【キン肉マン538話感想】ペシミマンの自己変革に涙!ロビンが示した”友情”という最後の壁

友情によって価値観を塗り替えられたペシミマンの変革を象徴する『キン肉マン』538話感想用サムネイル。友情が刻の神を上回るというテーマを視覚化し、自己変革と師弟対決の帰結を示す構図。 今週のキン肉マン
スポンサーリンク

『キン肉マン』538話では、ロビンマスクが『逆タワーブリッジネイキッド』で死闘に見事な終止符。しかし本当の主役は、友情によって価値観そのものを書き換えられたペシミマンだったのかもしれません。

なぜロビンは最後に「お前たちへの友情だ!」と叫んだのか?
ペシミマンはなぜ「五大刻とかはどうでもいい!」と言い切れたのか?
そして、この決着は「敵討ち」ではなく「師弟対決」として、どのような意味を持っていたのか――。

今回は「自己変革」「師弟対決」「友情という新たな価値観」という3つの視点から、ロビン勝利の真意と、ペシミマンが読者にもたらした成長のカタルシスを徹底考察します!

今週の注目ポイント

  • アキラ予想、今回こそ的中か(笑)?
  • ペシミマンの自己変革
  • “奥の手×逆”というジョーカー
  • 二人の弟子の見事な同一化
  • ほろ苦いセコンドデビュー
  • 望まぬ闘いを覆す勝利への道
  • リアルタイムの価値観変化がもたらすカタルシス

この記事にはキン肉マン週プレ最新話538(2026年7月12日配信分)の感想が記載されています。つまりネタバレ確実なため、十分ご注意ください。
また、著作権保護の見地から
①Webサービス版
②紙媒体
等でオリジナルの作品を事前に読むことを強くお勧めいたします。

最新話はこちら↓のリンクから!!

キン肉マン公式サイト
最新情報や歴代「超人総選挙」結果もチェックできる!

今週のキン肉マン第538話「意気投合する”ふたり”!!」感想と考察

前回までのあらすじ

ファイナルスタンディングデュエルマッチで行なわれるロビンマスクvsペシミマンのエクストラマッチもついに最終局面!

“壁”として立ちはだかったロビンマスクに対し一度は破られた進化版パロ・スペシャルをさらに進化させた「シェリフズ・アレスティング・パロ」を極めたペシミマン。

そのまま両肩を破壊すると、とどめの必殺技フィニッシャーララミージャンゴの体勢に。ところが技が決まる寸前、ロビンマスクは外れたと見せかけていた両腕のサポーターでファイヤーバードのオート機能を反応させると、まんまと必殺技から脱出した――!! 前回の感想は☞https://oreryu.site/kinnikuman15-124/

押すなよ?―OLAPへの完璧な“フリ”

 オート機能の脆弱性を突き、『ララミージャンゴ』から逃れたロビンマスク。ここからはロビンのフィニッシュムーブになると思うのですが、私の注目点は二つ。

  1. フィニッシャーはOLAPとなるのか?
  2. 弟子ーズはその壁を超えられるか?

となります。

 1は私のロマンです。この試合は『パロ・スペシャル』を中心に展開されたので、最後はぜひとも至高のパロ・スペシャルに到達してほしい。それをもって『キン肉マンⅡ世』とのドッキングをさらに推し進めてほしい。そんな願望ですね。

 2は勝敗に関する要望です。言うてこの試合はペシミマンを介した、

ウォーズマンvsロビンマスク

という師弟対決です。物語に“師匠超え”といった大きなテーマがある以上、そろそろこれが達成されてよい時期なのではないかと。それはウォーズマンの真なる

ロビンという呪縛からの脱却

につながると思うんですよね。ですので、その二点で物語を追っていきたいと思います。

 ロビンは相手の能力を逆手にとったことを口にすると同時に、なんと

さっきのお前の技で、もはや私の両肩はマトモに上がらん…

と、真剣勝負の最中に自分の弱みを敵に晒すという仰天発言をするんですね。自らを不利な状況に追い込むなんて、普通だったら考えられないですよ。

 ただ前回苦みばしった老獪さを披露したロビンのこと、これも“罠”なのかもしれません。でもここは素直に

肩が上がらなくても使えるフィニッシュ

を彼が選択せざるを得ない、という縛り宣言と受け取る方が無難でしょう。だって…OLAP、両肩を上げる必要ないですもん。そしてタワーブリッジは両肩上げないと極まらない…!

