とうとう来ました、この時が。角田裕毅選手、F1トップチームであるレッドブル・レーシングに昇格です! おめでとうございます!
しかも初陣が故郷の日本グランプリという、我々にとっても胸熱いシチュエーション。これは4月6日の日曜日は、テレビの前に腰を据えて応援するしかありませんね!
で、今回のテキストはF1をよく知らない方のために、今回の昇格がどれだけすごいことなのかをわかりやすくお伝えするとともに、今後角田選手の未来がどうなるのか、メリットデメリット双方をふまえて考えていきたいと思います。
今回のニュースがすごい理由
F1ドライバーであること自体がすごい
まず超基本的な認識として、角田選手がモータースポーツの最高峰であるF1で、ドライバーとして5年もレースをしていることがすごいです。
これ、他のスポーツと比較すると、メジャーリーグの大谷翔平選手、NBAの八村塁選手にまったくもって引けを取っていません。それくらいワールドワイドな立ち位置にいるアスリートだと思ってください。

メジャーリーガーやその他メジャーのプロ選手って、数百人単位で存在しているじゃないですか。しかしF1ドライバーになれるのは、世界でたった20人なんです。びっくりでしょ? でもそれくらい狭き門をくぐり抜けたアスリートが活躍する世界なんですよ。
そんなとんでもないレギュラードライバー争いの中で、5年もそこで闘っている角田選手が、どれくらいすごいアスリートなのかをご理解いただけるとありがたいです。
ちなみに5年前、角田選手がF1に昇格するかどうかのタイミングで書いた記事がこれです。よろしければどうぞ。
日本人初のトップチーム所属となったことがすごい
これまでもF1をドライブした日本人ドライバーはそれなりの人数がいたのですが、いまだかつてレースで勝利した日本人ドライバーはいないんです。その要因の一つが、
トップチームに所属できなかったから
なんですね。
F1も他のスポーツ同様に、どんなに最高峰のカテゴリーだとしても、その中では強いチームと微妙な(笑)チームというヒエラルキーが生じます。勝負をしているわけですから当たり前です。
さらにF1には車というメカ要素の比重が大きいという、他のスポーツと比べて大きく異なる特徴があります。そして強いチームの車は…当然速いんです。性能がいいんです。これが競技の勝ち負けに大きく影響してくるんですね。
そしてこれまでの日本人ドライバーは、総じて微妙なチームに所属していました。先日まで角田選手が所属していたレーシングブルズというチームも、そっち方面のチームです(苦笑)。そのため、日本人ドライバーはなかなかレースに勝つ、というシチュエーションを形成できなかったんですよ。

しかしとうとう今回、その壁を角田選手が打ち破ったんですね。彼が昇格するレッドブル・レーシングというチームは、とても強いチーム、いわゆるトップチームと評価されるチームです。車も速いし、ストラテジーも超一流で、なにより勝利回数が多いチームです。
つまり今回の昇格によって、角田選手は日本人初のレースウィナーになれる環境に身を置いた、ともいえるわけです。これを他のスポーツで例えると
大谷翔平:エンゼルス⇒ドジャース
中田英寿:ペルージャ⇒ASローマ
八村 塁:ウィザーズ⇒レイカーズ
といった移籍イメージでしょうか。サッカーの移籍の例えが古いのは、トップチームに移籍した最初の選手が中田選手だったから、とご理解ください(笑)。
そして今回のチャンスを勝ち取ったのは、彼が下位チームでも認められる速さと、ドライバーとしての成長を評価されたからです。このあたりもね、ファンとしてはかなり誇らしいんですよね。
一度逃したシートを再び手繰り寄せたことがすごい
今回の昇格は、簡単に言うと
調子の悪い人との交代
です。実は角田選手が所属していたレーシングブルズというチームは、レッドブル・レーシングの姉妹チームなんです。つまりオーナーであるレッドブル社は、F1で2チームを持っているんですよ。
その1つがAチームたるレッドブル・レーシングというトップチームであり、常勝を目指すチームです。
対して角田選手が所属していたレーシングブルズは、将来レッドブル・レーシングをドライブするドライバーを育てるBチーム、という構図なんです。
そんな関係性なので、実は昨年末、Aチームたるレッドブル・レーシングのシートに誰が昇格するかという話があったんですね。そこで昇格候補にあがったのが、角田選手とリアム・ローソン選手でした。
で、結果的にローソン選手がそれを勝ち取ることになり、残念ながら角田選手と我々ファンは、涙を流したわけです。いや~、あれは悔しかったなあ。

