょっとわかりにくいとアニメ制作サイドが判断した上での措置なのかもしれませんね。
方向性としてはキン肉マンがブラックホールの影を消した『サン・マッスル』と同じなので、当時そのヒントを与えたテリーがこのような解説をするのはしっくりくる上に、妙に感慨深いです。
また、テリーの博識ぶりが自然に演出される結果にもなり、これはアニメ制作スタッフグッジョブ、といったところでしょうか。
ブラックホール表現の怪
追い詰められ、本気モードとなったブラックホールの『吸引ブラックホール』。
顔の穴の中に見えるのは、縁が赤くリング状に発光した黒い円。これ、2019年に天文学史上初めて撮影に成功したブラックホールを再現していますね。
原作でも近しい表現がされていたのですが、なにぶん白黒なので、いまいちわかりづらかったんですよ。でもよく見ると、このリング状の発光をきちんと描いているような図柄になっています。
ただここでふと思うのは、天文分野で初めてブラックホールの撮影に成功したのが2019年。原作のこの回が描かれたのが2012年。…あれ? キン肉マンの方が7年も早い…!?
この事実にちょっと驚愕しています。コミックスの初版も2012年なので、撮影後に修正したわけでもないんですよ…すごいな。
まあ偶然ってこともあるだろうし、予想図は出回っていた可能性も高いので、それにインスパイアされたのかもしれませんけどね。ただちょっとオーパーツな表現だったので、ピックアップしてみました。
そして最後の奥の手を出そうとする彼を見て、原作連載当時の私は
ブラックホール勝てるんじゃないですかね?
というのも、あんだけボロボロにされてもとどめは刺されていないし、奥の手の『吸引ブラックホール』も一度攻略されたけど、その攻略を再度無効化している。つまりまだ奥の手は温存したまま。そして最後の反撃へ転じるカッコイイセリフ。いけるよ、これ。悪魔超人軍やっと1勝だ(笑)。
しかしブラックホールの刻まれ具合は痛々しいですね。満身創痍で悪魔のプライドを保とうとするブラックホール、たまらなくカッコイイっす。
その他気になった点は
旧オレ流ホームページ:2012年4月2日記事より
・「脇腹が美味」っていうわりには、「ペッ」って吐き出してますけど(苦笑)。
・満身創痍でもバック宙で影に入ろうとするブラックホール。意外と余力ある?
・「ハイパワー吸引」って、なんかダイソンの掃除機みたい。
と、満身創痍でフラフラでもブラックホールの勝利を確信しています。ただその他気になった点において、少々失礼なツッコミが多いです(苦笑)。
四次元空間内の歪んだダルさん
四次元空間に入り込み、脱出を試みるダルさんが歪みまくっていてよいですね。
原作では背景に細かい筋繊維のようなねじれ柄を採用することで四次元空間を表現していましたが、アニメでは虹色にゆらめく背景の上にダルメシマン自体をユラユラと歪ませることで、異質空間を演出しています。
これがなかなかに前衛アートっぽくて、雰囲気ありまくりです。1コマ1コマが作品になり得るといいましょうか。ほのかなジョジョ臭も感じたりして(笑)。
そして歪んだダルメシマンも滑稽でなかなかかわいいですね。なぜだか愛着が湧いてきます(笑)。
種明かしは頭上で
空間の綻びから脱出したダルメシマンに、強烈な飛び膝蹴りを食らわせたブラックホール。出てくる綻びがわかっていたかのような動きの種明かしをする際に、彼はダルメシマンの頭上に立ち、腕組みポーズです。
原作では膝蹴りの体勢のまま種明かしだったので、この動きはアニメ版での変更点ですね。まるでアトランティスの頭上に立って
獲物は逃がすな
と、ロビン戦法№1をお披露目したロビンマスクの動きを彷彿とさせます。
この“相手の頭上から講釈をたれる”という構図がブラックホールのマウンティングを強烈に助長していて、かなり痛快な演出となっています。これもアニメ制作スタッフの良変更だと思いましたね。
斬首手前の…!
そしてここからは原作をトレースするような流れに。種明かし後のトドメ技『フォーディメンションキル』、カッコよかったですね。
オレとステカセ…カーメンからの…悪魔のギフトだーっ!
