第10回 アレキサンドリア・ミート

オレ流超人批評
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キン肉マンのお目付け役。そして正義超人軍団の智恵袋。その頭脳キャラの役割とは?
出身 キン肉星
超人強度 50万パワー
必殺技 バックドロップ
閉門クラッシュ
ミートキッズ魚雷
主な戦績 ミキサー大帝〇
キング・ザ・100トン●

 ミートくんといえば、『キン肉マン』『キン肉マンⅡ世』の2作品を通じて、なくてはならないキャラの一人ですよね。

 私はミートくんの存在なしには、『キン肉マン』という作品は成り立たないと考えています。

 ではそのミートくんの、製作サイドの観点からみた役割とはなんでしょうか。いくつかあげてみましょう。

ハチャメチャ主人公に対するツッコミ役

 『キン肉マン』を読めばわかりますが、キン肉スグルといい、キン肉万太郎といい、この2人の主人公はキャラ設定がハチャメチャです。

 ドジだし、弱虫だし、すぐに現実逃避に走りがちな、なんともシャキっとしない主人公です。

 漫才でいうならば明らかに“ボケ担当”であり、主人公自らが笑いをとろうとした行動を起こしてしまいます。

 それに対して歯止めをかけるツッコミキャラ、それがミートくんの役割なのです。主人公によって脱線したストーリーを元に修復し、本来あるべき方向へといざなうのです。

 これはとても重要な役割ですよ。でないと、ただでさえ矛盾だらけのこのマンガ(笑)が、さらにとんでもない方向にすっ飛んでしまいます。ミートくんがいるからこそ、スグルと万太郎は安心してバカができるわけです。

 それだけにミートくんは、貴重な尻拭いキャラとしての性質も帯びているといえましょう。

マスコットキャラとしての使命

 キン肉ムキムキの男達ばかりが集うこの暑苦しいマンガの中で、彼の可愛らしさはひときわ異彩をはなっています。その愛くるしい容姿で、この暑苦しいマンガを少しならずとも中和させているのです。

 特に女性読者やチビッコ読者に対するアピールとしては、そこらの超人よりもよっぽど貢献しているのではないでしょうか。

 “かわいい”というコンテンツは、商業的な要素からみても、かなり重要なファクターであるといえます。その役割を一手に担っているのがミートくんなのです。

 容姿的なポイントとしては、そのメガネに大きな特徴があるといえましょう。

 初登場時はもう少し生真面目なデザインでしたが、作者が描きなれていくうちに、現在のような、丸みのあるデザインになっていきました。

 大きな変化としましては、メガネのつる(耳にかけるところね)が消滅してしまったことでしょうか。おかげで現在ではメガネなのか、ただの大きな目なのかの判別がつかなくなってしまいました(余談ですが、空条承太郎の帽子にも同じことがいえます。髪の毛が帽子かわからない!)。

 ちなみにメガネをはずしたミートくんを描いてみました。

!!……か、かわいくない! やはりミートくんにとってのメガネはインテリの証明でもあり、マスコットとしてのかけがえのないアイテムであると思われます。

マンガの頭脳・作者の代弁者としての役割

 ミートくんは今や“正義超人一の頭脳”、“宇宙一の叡智”ともてはやされ、スカーフェイスをして

<span class="fz-12px">スカーフェイス</span>
スカーフェイス

将来の人類の平和維持を考えると、ミートの天才的頭脳はオレの命よりも必要不可欠なもの

といわしめるという、ものすごい評価を受けるにいたっています。

 しかし前作の初代『キン肉マン』では、ここまでの頭脳キャラとしての確立はされていなかったように思います。

 ただインテリキャラとしての役割は確かにあり、言い換えると、それは作者であるゆで先生の代弁者という役割が強かったようにおもいます。

 ゆで先生がそのストーリーや背景を読者に説明するのに、ミートくんは使いやすかったんですね。それだけにミートくんは作品中においては“物知り”という性格を帯びてくるわけです。

 ただ主人公がアホなために、常識人としてのツッコミをいれるだけで、インテリっぽく見えるという要素も多分に含んでいたといえますけどね(苦笑)。

主人公の弱点としての役割

 ミートくんは子どもという設定なので、いくら頭がよかろうとも、当然体力があるはずもなく、力で訴えられると手も足もでないという弱点があります。

 しかしこの弱点はミートくんの弱点というよりは、キン肉スグル、キン肉万太郎の弱点にそっくり置き換えることができます。

 2人(3人)は一心同体であるため、ミートくんが欠ける、というのは、主人公にとってこれ以上ないくらいの弱点になるわけです。

 それは『七人の悪魔超人編』や『悪魔種子デーモンシード編』において、ストーリー上の大きな核になっているところを見れば、一目瞭然といえるでしょう。

 しかしこの“ミートくん=弱点”という公式を逆手に取ったストーリーも、過去存在しました。『キン肉星王位争奪編』の対ミキサー大帝戦です。

 この試合は頭脳担当のミートくんが初めて実戦の舞台にたつという、極めて例外的な試合でした。しかし予想に反してミートくんはいい動きを見せます。

 これはキャラクターのギャップをうまく利用した、ゆで先生のうまさと言わざるを得ません。ただ乱発はできませんが…。

 心なしかこの試合のミートくんがデカく見えたのは、作者のパースミスではなく、おそらくミートくんが立派な試合をしたから大きく見えたんでしょう(笑)。

 この弱点という要素はヒーロー物のマンガには不可欠なもので、それがあるからこそ、物語は起伏に富んだものとなり、読者は感情移入しやすくなるのです。

 ミートくんはその大事な役割をも、一手に背負っていることになります。

おわりに

 以上、いくつかミートくんの役割を述べてきましたが、これを見るだけでも、いかにミートくんが必要不可欠なキャラであるか、ご理解いただけたでしょうか。

 ちなみに私はミートくんがよく着ている、パンダプリントのTシャツがかわいいと思います。このTシャツを好んで着るミートくんの感性が、私は一番好きですね(笑)。

※今回はゆきのりさんからリクエストをいただきました。ありがとうございました。

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