尊敬しているカメハメ師匠のルーツがマグニフィセントだったと知り衝撃を受けるキン肉マン。必殺の『キン肉バスター』すらも外されると、逆に『マグニフィセントブルドーザー』を食らってしまい…!?
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驚愕! 技の描き分け
マグニフィセントのエグい必殺技『マグニフィセントブルドーザー』で額を鉄柱に打ちつけられたキン肉マン。その強烈さにダウンを喫します。
これは…強烈だよなあ。見るからに人を壊すための技って感じがしますよ…。なんだろう、完璧超人時代に虐殺王と言われたシルバーマンの『アロガントスパーク』、もしくはその思想を受け継ごうとしたネメシスの、『いけないブルドッキングヘッドロック』を思い起こさせます。
…あの技の名前、『いけないブルドッキングヘッドロック』でいいのかな(笑)? わかる? 皆さん、私の言いたい技(苦笑)。
そしてこの危険な雰囲気を一番察したと思われるミートが、血相を変えてスグルの安否を確認したのもうなずけるってものです。
しかしながら、何とか立ち上がってファイティングポーズをとったスグル。ホッと一安心ですよ。そしてスグルも

何が師匠のルーツだ。
あれは完全に殺しにかかる技だ
と、私が前述したような感想を口します。あ、スグルも同じこと考えてたんだなと思いました。
…というか、この“殺しにかかる技”って、ゆで先生があえて表現したかったことだから、あの技のフォルムや衝撃の表現が、読者にそう思わせる力を持っていた、ということになります。
そう考えると、技の形態を考えた嶋田先生、そしてそれをエグく表現した中井先生両者の演出が、見事にハマったというわけで。
このことはマンガとしての“感情の描き分け”、“表情の描き分け”ならぬ、“技の描き分け”がゆで先生ができることを証明しており、何気なく進む攻防の表現の中にも

やはり…プロは違うな…!!
と我々に思わせる、一流の技術が飛び出した瞬間だと再確認した次第です。
闘いに対する哲学相違
そんな深刻な事態を引き起こした張本人は

ハハハハ
よく死ななかったな。さすが我が系譜を継ぐ者の弟子
と、かなりあっけらかんとしています(笑)。これは…マグニフィセント、天然か? ただバーザーカーもかなり天然だったので、超神とはこんな感じが普通なのかもしれません(苦笑)。
そしてマグニフィセントは続けざまに、やはり危険な技である『ホーリーソードクラッシュ』でスグルを顔面から落とします。
あれ? この技どこかで…そうだ、フェニックスの『不死鳥サンダーストーム』に酷似しているんだ。足の絡め方が内側からか、外側からかの違いだけなんじゃ…まあいいや、とにかくデンジャラスであることには変わりありません。
二度も相手を“殺しにいく”技をくらい、スグルは

お前の技は受け入れ難い。
なぜなら相手への敬意がない!
と激昂。しかしマグニフィセントは

お前だって“殺人技”と名づいた技を使っているじゃないか。何が違う?
と、やはりあっけらかんとそれを返します。
もう完全に闘いに対する考え方、哲学が相反していますね。この主義主張の違いは、おそらくこの試合の核となるのでしょう。
心震える回想シーン
というわけで、ここからはお互いの闘いの哲学論となりました。まずはスグルの持論からです。ここから皆さんお待ちかねの、スグルとカメハメ師匠との回想シーンが始まります。
キン肉マンが弟子入りしていた時のカメハメは、強すぎるがゆえに嫌われ、永遠に闘いが継続していくという無限ループに少々疲れていたようでした。
おそらくシュートファイトが強かったカールゴッチや、全盛期の北の湖関みたいな嫌われ方だったんでしょうね(苦笑)。
そして彼が考えていたことが

48の殺人技の封印
だったそうです。しかしながら、この

穢れた邪念のみを殺す我が技術の集大成
を使いこなす素質があり、

わかりあうための闘い
を体現できるスグルに、それを託してみたくなったようなんですね。
この会話のシーンですが、正直読んでいる最中に震えましたよ。カメハメの高尚な格闘哲学と、ナチュラルにそれを具現化できる素質があるスグルの天才性に、まず心を鷲掴みにされるんです。
そしてそれらの描写が真摯なカメハメ師匠の語りと相まって、この6ページにものすごい説得力を持たせているんですよ。