と、敗れた仲間をおもんばかったセリフを言ってくれるのがたまらないんですよね。カーメン少しだけ報われた、みたいな(笑)。
そして自害を試みるダルメシマンに、その矜持の実行すら許さない赤き死のマント! アニメ版では斬首直前で次回に続く、です。
さあ、ようやく我らが悪魔超人軍が一勝。この盛り上がりについて、原作連載時の私も喜んでいます。
やりましたねえ~、ブラックホール見事な勝利。みんなこれを待っていた(笑)。多くの肉ファンの溜飲が下がったのではないでしょうか。
先週懸念されたことは、ブラックホールの体の傷が脱出口となって、反撃されかねないということ。しかし今回はその対策もバッチリでした。トラップを張り、先を読んでの見事な迎撃葬。傷の形が骨の形というのが笑えますが、それを自身でワザとこさえていたところに策士ぶりがうかがえます。こういった戦略、ブラックホールにすごく似合ってますね。文句なくカッコイイです。
最後には新しいフィニッシュホールド『フォーディメンションキル』までご披露。フェニックスのアレに似ていますが、なかなかカッコイイ技です。
おまえは完璧だが超人としてじゃねえ、完璧な犬だ
というセリフもイカしてますね。言ってやった、言ってやったって感じです(笑)。
オレとステカセ、カーメンからの悪魔のギフト
というセリフも涙ちょちょぎれる。よかったなあ、カーメン。でもカーメンも新しいフィニッシュホールド欲しかったな(苦笑)。
そして自害をしようとするダルメシマンを助けるのかと思いきや、残酷にも斬首。この意図は? 仲間と思っていたが、やはり冷徹な悪魔としての復活なのか? 悪魔超人参戦の真意が楽しみです。
その他気になった点は
旧オレ流ホームページ:2012年4月9日記事より
・空にしっかりと骨穴が開いてる(笑)。
・ブラックホール空間の音は「バウ~」。
・ブラックホールの勝利に喜ぶスプリングマン。嬉しそう。
いかがですか。12年前の私、カーメンのことばかり考えているでしょう(苦笑)? しかも
カーメンも新しいフィニッシュホールド欲しかったな
と、ゆで先生にほんのりと苦情を申し立てているという。どんだけカーメンファーストなんだよ(笑)。
ちなみに四次元空間の音が「バウ~」というツッコミについては、実はスグルが迷い込んだ際も「バウ~」であったことに今回初めて気づきました。コミックス読み返したら、まったく同じなんですよ(笑)。
つまり中井先生は久々に四次元空間を描くにあたり、背景と効果音の両面で既出表現を完璧に再現したわけですね。いや~、おみそれいたしました。
次回予告!
次回、第7話は『衝突!超人たちのイデオロギー!!』です。
いよいよ明かされる悪魔超人たちの真の狙い、それは完璧超人の皆殺しを図り属性そのものを根絶させるという途方もない目標であった。彼らがそこまで完璧超人を敵視する理由は何なのか?
そしてその言葉通りテムズ川に浮かぶ水上特設リングでは、残虐性にかけてはトップクラスの悪魔超人アトランティスが、完璧超人“完刺”マーリンマンの殲滅を謳い奮戦していた。やがて闘いは水棲超人同士の激しい水中バトルヘ発展していき…。
さあ、緑と青の対決は、どのようなドラマを生み出すのか。ではまた。
お知らせ
原作感想のご案内
アニメの感想に続き、原作の感想も読んでみたいと感じた方は、こちらもどうぞ↓。
サグラダファミリアで続くネメシスvsファナティックを中心に、熱く、そして時には面白く語っております。今回は全身全霊をかけたネメシスの一撃が炸裂! 試合が決着に向かって大きく動き出す、ドキドキの展開となっております。
超人批評新作のご案内
個々の超人についての深堀り考察に興味がある方は、超人批評をどうぞ。最新批評はこちら↓、つい先日アニメで活躍したばかりのマックス・ラジアルをピックアップしております。
『オレ流超人批評』初となる完璧・無量大数軍メンバーの批評。新シリーズの先鋒を務めた彼は、なぜ敗れたのか。そして彼の真なる役割とは何だったのかについて、深く考察しております。ご興味でた方はぜひ。
キン肉マン総選挙2024分析1のご案内
先日発表された、『超人総選挙2024』の結果分析なども書いてみました。各キャラの順位をカテゴリー別に並べ直したりして、さまざまな相関性や気づきについて書いております。
ご興味わきましたらば、ぜひどうぞ。
キン肉マン以外の雑文のご案内
キン肉マン以外でも興味深いコンテンツを探している方はこちら↓なんていかがでしょうか。
先日発売41周年を迎えたファミコンについての思い出話です。今回は1988年度に私が遊んだ思い出のソフトをピックアップ。
- 信長の野望・全国版
- 真田十勇士
- 三国志 中原の覇者
- 飛龍の拳II ドラゴンの翼
- 三國志
- グラディウスII
- ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者
についての懐かしい記憶を記しています。
オレもやったわ~
と感じた方、ぜひどうぞ。
というわけで皆様、次回お会いしましょう。ではまた。
コメント