第102回 ウォーズマン(Ver.2)その3

オレ流超人批評
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出会いから40年を経た今でも、私・アキラのイチ推しキャラに君臨し続けるロボ超人! なぜ彼は私をトリコにするのかを考察するシリーズの第三回目は、ポテンシャル高きファイトスタイルについて深堀りします!
出身 ソビエト連邦
超人強度

100万パワー

必殺技

スクリュードライバー
パロスペシャル

主な戦績

ティーパックマン○
ペンタゴン○
ラーメンマン○
キン肉マン●
バッファローマン●
ヘル・ミッショネルズ●
(超人師弟コンビ)
ザ・マンリキ○
ポーラマン○
オニキスマン△
ペシミマン●
チーム・コースマス○
(ヘルズベアーズ)
ノヴァ・ヘルイクスパンションズ●
(一人ヘルズベアーズ)

 数十年もの間、私の好きな超人ナンバーワンに君臨し続けるウォーズマン。そこまで私を魅了する要因とは一体何なのか。

 それを紐解いていくシリーズとして、複数回に渡り解説・考察を行っていきます。これまでのバックナンバーは以下の通りです。

 その1では私が彼にホレ込んだ経緯を、そしてその2では彼の類まれなる美しいフォルムについて、濃厚に記述させていただきました。

 そして今回は、彼のファイトスタイル考察を前後編に分け、その前編をその3として主に第一シーズンにおける彼のファイトスタイルについて迫ってみたいと思います。

 正義超人のレギュラーメンバーとして活躍する彼には、どのような戦闘特性があるのか? そしてそれは他の超人と比べて、何が違っていたのか。

 そのような点を、あらためて露わにしていきたいと思います。ではいってみましょう!

ウォーズマン3-その戦闘特性(前編)

3つの戦闘基軸

 彼のファイトスタイルの基軸は、彼のデビューシリーズである『超人オリンピック ザ・ビッグファイト』にてほぼ確立されたといえるでしょう。

 この大会において彼は

  1. 残虐ファイト
  2. 正統ファイト
  3. 演算ファイト

の3つの戦闘特性を披露しています。これが彼のファイトスタイルの基軸となっているんですね。では順を追って確認していきましょう。

1.残虐ファイト

 彼の記念すべき初ファイトは、ティーパックマン戦です。

 ここで彼は左手に装着された鉤爪であるベア・クローをさっそく披露し、相手の胸に風穴を開けるという、衝撃的なデビューを飾りました。

 しかもティーパックマンの頭を無慈悲にちぎり取るや頭の紅茶を飲み干すという、戦慄のパフォーマンスまで見せます。これにより、彼のファイトスタイルが容赦のない残虐ファイトであることが、一発で周知されたことは間違いないでしょう。

 次の試合では彼はペンタゴンのアイデンティティともいえる翼をもぎ取り、それでも屈しない彼に対してベア・クローで頭から腰まで一気に引っ掻き下ろすという、躊躇ない刺突攻撃を敢行。リング上を血の海にして勝ち名乗りを受けます。

 この段階で彼は、前大会においてブロッケンマンをキャメルクラッチで真っ二つの裂刑に処し、一躍残虐超人ナンバーワンに上り詰めたラーメンマンに肩を並べるほどのステイタスを確立したといえるでしょう。

 そしてオリンピック準決勝にて、残虐超人の頂点に君臨する両雄が激突する夢の対戦が実現。ここでもウォーズマンはラーメンマンの

  • 右腕を折る
  • 左足を折る
  • 体中に裂傷を刻む
  • 左脳をえぐる

という圧倒的な残虐ファイトを繰り広げて彼を完全KOし、読者である我々をおおいに戦慄させました。

▲まさに黒い悪魔の所業。

 やはりですね、あの残虐ファイトの王者といわれていたラーメンマンを、同じ残虐ファイトであそこまでコテンパンにしたインパクトはすさまじかったですよ。

 ですので、彼の初期ステイタスである途方もない残虐ファイトと、底知れない強さを確立したのは、この試合といっても過言ではないでしょう。そしてこの個性は、現在の彼を形作る礎となっているのです。

