相棒のカナディアンマンと共に、ヘタレ超人の名をほしいままにするアメフト超人。アメリカではテリーマンと人気を二分する存在であったが、超人五輪を境にその差は天と地ほどに乖離。汚名返上を願うべく、彼のスペシャルとは何かを考察する!
今回も反省から
この『オレ流超人批評』において初期にヒットし、コンテンツをけん引した「カナスペ」。
しかしこれを発表した20年前当時は

彼らのヘタレっぷりを、いかに糾弾するか
といった否定的・非難的な論調に終始し、彼らに対するフォローというか、人間性について深くつっこんだ考察というものが少し足りなかった、とも思うんですよ。
仮にも彼らはこの『オレ流超人批評』を世に広めることに、多大な貢献をしてくれたキャラです。それだけに二人に対する思い入れは深いですし、蔑んだままでほったらかし、というのも失礼でしょう。
そんなわけで、前回はカナディアンマンについてフラットな視点から、あらためて深掘り考察を行いました。
今回はもう一人のメンバーである、スペシャルマンについての考察を行っていきたいと思います。
奇しくも今回でなんとこの『オレ流超人批評』は99回目を迎えるんですね。つまり胸に“99”をあしらったスペシャルマンは、今回フォーカスされる超人としてはまさにベストオブベスト!
もうね、このために生まれてきた超人と言っても過言ではない でしょう(笑)? では張り切っていってみましょう。
初登場時がピーク?
彼は一回目の超人オリンピックで初登場しました。
選手入場でテリーマンの次に登場した彼は、入場と同時に大歓声を受けたテリーに向かって

さすがテリー、日本じゃ人気はかなわんな
と言いながら、アメリカ人特有の肩をすくめるポーズを披露するという、とても和やかなデビューをはたしています。
まさか彼もここから苦難の超人人生を歩むことになろうとは、夢にも思わなかったことでしょう。ひょっとしたら彼の人生のピークはここだったのではないかと疑ってしまうくらいです(苦笑)。
というのも、彼のこのセリフの裏には

さすがテリー、日本じゃ人気はかなわんな(アメリカだったら負けないけどね)
という自信が見え隠れしており、彼が帰国した折には、多くの歓声をもって迎えられるステイタスが彼にあったことを示しています。
それだけに彼をヘタレ超人と認定している我々現代人(笑)は、“彼が母国でチヤホヤされる”という、とても想像しがたい現実があったことに、ものすごい違和感を覚えてしまうんですね。
でもパラレルでなく彼がチヤホヤされている世界線、見てみたかったと今となっては心から思います(笑)。

ウルトラ・スーパー・スペシャル
そんな彼を見てまず気になったのは、

スーパーマン、ウルトラマンときたら…残るはスペシャルマンっしょ!
という思考で考案者から授けられたと思われる、“スペシャル”というネーミングです。
なんていうんでしょうかね、とてもちびっ子らしい単純思考といいますか、悪く言えば

もう少しひねれよ
とツッコみたくなるネーミングセンスが、逆にピュアすぎてとても微笑ましくて(笑)。
そりゃあね、当時のちびっ子ボキャブラリーにおいて
- スーパー(超)
- ウルトラ(究極)
- スペシャル(特別)
という3つの修飾語は、他の追随を許さない圧倒的カッコよさを持ったワードでしたからね(笑)。
思い出してもみてくださいよ。ヒーローごっこでオリジナルの必殺技を発動する際、あなたはどんな技名を叫んでました? おそらくは

スーパーウルトラスペシャル~~ゥ…キック!!
ではなかったですか(笑)?
そんな“ちびっ子あるある”のセンスが透けて見えるようなネーミングがね、なんとも可愛らしくて共感を持てるんですよね~。そして絶対に考案者の方は、

おっ? スペシャルだけ空席があるぞ? ラッキー、いただきだぜ!
と思ったに違いないんですよ。いや~、ホント、名前だけで微笑ましくなること請け合いの超人です(笑)。

