今週のキン肉マン第395話-バベルの試練の真意!!

今週のキン肉マン
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真の乱暴者とはこうだと言わんばかりの拷問技を連発するランペイジマン。しかし、ロビンマスクも「パニッシュメントエングレイバー」を攻略。額の古傷が開くのもお構いなしで意地を見せつけた!

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 前回の目まぐるしく流れるような攻防とは真逆に、今回は二人の会話が中心の回でした。

 そしてその会話からは、下天してきた調和の神軍団の真意もまた少し開示されるという、注目の回となりましたね。ひとつずついきましょう。

ステキな矛盾哲学

 まずロビンの額の傷について、ロビン自身がどうとらえているのか。彼はそれを

私の人生はこの傷そのもの

と表現し、

屈辱から愛おしさへの変遷

と、もはや自分自身のアイデンティティとしているようです。そしてその理由が

決して埋まらぬ傷を埋めるために、どこまでも強くなれる

ですからね。

 言っていることは完全に矛盾しているのに、あえてそのように表現したロビンのセンスがステキです。要は屈辱の傷のおかげて永遠に自分が成長できるという、おそろしく前向きな思考なんですよ。

 それは一見どうしようもなくマイナスなことでも、考え方、捉え方一つでいくらでもポジティブになれるというお手本であり、人生の教訓です。実生活でも参考にしたい考え方ですよね。

 そして

ランペイジマン
ランペイジマン

でもキン肉マンに勝ったらそれも埋まるんじゃないの?

というランペイジマンの至極まっとうなツッコミに対しては

それはその時にならんとわからんよ。でも宣戦布告はしたよ

そんなことが言えるのは、アイツが最大の友だからさ

そして友であることを確認するために、その友を倒すのだ

と、またもやロビン流の哲学で返すところなど最高です。友である確認のためにその友を倒す…文章にするとわけがわからないのですが、ひじょうに含蓄のある言葉だと思いますね。

 なんだろうなあ、そこにロビンとスグルとの、海よりも深い信頼関係が見えるんですよ。その信頼があった上での闘いの構図。

 そして彼らの闘いとは、コミュニケーションの一つであることを強く感じさせます。さらにそれはお互いを高め合うコミュニケーションとして存在している。

 もうね、憎しみがどうとか、気に入らないからブチのめすとか関係ないんですよ。そんな次元を超越しているんです。そしてそれが正義超人の矜持である

闘いを通じて分かり合う

という、理想の到達点なのでしょう。そしてそのような関係性がある世界を

超人の生きる世界の素晴らしさ

とロビンは評しているのです。

 そして今のロビンには、素晴らしき世界におけるスグルとの闘いしか見えていない。となると、それをジャマする障害は当然排除対象であり

ここで必ずお前を倒す!

と、高らかに宣言するに至るわけですね。

 ある意味“究極の自分勝手”ともいえるロビンの思想ですが(笑)、そこまで振り切った考え方が、一周まわって逆に天晴というか…この男、相変わらずカッコよすぎる…!

 そんな彼の楽し気な独演会(笑)を見ていると、超神の襲来、そして超人の間引きという、世界を揺るがす一大危機ですらロビンにとっては

道を塞いでいる石ころのひとつ

という範疇にあるようで、彼のスケールの大きさを感じさせます。

 いや、スグルとの再戦という大目的と比べると、超神問題が相対的に小粒な問題となってしまっている、と言い換えた方がいいでしょうか。ただそれが結果的に痛快なんですよね(笑)。

ロビン≒調和の神?

 そんな今回の“サイドA”とでもいうべきロビンのフェーズですが、今度はそれに対する“サイドB”、ランペイジマンのフェーズです。

 こちらもかなり衝撃的な返しが披露されました。

ランペイジマン
ランペイジマン

ロビン、お前調和の神に似ているよ

 え? そうきます? その理由は

ランペイジマン
ランペイジマン

ザ・マンに対する調和の神

キン肉マンに対するロビンマスク

関係性と立ち位置が似てるんだよ

とのこと。う~んゆで先生、ここでロビンの存在をそのようなポジションに置いてきたか~。いや~おもしろい! これはおもしろい。

 そしてここでランペイジマンが主張しているのが、

ランペイジマン
ランペイジマン

調和の神は真剣にこの世を良くしようと苦悩しているよ

ということ。これは調和の神が絶対悪ではなく、むしろ善であり、そのイデオロギーや目的遂行の手段が、超人たちのそれと異なっているだけであることを意味していると言えます。

 つまり『完璧超人始祖編』でもそうであったように、

それぞれにはそれぞれの正義があり、どちらが正しいかはわからない

という哲学的な領域に踏み込んでおり、今後も考えさせる場面が増えそうですね。

 そしてそんな調和の神の苦悩を理解し、手助けをしてきたランペイジマンだからこそわかる

ランペイジマン
ランペイジマン

ロビン、お前調和の神に似ているよ

というシンパシーは、相当な確度と言わざるを得ません。

ランペイジマン、口説く!