ロビンの肩が上がらない状況で選択可能な技を比較した図解イラスト。OLAPは肩を使わず発動でき、タワーブリッジは肩の可動が必須であるという技構造の違いを示し、538話の“フィニッシュ予想”の伏線を補強する。
▲両肩上げ不要のOLAPと必須のタワーブリッジ。

 ほらほら、どうです? これはもう完全にロビンの“フリ”でしょう! ダチョウ倶楽部の

押すなよ?

くらい鉄板のお約束じゃないですか? これはOLAP、イケるぞ(笑)!

ロビンが「押すなよ?」的な“フリ”を仕掛ける場面をコミカルに描いたイラスト。技選択の前振りとして読者の期待を煽る構造を視覚化し、538話のユーモアと緊張感を同時に表現する。
▲ダチョウ倶楽部の伝統芸能を披露したロビン(笑)。

聞いてないよ!―お約束破りのタワーブリッジ

 そして己の弱体化を告白しながらも、おもむろに着ていた鎧を脱ぎ捨てるロビン。これはスタン・ハンセンが左腕のサポーターをたくしあげるくらい、彼が“本気モード”に入ったサインです。

 もちろん一番弟子たるウォーズマンは、その危険性を身に染みてわかっており、ゆえに

マズイぞ、ペシミマン!
ヨロイを脱いだロビンの狙いは…‼

と、弟弟子に必死でアドバイスしようとするも、

もう遅い

と、むげもなく冷徹にそれをはね除ける師匠。

 そして空中でペシミマンを捕獲して固めていくフィニッシュは、もちろんロビン王朝最高の至宝、OLA…あれ? ボクの目の錯覚かな? ペシミマンを肩口に抱えちゃったよ? 最近老眼が進んでいるからな(汗)。

両肩が完全に上がらずとも、出せるタワーブリッジがあるのだよ

 ん? タワーブリッジ? 今タワーブリッジ言った? しかも相手の足首をクロスさせるムーブは、ネメシス戦で披露した…

それがお前を倒す私の最後の…技となる!

くらえーっ!
タワーブリッジネイキッドーッ!

 ええ~っ、そっちぃ!? でも…たしかにこのタワーブリッジは、両肩を上げなくてよいフォームだけど…ええ~っ!? これこそまさに

聞いてないよォ~っ!

ですよ(笑)!

ロビンが予想外の奥の手『タワーブリッジネイキッド』を発動する瞬間を描いたイラスト。読者の「聞いてないよ!」という驚きを象徴し、538話の“予想外の裏切り”を視覚化する構図。
▲まさかのお目見え『タワーブリッジネイキッド』。聞いてないよ!

まだ終わらんよ!―ペシミマンのアジャイル最終形に賭ける!

 奥の手のタワーブリッジを食らったペシミマンは、

ニギャアア

と吐血し、手をピクピクと痙攣させる“Majiで失神する5秒前”。これはちょっと…ここまでかな(汗)。

 ただペシミマンには、心の分身たるウォーズマンがセコンドについている。そうだ、ここからが出番だぞ、ウォーズマン! 何のために起き上がってきたんだ、キミは! 今こそコンピューターをフル回転させて、相棒に逆転の一手を授ける場面なのではないのか!?

 そう思っていると、リングサイドから

ペ…ペシミマン!

と声をかけるウォーズマン。あかん、なんかちょっと声の張りが弱々しい。ぶっちゃけ何も頭が回っておらず、ただただ動揺しているようにしか見えない! こんなセコンドっぷりで大丈夫なのか、未来のクロエ(苦笑)!

 すると私の心配をよそに、

あ…安心しな、ウォーズマン。オレなら大丈夫

こんなんでくたばれるかよ。
必ず…コイツを倒すんだ…

オレたち底辺で暮らしてきたクズでも…やれるってところをみせてやる!

と己の体を発光させ、友情パワーと思しきエクストラ・パワーを発動させてこの絶体絶命からの脱出を宣言するペシミマン。な、なんて心強いセリフを口にするんだ、キミは!

 そうだ、まだだ! まだ終わらんよ! 友情パワーが発動した以上、ここからが弟子ーズの真骨頂だぜ。ロビンのOLAPフィニッシュは絶望的となったけれども、ペシミマンのアジャイル開発最終形である、

偶然OLAP

という、奥の手の展開がある! これを食らわせて、

二人の友情パワーによる師匠超え

という、衝撃的なエンディングを見せてほしい! お願いします!!