カナスペは円谷プロ所属?
そんな微笑ましい名前を授かった彼の顔は、清々しいほどにウルトラマンでした(笑)。
ウルトラマンの意匠の特徴は、頭頂から前方は鼻、後方は後頭部にかけて頭部を半分に分ける、薄い円形のトサカでしょう。
スペシャルマンはそれをダブルのV字配列にすることで差別化とし、円谷プロからのチェックを何とか逃れようとします(笑)。
しかしこれまたウルトラマンの特徴的デザインであるたまご型の目を採用してしまったことで、その顔から漂うウルトラマン臭は逆に高まってしまいました(苦笑)。
そこで彼はV字配列したトサカの間にイニシャルである“S”の文字をあしらうことで、自身のアイデンティティを強烈に主張しています。
これはデザイン系統としては、キン肉マンの“肉”、テリーマンの“米”と同列にカテゴライズされる表現だともいえるでしょう。
ちなみに私は前回のカナディアンマン批評の際、

彼のボディの色配分は、おそらくウルトラマンの影響
と予想しましたが、その理屈でいくと、顔がウルトラマンのスペシャルマン、体がウルトラマンのカナディアンマンを合体させると、ただのウルトラマンが出来上がる、ということになります(笑)。
…ということで、興味深いのでためしに合体させてみました。

いかがでしょうか。来年の新しいウルトラマン、その名も『ウルトラマンスペディ』の誕生です(笑)。そう考えるとカナスペは

円谷プロ所属の超人!
と言えそうな感じですよね(笑)。でもあれか、そもそも主人公のキン肉マンがウルトラマンのパロディだから、作品全体が円谷プロ所属って言ってもいいのか(笑)。
ナンバー99の謎
そして彼のボディには、燦然と輝くナンバー99の数字。これってデザイン的にはけっこう威力が高くて、

スペシャルマンといえば99
というイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。
でも皆さん、ここでほのかな疑問が湧きませんでしたか?

…で、なんで99なの?
って(笑)。そしてその疑問をうっすらと頭の片隅に残したまま、

ま、スペシャルマンだからどうでもいいか
ってスルーして大人になりませんでしたか(笑)? でも今回せっかく彼をフィーチャーするのだから、ここは彼の“ナンバー99の謎”について迫ってみたいと思います。
まずこの文章を書く直前まで、私がなんとなく想像していたのは、
彼の数字は世代を表している
というものでした。
要はスペシャルマン一族の開祖から数えて、彼は99番目の当主である、という予想です。徳川○代目将軍、みたいな感覚ですね。
というのも、『キン肉マンⅡ世』において彼の息子として登場したスペシャルマンJr.の胸の数字が100だったため、予想にとても説得力があったんですね。

しかし今回彼を考察するにあたって、この99の謎をもう一度しっかりと調べてみようと思い、いろいろとググってみると、

こっちの方が真実なんじゃない?
という、ある結論に至りました。それは
99はアメフト選手のエースナンバーを表している
というものです。特にディフェンスラインのエースナンバーが99らしいんですね。
これ、どうやら野球のエースならば18番、サッカーのストライカーならば10番という感覚と同じらしいんですよ。アメフトに詳しくないので、全然知らなかったです。
でもそれを知ると、ナンバー99の謎についてはスペ家○○代当主、という予想よりは、こちらの方が説得力があるような気がしますよね。

そしてそもそも論で、なぜ彼の考案者はアメフトのコスチュームをモチーフに採用したのでしょうか。これについてもなんとなく理由がわかってきました。
実は1970年代中盤から後半にかけて、小中学生の間で突如としてアメフトブームが起きたらしいんですよ。アメフトチームのマークが入った文房具や学用品グッズ、そしてアパレル商品がバカ売れしたらしいんです。
以下の引用元様のブログに、その当時の有様が記載されていますね。
それはもう、本当に凄まじいほどの浸透ぶりでした。
小学生男子の生活の全局面がNFLに覆い尽くされていた、と言ってもいい。世代からはずれる人は「ちょっと大げさじゃないのぉ?」と思うかも知れません。実際、今の僕があの頃を振り返ってみても信じがたいほどでした。一時のJリーグブームなんてもんじゃなかったし、グッズの量や多彩さは、60年代から長く続いたプロ野球ブームもかなわない。なにしろ、当時の多くの文房具屋さんには「NFLコーナー」がつくられてしまう始末だったんですから。
東京レトロスペクティブ 様より引用
おそらくですが、彼を考案したちびっ子も当時このような文化にどっぷりと浸かっており、

