第31回 キン肉マン スーパー・フェニックス

オレ流超人批評
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作品の大トリを飾るべき最終ボス。しかし目立つのはセコさ、ズルさの小悪党イメージのみ。こんな私に誰がした?
出身 オーストラリア
超人強度 1億パワー
必殺技 マッスル・リベンジャー
レイジング・オックス
不死鳥乱心波
主な戦績 キン肉マン ビッグボディ○
キン肉マン ソルジャー○
キン肉マン●

大役を果たせなかった最終ボス

 彼は『キン肉マン』という作品における最終ボスとして登場しました。しかしなから、彼がその大役をこなしきれたかというと、とてもそうは思えません。

 最終ボスたるものは、たとえ悪役といえどもスゴ味や威厳、風格といった、いわゆる人間的な深みが備わってほしいものです。

 ところが彼に対する私のイメージというのはそんなものからは程遠く、セコい・コスい・ズルいと三拍子がそろった、小細工を弄する姑息な小悪党でしかないのです。

 その小賢しさは話が進むにつれてエスカレートしていき、読者を多分にうんざりとさせてくれます。そんなこんなで私はこのフェニックスが大っ嫌いなんです。

 まあこの『オレ流超人批評』をここまで読んでいただいた方にはすでにおわかりかと思いますがね(笑)。

 ではなぜ彼にはこのような小悪党のイメージが定着してしまったのでしょうか。彼の一連の行動を考察し、その原因を探ってみたいと思います。

小悪党フェニックスへの道

その1 知性という個性が空回り

 思うに彼がそのような小悪党におさまってしまった原因のひとつとして、彼のパトロンが“知性の神”であったことがあげられるでしょう。

 頭脳を大きな個性として表現しなければならない彼は、様々な謀略を企てるのですが、残念ながらそれは深謀遠慮的なものではなく(つーか知性の神のイメージをメガネにのみ求めている素敵さからしてすでに浅はか)、あくまで小手先の小細工でした。その知性に奥深さがなく、ただの悪巧みにしかとれないんですね。

 その傾向が顕著に表れ始めたのがキン肉マンソルジャー戦あたりからで、徐々に彼の知性は戦術・チームプレイといったものから、試合場やルールをプロデュースする方向にシフトしていきます。

 つまり彼の個性が “知性 = 戦略・戦術”から “知性 = 仕掛け(罠)”にシフトしていったんですね。ストーリーが後半に進むに従いこの傾向がひどくなっていくので、見ている方もいいかげんうんざりしてしまうわけなんですね。

その2 常に己に有利なリングを用意

 彼ほど試合場のカスタマイズに心血を注いだ超人というのも珍しいでしょう。

 ソルジャーチーム戦、 キン肉マンチーム戦においては

  • 三面浮遊リング
  • 魔方陣リング
  • ジャングル・ビッグ・ジム
  • 石垣リング
  • イルミネーション・ルーレット・リング

と、すべての試合ギミックをプロデュースし、自分のチームが優位になるように仕向けています。

 このように、試合の勝敗に大きく影響する部分でしゃしゃり出てくる傲慢さがすごく不愉快なんですね。なんでお前が大会を仕切っているんだと。

 特に本戦以外で仕掛けた“飛車角の迷宮”と“血縄縛りの門”のトラップが、個人的には本当に評価が低いですね。

 闘わずして勝利を得ようとした、彼のずる賢い一面が大きくクローズアップされてしまったことに加え、ストーリーのテンポまでも悪くしてしまったという2つの面で大きくイメージがダウンしてしまいました。

 しかしこういったフェニックスの横暴を、なんのチェックもなく見逃していたハラボテ率いる大会委員にも大きな過失があるといえるでしょう。

 あそこまでやりたいようにやられては、大会委員の管理能力うんぬんというよりも、大会の運営自体をフェニックスチームに丸投げしていたのではないかという疑惑すら浮かんできてしまいます。

 実はフェニックスチームは大会委員会の下請けをしていたのではないかというのが私の推測です(笑)。じゃなきゃあんなに好き放題できるもんじゃありませんって。

その3 究極の自己中超人

 彼の性格を一言で表すならば、“自己中”が当てはまるでしょうか。自分の思い描いたストーリーを達成することに手段を選ばず、チームメイトさえそのための道具としか考えていません。

 彼は右腕であるマンモスマンに対し、ニ度もひどい発言をしています。一度目はソルジャー戦における

おまえも知性チームの一員ならバッファローマンから予言書のページを奪って死ねーっ!