そんな失意の中開幕した2025年シーズンだったのですが、フタを開けてみれば、昇格したローソン選手はまともなドライブができないくらいの絶不調。見ているこちらが気の毒になるくらいの低空飛行となってしまいました。
逆に昇格できなかった角田選手は、キャリア最高と評価されるくらい絶好調です。戦闘力の低いマシンの能力を最大限に引き出し、トップチームに迫る勢いの活躍を連発しました。
そんな状況下において、常勝を目指すレッドブル・レーシングは、ローソン選手と角田選手のスワップを決定し、今に至ったわけです。
このね、一度失ったシートを再び実力で手繰り寄せたことが痛快で。角田選手、ホントすごいですよ。
昇格のデメリット
とまあ、ここまで彼の昇格に浮かれた文章を書いてきましたが、実はその裏にデメリットも多々あるんですよ。それをご紹介しましょう。
結果を出せなかったら最悪クビ
今回の彼の昇格は、多分に片道切符のニュアンスが強いです。
我々の期待通りにトップチームにふさわしい活躍を彼がしてくれれば何の問題もないのですが、前任のローソン選手と変わらないくらいの結果だった場合、彼には戻る場所がないんです。つまり…F1という世界から退場、ということです。
これは相当なプレッシャーとして彼にのしかかるはずです。ある意味この昇格は博打かもしれません。最悪でも首脳陣が考える及第点の成績は残してほしいとところです。でないと、彼のキャリアに終止符が打たれかねません。
チームメイトが世界一のドライバー
F1は1チーム2ドライバー体制で闘う競技です。そして角田選手のチームメイトは、目下世界選手権4連覇中の絶対エースであるマックス・フェルスタッペン。そう、彼はこれから常に世界王者と比較される日々が訪れるのです。
これはなかなかエグい環境ですよね。よりによって世界最高峰のドライバーが、彼のベンチマークとなるわけですから。そのプレッシャーたるや、ハンパないと思われますよ。

実はレッドブルのマシンは運転しづらい
レッドブル・レーシングのマシンは速い車なのですが、とても扱いづらいと言われています。
というのも、ここ数年はチームの絶対エースであるフェルスタッペン仕様に進化してきたため、超絶テクを持つ彼しか扱えない、どピーキーな車になっているとの噂なのです。でもそれをうまく扱えると、とても速く走れるという車なんですよね。
この壁にぶち当たったのが、今回降格を余儀なくされたローソン選手なんです。そして過去にもフェルスタッペンのチームメイトとなった複数人のドライバーが、似たような理由でこのシートから去っている事実があるので、かなりやっかいな壁なんですよね。
これをシューティングゲームに例えるならば、スピードアップアイテムを取りすぎて、自機が制御不能レベルの速さになっているのに、ゲームを続けてクリアしなければいけないような感じです。でも…絶対に動きについていけずに、壁や敵にぶつかりますよね?
ところがこれをフェルスタッペンがやると、スイスイと操作してゲームをクリアしてしまうらしいんですよ。もうこのあたりが他のドライバーと比べてレベチらしいです(汗)。
そんなピーキーなじゃじゃ馬をどこまで角田選手が制御できるのか。まずはそれが第一関門なんですよね。
練習なしのぶっつけ本番デビュー
今回の人事は、シーズン開幕2戦目終了後に決断されたという、かなりドタバタした緊急事態でした。つまりオフシーズンの出来事ではなく、オンタイムでの緊急人事なために、次のレース(日本グランプリ)までの時間的猶予はまったくないといっても過言ではないんですね。
ですので、角田選手は今年のレッドブル・レーシングのマシンを、ほぼぶっつけ本番でドライブしなければなりません。しかも前述したように、マシンはとてもピーキーです。ぶっつけ×ピーキー。この二重苦を角田選手は乗り越えなければならないのです。
ただその舞台が、勝手知ったるホームグランプリ・鈴鹿サーキットであったのは、ほんの少しの緩和剤となるでしょうかね。
昇格のメリット
このように、レッドブル・レーシングで結果を出すのには、一筋縄ではいかない関門が山ほどあることがおわかりいただけたかと思います。
それでもね、やはりトップチーム移籍のメリットは魅力的ですよ。次はそれをあげてみましょう。
常時トップ争いができる
これは大きいですよね。角田選手の実力がきちんとマシンに反映できれば、表彰台といわれる1位~3位を争うレースを毎回できる可能性があります。
今まではBチーム所属でしたから、いいところ10位前後を争うので精一杯でした。7位、8位なんて取ろうものなら、もう優勝したくらいの喜びですよ(笑)。
ですので彼がF1デビューをしてからは、我々ファンはずっと言っていたんですよ。