2.正統ファイト

 このように、残虐超人の極みともいうべきステイタスを得た彼でしたが、その直後、決勝戦の調印式上で幻の必殺技といわれる『パロ・スペシャル』を披露することで、新たな戦闘特性を手にします。

 それがテリーによって

ウォーズマンは爪だけでなく、高度なテクニックを持った超一流の超人である

と評価された“正統ファイト”のステイタスです。

 この正統派ファイトの特性は、キン肉マンとの決勝戦においてより顕著にあらわれはじめます。序盤戦においてはベア・クローを織り交ぜながらも素晴らしい身のこなしを見せ、過去の闘いとは一味違ったとてもテクニカルな攻防を繰り広げています。

 そしてベア・クローと決別して以降、それはより強く発揮され、師匠であるロビンマスクをして

ウォーズマンは…まだまだ私の知らない力を秘めている

と、格闘能力においてさらなるポテンシャルがあると言わしめ、かつ必殺の『パロ・スペシャル』が炸裂すると、スグルからは

こいつ…ベア・クローを外したほうがはるかに強い

と、その正統ファイトの実力に舌を巻かれています。

 この描写により、彼の戦闘特性とは圧倒的な格闘技術と徹底した残虐性の二軸が、最高レベルで掛け合わさったものであることがおわかりいただけるでしょう。

 そしてこの時点で彼は数いる作品キャラクターの中で、突出した実力を備えたステイタスを獲得するのです。

3.演算ファイト

 そんな突出した戦闘特性を持った彼でしたが、そこにダメ押しのように加わったのが

ファイティング・コンピューター

という、当時唯一無二の個性でした。

 超人オリンピック ザ・ビッグファイトが開催された1980~81年当時は、企業においてもコンピューターの導入が進み、家庭においてもマイコンと呼ばれたPCが、NECや富士通をはじめ各メーカーから続々とリリースされた時代。