であり、二度目はキン肉マン戦における

あの傷ではマンモスマンはもう使い物にはならん

です。

 このあたり彼の非情さといいましょうか、自分のことしか考えていない性格がよく表れています。しかしなんでマンモスマンがこんな男のために命を賭けて協力する気になったのかは永遠の謎ですね(笑)。

 また、彼はビビンバをいたく気に入り、王妃候補として一方的なキスを敢行しますが、スタジアムから落下して彼女の顔面が崩れてしまうと、手のひらを返したように“用なし宣言”をしています。

 これも彼の株を大いに下げる一因になりましたね。彼が物事を上辺でしか判断していないという、精神的幼稚さをも露呈する結果となり、あらためてその底の浅さを垣間見せることになりました。

その4 どんどんメッキが剥がれていく品格

 王位を継ぐべき候補者にとって、品格というものは大事だと思うんですね。

 このフェニックスもその辺は心得ていたのか、それとも知性という個性がそうさせたのか、大会初期はそれなりに紳士的な品格を醸し出していました。

父上母上が待てとおっしゃるならばいくらでも待ちます!!

みたいな(笑)。

 また、ロビンマスクとテリーマンがキン肉マンチームに駆けつけるための手助けをするなど(そのための道具にされたゴーレムマンの死体には目も当てられませんが…)、なかなかの男気を発揮しています。

キン肉マンチームを強大にしてどうする

とののしるビッグボディに対しても

敵は大きければ大きいほど倒しがいがある

とピシャリです。

 このように、その志の高さがうかがえたのですが…物語の中盤からこのメッキがボロボロと剥がれていくんですね。

 ソルジャー戦で予言の書を松明にくべたり、プリズマンを安全地帯に誘導してジャングルリングを崩壊させたり、オメガマンの死体を利用して攻撃をしたりと、やることなすことにまったくカリスマ性が感じられません。

 つまり彼は自分に余裕があるときは紳士的で懐が深く、カッコつけた態度をとるのですが、これがいざテンパるとまわりを顧みない、悪辣な手段をとるんですね。

 最終的に彼は“父上・母上”と呼んでいたはずの真弓とサユリを“ネズミ”呼ばわりして人質にとっており、この時点で彼の品格と品性というものは地に落ちてしまったといえるでしょう。

その5 結局はすべて嫉妬心から

 邪悪の神々の陰謀とはいえ、彼は王位を継ぐという大志を抱いてこの闘いに参加したはずです。

 しかし実は幼少期に体験した、キン肉スグルとの境遇の差に嫉妬心を覚え、それが大きなトラウマとなっていることを告白しています。

 このスグルに対する対抗心・嫉妬心が彼の行動の大きな原因というならば、それはあくまで私怨であって、王位継承という大志とは相反するものだといわざるを得ません。

 このあたりの行動要因からして、すでにケツの穴の小ささを表しているといえるでしょう。そのくせ基本的に彼はカッコつけマンであり、プライドが高いので、さらに手に負えないんですね。

おわりに

 以上、彼の最終ボスらしからぬ理由を分析してみましたが、どうにも悪口しかでてこないですね。リクエストしていただいた方には大変申し訳ないんですが(苦笑)。

 書けば書くほど彼の懐の浅さが露呈されてしまい、そのある種子供じみた精神的幼児性が浮き彫りになってしまうんですね。

 フェニックスチームに集まった面々も、彼が王位を継承した後にどういった世界が確立されるのか、そして彼らがフェニックス政権できちんと重用されるのか、明確なビジョンを見てとれた人は果たしていたのでしょうか?

 狡兎こうと死して走狗そうく煮らる。この格言のように、私は粛清されたと思いますけどね(苦笑)。

※今回は牛丼一筋30歳さん、plalaさん、takahashiさん、re tuさん、happy0413、キン肉マンファンクラブ会員№29292929さん、norioさん、ゼニアさんほか、たくさんの方からリクエストをいただきました。ありがとうございました。

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