夢の『OLAP』炸裂のペシミマンを描いたイラスト。徐々に改良がおこなわれ、最終形態となる願望と予想を記した一枚。
▲きっと見せてくれる…さ?

ペシミマンの切実なる願い―自我の転換点

 エクストラ・パワーにて脱出を図るペシミマン。かつてネメシスがやったように、自身の体を伸ばすことで逆にロビンの頸動脈を絞め上げる反撃を見せます。

 うん、ここまでは定石通り。少し気になったのは、アナウンサーがペシミマンの発光を

五大刻の1億パワー

と実況したことでしょうか。これ、とらえ方によって表現が異なるのは仕方ないのですが、ここはやはり友情パワーによるエクストラ・パワーだと思いたいです。

 ただこの実況を受けて、ペシミマンが

五大刻とかはどうでもいい!

とにかくコイツを倒せたならオレは…オレたちはーっ!

と叫んだのは、大きなエポックだと思います。おそらくですが、今後の彼の将来を左右するほどの意識改革なのではないでしょうか。これについては後ほど考察していきたいと思います。

 いずれにせよ、ニヒルで常に気だるさが漂っていた彼のようなキャラクターが、ここまで自我をさらけ出してまで欲した“二人で勝つ”という欲求。一読者としても、一人の人間としても、

なんとかそれを成就させてあげたいな

と、なにやらホロリとしてきてしまいましたよ(泣)。

「五大刻とかはどうでもいい!」と叫ぶペシミマンの価値観の逆転を描いたイラスト。自己変革の核心となる瞬間を視覚化し、友情が新たな価値として成立したことを象徴する。
▲印象的なペシミマンの叫び

打ち砕かれた願望―ロビンマスクという強者

 そんなペシミマンの悲痛ともいえる願い。それを受けたロビンの方はというと、

な…ならば私も負けられないな。
その熱い気持ちを受けて…

と、彼もまた体を発光させ、体内に眠るエクストラ・パワーを放出。これはロビン版の“火事場のクソ力”でしょうか。そして

なお…全力でお前を叩き潰す…それが…私なりの…

と己の意思を口にし、グイっと足に力をこめると

お前たちへの友情だーっ!

と叫びながら、タワーブリッジネイキッドの姿勢を保って上空高くジャンプ。そしてその最高点で体勢を上下逆さまにすると、そのまま落下。

 そうか…あれか。あれをやるのか、ロビン。しかもただのタワーブリッジではなく、奥の手であるタワーブリッジネイキッドで…あれを。この瞬間、私は悟りました。

  1. フィニッシャーはOLAPとなるのか?
  2. 弟子ーズはその壁を超えられるか?

という私の願望が、フルマークで打ち砕かれる未来を。

逆タワーブリッジネイキッドーッ!!

 格闘・ヒーロー物における“逆”もしくは“リバース”といった類の修飾は、勝利を限りなく近づけるカードです。もうこれが付いたら、闘いはほぼ決着です。それくらいの説得力を持つ最後のジョーカー。彼はここぞのタイミングで、しっかりとそれを切ってきた。

 これぞロビンマスクという男。ロビンマスクという超人。ロビンマスクという…高き壁。私が抱いた“美しさ”というロマンをまとった“情け”など、歯牙にもかけずに厳しい現実をたたきつける強者…それがロビンマスクの正体でした。

ロビンが“逆タワーブリッジネイキッド”というジョーカー技を切る瞬間を描いたイラスト。強者の勝負論と決着の必然性を象徴し、538話のクライマックスを視覚的に補強する。
▲情け容赦なくジョーカーを切る強者。

 以降の描写は、私にとってはもうすべてが決したことを悟った後の、緩やかに流れる時間でしかありませんでした。

  • フワフワと彷徨いながら、リングに落ちるカウボーイハット。
  • 技を解き、前方回転しながら着地するロビン。
  • 断末魔とともに吐血して倒れるペシミマン。
  • そっと帽子を頭にのせてやるロビン。
  • 試合決着を宣言するハラボテ委員長。
  • 鳴り響くゴングを背に、天に向けて人差し指を立て勝利をアピールするロビン。
  • リングに這いつくばり微動だにしないペシミマン。

 …なんだろう、この虚無感。そうだ、この気持ち、ウォーズマンがペシミマンに敗れたときにポッカリと空いた、心の空洞に似ているんだ。つまり…私の中で、ペシミマンはそれくらいウォーズマンと同一視されていたんだ。まさかここまでとは…自分でも気づかなかったよ。