 私も同級生の父親の部屋にあった、アップルだかPC88だかを見せてもらったことがあり、

なんかすげえなあ

と、幼心に思った記憶があります。

 そして何といっても当時は『ゲーム&ウォッチ』が大ブームで、ハンディなコンピューターにちびっ子が熱狂しており、デジタル世界が扉を開きつつある時代でした。

 そんなトレンドの最先端を個性として付与された彼は、格闘家としての完成度をさらに高めることに成功します。コンピューターという機器が我々に与える

  • データ収集
  • データ分析
  • 計算・演算
  • 状況予測
  • 行動最適化

といった演算イメージを自身に取り込むことで、彼の戦闘行動選択が

正確かつ最適である

という説得力を増し、すべてを先回りするようなファイトスタイルは

何をしても通用しない

という、対戦相手にとってはそれこそ袋小路に迷い込んだかのような感覚を生み出すことにつながりました。

▲無機質な演算で相手を追い詰める。

 そしてそのような理詰めのイメージは、

ゆえに彼は常に最大効果の攻防を選択することができる

と、その演算戦闘スタイルが穴のない優れたパフォーマンスに直結するという、強烈な印象を我々に植えつけたわけです。

 以上、彼の格闘特性である3つの基軸について考察してみました。これらが高いレベルで結合した特性こそが、ウォーズマンの戦闘の基盤なんですね。

 つまり彼は

  1. 常時最適な行動指示を
  2. 最高の格闘フィジカルで
  3. 冷酷にアウトプットできる

ことがデフォルトの超人であることがわかります。

 そしてこの3点の掛け合わせは、対戦相手にとっては悪夢の乗算であったことは間違いがなく、それは超人オリンピックでたくさんの犠牲者が生まれたことで証明されています。

 いうなれば彼は、当時チート級の強さを手にしたキャラだったともいえるのではないでしょうか。たださすがにそれでは彼だけが突出しすぎるとゆで先生も感じたのか、

彼の活動時間は30分以内

という縛り設定をあてがうことで、他のキャラとの均衡をなんとか維持した節が見受けられます。

 そしてその弱点設定のくだりを

どんな相手も30分以内で倒してきたため、コンピューターが知らないうちに30分以内に相手を倒す方法しかプログラムされていない

だからこの5分の超過はウォーズマンのコンピューターに多大な負担を与え…

と、彼の強みである優れたプログラム機能がアダとなるという展開にしたのは、とても理にかなっており、秀逸な演出だったと思います。

 ただこの秀逸な弱点により、彼はその後のキャラ人生で散々苦労することになるのですが…(泣)。

三門の必殺技

 格闘能力の根幹ポテンシャルですでにチート級の強さを手にしていた彼には、3つの基軸格闘能力それぞれに沿った必殺技をあてがわれました。それが

  1. スクリュー・ドライバー(残虐基軸)
  2. パロ・スペシャル(正統基軸)
  3. 光の矢スクリュー・ドライバー(演算基軸)

という、三門の大砲です。彼の代名詞ともいえるこれらの技によって、ウォーズマンはより心躍るファイトを展開し、かつドラマティックな物語を紡げるキャラになったといえるでしょう。

 ではそれぞれの必殺技の特徴を考察していきたいと思います。

1.スクリュー・ドライバー(残虐基軸)

 左手の甲から4本の鋭いニードル(ベア・クロー)を露出させ、自身の体を矢にして錐揉み回転しながら相手を貫くというインパクト絶大な刺突技、それが『スクリュー・ドライバー』です。まあ説明するまでもないくらい有名ですね。

 そのあまりの残酷性に恐怖したちびっ子読者も多かったのではないでしょうか。だってねえ、算数で使っていたコンパスの針が4本、自分に向かって突き刺さってくるようなものですから(苦笑)。

 この技でインパクトが絶大だったのが、やはりラーメンマン戦におけるそれでしょう。

 一瞬ゴングを盾に防御されたかと思いきや、そんなことはものともせず、自らをドリルと化して技を継続し、それを突き破ってラーメンマンに甚大なダメージを与えるという残虐性は、前大会のラーメンマンvsブロッケンマンを超えたと思う人も多かったと思います。

▲衝撃的な必殺技でした(汗)。

 しかもまるで電卓をたたいて経理業務をするかのごとく、その行為を淡々と行う彼のいわば“事務的な残酷性”は、

この超人には血も涙もないのか?

勝つためなら何でもするのか?

といったような、彼の狂気的な思考回路と勝利に対する恐るべき非情さを、骨身に染みて理解させる効果もあったと思いますね。

 そしてそれこそが、彼の“残虐基軸”における必殺技として突出した個性を彼に与えることになり、そのステイタスを盤石なものにしたことは間違いがないと思われます。

 事実、決勝で彼と対戦するスグルやセコンドの真弓は、このスクリュー・ドライバー(ベア・クロー)こそが彼の強さの根幹だと見定め、その攻略に知恵を絞ったわけです。そして読者はその論理に疑いもなく納得をしていました。

 要はそれくらい

ウォーズマン=スクリュー・ドライバー

という認識が、広く浸透していたわけです。

 作中のキャラとリアルの読者の認知がここまで一致するのですから、どれほどこのスクリュー・ドライバーという必殺技が、ウォーズマンのアイデンティティを形成する大きなピースに育っていたかがわかろうというものです。そのような意味でも、この必殺技の存在感は当時、かなり圧倒的だったと言えるのではないでしょうか。

 ただ一点、この必殺技が

凶器を主体とした必殺技

であることは、評価が分かれるところだと思います。

 というのも、凶器攻撃というのはそのさじ加減ひとつで

いうて…反則だろ、それ

凶器を使ったらなんでもありになるな~

というシラケた反応を生み出す危険性があるからです。事実、私も腕にドスを仕込んでいたデビル・マジシャンを見て

ドスって…ちょっと直接的すぎるなあ…

人間でも大ダメージを与えられるから、超人の技とは言い難いよね

と、その直球すぎる残虐ファイトに超人という特性を活かし切れていない気がして、少々シラケてしまった過去がありましたからね。

 しかしながらこのスクリュー・ドライバーは、凶器と自身の体と一体化させ、ジャンプと回転運動を加えて相手に突撃するというフィジカル面を強調したことで、単なる凶器攻撃を

