週刊少年ジャンプ論 第二章 第六節

オレ流週刊少年ジャンプ論
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注)この論文は1994年のものです。

第六節 格闘路線へ ~ドラゴンボール・聖闘士星矢~

 1985年(昭和60年)には鳥山明の2作目、『ドラゴンボール』が始まる(図16)。連載当初はほのぼのとしたギャグストーリーだったが、途中から格闘色の強い武闘マンガへと転換し、連載から10年経った現在でも1、2を争うような大人気マンガになっている。競争の激しい『ジャンプ』において、10年もトップを走り続けるとはまったく驚異的である。

図16 ほのぼのタッチから格闘路線へ転換した『ドラゴンボール』

▲「ドラゴンボール27巻」、『ジャンプ』1987年13号「ドラゴンボール」(鳥山明)より

 1986年(昭和61年)からは『聖闘士星矢』(車田正美)が始まる(図17)。各々星座を守護に持つ“聖闘士(セイント)”が、星座の形を模した鎧“聖衣クロス”を身にまとい、必殺技を駆使して闘っていくものである。

図17 “聖衣(クロス)”が特徴の『聖闘士星矢』

▲「聖闘士星矢⑬巻」(車田正美)より

 はじまった当初から爆発的人気を誇ったわけではないが、テレビアニメ化されるや否や鰻登りにその人気が上がっていった。

 80年代はアニメ化されるジャンプ作品が多く、アニメとの相乗効果でブームになるという特徴がある。この「マンガのアニメ化」については第五章で触れることにする。

 翌1987年(昭和62年)には『ジョジョの奇妙な冒険』(荒木飛呂彦)が始まる(図18)。古代アステカより伝わる謎の遺跡物「石仮面」が作り出すヴァンパイアとの対決を描くストーリーは、どこか考古学的な匂いを放ちながらドラマティックに展開する。

図18 ホラー格闘路線の『ジョジョの奇妙な冒険』

▲『ジャンプ』1987年13号「ジョジョの奇妙な冒険」(荒木飛呂彦)より

 1989年(平成元年)には、テレビゲーム『ドラゴンクエスト』の世界観を導入した『ドラゴンクエスト―ダイの大冒険―』(三条陸・稲田浩司)がゲーム世代の小学生を中心に支持された(図19)。

 人気ゲームのマンガ化というものは、流行をいち早く追う少年誌にはありがちなことであるが、『ジャンプ』では極力控えてきた。ゲームのストーリーを借りてマンガを作ることは、てっとり早く人気が出るかもしれないが、オリジナルの情報を発信できない限り、その雑誌の未来はないとわかっていたからだ。

 『ドラゴンクエスト―ダイの大冒険―』も敵悪魔やモンスターをゲームから借りてはいるものの、主人公などの主要キャラクター、ストーリーなどはまるで別物であり、ほとんどオリジナルマンガに近いものとなっている。そして部数は500万部を超え、90年代を迎えることになる。

図19 テレビゲームにオリジナル要素を加えた『ドラゴンクエスト―ダイの大冒険―』

▲『ジャンプ』1992年21・22合併号『ドラゴンクエスト―ダイの大冒険―』(三条陸・稲田浩司)より

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