闘いの総括―三者論評

 今回はこの感想考察の総括として、試合決着をみたあとの、三者に対する私のミニ論評をつらつらと書き記していこうかと思います。

ウォーズマン― 虚無感の正体と歯がゆさ

 現在の私の気持ちを正直に書くと

また負けた…

という失望感が去来しています。けっこうつらいです。だって…連敗ですからね、ウォーズマン。

 もちろん実際に闘ったのは彼ではなくペシミマンなので、あくまでチームとしての敗北なのですが、その言い訳を差し引いてもこの気持ちが強いです。

 そして私をそんな気持ちにさせているのは、前述した通り間違いなく

ウォーズマン≒ペシミマン

という、この試合で育まれた二人の同一視です。このシンクロ率が思った以上に高かったからこそ、この虚無感が発生しているんですね。

緑色のサイバーな電子基盤とグラフ背景の前で、同じ方向を向いて戦闘ポーズを構えるペシミマンとウォーズマン(ベアクロー展開状態)のハイシンクロ率を表現したイラスト。
▲想像以上に高かった二人のシンクロ率。

 でもこれ、裏を返せば“代理師弟対決”という変則的な物語設定において

ウォーズマンファンの思いをペシミマンに流入させる

という、いうなれば二つの感情の川を運河でつなぐ大工事を、ゆで先生が見事に成した証なんですよね。いや、もう見事な手腕としか言いようがないです。だってこの運河が通じなかったら

ま、言うて負けたのはペシミマンで、ウォーズマンじゃないからOK

という、冷ややかな気持ちでこの瞬間を迎えたはずじゃないですか。でもそんな気持ちはまったくもってないわけですよ。

ウォーズマンとペシミマンの感情が同一化し、二つの川が運河でつながる比喩を視覚化したイラスト。代理師弟対決の構造と読者の虚無感の正体を説明する538話の重要テーマを補強する。
▲見事に成功した運河工事。ニコファンはペシミマンヘ流入。

 そしてもう一つ思うのは、

セコンドとして、もう少し何かできなかったか、ウォーズマン!

という歯がゆさですかね。

 私は彼の“セコンド”の役割を、将来ケビンマスクを王者に導く指導者・クロエの原点だと考察しました。それだけに、その原点は

とてつもない成功体験が望ましい

と、勝手に望んでいたんです。それこそが彼の“指導者”としての、ポテンシャルの高さの証明になると思っていたんですね。

 しかし悲しいかな、現実は真逆の結果に。ただこの強烈すぎる“しくじり体験”が逆に発奮材料となり、将来の彼を形作ったと考えるのもありなのかもしれない、とも感じましたね。

将来的にロビンの息子・ケビンマスクを頂点に導いたクロエの名伯楽ぶりを描いたイラスト。今回の試合が指導者の原点とすると、ほろ苦いデビューとなった。
▲ほろ苦い指導者デビューが教訓となったからこその栄光?

 そして喫緊の課題は、彼がペシミマンに対してどのようなケアをするのか…ではないでしょうか。セコンドとして、いや、自分一人の力で初めてできた親友に対する、トモダチとしての彼の声掛けに注目したいですね。

ロビンマスク―私の拒絶をほぼ完封

 もう今回は完全に“一人勝ち”でしょう。序盤からやりたいように、好きなように振る舞って、最後には結果をすべてを持っていった…そんな感想がまず口をついてきちゃいます。

 思えば私は、彼がこの場に現れた瞬間から

最悪のシナリオだ

と、絶望感に苛まれていました。彼が弟子の敵討ちを達成するストーリーなんて、ウォーズマンに対する冒涜でしかなく、そんな陳腐な展開は本気で願い下げだと思っていたのです。

 そう思わせる大きな理由として、当時の私は以下の5つの理由をあげています。

  1. ペシミマンと分かり合う闘いは、ウォーズマンしかできないから
  2. 分かり合うことなしに他の超人がペシミマンに勝利しても、ウォーズマンの敵討ちにはならないから
  3. 他の超人の勝利は、ウォーズマンが構築したペシミマンとの信頼関係を汚すものだから
  4. ロビンが尻ぬぐいをしたら、ウォーズマンは彼の呪縛から永遠に解き放たれないから
  5. ウォーズマン>ロビンマスクという力関係を否定することになるから
【キン肉マン521話感想】ロビン参戦は救いか呪縛か?ウォーズマンファンが覚えた“王道”への違和感
『キン肉マン』521話感想&考察。ロビンマスク参戦で王道展開へ進む中、ウォーズマンファンが覚えた“違和感”の正体とは? 救いか呪縛か、その理由を師弟関係とペシミマンの理から丁寧に読み解く。