ああ、スグルの超人としての根幹は、この瞬間に出来上がったんだな
と、『キン肉マン』という作品が、いや、ゆで先生が一番表現したいテーマの一つを、この瞬間に共有し理解できた気がしたんです。
そう、それはまるでカメハメ、スグル、そしてゆで先生の信念が、自分にシンクロしたかのような感動です。もうね、読み進めながら

こ、今回はちょっとヤバいぞ。
すげえ、すげえ。なんだコレ?
という高揚感がハンパなかったです。
ただこの格闘哲学については、我々はネメシス戦において予備知識をインプットできたんですよね。あの時のスグルも、今回の闘いの信念、つまり“わかりあうための闘い”を力説していました。
ですので、今回はその会話の根幹を、再現VTRを交えて深掘りできたという感じでもありました。カメハメ師匠の口からそれを語らせることで、この“わかりあうための闘い”の本質を、完全理解できた気分になりましたね。
復刻希望? カメハメテキスト
そうなると、カメハメ師匠の残した『48の殺人技テキストBOOK』の内容も、俄然気になってきますね~。立派な装丁でしたから、中身もえらい濃そうです。
表紙に描かれている技も、とても興味深いです。『キン肉バスター』を中心に、『宇宙旅行』『フライングパンチ』『風林火山』と、ファンにはたまらん表紙ですね。
でもカメハメ師匠、なかなか絵がお上手で(笑)。もしこれがいわゆる『アメトーーク!』でいうところの“画伯”レベルだったらどうなっていたんだろう(笑)?

“48の殺人技”の本懐である!
(クワッ)

お言葉ですが師匠…
挿絵が個性的すぎて、内容が頭に入ってきません…!
みたいなことが起きたりして(笑)。

でも現物化されたらかなり胸熱なアイテムなのは間違いありません。学研さん、ここは再現発刊、ひとつよろしくお願いいたしますよ(笑)!
ジェシーのサプライズ
そしてその回想シーンの中では、別のサプライズもありました。それは

なぜカメハメはジェシー・メイビアに敗れたのか
という、我々の長年謎に対する答えを垣間見られたことです。

闘いに嫌気がさしていた時期の、わずかな気持ちの衰えを突かれた
ということが、大きな敗因だったわけですね。いかにカメハメと言えど、モチベーションと肉体が乖離し過ぎていると、足元をすくわれるという感じだったのでしょうか。
いずれにせよ、ジェシー・メイビアにはその隙を突けるだけの強さがあったということもよくわかりました。いやあ、これも20年越しの真実ですよね。そんなジェシー・メイビアについて復習したい方はこちらをどうぞ。
神の定義とその破壊
一通りスグルの格闘哲学論が終わると、次はマグニフィセントのターンです。上記のような深い哲学を聞いても、マグニフィセントにはまったく響きません。それどころか

ムハハハ、神に敬意を要求するとはどういうことか
と、これまた我々に

たしかに…
と妙な納得感を抱かせる意見をスコーンと口にするくらいです(苦笑)。
そうなんだよなあ、神とは敬意を抱く対象であって、敬意を払う存在ではないんだよな。これは論理的にみて、マグニフィセントに間違いはないですよね。そういう定義なんだから。
ただ その様子をご家庭の日常になぞらえるならば

あなた!
また立っておしっこしたでしょ!
床にはねてるじゃないの!!

ムハハハ
よく気づいたな。掃除能力は達者だと見える

あれだけ座ってやってと言ったじゃないの!!