ボクの大好きなアメフトの超人を作ろう!
と、スペシャルマンを生み出すきっかけとなったのは、『キン肉マン』という作品が1979年連載開始であることを思うと、十分あり得るのではないかと思います。
このように、その誕生に円谷特撮とアメフトという当時のちびっ子文化が透けて見えるような点は、考案者のノスタルジックな時代背景が見えてきて、とても微笑ましい気分になりますね。
キャラクター分析
では彼のフォルム考察についてはこの辺にして、次は彼のキャラクターに迫ってみましょう。
テリーとの交流とその実力
彼はテリーマンと昔から関係性が深い超人として紹介されています。細かい描写はありませんが、おそらくはそれぞれ北部、南部のアメリカ超人として、幼い頃から交流があったのでしょう。ひょっとしたら一緒にトレーニングをした過去もあったのかもしれません。
というのも、スペシャルマンが超人オリンピックで予選敗退をした際、テリーは

バ…バカな、おまえは10トンの鉄を持ち上げるんだぞ!
と叫び、ずいぶんと取り乱した姿を見せています。
これは彼がスペシャルマンの実力について、かなり深い部分まで知っていることを示しており、それはお互いが切磋琢磨した時間を過ごさないと、出てこない感情だと思われます。
そしてこの反応は、彼がスペシャルマンの実力をかなり高く評価している裏づけにもなっていると考えられるわけです。さらにその評価は、やはり彼らがスパーリング等で何度も手を合わせてきたからこそ、生じたものなのではないでしょうか。
対するスペシャルマンも、テリーマンがスカイマンに追い詰められた際、病を押してリングサイドへ赴き、彼にエールを送って逆転勝利への足掛かりを作っています。
このような彼らの関係性を見る限り、二人はよいライバルとして大人になったことは想像に難くありません。そう考えると、スペシャルマンの現在の評価が異様に低いことに対してテリーが

バ…バカな、おまえの評価がこんなに低いなんて信じられん!
という気持ちを持っている可能性も、十分に考えられるのではないかと思われます。
友を想う気持ちとリーダーシップ
また、スペシャルマンは100人もの超人を引率し、ニューヨークのマジソン・スクウェア・ガーデンまでザ・マシンガンズの応援に駆けつけたこともあります。
これも彼とテリーマンとの関係性ありきの行動なのでしょう。もちろん会場が地元のアメリカだったことも大きいと思いますが、それでもあの時代に100人を招集するって、けっこう大変ですよ。
ネットやスマホがなかった時代ですからね。一人一人連絡先を調べては、電話をしたり手紙を送ったりして、出欠のリストを作るわけですよ。そしてチケットを一括購入し、集合場所と時間を決めて…場合によっては前乗り超人のために、ホテルの手配もしたかもしれません(笑)。
でもそれくらい彼は友人を想う心が強い、とも言えますよね。そしてこのエピソードは、彼に団体行動を企画引率できるほどのリーダーシップや人望があることを、図らずしも指し示していたといえるでしょう。
ちなみにこの応援団の中に、未来のタッグパートナーであるカナディアンマンも、しっかりと駆けつけています。
向上心
そして彼は、自身の成長についても思考が前向きです。『究極の超人タッグ編』において、急遽企画されたリザーブマッチ。本戦に出場できなかった落選チームに対する、救済措置&チャンス提供のいわゆる敗者復活イベントです。
しかしそれまでの激しい闘いにすっかりとビビってしまった落選組は、誰一人としてそれにエントリーしようとしません。そんな中、彼は

これは汚名返上のチャンスだと思わないか
と、相方のカナディアンマンにエントリーを打診します。この言動から、彼の現状打破を目指し、チャレンジする向上心を垣間見ることができます。ただ相手に『世界五大厄』が名乗りを上げた途端に

やめよう。リスクが高すぎる
と打算的になってしまい、その意気がしぼんでしまったところは汚点といえるでしょうか(苦笑)。
間引きがなければ彼は大成したのか
このように、テリーからは(たぶん)一目置かれ、向上心があり、友人思いでかつリーダーシップもとれるスペシャルマン。こうして見ると、正義超人としてのポテンシャルはかなり高いのではないかと思われます。
では仮にヘタレ呼ばわりの入り口となってしまった、はぐれ悪魔超人コンビの間引き行為がなかったとしたら、彼は読者にキャーキャーいわれるアイドル超人として大成できていたのでしょうか。
個人的な感覚でいわせていただくと、それは少し難しかったのではないかと思います。その大きな理由としては、彼の自己主張が弱さが第一にあげられるでしょうか。そう、目立ってなんぼの世界に属しながら、あまりに控えめなんですよ、彼は。
もちろん彼にも過去に強い口調の発言はありました。私が以前彼についてのやり玉にあげた

これはボクたちの超人としての名誉の問題だ!!

