第15回 ネプチューンマン

オレ流超人批評
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強烈なる選民思想を持つ完璧超人のボス。しかしそのアイデンティティはもろかった! キーワードは「ヘ」の文字だ!
出身イギリス
超人強度2800万パワー
必殺技喧嘩ボンバー
喧嘩スペシャル
ダブルレッグスープレックス
主な戦績ロビンマスク●
超人師弟コンビ○
(ヘル・ミッショネルズ)
2000万パワーズ○
(ヘル・ミッショネルズ)
マッスルブラザーズ●
(ヘル・ミッショネルズ)
ジ・オメガマン●

作者の意気込みを感じさせる筋肉表現

 ネプチューンマンは『夢のタッグトーナメント編』で、完璧パーフェクト超人のボスとして初登場しました。

 変なフードを取り去って登場したそのデザインは、当時の人気レスラーであったハルクホーガンそのままであり、筋肉の描写からも他の超人との差別化を図ろうとしていることがよくわかりましたね。

 また、この新キャラを強烈にアピールしなければならないという、ゆで先生の意気込みもヒシヒシと感じることができました。

新たな超人カテゴリーの提案

 彼を語る上で外せないのは、「完璧超人」という超人カテゴリーです。当時『キン肉マン』という作品には「正義超人」「悪魔超人」「残虐超人」とう3つのカテゴリーが存在していました。

 しかし前シリーズの『黄金のマスク編』で、キン肉マンが悪魔超人の首領である悪魔将軍を降し、正義と悪魔の抗争に一段落がつきました。

 というわけで、ゆで先生としてはそれに変わる新しいキャラ設定が必要になったわけです。それが正義と悪魔を超越した「完璧超人」でした。

完璧超人とは

強烈なる選民思想

 「完璧超人」のアイデンティティは、その強烈なる選民思想につきます。彼らは自分達が超人界において実力・品位・風格ともにナンバーワンであるということを自負し、他の超人たちを“下等”呼ばわりしました。これには子どもながらに腹が立ちましたね(笑)。

 ロビンマスク・ウォーズマン・モンゴルマン・バッファローマンといった既出のキャラたちは、『キン肉マン』という作品において確固たる実績を積み重ねて現在の地位を築いてきたキャラクターです。

 そんな思い入れが深いキャラたちを、こんなポッと出の新キャラにいきなり「下等」呼ばわりされたのです。そりゃあ“長年慣れ親しんだキャラを侮辱するんじゃない”という、怒りにも似た感情が湧いてくるってもんです。

 でもこれってゆで先生の思惑通りですよね。思う通りに感情を操作されている(笑)。ホントに単純でいいお客さんですよ。

 しかし不快に感じながらも、頭の中では冷静に理解しているんですね。このシリーズのボスキャラが彼ら「完璧超人」であり、既出の超人たちは全員噛ませ犬になるんだなあ、ということに(泣)。

 そんな「完璧超人」が何たるものかを表現するためには、初戦のインパクトが大事です。「完璧超人」がいかに優れているかを証明する必要があるからです。

 その生贄となったのが、優勝候補の大本命といわれていた、ロビンマスク&ウォーズマンの『超人師弟コンビ』でした。優勝候補が完膚なきまでにやられるという、あまりにもわかりやすくも酷い展開に涙したものです。

 特にウォーズマンの噛まされ具合は正視にたえませんでした(ウォーズマン“アワワ”事件)。バッファローマン戦に続き、あれで完全にウォーズマンは噛ませ犬グセがついてしまいました。

闘いに感情は不要

 また、彼は戦闘時における感情・精神面においても、他の超人と一線を画しました。つまり今まで物語をドラマチックに盛り上げる要因になっていた怒り・悲しみ・涙・友情といった感情を、不要なものとして全て否定したのです。

 彼は対戦相手の感情の起伏が激しくなれば激しくなるほど、それを上回る憎たらしいくらいの冷静さで相手を封じ込め、己の個性を表現しています。自身が既出の超人たちよりもワンランク上であることのアピールに他なりません。