ムハハハ、男に座りションを要求するとはどういうことか
みたいな感じでしょうか。あ、全国の奥様方、私は数年以上前から座ってやってますのでどうかお許しを(笑)。
そんな感じなので、スグルは到底納得できないのでしょう。そしてそのやりきれない想いをぶつけたのが、スグルのバックドロップだったんでしょうね。
つまりこの闘いは、悠久の時を経て続いてきた“神と超人との関係性の定義”を破壊し、再構築するという使命をも帯びてきた、といえるわけです。要は神様に対して

超人(人間)に対して敬意を払う文化を身につけろ
と教育をしなきゃならないわけですからね。男のプライドを譲らない頑固夫に

座ってやってください!!
としつけるようなもので(笑)。いや~これはなかなか大変だぞ(苦笑)。
異端者・カメハメ
最後に、ちょっと気になった点があるんですよ。
カメハメの思想というものは、ぶっちゃけていうとシルバーマンの思想じゃないですか。でもそれはキン肉族に深く根づいた思想なわけです。
しかしカメハメはマグニフィセントの思想が色濃く流れていると思われるココナッツ族に属していたわけです。となると、彼は本来“闘いに敬意は不要”という思想になってもなんら不思議ではないんですね。
しかしなぜだか彼はシルバーマンの思想に傾倒した。これは全体俯瞰で見れば、かなりの異端と言えるでしょう。
この“わかりあうための闘い”の境地に、どのようにして彼が到達したのか。考えに考え抜いた結果が、たまたまシルバーマンの思想と一致したのか。それとも彼の人生のどこかで、シルバーマンの思想に触れるポイントがあったのか。
そのような新たな疑問も出てきたので、これはカメハメ師匠の若かりし頃のエピソードを、ぜひスピンオフとして読んでみたくなりましたね~。
その他気になった点
その他気になった点は
- 『マグニフィセントブルドーザー』は、これで試合が決しても不思議じゃないくらいエグい技だな…。
- 胸に鷲のマークが入ると、マグニフィセントのカッコよさが倍化している感じがする。
- マグニフィセントがスグルを空中に放った時は、「キン肉バスターの原型くるか!?」と身構えてしまった…(苦笑)。
- ミートの必死さが、逆にマグニフィセントのすごさを表現している。
- マグニフィセントの腰の前垂れが、少しだけふんどしに見えてきた…イカン、それはイカンぞ、アキラ。耐えろ(苦笑)。
- あの二大強烈フェイバリットから、スグルはどうやってクリーンヒットポイントをズラしているのだろう? それが長けている防御力の秘密なのか。
- マグニフィセントのセリフに、ネメシスを見てしまう。もしネメシスがマグニフィセントと闘っていたら、どんな試合になっていたのだろう?
- 凛々しいジェシー・メイビアの絶頂期。やっぱ彼、カッコイイよな。
- トサカが日に日に成長するカメハメ師匠(笑)。
- 相変わらず自己評価の低いスグル。でもそれが魅力。
- 「ナメられとるだけじゃ…」のスグルの表情。新境地か(笑)?
- 初めてみたカメハメ師匠の黒目。クワッってきた。
- 今回のカメハメ師匠、とにかく凛々しい。年長者としての深みがある。カッコいい。
- ペースを変える反撃技が、ミートが一番好きなバックドロップというのもたまらない。
こんなところです。しかし…今回はいつも以上に震えたな…。ではまた。