キン肉マンよ、実力者のオレたちにこんなことをさせるんだから…試合が終わったらたっぷりお返しをしてもらうぜ!

このサバイバル・マッチでおまえが優勝したら、その王位の座をかけて再び超人オリンピックで戦おうじゃないか………!!
この三つの発言ですね。何度見ても、身の程知らずさ加減が廃れることのない名セリフです(苦笑)。
ただですね、これを口にしたシチュエーションや彼の気持ちをきちんと考察すると、この三つの発言は自己主張とはいえないのではないかと感じるんですよ。
まず上段のセリフは、アシュラマンの侮辱に対するシンプルな怒りの発言ですよね。これはリアクションであり自己主張ではありません。
中段のセリフは、スグルvs悪魔将軍でリングを支えていた時のセリフです。一見自惚れを伴った自信過剰なセリフにも見えるのですが、悪魔将軍に苦戦するスグルを鼓舞するための、過剰な演出発言にも思えるのです。
お返しをしてもらうには、スグルが生きていないと話になりません。つまりこのセリフは意訳すると

お前ならぜったいに勝てるよ!
(=生き残れる=オレの苦役をお返しでねぎらって)
というエールなんですね。そしてお返しする相手(=自分)をあえて一流設定にすることで、そのエールの内容をさらに色濃いものにしているんです。つまりこの自信過剰さは彼ならではの思いやりなんですよ。
そして下段のとんでもなく野心あふれる発言ですが、これも中段と同じニュアンスです。スグルの相手が悪魔将軍からフェニックスに変わっているだけで、彼なりのエールである点は同じなんですよ。よって中段・下段も自己主張とは言い難い発言なんです。
つまりこれらを自己主張という枠から外すと、その他の彼の発言は本当に地味というか、控えめなんです。どちらかというと、自己主張を伴う発言をしたり行動をしたりするのは、相方であるカナディアンマンの方だと思うんですよね。
それは特に『究極の超人タッグ編』において顕著であり、その頂点が

キン肉マングレートⅢは人間なり
と委員長にチクるシーンだと思われます。この姑息ともいえる行動が、すでにヘタレ認知が浸透していた彼らの悪いイメージを、さらに奈落の底に叩き落としたのは間違いありません。
そんな相棒の提案に対して、スペシャルマンは終始受け身というか

…いいのかな、これ…?
と、その是非に悩みながらも、カナディアンマンの勢いに流されるように行動を共にしてしまった感が強いです。
つまりもしも彼がカナディアンマンとつるんでいなければ、この行動選択が採られなかったのは明白であり、彼はある意味カナディアンマンの利己主義と野望に巻き込まれた被害者だったともいえるのです。
それは裏を返せば彼自身の自己主張の弱さや、NOと言えない優柔不断さ、流されやすさを如実に表しているともいえるでしょう。そんな彼の控えめで遠慮がちなキャラクターの根幹は、彼が作品中で活躍するための大きな障害となっているように思えるのです。

スペシャルを無駄にしないために
ただこう書くと、彼には明るい未来が見えてこない不憫な批評になってしまいます。せっかく“Special”という名を冠している超人なのだから、ここは彼のSpecialとは何なのかについて注目し、彼の知られざる能力を真剣に考えていきたいと思います。
きっとあるはずです。誰にも負けない特別な能力が彼にも…。
それを探すべくいろいろと資料をあたっていると、ある文献に辿り着きました。1998年に刊行された『キン肉マン77の謎』という公式本です。そこには
祖国アメリカでは南部を代表するテリーマンに対し北部ではタイトル奪取経験もある人気超人で、スパーリングではロビンマスクやラーメンマンが何度も寝技を極められたとの噂もある
キン肉マン77の謎 より
という、我々の目を疑う(笑)一文が記されていたようなのです。
スパーリングとはいえ、超一流のテクニックを持つロビンマスクやラーメンマンからタップを奪っていたと…? これが事実だとすると、途端に彼には

道場最強!
と言われた、藤原組長的なにおいがしてきました。
表舞台では評価が低いが、練習場たる道場では無類の強さを誇っていたプロレスラー、そんなキャラクターが彼にはあったのかもしれません。そして彼の名となっている“スペシャル”には、

道場では特別に強い
という意味をあてがうことができるわけです。だとすると、彼は裏番長的なかなりカッコいいステイタスを保持することになりますよね。

しかし表舞台に出ると、途端に実力の10分の1も発揮できないキャラになっちゃうから弱く見えてしまったのかもしれません。そう、彼は恐ろしく人目を気にする、緊張しいの超人だったんですよ、きっと(苦笑)。
彼にとって人目につくというのは、イコール誌面に登場するということなので、彼がここまで作中で活躍できない理由としては、論理的にかなり説得力があるような気がしてきました(笑)。
そう考えると、彼は誌面に出ずに、人づてに活躍を聞くことで実力をアピールするのが唯一の捲土重来法なのかもしれません。例えば

留守中に敵が攻めてきたじゃと?
ママは? ビビンバは!?