超人らしいフェイバリット

に昇華させた点が素晴らしいと、個人的には高く評価しております。そしてこの

凶器×フィジカル

というアプローチはデビル・マジシャンで犯した失敗を見事に改善したとも感じており、だからこそスクリュー・ドライバー以前に登場した

  • キン肉マンの風林火山
  • ロビンマスクのタワーブリッジ
  • ラーメンマンのキャメルクラッチ

といった、フィジカルのみで表現されたフェイバリットと肩を並べるに至ったのではないかと思いますね。

2.パロ・スペシャル(正統基軸)

 もう一つ、スクリュー・ドライバーと並び称される必殺技が、彼の類まれなる格闘センスを象徴し、ファイトスタイルの“正統基軸”部分を強調した『パロ・スペシャル』です。

 おそらくですが、この技の世間における認知度は、数あるキン肉マンのフェイバリットの中でも三本の指に入ると思われます。

パロ・スペシャル? 懐かしいな!

と、キン肉マンを深く読んではいないけれど、パロ・スペシャルは知ってるなんて人、多いですからね、実際。

 ではなぜパロ・スペシャルが、こんなにも皆さんの心に残る技だったのかをあらためて考察してみましょう。私は以下のキーワードが、そのヒントだと感じています。

  1. 技名の絶妙さ
  2. 脱出不可能というロマン
  3. マネがしやすい特性

1.技名の絶妙さ

 まず第一に、技の名前が秀逸ですよね。これを見た当時のちびっ子たちがまず思ったのが

…パロって何よ?

なんですよ(笑)。だって謎じゃないですか、パロ。今までの人生で出会ったことない言葉ですからね。

 正解はパロ・スペシャル(OLAP型)をリアルで使用していたプロレスラー、ジャッキー・パロのパロだったのですが、知らんですよちびっ子。そんなの(苦笑)。

▲ジャッキー・パロなんて知らんて(苦笑)。

 でもどうやらそれが人名らしい、と気づき始めるちびっ子もいたわけです。情報収集能力に優れた猛者ちびっ子が(笑)。しかしながら、彼らが次に思うのが

…でも誰だよ、パロって?

なんですよ(笑)。このね、ちびっ子にとっての二重の謎かけが、パロという存在を超低解像度にしたおかげで、結果的に

でも…よくわからないからこそ、きっとすごい人なのだろう!

といった感じで、この必殺技の神秘性を増す効果を与えたのではないのかと推測しています(笑)。

2.脱出不可能というロマン

 パロ・スペシャルは別名“アリ地獄ホールド”ともいわれ、もがけばもがくほど技が食い込んでその深みにはまっていくという、脱出不可能な技として誌面デビューしました。

 また、試合中で炸裂したそれを見たテリーマンは

力で返そうとすると、パワーを瞬間的に吸収して自分のパワーに変えてしまう、鏡の反射のような技

と分析しており、

  • もがいても×
  • 力で対抗しても×

という逃げ道のない特性は、“脱出不可能”というこの技のイメージをさらに増幅したと思われます。

 これにちびっ子が生来持つロマンが搔き立てられたんですね。だってねえ、

脱出不可能!? それってつまり最強じゃん!

となるじゃないですか。ちびっ子は常に最強へのロマンを抱く生き物ですからね(笑)。パロ・スペシャルはまさに彼らの“最強幻想”を刺激するに十分な必殺技だったわけです。

3.マネがしやすい特性

 そして最後に、この技の認知度が高い一番の理由は実はこれなんじゃないかと思っています。とにかくマネされたんです、この技。学校で(苦笑)。

 というのも、この技は難度の高いキン肉バスターやタワーブリッジと比べて、マネのハードルが圧倒的に低かったんですよ。

 なにせおんぶの体勢から両足をフックし、腕を押し上げれば完成ですからね。受け手がかけ手の体重を支えられれば成立する技なんです。

 しかも腕の押し上げは手加減がいくらでもできるため、相手にダメージを与えることなく形だけウォーズマンに成りきることが可能でした。この安全性(笑)? もまた、パロ・スペシャルごっこが捗った要因だといえるでしょう。この

かけやすい×安全×成りきれる

という“お手軽ウォーズマン化”は、多くのちびっ子が抱いていた

マンガのキャラになりたい!