 そんなランペイジマンが取った次の仰天行動が、まさかの

ランペイジマン
ランペイジマン

ロビン、もうお前合格だよ。

こっちこいよ。同志として

というスカウト活動! もうランペイジマン、ロビンにベタ惚れです(笑)。

 以前からランペイジマンはロビンを審査していると書きましたが、なんと審査途中で結果発表ですよ。これって就職活動で面接に行ったら、

キミ、いいね!

明日から来なさい

と言われたようなものです(笑)。ある意味ロビンにとっては望外の高評価というか。

 そしてここからランペイジマンの口説きタイムが始まります(笑)。ただその進め方がとても合理的というか、響くところが多々ありますね。

ランペイジマン
ランペイジマン

この闘いは中止しよう

ランペイジマン
ランペイジマン

無意味な闘いは好まないからね

ランペイジマン
ランペイジマン

ようこそ、同志!

 このようなランペイジマンの前向きな誘いは、前回まで手加減なしの闘いを繰り広げていたことがウソの様なトーンであり、誌面に“妙な間”を醸し出します。

 ただ彼に裏があるようには到底思えず、真実を語っていることがその話しぶりからヒシヒシと伝わってくるんですよね~。そんな真摯な態度に好感が持てるというか。

 さらに彼のロビンに対する評価はフルマーク、つまりオール5なわけです。超神サマにそう言われちゃうと、我々としても鼻が高いというか、自分のことのように気分が良くなります。

 そんな“好感×高評価”でグイグイとロビンを口説いてくるので、突如現れた“妙な間”も、個人的には心地よさすら感じてきましたね。正直な話

試合…終了でもいいかな…

なんていう、ほだされた気分になってしまいました(苦笑)。

頑固親父・ロビン

 ただそれは“ロビンマスクvsランペイジマン”という夢のカードが、中途半端で終わってしまうことを意味しています。

 そしてそれがエンターテインメントとしてはNGであることを…さすがロビンは、いや、ゆで先生はわかっているんだなあ。

 ランペイジマンが差し出した手を握るやそれを逆手にし、背後に回って強烈なスープレックスで回答ですよ。なかなかエグい攻撃ですよね~。

 これ…元ネタなんだろうなあ? やや形は違いますが、小橋建太の『ハーフネルソンスープレックス』を彷彿とさせますね。

 そしてこの不意打ちとも思えるロビンの攻撃を見ると、どちらがヒールかわからなくなりそうです(苦笑)。ただロビンにはそうすべき理由があっての行動でした。

口約束だけでは、真に私を認めないだろう

私が調和の神に似ているならなおさらだ

と、ランペイジマンの提案にNOとは言わないが、きちんと白黒をつけた上で正当に評価されたいという、ある意味頭の固い彼の信念なんですね。

 このあたりのクソ真面目さというか、不器用さが、いかにもロビンらしいですね。決してエンターテインメントが終了しないよう、空気を読んだわけではないんですよ(笑)?

 そしてそれは前述した、“闘いとはコミュニケーションである”という考え方の一環なのかもしれません。

お前の評価と提案はよく理解した。

ただそれをさらに深めるために、闘いは続けようぜ

といった感じなのかもしれませんね。それこそ

愛してるって口で言うだけじゃなくて、態度でも示して!

みたいな…ってなんだ、この例え(苦笑)。

 そしてこの時点でこの闘いは“殺し合い”ではなく、両者が信頼関係を持った状態で行う“格闘会話”にシフトしたと思います。そう、お互いの技量を競い合い、リスペクトするための試合です。

 おそらくランペイジマンにとって、こんな心持ちで試合をするのは初めてのことだと思われます。それだけに彼は

ランペイジマン
ランペイジマン

こんな…清々しい気持ちになれる闘いがあったのか…!

と、さらにロビンに感化されるかもしれませんね。

 なにやら闘う当人も楽しそう、見ているこちらもニコニコしてしまいそう、そんな闘いが繰り広げられるのではないかと感じてしまいましたね。ちょっと楽しみです。

 そして彼ら二人の闘いの結末を、ゆで先生自身まだ決めあぐねていることが判明しています。

 …これ衝撃のツイートじゃないですか? こんなリアルタイムで原作者の思いがリークされるなんて、ホントに信じられない時代になったものです。

 ま、リークといってもご自身のセルフリークなんですけど(苦笑)。いや~、ちょっとこれにはびっくりしたなあ。

決めてなかったんだ!