安心しろ、キン肉マン!
スペシャルマンが撃退してくれたそうだ
みたいな。まさかの伝聞活躍スタイル(笑)!
ただこれだと彼は一生活躍シーンが描かれることがないので、やはり不憫といえば不憫ですね…。あとはあれかな、回想シーンのみで活躍してもらうしか方法がないなあ?
つまりはリアルタイムではヘタレだけど、回想シーンでは最強というふり幅が極端なスタイル(苦笑)。それこそ唯一無二のスペシャリティ。これでスペシャルマンがスペシャルたるゆえんにはなりませんかね(笑)?
新たなスペシャルの活用法
もう一つ、私は彼のスペシャルという名には、別の活用法があるのではないかと密かに睨んでいます。それは何かというと

必殺技プロデューサー
という活用法です。
道場で強さを誇る彼は、きっとインストラクターとしての能力も高いはずです。道場最強を聞きつけた超人たちに、手取り足取り格闘技術を教えることも日常茶飯事な風景だと思うんですね。
さらにはその延長線上で、必殺技をどうするか悩める超人たちにいろいろとアイデアを提案し、いっしょになって考えることも多かったと思うんですよ。それはまさに90年代に多くのアーティストを輩出した小室哲哉氏のような、必殺技のプロデュース稼業です。
そして小室ブランドのアーティスト名にはその最後に“with t.komuro”と付いたように、新たに誕生した必殺技名にはきっと、スペシャルマンに敬意を称して彼の名が語尾につくんですよ。その法則から予想される、彼プロデュースの必殺技には
- キン肉withスペシャル
- パロwithスペシャル
- 喧嘩withスペシャル
- ロビンwithスペシャル
というラインナップがあるのではないかと(笑)。そう、あの有名な必殺技たちは、裏でスペシャルマンのプロデュースがあって初めて世に出た技なんですよ、きっと。

でもって彼らは

えーい(スペシャルマンと考えた)キン肉スペシャルだ!

脱出不可能なアリ地獄ホールド(スペシャルマンと考えた)パロスペシャル!

(スペシャルマンと考えた)喧嘩スペシャル!!
もう逃げられないぜ!

名づけて(スペシャルマンと考えた)ロビンスペシャル!!
という心境で、あの名場面を迎えていたんですね、実は。もうね、感謝の念で彼らはスペシャルマンに足を向けて眠れないはずなんですよ(笑)。
さらには彼らはその技を使うたびに、実は印税としてスペシャルマンに使用料を支払っていたのかもしれません。もしそうだとすると、スペシャルマンは“印税超人”というスペシャルなキャラクターを持つ超人でもあるんですよ。
つまり彼は左うちわで生活ができる身分なので、今ひとつギラギラとした野望が持てないんです。だから自己主張が薄いのかもしれませんね(笑)。

おわりに
以上、超人批評第99回を記念して、99の背番号を持つスペシャルマンについてのあらてめての考察でした。
彼は生き馬の目を抜く超人界においては、ちょっと正攻法すぎるというか、控えめすぎるキャラなんでしょうね。いわゆる“スタンドプレー”という行動からは、一番かけ離れたキャラだからこそ、捲土重来の機会を得られないという憂き目にあっているのもしれません。
ただかなり初期から登場しているサブキャラだけに、一度くらいは快刀乱麻の活躍シーンがあってもいいのかな、なんて気持ちが湧いてくるキャラですね。何とかならないかなあ、ゆで先生(苦笑)? ではまた。
※今回は牛丼一筋30歳さん、いわたそうさん、まいどなさん、プリンストンさん、濃厚アイスさん、ナルミクラシーさんほか、たくさんの方からリクエストをいただきました。ありがとうございました。