という欲求を、かなりの満足度で満たしていたのではないでしょうか。

 しかしながら、このごっこ文化の隆盛により“パロ・スペシャル禁止令”のお触れを出した学校も多数あったとか。裏を返せばそれくらいこの技が小学生の間で浸透していた証拠ですよね。

▲もはや社会問題(笑)?

 このような事象から、この必殺技は作品の中の必殺技だけにとどまらず、その枠を超えてより広い範囲でちびっ子たちの認知を得たといえるでしょう。そして数あるフェイバリットの中でも突出して心に残りやすい技となったのだと思われます。

3.光の矢スクリュー・ドライバー(演算基軸)

 そしてファイティング・コンピューターという彼の戦闘特性を存分に活かした究極の必殺技が、この『光の矢スクリュー・ドライバー』です。世間的には

ウォーズマン理論

と呼ばれ、作品を代表する戦闘理論となっていますね。

  1. 100万×2=200万
  2. 200万×2=400万
  3. 400万×3=1200万

 これですよ。説明不要なくらい有名な理論であり、もはや新たなファイトスタイルの発明といっても過言ではないと思います。

 この理論の革新的な点は、超人のパワーアップ根拠を数値的・数学的に表現することで、物語のクライマックスに劇的な演出効果を与えたことです。前回も触れましたが、私はこのくだりを見たがために、ウォーズマンという超人にのめり込むことになりました(笑)。

▲伝説の光の矢スクリュー・ドライバー

 もちろんよくよく見ると、おかしな論理ですよ? ツッコミどころもたくさんあります。

彼の100万パワーとは、ベア・クロー1つのことなのか

とかね(苦笑)。しかしそんなツッコミが枝葉末節となるくらい、このフェイバリットには怒涛の勢いと熱さがありました。

 大事なのは10倍ものパワー差がある相手バッファローマンに対し、どうすればその差を覆せるのかと、ファイティング・コンピューターたる彼が演算という己の特性を最大限に生かし、あの切羽詰まった状況下で必死になって逆転の一手を弾き出したという、命ギリギリの生き様を描いたことなんです。

 つまり“ウォーズマン理論”という計算式は、その生き様をいかにドラマチックに描写するのかということに特化した革新的な演出技法であり、そこに数式の細かい整合性や妥当性は必要ないんですよ。

 演算処理をした、予測値で対戦相手を超えた、あとは命を賭してそれを遂行する…この生き様を見せることで読者の心を震わせられたのならば、ウォーズマンという個の確立においては大成功なんです。

 そしてこの理論やフェイバリットが40年を経た令和の時代でもやんやの喝采を受けている現実は、その成功を大きく物語っているといえるのではないでしょうか。

完璧超人のプロトタイプ?

 以上のように、デビュー直後の彼は残虐・正統・演算という3つの戦闘基軸を高いレベルで保持し、かつそれぞれに属する3つの優れた必殺技を備えた、かなりハイスペックな超人であることがわかります。

 それはまさに、彼が

立ってよし、寝てよし

の、オールラウンダー超人であることを強烈に示しており、当時の彼がとても穴の少ない、高度に完成された超人であることを、読者に広く認知させたことは間違いないと思われます。

 かく言う私も、超人オリンピック終了時点での彼の実力がエース級であるとホレ込み、その気持ちが数十年経った現在でも続いているのですからね。その熱い想いについては、今批評シリーズのその1をお読みください(笑)。

 そして彼の高い完成度については、製作サイド…つまりゆで先生や編集サイドからも強調描写されている点がチラホラと散見されます。ではそれらを確認してみましょう。

世界の超人シリーズ

 まず一つ目は、コミックス8巻の余白ページにおける企画『世界の超人シリーズ』です。

 ここではブロッケンJr.、ウルフマン、ラーメンマンと、超人オリンピックを彩った超人たちをピックアップし、そのステイタスを紹介しています。その中でトリとして登場したウォーズマンの評価は、以下の通りでした。

スピード、パワー、テクニックともに、これだけ完成度の高い超人はいないであろう。残虐ファイトもラーメンマン以上といってもいいだろう。

キン肉マン8巻 183ページより引用

 これ…もしここで評価に即した彼の戦闘力レーダーチャートを図示したとしたら、各パラメーター値がMAX状態のグラフができあがっていますよね…。

 しかもそこにラーメンマン以上の残虐さを伴うというのですから、彼は並みいる超人を押しのけて、ベスト・オブ・ベストともいえる高い評価を得ているたといえるでしょう。

▲その強キャラ評価は少年の模写心を掻き立てた(笑)!