一度でいいから彼を速い車に乗せてくれ。
そうすれば絶対に無双するから!
と。それが5年目のシーズンでとうとう念願かなったわけです。いや~、長い道のりでした。これで彼が予想通りの実力を発揮して、常に1~3位を争える闘いをするようになったら、もう涙がちょちょ切れてしまいますよ。

組織力・開発力が段違い
今まで所属していたレーシングブルズと違い、シニアチームであるレッドブル・レーシングのスタッフは、戦略部門においても技術部門においてもよりレベルの高い人材が在籍しており、組織力と開発力が段違いです。
今まではどんなに角田選手がよい走りをしたとしても、戦略面での拙さからリザルトを落としてしまったりするようなポカが多かったんです。また、マシンのアップデートも機能しなかったりして、車がどんどん遅れをとる事態もありました。
しかしレッドブル・レーシングはそのあたりが極上レベルなため、角田選手がよい走りさえすれば、的確な戦略により安心して上位フィニッシュという結果を出すことができます。
また、その高い開発力によってシーズン途中からマシンパワーがぐんぐん上がっていく可能性もあります。それにうまくアジャストできれば、なお一層の活躍が期待できるんですね。

結果を出せばステイタスが爆上がりする
もし彼がレッドブル・レーシングで安定した活躍ができれば、彼のF1ドライバーとしてのステイタスは爆上がりします。
20人という狭き門の中でも、さらに上のヒエラルキーに属するトップドライバーとして認識されることになり、そこでついた箔は他チームからも「ツノダが欲しい!」と多数のオファーがくる状況をつくることになります。
そしてその状況は、今後長きにわたって角田選手がF1の世界に身を置くことができるという、強力なステイタスとなるわけです。
実際問題、今年のシーズン前には

来年(2026年)に角田のシートはない
と、そのキャリアの終了をさんざ言われてきました。そうなんですよ、彼の契約は今年の一年だけで、次年度以降はまったくの白紙なんです。
もちろんよい走りをすれば契約更新もありえるのですが、前述した通りレーシングブルズはあくまで新人育成のBチーム。5年のキャリアを持つ中堅ドライバーにさしかかった角田選手を、いつまでも抱えるわけにはいかないのです。
しかしながら他のチームの2026年のシートはほぼ埋まっており、ゆえにチーム移籍もひじょうに難しい状態となっています。
ですので今回のAチーム昇格でステイタスを爆上げすることで、そのままレッドブル・レーシングへの残留、最悪でも他チームからの高額オファーという世界線が見えてくるんです。
そう思うと、どのみち難しい未来が迫っているのであれば、ここで大きな賭けに出るのは考えようによってはリスクゼロの挑戦なのかもしれません。

おわりに
以上、角田選手の電撃移籍についてでした。
このニュースがどれだけすごいことなのか、なんとなくわかっていただけましたでしょうか。いずれにせよ、来週からは移籍最初のレースが待ったなしで行われます。
そして前述した通り、今回の昇格はほぼ片道切符です。彼のキャリアが未来に向けて、ここで一気に拡大するのか。それとも最大のチャンスを生かせず、そのキャリアに終止符を打つのか。二つに一つ。それくらい、彼にとっての人生の分水嶺です。
しかしそんなことは我々に言われるまでもなく、角田選手自身が一番わかっているはずです。そしてそんなリスクを度外視しても、前に進むことを彼は選んだわけです。ですので、我々は彼の決断を全力で応援するだけですね。
そしてどうか世間を震撼させるパフォーマンスを発揮して、我々を狂喜乱舞させてほしいです。ではまた。

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