 特に4に関しては、

子どものケンカにいつまで親が出張ってくるんだよ

という、過干渉的不快感が強かったんですよね。子離れできない親に対し、独り立ちしたがっている子どもがウンザリしてしまう、あの感覚に近いです。だからこそロビンが“敵討ち”で勝利する展開は、陳腐であり願い下げだったんですよ。

 そんな望まぬ闘いの結末は、願い下げだったロビンの勝利となりました。リザルト上では

最悪の結末

です。ただ…その内容は、唾棄していた陳腐なものではなかったのです。

 それはこの闘いのテーマが“敵討ち”ではなく、“師弟対決”にシフトしたからに他なりません。それどころか、この“敵討ち”の役割りをペシミマンにやらせるという、仰天のウルトラC展開もまた想定外でした。つまりこの一戦は、

  • ロビン…師弟対決
  • ペシミマン…敵討ち

というテーマの役割分担によって、私の1~5の不満の多くを巧みに回避することに成功したのです。

ロビンが“敵討ち”を放棄し、ペシミマンがその役割を担うというテーマ変更を、宙返り三回ひねりで象徴化したイラスト。物語構造のウルトラC的転換を視覚的に説明する。
▲テーマの変更と分担というウルトラC

 まずロビンが早々に“敵討ち”を放棄したことにより、2の“納得感のある敵討ち”という要求が成立しなくなりました。それは同時に4の“尻ぬぐい”という不満も消してしまったのです。だって…ロビンは師弟対決担当だから、尻ぬぐいをする感性自体が不要なんですから。

 また、なぜだかペシミマンが敵討ちを担当することになったため(笑)、彼とウォーズマンの急速な同一化がなされ、ロビンにとっての“分かり合う対象”が

ペシミマンオンリー

から

ペシミマン&ウォーズマン

にシフトしました。これはロビンの“分かり合うためのハードル”が大きく下がったことを意味しているんですね。だって片方はもう長年のツーカーですから。

 ほら、仲直りしたい相手がいるときに、当人同士では角が立って話し合いができないけれど、

…なんならオレが間に入ろうか?

と、両者を取り持つ助け船的第三者が入る場合があるじゃないですか。それが今回のウォーズマンなんですよ。彼が間に入ることで場の空気がマイルドになり、ロビンとペシミマンが分かり合うためのハードルを下げる結果となったんですよね。

ウォーズマンがロビンとペシミマンの間を取り持つ“仲介者”として機能する場面を描いたイラスト。三者関係の再構築と、師弟対決の成立を支えた重要な役割を視覚化する。
▲仲を取り持ってくれたウォーズマンくん。なんてイイヤツ(笑)。

 これによって1、2で私がこだわっていた“分かり合う闘いの質”についても、妥協点が生まれているんです。ウォーズマンとペシミマンは高い精度で同一化しているのだから、

ウォーズマンが納得すれば同時にペシミマンも納得

という理屈が通るじゃないですか。つまりロビンはペシミマンの中にウォーズマンを取り込むことで、

ロボ超人同士でしか不可能

と思われた“分かり合う闘い”を、間にウォーズマンを入れた師弟対決というベクトルで可能にしてしまったんですね。また、二人を同一化させることで、3の信頼関係を汚すどころか、ロビンを含めた新たなる信頼関係を生み出してしまったんです。

 それを如実に表しているのが、フィニッシュに移る直前に彼が言った

な…ならば私も負けられないな。その熱い気持ちを受けて…

なお…全力でお前を叩き潰す…それが…私なりの…

お前たちへの友情だーっ!

というセリフです。注目は彼が“お前たち”と、二人を同一視して発言している点なんですよ。これはロビンの

オレもその輪に入れてくれないか?

というリクエストにも見えるんですよ。たとえそのアプローチが“相手を叩きのめす”といった、狂ったものだとしても(苦笑)。

 その証拠に彼はこの狂ったアプローチの際、

それが…私なりの… お前たちへの友情だーっ!