マスク狩りという懲罰システム

 そしてなんといっても、トーナメント全体で行われた“マスク狩り”が彼の個性を強烈に後押ししています。

 「マスクというものは、選ばれた本当の実力者が身につけるもの」というのが彼の持論らしく、そのコレクションに異常な執着を示しています。ロビン・ウォーズマン・モンゴルマンと、次々とマスクを狩られる正義超人軍団。残るは主人公キン肉マンのマスクのみとなりました。

 そんなストーリーも佳境に入った頃、ジャンプの企画で「キン肉マンマスク狩りポスター」なるものが付録でついたときがありました。この予告が出たときは色めきたちましたね(笑)。「キン肉マンの素顔を大公開!」なんてあおってるんですよ!

 確か夏休みだったと記憶しているのですが、その号がでるまでず~っと楽しみで。発売日になってさっそくジャンプを購入し、ワクワクしながらポスターをみると…そこには真っ黒に顔が塗られたキン肉マンが立っていました。なんじゃこりゃ~‼ って、日本中のキン肉マンフリークが突っ込んだ瞬間でしたよ(笑)。

 ちょっと話がそれましたが(笑)、この“マスク狩り”という要素は、それくらいストーリーにドキドキ感を与えたヒット企画だった思いますね。ネプチューンマンの強さと非情さをよく表す要素にもなっていました。ただアシュラマンの3面までがマスクだったという事実はちょっと強引でしたけどね。

 また、話が進むにつれてマグネットパワーやアースパワーなど、彼のスペックは際限がなく上昇していきました。もはやなんでもありな状態だったといえましょう。

突然のアイデンティティ崩壊

 しかし彼の「完璧超人」としての実力・精神・品格が通用したのは、決勝戦の1ラウンド目まででした。相方のビッグ・ザ・武道の正体が、実は彼の師匠のネプチューン・キングであることが判明すると、彼のアイデンティティは急速に崩壊しはじまめす。

 彼のこの豹変振りには、はたから見ていてもビックリさせられました。今まで家来のように扱っていた武道に、いきなり敬語を使い始めたものですから、はじめは何が起きたかよく理解できませんでしたね。ジャンプのページを何度も戻しちゃいましたよ(笑)。

 そこからの彼はもう、下り坂を転げ落ちるようでした。それまで「完璧超人」のボスとして表現されてきた風格や言動、強烈な選民思想が、みるみるうちにしぼんでいったのです。

 常に冷静であった表情には苦悶や焦燥感が多く表現されるようになり、うろたえるシーンが多くなりました。感情の起伏を弱者のシンボルとして“下等”呼ばわりしていたのに、今度は一変して彼がその「下等超人」の領域に足を踏み入れてしまったのです。

正義超人としての復活

 最後の最後で弱さを露呈してしまった彼は、その後『キン肉星王位争奪編』で復活しますが、デビュー当時の強さを復活させるには至りませんでしたね。

 キン肉マンチームの助っ人として現れたのはいいものの、やはり彼の個性はその選民思想であり、非情さであり、強烈な品格といった「完璧超人」の定義そのままなので、それをまったく失ってしまった彼は、はっきりいって抜け殻でした。これでは魅力あるキャラにはなれません。

 思ったとおり彼はフェニックスの小細工に翻弄され、SMチックな縛られ姿を披露する醜態をさらし、最後にはその存在が消えるという、なんとも無残な扱いを受けてその超人人生を終えることになります。

への字の超人

 そう考えると、彼は自分の個性を途中ですべて剥奪された、可哀想なキャラであったことがよくわかります。

 彼の強さのグラフはまさしく「へ」の文字であり、その最高点が「武道=ネプチューン・キング」をカミングアウトされた瞬間だといえるでしょう(笑)。

 せめて小ずるいフェニックスを

この下等超人が!

と罵倒するくらいの威厳をまだもっていたら、もう少し違った人生の幕引きをしていたように思います。


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