コメント
前回のカナディアンマンからの流れとして今回は当然スペシャルマンの出番なのですが、負けたとはいえ捲土重来が成ったカナディアンマンに対し、未だに何もないスペシャルマンは書き様がないのではと心配していました。なるほどこういく切り口でしたか。
今回が99回目というのは全然気が付きませんでしたが、こうなるとまさにピッタリですね。
カナスぺのうち特にスペに関しては「ここまでヘタレの象徴扱いされるほどかな」と個人的には思っています。
記事にもある身の程知らず発言に関して言えば、行きがかり上の勢いに任せた言葉に過ぎず、この程度なら普通にあるレベルと感じますし、はぐれ悪魔超人による間引きは物語の展開の犠牲になった避けようのない敗北では。
これはカナも含めてなのですが、雑誌連載当時は、カナスぺはここまで「ヘタレの象徴」という扱いを受けていましたっけ?
その後の読み切り等での噛ませ犬扱いは、ゆで先生が意図的にそう描いているのでしょうが。
少なくともここ数年(カナの捲土重来前)の容赦ない蔑まれ方は、僅かな逸脱や失敗も許さずに過剰に集団叩きする昨今の嫌な風潮が大いに影響しているように感じます。
ishiiさん、こんにちは。
99回目の超人批評が近づいてきたときに、「99ならスペシャルマンにすればシャレが効いていて面白いな」と思いつき、「だったら98回をカナディアンマンにしてこれを機にビッグボンバーズを再批評しよう」と企画したのが今回の二人です。
そしておっしゃる通り、直近で闘いがアップデートされたカナディアンマンよりは、それがなされていないスペシャルマンの方が難産でした。円谷プロ的なフォルム、カナディとの合体、99の謎などはスムーズに進んだのですが、その後の彼の個性を考察するのが難しくて。というわけでifに逃げました(苦笑)。
そして二人の蔑まれ方についてはカナディアンマン批評でも書いた通り、「彼らだったら何を言っても、何をしてもかまわない」という風潮について、疑問を投げかけました。
テリーマンがキン肉マンとのタッグで名バイプレーヤーとして輝いたように、スペシャルマンもやはりバイプレーヤー向きなのかなと思います。もしスタート地点でテリーとスペシャルが並んでいたのならば、現在の差はやはり選んだパートナーに差があった——キン肉マンとカナディアンマン——というのが答えなのでしょうか?仮に別の世界線でキン肉マンがスペシャルマンとカナディアンマンガテリーマンとタッグを組んでいたら、現在のスペシャルマンのポジションにいたのはテリーかも知れませんね(笑)
たけFさん、こんにちは。
スペシャルマンはたしかにバイプレイヤーの匂いがプンプンしますよね(苦笑)。そして親友のテリーも近しいキャラクターで…というのは面白い視点ですね。
そうかあ、スペシャルマンはスグルと組んでいれば、メインキャラになれたのか…(笑)。
アキラさんこんにちは
そうなんですよ〜、彼は寝技の達人なんですよ!自分もうろ覚えだったんですが(笑)しかし作品的に派手な技の応酬がこのマンガの醍醐味なので中々活躍は難しいのかもしれませんね…それかホントに本番に弱いのかもしれませんね。それにしても伝聞スタイルor回想シーンでしか活躍できないってなんかめっちゃ笑えますね。
ただカナスペってこれだけ侮辱とかされても正義超人としての魂を失わなかったことはスゴイと思うんですよね!なのでいつかは必殺技の「栄光のタッチダウン」で捲土重来して栄光を掴んで欲しいですね!
アトールさん、こんにちは。
いや~、彼が寝技の達人だなんて、全然しらなかったですよ(苦笑)。でもたしかに派手さを求められる中では、活躍しづらいかもしれませんよね。
キン肉マン二世では、サブミッションアーティストとしてヒカルドが出てきましたが、彼には二面性と豪快な残虐技がありましたから…そう考えると、スペさんも豪快な面がほしいですね。
70年代後半にアメフト物の漫画が何本かあったのは当時のアメフト人気に便乗しようと言う考えからか、とスペシャルマンの胸の99の秘密が分かった時に思いました。
MKTさん、こんにちは。
私、アメフトブームと言われた70年代中盤~後半にはもう物心がついていたのですが、文房具を中心にアメフトグッズが大流行していたというのはあまり記憶にないんですよ。あれば小学校で使うアイテムのひとつに、それらしきものがあってもよいはずなのですが…記憶にないです。
でもフィンガー5の歌や、UFO戦士ダイアポロンなど、たしかにアメフトをモチーフにした文化はあったことは記憶に残っていますね。