と、エクストラ・パワーを放出しているんです。

 これ、はじめは私ロビン版の“火事場のクソ力”かと思ったのですが、友情パワーだったんですね。しかもなんと友情パワーの中でも一番高尚だといわれている

敵のために出す力

という性質を帯びた友情パワーだった。要はこの狂った行動は、二人の深い信頼関係に対する、彼なりの敬意を伴った真摯なエールでもあったわけです。それが“信頼関係を汚す”という3の嫌悪をなくし、かつ排他的であった1の“分かり合う闘い”のフィールドに、彼を招き入れる実績となったわけですね。

 そして最後の5の力関係については、今回の闘いを通じて彼が名言を放ったことで、雲散霧消してしまいましたよね。彼はこう言いました。

師とはあくまで弟子の“壁”となるべきで、“天井”となってはならん

 この教訓は、仮に現時点でウォーズマンがロビンを上回っていようとも、ロビンにとっては恒久的に据えられる信念なのでしょう。一度壁を超えられたのであれば、師として再び壁となる。それは彼らが師弟である限り、永遠に繰り返される。

 そして『逆タワーブリッジネイキッド』がさく裂したこの瞬間、再びロビンが高き壁として彼らの目の前に君臨した…ただそれだけのことだったのかもしれません。

ロビンマスクが真正面から「師とは弟子の壁となるべきで天井となってはならん」と語る名言シーン。仮面の奥の光る瞳が、深い悔恨と覚悟を表現している。
▲この姿勢に終わりはないのかもしれません。

 以上のようにロビンを考察すると、彼は“敵討ち”をペシミマンの担当とし、自分は“師弟対決”を担当する状況を作るためには、あえて“エゴイスト”となり、自己中な“KY言動”を行うしか道がなかったのかもしれません。

 なぜなら二人を同一化させ、闘いのテーマを“師弟対決”にシフトしなければ、厭世的ロボ超人との“分かり合う闘い”を達成することは、到底不可能だったからです。そしてそれが可能となるわずかな手掛かりを見つけた彼は、試合の序盤に宣言した、彼にとっての師弟対決の願望である

そして圧倒的な勝利を収めてやろうではないかーっ!

を実行し、完膚なきまでに弟子二人を叩きのめしたのです。その厳しすぎる勝負論は、

そうでないと弟子に対して失礼である

という、彼の矜持だったのかもしれません。

 ただこのような彼の行動を外面だけで判断すると、

好き勝手やっておいしいところだけをかっさらった

という印象に、どうしてもなってしまうんですね。でもそこに至るまでの奥深さが見えてくると、彼の勝利を単純な感情論で拒絶できない自分がいることに気づかされてしまうんです。そしてそれはゆで先生の、とんでもない構成力の賜物でもあるんですよね。

ペシミマン―ピュアな成長カタルシス

 彼は…間違いなく今回のMVPですよね。そう思わせる理由はいろいろとあるのですが、個人的にそれを集約すると

強烈なる自己変革という成長

を、我々読者にリアルタイムで披露したからではないかと感じています。

 彼はそもそもこの世界を“無価値”だと考えていました。それこそ

こんな世界は一度滅んでしまえばいい…

という、世捨て人のような破滅思考に凝り固まっていたのです。だからこそ、そんな彼が自身のアイデンティティを捻じ曲げてまで

他人の尊厳のために必死に闘った

ことが大きな驚きであり、成長という名のカタルシスだったのです。

 考えてもみてくださいよ。滅べばいい世界の中の、どこに守るべき尊厳があるのですか? ないですよね? 滅べばいいのだから。守るという概念すら存在しないはずなんです。

 しかし彼は“守るべき者”のために命を賭して闘った。これは大きな自己矛盾です。そしてその矛盾を作ったのは、間違いなくウォーズマンという存在なんですね。彼との闘いを通じてペシミマンは

この世に価値あるものは存在する

ことに気づいてしまったんですよ。そしてその価値あるものとは…

友情

に他ならなかったんです。

ウォーズマンとの闘いを経て友情という新たな価値に気づき、世界観が書き換わるペシミマンの変革を描いたイラスト。価値観の再構築という538話の核心テーマを象徴する構図。
▲新しい価値観に気づいてしまったペシミマン。

 それに彼は必死で気づかないふりをしていました。そうしないとアイデンティティを保てなかったからです。しかしそこに…紳士の皮を被った、とんでもないKYモンスターが現れた(苦笑)。その人物の煽りに堪えかねて、彼は自己変革をせざるを得なくなってしまったのです。

 ところがその自己変革は、とても美しい変革でした。守るべき者の尊厳回復のために闘うこと、それが“友情”という、彼がこの世でやっと見つけた輝かしい価値を守ることにつながったからです。だからこそ彼は、最後の抵抗時に

五大刻とかはどうでもいい!

