はじめに
2024年7月7日、とうとう待望のキン肉マン新作アニメが始まりました。第二シーズンである『完璧超人始祖編』ですね。それを受け、アニメを視聴した際の雑感や、気になった点をピックアップしていきたいと思います。
また、原作連載リアルタイム時の私の懐かしき感想『今週のキン肉マン』を引用しながら、当時の私の浅はかさを笑いつつ(笑)、アニメ版ならではの特徴を一緒に見出していきましょう。
ただしこのコンテンツは壮絶なネタバレとなりますので、
まずはアニメ最新話を視聴!!
してからにしてくださいね!
今回のお話
今回のお話は第8話『最初で最後の必殺技(フェイバリット)!!』。
原作でいうところの第22話~第24話までとなります。マーリンマンの《完刺》スピア・フィッシングからピークア・ブーのキン肉バスター返しまでですね。
今回の内容は以下の予告編動画をご覧いただけると、よりよく分かるかと思われます。
それでは今回の気になった点、行ってみましょう!
今回の気になった点
名言・ろくな大人にならねぇぞ
悪魔超人vs完璧超人の第一陣対抗戦において、ベストバウトと評価が高いアトランティスvsマーリンマン戦。
その大きな要因は、闘いとは別軸で挿入された悪魔と少年との心の交流であり、人から好意を持たれることに慣れていないアトランティスの、ぶっきらぼうながらも少し照れのある対応に、強い人間味を感じるからではないでしょうか。
そしてその人間味を示すクライマックスが
悪魔なんぞ応援してたら、ろくな大人にならねぇぞ
という、アトランティスの名言です。これがね、とうとう今回飛び出しました。
原作とのニュアンスの違いとしては、原作ではポールを呼ぶ際に
おい、そこの坊主…
と、静かな入りの呼びかけだったのに対し、アニメでは
おい! そこの坊主!!
と、かなり強めのテイストで呼びかけている点でしょうか。静かな入りだと、ポールに聞こえないかもと、気を使ったのかもしれませんね。瀕死なのに(苦笑)。
加えてアニオリ演出として、彼の姿がポールの両目に映るという表現がとられました。ポールが彼の呼びかけに対してきちんと認識し、集中して彼の言葉に耳を傾けていることをより強調していると思います。
これにより、二人の関係性がより深く印象づけられたような気がしますね。でもポール少年がなにゆえアトランティス好きなのかは、いまだに謎のままです(笑)。
シャレたアニオリ演出
そして結末は、もはや水中決戦の伝統となった、フェイクフィニッシュ(笑)。
さすがにいたいけな少年の目の前で、斬首した首をフェイクにすることははばかられたのか、角度による見え方フェイクとなりました。
そんな中、アニオリ演出としてはフェイク後にタワーブリッジの全体像を見せずに、まずはアトランティスのアップ、そしてテムズ川に掛かる現物タワーブリッジをそこにインサートし、その跳ね橋が上がっていく様に重ねるように、タワーブリッジの技の全体像を披露するという、かなりシャレた演出を加えてきました。
個人的には、この一枚絵の構図を逆光にしたことが素晴らしいと思っています。アトランティスの背中で、太陽を隠しているんですよ。これによって、少し後に訪れるシーンの神々しさが大きく増すんです。
また、今回もSEがよくて。跳ね橋がゴゴゴ…と上がる時の、石の擦れる音。雰囲気最高です。
ほこりたいんだよォ~~っ
水中攻防戦での二人のやり取りを見ていると、精神的に大人というか、人生の経験値が多いのはアトランティスの方かな、と感じました。
いわゆる“酸いも甘いも嚙み分け”てきた差があるというか。両者ともにチンピラ系口調の超人なのですが、このあたりの差が出るのは面白いです。
この差は原作ではそこまで感じなかったのですが、声優さんが声をあてることで、アトランティスの覚悟がより強調され、そのような印象を受けたのかもしれません。
もしくはポールという予想外の応援者が現れたことにより、
恥ずかしい試合はできねえ!