と、全国一千万のファンがツッコんだ瞬間ですよ(笑)。

エネルギー総量問題

 そして最後に触れなければならないのが、ランペイジマンが口にした

ランペイジマン
ランペイジマン

世界のエネルギーの総量は決まっているのだ

という事実です。さらには

ランペイジマン
ランペイジマン

超人パワーの偏った増大が、宇宙をいびつにしているから困っているんだよ

という超人の犯した無意識の罪ですね。

 この設定にもびっくりですよ。要は10ある総パワーのうち、長らく2を保有していた超人のパワーが最近8になってきているから、被害を被る層がある、という理屈ですからね。

 それが本当だとすると、調和の神の言う“超人の間引き”という解決策も、あながち否定できないんですよ。だって…沼にザリガニが増えすぎて生態系を壊し始めたら、間引くしかないですもんね(苦笑)。

 なんだろうな~、このパワーが増えて無邪気に喜んでいたことが、実は罪深いことだったというほのかな罪悪感。

 だって…みんな喜んでいたでしょ? スグルの火事場のクソ力が7000万パワーまで増大したのを知ったときは。バッファローマンの潜在超人強度が8000万を超えたときはどうでしたか?

 その他たくさんの超人が発光現象を起こし、エクストラパワーを萌芽させたときはどうですか? あのベンキマンですら発光していましたよ(笑)?

 それらがですね、すべて宇宙のことわりを狂わす元凶だったと言われちゃったわけです。もしこれが真実だとすると、一緒になってお祭り騒ぎをしていた我々も同罪ですよ(苦笑)。

 おそらくザ・マンはこの宇宙の理を知っていたと思うんです。知っていたからこそ、下等超人の過度なパワーアップを危険視した。だから先の大戦があった、ともいえるわけです。

 しかしザ・マンは結果的にそれを容認したわけです。それは彼に問題を解決する考えがある、ということなのでしょうか。

 兎にも角にも、今回ゆで先生がまたもや難解な設定をしたのは間違いないと思います。正直いって、この事態を打開する策が私には思いつきません。

 しかし…強くなってはいけない、とはね…。“成長”が作品のひとつのテーマであることを考えると、なかなかに厳しい足かせです。

 ゆで先生がこの難問に対する目から鱗の解を用意してくれていることを期待したいですね。

その他気になった点

 その他気になった点は

  • 額に傷があったほうが、やはりロビンらしいと感じてしまう私。
  • ロビンはスグルが大好きなんだな。
  • のけぞって笑うランペイジマン。本当に嬉しそう(笑)。
  • ランペイジマンの調和の神に対する信頼の厚さもすごいな。
  • 調和の神にとってのスグルがザ・マンなのだろうか。
  • 現在の試練はその後に控えた問題解決のために、ザ・マンと調和の神がアドリブでこさえた舞台のようにも感じてきた…
  • 打合せなしの阿吽の呼吸というか、ツーカーというか。
  • ランペイジマンの「まあ聞け」がなんかツボる(笑)。
  • ロビンがせっかちな人みたいだ(笑)。
  • 「答えは超人だ~」問答を思い出した。
  • 調和の神サイドにマクロな視点を持ち出されると、何も言えねぇ…
  • 次々と新しい設定が出てくるから、カピラリアの欠片ピースの存在を忘れそうだ…
  • 握手を求めてロビンに近づくときの“テトテト”は、笑いか? 足音か(笑)?
  • ランペイジマンの論理に悪いところはないなあ。

 こんなところですかね。そして学研の図鑑、キン肉マン「技」、好評発売中です。400P超の大ボリュームは、読み応え十分ですよ!

コメント

  1. uzuki より:

    世界のエネルギー総量は決まっていて超人のおかげでバランスが崩れた
    とするとバッファ達が見たのは新たな敵とかじゃなくて
    宇宙が崩壊している現象とかになるのかな
    さて、となると超人を神に引き上げたところで何ができる?って話になって
    ますます謎は深まっていく…

    あとロビンのスグルへの思いはちょっとヤンデレっぽい

    • アキラ アキラ より:

      uzukiさん、こんにちは。

      今回の話を聞く限り、確かに彼らが見た光景は崩壊の景色、もしくはやばさが可視化された光景なのかもしれませんね。
      このレベルの話になると、「神の椅子が埋まらないから駄目だ」という神々のプライド云々の話ではなくなってきましたね。もしくは神が108人揃うと、それに対抗できる知恵やパワーが手に入るのでしょうかね?

  2. カズマ より:

    アキラさん、初めまして
    Ⅱ世の究極タッグ編から拝見しておりました

    ロビンマスクが最後に出した技は、4代目タイガーマスクが「ミレニアムスープレックス」という名称で時折、使用していました

    • アキラ アキラ より:

      カズマさん、初めまして。

      情報ありがとうございます! 動画で見たんですけど、これ危険ですね~。受け身が難しいし、下手すると首、肩壊します…。

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