という言葉を発したのだと思うんですよね。

 これ、本当に感動的な自己変革であり成長だと思うんですよ。五大刻とは

宇宙崩壊を目論む刻の神直下の最高司令官

です。しかし彼はそれを“どうでもいい”と切り捨てた。つまり彼の中で

友情>刻の神

という価値観の逆転が生じたことを、ありありと表明した瞬間なんですよ。そこに成長という美しさを感じた我々の脳内に、とてつもない“カタルシス”が大量分泌されたのです。

友情>刻の神という価値観の逆転が起こる“自己変革の瞬間”を描いたイラスト。ペシミマンの内的成長と読者のカタルシスを視覚的に補強する。
▲価値観の逆転という、自己変革のエポック。

 それだけに、彼がその直後に口にした

とにかくコイツを倒せたならオレは…オレたちはーっ!

という切実なる叫びはとても痛々しく、誰もが

このあと彼は何を言おうとしていたのだろう…?

と、思案せずにはいられないんですね。その答えはきっと読者それぞれが持っているので、明確な正解を提示するのは野暮なのかもしれません。ただペシミマンが

オレたちはーっ!

と無意識に言い放ったことが、

ウォーズマン≒ペシミマン

という同一化が完全に成されたこと強烈に感じさせ、私にさらなるカタルシスを与えてくれているのです。

 このように“自己変革という成長”で、我々の心を激しく揺さぶってくれたペシミマン。それだけに、今わの際の

な…なんでぇ~…もう少しオレに…か…恰好いいところを見せさせて…くれよ…

という言葉は、悲痛を通り越して彼の奥底に深々と隠されていた“純粋さ”を、最後の最後で垣間見た気分でしたね。だからこそ、私はMVPという称号を彼に送りたくなるのでしょう。

 そしてロビンが彼のカウボーイハットをそっとその頭に戻した行為は、彼なりの称号贈呈という最大級の敬意の表明だったのかもしれません。

ロビンが倒れたペシミマンに帽子をそっと置く“無言の承認”を描いたイラスト。師弟対決の帰結と尊厳の回復を象徴し、538話の静かな余韻を美しく締める構図。
▲無言で行われた称号贈呈。

ゆでたまご先生―あえての感情論でごめんなさい

 三者への論評といいながら、最後にこの試合を描いたゆで先生へのメッセージを書き記したいと思います。

 結論から申し上げると、お見事でした。あれだけ私が望まなかった闘いを美しいドラマに昇華させ、ロビンの勝利に高い納得性を与えた手腕には、ただただ脱帽です。

 で・す・が…です。一人のウォーズマン推しとして感情の赴くままに今の気持ちを言わせていただくのならば

もうロビンはええて

というのが本音なんです。いや、ホント申し訳ないです。特にロビンファンの方々、申し訳ございません。

 もちろんあれだけ深堀って考察をしたので、理屈では納得しています。でもどうしても感情が理屈を超えてしまうんですよ。だからこそ切実に思うんです。

ウォーズマンにも、そろそろあの栄光の場所を譲ってあげてください

って。いや、単なるワガママですよ。それは百も承知ですって。でもやっぱりウォーズマンの不遇さを嘆く身としては、

いったいいつになったら浮かばれるの

という不満がどうしても去来してしまうんです。

 正直これ、書くかどうか迷いました。完全に蛇足ですからね。でもたまにはさあ、論理から逸脱した感情も書かせてくださいよ。そしてゆで先生、近い将来、本気でお願いします!!

第538話感想とまとめ

 以上、今回の感想と考察をまとめると

  • アキラ予想、今回も安定の大爆死(笑)!!
  • ペシミマンの感動的な自己変革
  • ロビンマスクという底知れぬ強者
  • ウォーズマンとペシミマンの見事な同一化
  • 苦いセコンドデビューとなったウォーズマン
  • 望まぬ闘いに納得性をもたせたロビンの手腕
  • 感情論だけで拒絶できないロビンの勝利
  • 文句なくMVPのペシミマン
  • リアルタイムの価値観変化がもたらすカタルシス
  • 結局最後は感情論になってゴメン(苦笑)