という年長者としての意識が、そのような精神的ステージに彼を強制的に押し上げた、ともいえるでしょうか。
そしてフィニッシュは大嫌いな野郎・ロビンマスクのフェイバリットを拝借。決まる直前に、ロビンの姿がオーバーラップされる演出がたまらんです。これをインサートすることによって、アトランティスがどれだけロビン戦に誇りを持っていたかが、よりしのばれる効果を与えていると思いますね。
ちなみに彼が前口上で発した
オレの大嫌れえな野郎の得意技
というセリフは、その後のスプリングマンの
相棒がオレ以外のパートナーと組んで使っていた胸クソ悪い技
という発言と、“憎まれ口”という点で方向性が似ているなあと感じました(笑)。
このあえてロビンのフェイバリットを使ったくだりに対して、原作連載時の私は
なんか今回のアトランティスは、ロビン戦でのセコイ勝ちに対する贖罪をしたかったんじゃないのかなあ、なんて思えるんですよね。
あの勝ち方を実は恥じていて、それを払しょくするためにロビンの故郷で、ロビンのサポーターの中で、ロビンが戦うはずだった相手と真っ向から戦うことでけじめをつけたかったのではないかと。
わざわざタワーブリッジで試合を決めるところにも、彼のそんな思いが示されているように感じます。つーかアトランティス、ロビンのこと大好きでしょ(苦笑)。
旧オレ流ホームページ:2012年5月21日記事より
という予想をしています。つまりこれはアトランティス版の
ほこりたいんだよォ~~っ、ロビンマスクとの戦いを~~っ
だったのではないかな、と思っていたんですね、私。
誇りたいんだけど、勝ち方がセコかったのでいまいち誇れない。だから今回の試合で禊をすることで、あの試合を誇り高き試合に昇華させたかった、そんな気もします。
光り射すタワーブリッジ
そしてアトランティスは、技を決めたまま弁慶の立ち往生のように絶命。
ここで前述した、太陽と現物タワーブリッジを背にした技のポジショニングが効いてくるんですよ。もうね、逆光を浴びた光り射すタワーブリッジが、ものすごくインパクトがあるんですね。
技を象徴する巨大橋、それとレイヤードされるように重なった人間橋。その奥から射す光。それに照らされて乱反射する水滴、肉体の陰影…神々しい。悪魔なんだけど、神々しくも荘厳。
このシーンをX上でゆで先生は手放しで褒めているんですけど、そのお気持ち、とても理解できます。たしかにこれは構図やら設定やらをひっくるめ、アニメ制作スタッフの大勝利でしょう。
ちなみに原作連載時、この試合結果について私は
アトランティス、根性の痛み分けですか。「悪魔はタダでは死なん」を遂行しましたね。タダで死んじゃった人もいますけど…(泣)。嗚呼カーメン…。
でも水面に浮かぶタワーブリッジはなんか綺麗でした。光を浴びて立ち往生するアトランティスに映像的美しさを感じましたね。
さらに最後のコマ、奥で橋が開いてるんですね。タワーブリッジにかけた見事な演出。
旧オレ流ホームページ:2012年5月21日記事より
と、結末の映像美をやはり賞賛していますね。つまり原作の時点でかなり高い評価を得ていた絵が、アニメになってさらに評価が上がったことになります。
これは前述した“アニメ制作スタッフ大勝利”という評価の、大きな根拠となり得るのではないかと感じました。…そしてカーメンへの恨み節がしつこいです(苦笑)。
武道×ミサ的BGM、いいな
ストロング・ザ・武道が登場する時に流れるBGM、よいですね。
声楽をベースとしたミサ曲とでもいうのでしょうか、荘厳な感じがしてキャラクターに権威を与えているんですよね。事実、彼は慈悲の神(元)であるので、その対象としては問題ないキャラなんですけど。
なんていうのかなあ、『スターウォーズ』でいうところの、ダースベイダーのテーマ曲みたいな雰囲気があるんですよ。これが流れると
やべえ、あいつが来た!
って背筋がシャンとしてビクついちゃうような効果があるというか。
でもその緊張感って武道にはピッタリだから、これはいいなあ、なんて感じてしまいました。
スグル煽りⅤ、たまらん
そして満を持してのスグル登場。まずは煽りVから。
いや、これ、たまらなくないですか? まずダメ超人の頃の画像選択で大喜びしちゃいましたよ。特にカレクック戦直前の
じゃあかくれよう(たらい)
試合まだぁ?(変装)
がインサートされたときには、拍手喝采です(笑)。
そしてロビンマスク戦、バッファローマン戦での、イカしまくったフィニッシュシーン・リメイク、さらにはキン肉星大王として頂点に立った勇壮な立ち姿。でも最後に
ついでに全日本牛丼愛好会会長
というナレーション直後のズッコケ。完璧です(笑)!
ピークのギャン泣き(笑)
これまでの4試合はシリアスな展開で繰り広げられましたが、ここにきて大きくシフトチェンジ。スグルらしく、おマヌケなお笑いを差し込んだ展開です。
ピークア・ブーのギャン泣きとか、わかっていてもついつい笑っちゃいますよね。それにズッコケでいちいち反応するスグルに、さらに笑ってしまいます。
これを観ると、スグルの対戦相手はピークア・ブーで正解だったんだなあと、あらためて感心してしまいますね。
あやしてやれよ~っ!!(笑)
ここからさらに面白いのが、立場上は絶対的ベビーフェイスであるスグルなのに、赤ん坊をいじめているように見えるとのことで、観客から容赦ないブーイングを浴びる立場に早変わりしてしまうところなんですよ(笑)。
このあたり、どんなにステイタスアップしたとしても、人間に邪険に扱われたり、イジられたりするキャラは変わらないんだなあということが再確認できて、逆に安心しちゃうんです。
ああ、スグルはいい意味で変わってない
って。そこに彼の魅力が詰まっているというか、いつまで経っても親しみが湧くキャラクターで居続けてくれる要因なんだな、と感じますね。
でもって、エスカレートした観客はとうとう
あやしてやれよ~っ!!
