アルヨ。

オレ流雑感
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 日本語で外国人らしさを表現する言葉というものがありますよね。こう書くとわかりづらいかもしれないので、例をあげると

  • 「~デスカ?」(白人系)
  • 「ワタシニポゴワラカナイヨ」(フィリピン系)
  • 「~アルヨ」(中国人系)

といった表現方法です。

 日本語とはおもしろいもので、こんな表現で十分ニュアンスが通じるんですよねえ。確かにカタカナで「ワタシ、ニホンノブンカニ、キョウミアリマス」なんて書かれていれば、アメリカ人なカンジがするし、「シャチョサン、シャチョサン」なんて、舌足らず風に書けば、フィリピン系をすぐに連想できます。

 なぜこれらの表現方法が根付いたのか、詳しいルーツはよくわからないのですが、白人タイプに限っていえば、戦後日本マンガの影響が大きいと思います。どのように表記すれば、日本語でも外国人風ニュアンスを伝えられるか、頭をひねって考えたのではないでしょうか。

▲コノミチヲマッスグデ~ス、みたいな(笑)

 もちろんマンガはイラストがついているので、外国人を描けば「このセリフは外国人がしゃべっているんだな」と、読み手は容易に理解できると思うのですが、よりリアルな外国人を演出するために、セリフにも一工夫ほしいなぁと、作者が思ったのかもしれません。

 そしてふと気づくと、テキストも記号の一種であり、視覚的に表現できる素材です。なら舶来ものをカタカナ表記するように、通常のセリフもカタカナ化しちまえっ、てなカンジで表記したのではないでしょうか? 結果、これがまたばっちりフィットしたんだと思います。

 フィリピン系は、これはもう、彼らの会話そのままのトレースでしょうね。「っ」というつまった音や、のばす音が苦手なのか、その特徴をよく捉えることで、彼らのイメージやニュアンスを表現していると思います。

 そんな中、わからないのが中国人系です。昔から疑問に思っていたのですが、なぜ「~アルヨ」と語尾に「アルヨ」をつけるだけで、こんなにも中国人風になるのでしょうか? 

 語尾に「~アルヨ」がつくと、中国人系をイメージさせることに異論を唱える人は皆無だと思います。それくらい「~アルヨ」は、中国人のニュアンスを伝えることに関しては完璧なツールであり、その表現方法は認知されています。

 しかしなぜ「アルヨ」という文字並びなのでしょうか? というか、「アルヨ」ってどういう意味なのでしょう? 意味がよくわからないのに、なんで私は語尾に「アルヨ」がつくだけで、中国人を連想できるのでしょうか? ルーツがまったくわからないので、予想するしかないのですが、個人的には2つほど「この影響か?」とにらんでいるものがあります。

 まず一つ目はお笑いマジシャンの「ゼンジー北京」です。中国人の格好に扮した彼が、「~アルヨ」といっていた気がします。ちょっとうろ覚えですが。

 二つ目はやはりマンガです。石ノ森章太郎先生の『サイボーグ009』に、たしか中国人のメンバーがいたと思うのですが(006だっけ?)、彼も「~アルヨ」といっていたような…。まったく裏は取っていないのですが、赤塚不ニ夫先生のマンガにも、「~アルヨ」というキャラがいそうな雰囲気です。

 だが謎なのは、なぜ彼らが中国人を表現するのに「~アルヨ」を採用したかです。やはり彼らが表現する以前に「~アルヨ」は中国人の表現方法として「認知」されていたことになります。フィリピン系のように、当時の中国人がしゃべる特徴を真似たものなのでしょうか? しかし私は「~アルヨ」なんて語尾につける中国人を見たことがありません。

 まったくもって、謎だらけの「アルヨ」です。どなたか真相を知っている方がいらっしゃったら、ぜひご一報いただきたいです。

(2006年3月4日追記)
 この「アルヨ」について、読者の大西さんより貴重な情報をいただきましたのでここに追記いたします。大西さん、どうもありがとうございました!

これはかつて日本政府が満州国を傀儡かいらい国家にした際、現地の満州人に教えた「協和語」に由来します。これは日本語から「てにをは」の助詞を省略した簡易な日本語で、日本人と満州人の意思疎通に用いられました。例えば「これは○○です」は「コレ○○アル」となります。

日本の敗戦によって使われなくなりますが、その後漫画や漫才などで中国人のセリフとして用いられ、次第に中国人のしゃべる日本語としてのイメージが定着しました。

 だそうです。勉強になりましたね!

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