といった感じとなるでしょうか。

 今回はロビンの精緻に積み上げられた勝利の道筋にあらためて唸らされたものの、ペシミマンの“自己変革という成長”の美しきインパクトが、それを上回った回だったと個人的には感じました。

闘いとは分かり合うこと

という正義超人の矜持を是とするならば、彼に“友情”という新たな価値観を認識させ、破滅主義という行動理念を無価値にした一連の闘いは、大きな成果を得たといえるでしょう。

 それだけに、刻の神サイドに付き従う意味をなくしたペシミマンが、今後どのような生き方を選択するのかに注目せざるを得ません。

 まあ彼のことですので、安易に仲間に加わることはなく、一匹狼として闇に消えていく可能性も高いでしょう。

 ただそこに、ウォーズマンを陰から見守る

潜在的な守護神

としての役割をあてがうのであれば、個人的にはかなり胸熱いです。

 一番心配なのは、刻の神にあからさまに背いて、粛清されてしまうことでしょうか。大きく育ったキャラなので、それだけは絶対に避けたいんですけどね。

 そして今回は惜しくもピックアップできなかったポイントが、まだまだあります。それらについては一言雑感ですが、次の項をご参照ください!

第538話の小ネタ感想―気になったシーンピックアップ

 その他気になった点は

  • 思いのほか丸っこいロビンの鎧。
  • ちなみに脱ぐ音は“ゴバァ”。
  • ミラージュマンの笑い声かな(笑)?
  • 自らを“底辺”と蔑むペシミマンの前半生、見てみたいな。
  • ネメシス戦でも“逆”をやっていたら、ロビンは勝てたのだろうか。
  • 決着直前のストップ・モーションシーンはグッとくる。
  • 最後の言葉は純粋ながらも斜に構えていてペシミマンらしい。
  • 帽子がないペシミマン、マルコメ感がハンパない(笑)。
  • 味噌メーカーとタイアップできる。きっと(笑)。
  • 帽子がフィーチャーされるエンディングは、サイコマンvsシルバーマンを思い出させるなあ。

 こんなところでしょうか。

 みなさんも今回感じたことやその後の展開予想などを、よかったらXやコメント欄に書いてくださいね!

お知らせ

超人批評のご案内

 超人批評の最新作をご紹介します。今回は記念すべき超人批評100回突破シリーズとして、第1回の批評超人でピックアップしたウォーズマンの再批評を数回に分けてアップ。

 そしてとうとう今回、ウォーズマン再批評が最終回を迎えました。今回は

ウォーズマンとは何者なのか

という、彼のアイデンティティの最深層に迫っていきます。

第106回 ウォーズマン(Ver.2)その7(最終回)
なぜウォーズマンは40年を超えても私をトリコにし続けるのかを考察するシリーズの最終回は、“優しさ”という彼の根幹パーソナリティを深掘り考察することで儚くも美しい本質に迫り、ウォーズマンとは何者なのかを総括します!

 はたしてウォーズマンというキャラの根幹は何なのか。それについて、多くの事例と資料をふまえ、深々と考察をいたしました。

 そしてありがたいことに、この批評は嶋田先生からも

深い考察ありがとう。
作者が涙してしまいました

という、ありがたいメッセージをいただいております。ご興味わいた方は、ぜひご一読くださいませ。

キン肉マン以外の雑文のご案内

 キン肉マン以外でも興味深いコンテンツを探している方はこちら↓なんていかがでしょうか。

FILE.20 ねるとん紅鯨団
80年代に登場した、公開集団お見合いバラエティ 1980年代後半はバブル経済真っ盛りで、テレビが一番元気なときでした。そんな浮かれた世相を反映させたようなコンテンツのひとつが、『ねるとん紅鯨団べにくじらだん』であったように思います。 この番…

 昨今人気の“恋愛リアリティーショー”の源流ともいえる、素人参加型集団お見合いバラエティー番組『ねるとん紅鯨団』の思い出です。

 80年代バブル期を象徴するガツガツとした享楽コンテンツが、なぜここまで支持され面白かったのか…アキラ視点で考察しています。あの当時の空気を振り返りたい方はぜひどうぞ。

コミックスのご案内

 そしてコミックスは2026年の7月3日に、最新刊の93巻が発売されました! 皆さん、ご購入はされましたでしょうか。まだの方はぜひ!

楽天ブックス
¥572 (2026/07/09 14:12時点 | 楽天市場調べ)

コメント

タイトルとURLをコピーしました