コメント
こんにちは。いつも楽しく読ませていただいています。
「ホーリーソードクラッシュ」についてデジャヴ感が私もあったのですが、
ついこないだオニキスマンが出した「ブラッケンドオーバーライダー」とほぼ一緒ですよね…!(笑)
カールゴッチというのは私も思いました。つまらないと言われるのはまだしも物まで投げられるとは本当にキン肉マンの世界の観客はろくでなしばかりですね。
カメハメの理想ってマッスルスパークそのものですよね。やはり決まり手はマッスルスパークになるんでしょうか。
個人的にはマグニフィセントに一度破られるも改良版のマッスルスパークで決着がつくと最高なんですが。
若葉さん、こんにちは。
お読みいただきありがとうございます。
そうですね、「マグニフィセントブルドーザー」しかり、「…! どこかで…!」というパターン、おおいですね。
超神が相手ということで、いろいろな技のルーツがある、という裏表現かもしれないと考えると、また楽しくなります。
カメハメ師匠の黒目クワッはインパクトありましたね
「師匠黒目あったんかい!」と
今試合は弟子であるスグルが師匠の教えを師匠の始祖に叩き込むという
カメハメの技でなく理念の継承を強調する試合になりそう
>マグニフィセントがスグルを空中に放った時は、「キン肉バスターの原型くるか!?」と身構えてしまった…
それを6を9に返すバスター返しをスグルがやってくれると熱いなぁ
uzukiさん、こんにちは。
私も「黒目あったんかい!」でした。でもよくよく見ると、5巻でけっこう黒目ってました(^^;)
そして
>理念の継承を強調する試合
なるほど、あり得そうですよね~。深いテーマかもしれません。楽しみですよね。
あとスグルがリバースバスターをするのもたしかに胸熱い…
ホーリーソードクラッシュと不死鳥サンダーストーム、言うほど実は似てないです(苦笑)
受け手側の姿勢的に前者はほぼカメハメ仏壇落とし、後者はマッスルスパーク地ですから
しかし今回の回想といい、どうも48の殺人技が強くフォーカスされそうな予感
最後の決め技はもしかして、未公開の48の殺人技になるんでしょうか…?
ターキーさん、こんにちは。
あれ、そうでしたか。そろそろ私の間違い探し能力も退化してきたかな(苦笑)?
そして48の殺人技のフォーカス…いいですね。より深掘りした48の殺人技、興味深いですよね。
カメハメがシルバーマンの思想に接近したのは、おそらくシルバーマン同様に無限に続く戦いのループの中にむなしさを見いだしたのではないかと思います。実はカメハメにも修羅の道に入った兄がいたりして(笑)。
マグニフィセント・ブルドーザーが完成形のマッスル・インフェルノだとすると、マッスル・リベンジャーにも超神版=完成形があるのですかね?リベンジャーはインフェルノほど不完全な印象はないので、ありえないのかもしれませんが、この作品だとどこかにルーツとなる神の技が存在するのでは?と考えてしまいます。
たけさん、こんにちは。
シルバーマンとカメハメ、ダブりますよね…そしてカメハメに無軌道な兄がいたら…設定が同じすぎます(笑)。
そしてマッスル・リベンジャーの超神バージョンもありそうですね~。となると、やはり「マグニフィセントブルドーザー」が「マッスル・インフェルノ」の原型であることをオフィシャルにするエピソードがほしいですね!
返信ありがとうございます
アロガント・スパーク→マッスル・スパーク
マグニフィセント・ブルドーザー→マッスル・インフェルノ
???→マッスル・リベンジャー
???はいったいなにか?
出てくるんですかね~、注目ですね!
マグニフィセンドブルトーザーを決める時は神だから「4ねー」ではなく「食らえー」で良いのでは?と実は思いましたが殺るつもりの技と殺さず相手を救う技がこの試合のポイントだったのですね。
超神も敬意、慈悲を忘れかけている感じがありますので気づかせる戦いでもありそうですね。
スグルの潜在力はカメハメがバックフィリップでフォールの時に感じていましたね。カメハメはジェシーに返し技の名手というところからも足元をすくわれたでしょうかね?
MKさん、こんにちは。
今回の「死に至らしめる技の何が悪い」という論調を活かすための前ふりとしてのセリフだったのかもしれませんね。
カメハメの敗北は、モチベーションの低下とそれにつけこむジェシーの返し技の相性が奇跡的に合致した結果なのかもしれませんね。
カメハメがシルバーマンの思想に傾倒した理由ですが。
年齢的にも、世代が重なるキン肉王家、中興の祖であるタツノリ王の
影響ではないでしょうか。
というのも、プリンス・カメハメはココナッツ王族の出身という事で
王族同士、キン肉王家と接点があったのではないかと。
また、シルバーマンの思想ですが、ネメシス=サダハルが幽閉された時代には
王族も元老院も酷薄な権力者となり、すっかり廃れてしまっています。
復古されたのは、タツノリの時代になってようやくで、それに感化された
カメハメがココナッツ星でも改革を訴えるも内乱が生じ失敗、
せめて己の格闘技に集約しようと思ったのが48の殺人技で、
それをタツノリの孫であるスグルに託した…という妄想はどうでしょうかw
奥多摩さん、こんにちは。
なるほど、タツノリ世代というのはあるかもしれませんね。二人につながりがあった、なんてエピソードがあったらワクワクしますし、影響を受けたという辻褄も合いそうです。すばらしい。