という、とんでもないムチャぶりまでする始末。これ、名言ですよね(笑)。
でもスグル、困った表情をしながらも、ちゃんとリクエスト通りあやしちゃうんですよ(笑)。このあたり、爆笑ですよね。格闘マンガでこんな展開できるの、この作品だけですよ(笑)。
これについては原作連載時の私も
さて、初登場時から怪しげな個性を発揮していたピークア・ブーですが、ファイトスタイルもなかなか個性的ですね。今までにないパターンですよ。敵の前で泣いたり、敵にあやされたりと、新鮮な光景が連発です。
旧オレ流ホームページ:2012年5月28日記事より
と、個性的すぎる新鮮な展開に唸っていますね。
小宮ピーク、いいな
そしてやはり、ピークのキャラがよいです。声優の石毛翔弥さんも頑張ってくれていますよね。幼年期の彼はまるで三四郎の小宮さんみたいな囁き口調だなあ、なんて(笑)。
そして和やかなスグルのあやし(笑)の直後から、事態は急変。ここから“急成長超人”としての本領発揮です。原作連載時の私は
そしてその能力が高速学習というのも変化のある個性ですね。これ意外とおもしろいかもしれません。スグルが攻撃をすればするほど相手も強くなってピンチになるわけで。
でもその学習特性を逆手に取ったトラップで撃破、みたいなスマートなストーリーも立てられます。あ、スグルにはそこまでのスマートな知恵がないか(笑)。
あとなんといってもピークア・ブーの素顔ですよ。あれは…好き嫌いわかれるなあ(苦笑)。でも個人的にはふざけた顔でおもしろいと思いましたけどね。ゆで先生、やるなあと思いましたから(笑)。
旧オレ流ホームページ:2012年5月21日記事より
と、その能力をおもしろさに言及しています。でもやはり藤子不二雄Ⓐ先生チックな素顔には、ツッコまずにはいられなかったようで…(笑)。
神谷カメハメ~ッ!
そしてとうとう来ました、神谷明さんの演じるカメハメ! 待ってましたって感じですね。
ただ二人の修行シーンは、一方的にスグルがカメハメにいじめられているようにしか見えませんでした。スグル、涙ちょちょ切れちゃってるし(笑)。
でも神谷さんの声を聴けると、テンション上がってしまう自分がいますね。次はいつ登場してくれるかな? 真弓大王の声で登場する、ネメシス戦まで待たないといけないのかな…?
ミートくんのアドバイス、聞きゃあしない
急成長超人としての特性に気づいたミートくんが、
なるべく強力な技は出さないで!
と作戦変更を指示しますが、スグルは大技の『キン肉バスター』を繰り出し、それを返されることに。テリーマンvsマックス・ラジアル戦でもミートくんは
狙うはローキックです
と作戦を授けたのに、スグル同様、テリーはそれを無視。ザ・マシンガンズ、共にセコンドの言うことをまったく聞きゃあしない、困ったコンビです(苦笑)。
そして笑いが生じた序盤と違って、闘いはどんどん深刻に。このあたりについて、原作連載時の私は
不気味な個性を発揮するピークア・ブー。予想通りスグルの動きをことごとくマスターしていきます。技をマスターするどころか予測や逆転技まで繰り出し、どんどん手に負えなくなってますね。
しかも途中から青年? に成長しました。フォルムも少しスマートになった感じで、フリフリした装飾物が消え、シャープになりましたね。まゆ毛も太くなってるし(笑)。そして繰り出したのがキン肉バスター破り。教えられていないことまで容易くこなすようになってしまいました。まあスグルが負けることはないと思いますが、けっこう化けるかもしれませんね。
旧オレ流ホームページ:2012年6月4日記事より
と、急成長超人のキャラとしての化けにも言及。実際は完璧超人のジェロニモみたいなポジションになりつつあるので(苦笑)、原作でも奮起をうながしたいところです。
次回予告!
次回、第9話は『学べなかった心!!』です。
赤ん坊のような完璧超人“完恐”ピークア・ブーに得意中の得意技、キン肉バスターまで返されよもやの苦戦を強いられるキン肉マン。さらにその直後、これまで片言しか発してこなかったピークア・ブーが大人のような会話で応答を始める!?
急成長超人の恐ろしさをまざまざと見せつけるようにキン肉マンの技術をどんどん吸収、最終的にはこの試合中にもそれを上回る実力者へ進化を遂げるであろう彼を止める、有効な手立てはあるのか!?
…と、次回はまるまるスグルvsピークア・ブーとなりそうです。スグルの矜持である
闘いとは、わかりあうために行うもの
が描かれる、注目回ですね!
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と感じた方、ぜひどうぞ。
というわけで皆様、次回お会いしましょう。ではまた。
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