今週のあらすじ
土壇場で復活したスグルはパイレートマンをブリッジで上空高く跳ね上げます。そしてすかさず『マッスル・スパーク天』の体勢へ。
こんなもの~っ、はずして…やる…
と抵抗するパイレートマンを尻目にスグルは流れるように『マッスル・スパーク地』に移行。
なんなんだこの力は?
今までこやつが“火事場のクソ力”と呼んでいたのはいったいなんだったんだ!
これは明らかに…次元が違う!!
と、そのパワーに抗えないパイレートマン。
私は絶対に~~っ、勝ーーつ!
という叫び声とともに、スグルはリングへ落下。完璧に『マッスル・スパーク』が炸裂しました。
これにはさすがのパイレートマンも立ち上がることができず、そのままダウンを喫して試合は終了。見事スグルが勝利を手にすることとなりました。
ここからパイレートマンの雑感発表が始まります。簡単に列記すると
- 不殺の技『マッスル・スパーク』はまさに我らの姿勢を全否定するような技だ。
- これで倒されたらさすがに吾輩も形無しだ。
- ディクシアもこの技で負けたのだったな…なるほど…お前に希望を託す気になったわけだ。
- 我らは火事場のクソ力の正体を知りたくて地球までやってきた。
- そして先ほどその限界を見せられ、絶望した。
- だがこうして敗れ、ようやく理解できた。
- 今吾輩が口にした“限界”とは…我々の限界だったのだ。
- お前の力は一括りできるような単純なものではなかった。
- お前のその力は…大きく三つの段階があることに気がついた。
- お前自身は全て同じつもりなんだろうが…まず最初の“火事場のクソ力”はただ吾輩を倒すべく出したもの。いわばお前自身のために出した力だ。しかしこれは期待はずれで簡単にねじ伏せた。
- 第二の“火事場のクソ力”、それは『リビルド・カナディナン・バックブリーカー』出した辺りのもの。あれは死んだ仲間のために出した力。かなりのパワーアップを感じ吾輩も心を躍らせたが、それもオメガの理解を超えるものではないとわかった。そして吾輩は絶望した…。
- 仲間のために力を尽くせばパワーが上がる? そんなことはお前らだけの話じゃない。我らとて仲間のために闘っている…オメガの民はお前らからすると攻めてきたエイリアンかもしれないが…我らはただの鬼畜生ではない。同胞の命を救いたい気持ちはお前ら地球の民にも負けるものか!
- だから吾輩は憤った! それが火事場のクソ力の真髄だというのなら…そこに我らを超える要素は何もない。これじゃオメガは救えない!
- だがお前が出した第三の“火事場のクソ力”! これはそれまでのどれとも違った。なぜならその力は…お前が我らオメガのために出した力だったからだ。
- 敵のために力を尽くす? そんな発想はオメガの文化にはありえない。そしてまたその力は我らの常識を凌駕するものだった。
- それも遥かに…吾輩にも止めようがないほどにここに至り、ようやく理解できた。われが我らの“限界”だったんだ。
というもの。
このようなパイレートマンの偽らざる心境に対しスグルは
パイレートマンよ、この力…オメガの星を救う切り札となりそうか?
と問うと、
ああ間違いない。
われわれがこの地球にやってきたのはやはり間違いじゃなかった!
と答え、
ならよかった!
とスグルはパイレートマンの手を握り次回に続く、です。
今週の感想
スムーズに決着がつきました。今回はパイレートマンの独演会といった感じでしたね(笑)。
重要なのは、我々が“火事場のクソ力”と一括りにしていたパワーに、レベルがあったということです。実体験をしたパイレートマンが言うには3段階のレベルがあるとしており、その差は
何(誰)を思いやって力を発揮しようとするか?
に大きく左右されるとのことでした。簡単にいうと
- 自分自身のため
- 友人のため
- 敵のため
というもので、③が一番高尚で力強いということです。このレベルについては納得できる、わかりやすい設定値だと思います。
①の思想はいわずもがな、②の思想は高尚であるし、これが最大レベルでもよさそうです。いわゆる“友情パワー”というものがここに当てはまるのかなあ、とも思いました。
しかしその②を超えるものが③の思想であり、それはオメガの予想を超えたものであり、ある種キリスト教における
汝の敵を愛せよ
という教えにイメージが近いのかな、と思いました。
しかも敵を許して仲間にしてしまう“正義超人のイデオロギー”とも相性がよく、しっくりきます。その正義超人の総大将、扇の要であるスグルがそれを体現することに、ゆで先生のキャラクター設定の妙を見た感じがしますね。
結果、パイレートマンは心から納得をして、スグルにオメガの窮地を救う希望を託すことができました。また「不殺」というもう一つの正義超人イデオロギーも達成し、もう100点満点の結果ですよね。お見事です、スグル。
ただディクシアが今のパイレートマンと同じ心境になっていたかは、前作のシーンを見る限りでは見て取れませんが(苦笑)。
あれかな、ディクシアの真の心境をさすがの中井画伯も捉えきれていなかったってことかな(笑)。
印象的だったのは、②のパワーについては特段珍しいわけでもなく、オメガの俺たちだってやってるよ、同胞を救いたいという気持ちはお前らに負けるものか、というパイレートマンの言葉でしょうか。
言うなれば彼ら六鎗客の面々は、オメガの正義超人なのかもしれません。立場が変われば見方も変わる、というやつで、この作品では最近多く描かれる“勧善懲悪とはならない抗争”が、ここでも垣間見えたという感じです。
さて、パイレートマンが“火事場のクソ力”を認め、スグルもオメガの星を救う気満々という状況となったため、この対抗戦の意味合いが急速になくなってきてしまいました。
それこそ最後に残ったフェニックスVSアリステラの試合も無意味な感じがします。アリステラ、パイレートマン、スグルの3者で
どうオメガを救うか
という話し合いをさっさとした方がいいように思えるんです。
とはいえ、フェニックスは試合を止めないでしょうね。おそらく邪悪神から告げられたサタンの野望という観点から、六鎗客は必ずや打破しなければならない理由があるのでしょう。
この辺の事情は明らかになっていませんが、複雑な利害関係がありそうですね。
その他気になった点は
- なぜにパイレートマンの腕や指はカラクリ仕様なのだろう?
- パイレートマンの指はペッパーくんを思い出してしまう。それかパックスパワーグローブ(笑)。
- パイレートマンの髪は頭頂部が金髪で、その先がアフロなの?
こんなところでしょうか。
コメント