もしこのふたりが戦ったら…

 二つ目は、過去2回の超人オリンピックを振り返った『超人オリンピック総集編』における企画ページ『もしこのふたりが戦ったら…』です。

 この夢の対決を想像する企画ページにおいて、彼はブロッケンJr.とのIFバトルを描かれています。ここでの試合予想についても

ズバリいってラフアンドテクニックのウォーズマンにブロッケンJr.は勝ち目はない。しかし長期戦にもちこみスタミナのないウォーズマンをせめたてればブロッケンにも…

キン肉マン9巻 185ページより引用

と、ウォーズマンの圧倒的戦闘力の高さが強調されています。

 そしてコメント欄以外のキャプションでも

  • 技の多彩なのはロビンマスク以上
  • パロ・スペシャルがきまれば100%ウォーズマンの勝利!!
  • 残虐ファイトもウォーズマンの方が一枚も二枚も上だ!

と、彼の無双ぶりが顕著に示されており、ブロッケンファンにとってはちょっとめまいが起きそうな書かれっぷりでした(苦笑)。

 …まあ当時のブロッケンはまだまだグリーンボーイ扱いでしたから、この実力差の表記は致し方なかったかもしれませんね(汗)。でもその後の彼の成長ぶりは誰しもが認めるところですからね。

 そしてこの企画ページでさらに注目すべき点は、各超人のパラメーター評価値なんです。この企画では他にキン肉マンvsテリーマン、ロビンマスクvsラーメンマンのIFバトルも企画されており、各々ステイタスに★がついているんですよ。それをまとめたのが下の図です。

▲一人突出した超人が…!!

 ほら、見てくださいよ、この評価値を。もうね、ある公国の総帥が思わず

圧倒的じゃないか、我が軍は

とほくそ笑んでしまう(笑)くらいの評価値を誇っているんですよ、ウォーズマンは。

 これを見ても、彼の格闘能力が当時の超人の中でも群を抜いて優れており、完璧に近い超人であると制作側がオフィシャルでリリースしていると思われる部分があったことが、如実に見て取れるんですよね。

 そう考えると、当時の彼はその後登場する完璧超人のプロトタイプだったのかな、なんて思えてきます。打・投・極・残虐性・演算・感情の抑制…これらの特徴をハイレベルに組み合わせる淡々としたファイトは、まさに完璧超人の教義に近しいですからね。

 そしてこの感覚は、後日ポーラマンが彼と闘っている最中に

ポーラマン
ポーラマン

こいつの行動原理は(完璧超人の)ターボメンとまったく同じ

と批評したことで、それなりに正しかったのかなと感じました。

 つまり彼はその後登場する完璧超人・ネプチューンマンのキャラクターの基礎土台を作ったともいえ、その相手に完膚なきまでに叩きのめされたというのは、かなり皮肉を伴った痛恨の展開だったといえるかもしれません(泣)。

 では彼は自身が開発した“完璧超人”というパーソナリティを掴み切れず、ネプチューンマンの踏み台にされてしまったのかというと、けっしてそんなことはなかったと私は考えています。

 というのも、彼の心の底には計り知れない優しさと、熱い感情が存在しており、そんな彼の真のパーソナリティは、感情を抑制するという完璧超人の教義とはそもそもが大きくかけ離れていたからです。

 つまりそれこそが、彼のキャリアを完璧超人ではなく正義超人たらしめた要因であり、チームの中でもなくてはならない存在へと押し上げたのですが、それについてはまた別の考察でお話したいと思います。

▲二つの分岐を左右する熱い感情。

おわりに

 以上、ウォーズマン批評の第三回目は戦闘特性考察の前編として、第一シーズンにおける彼のファイトスタイルについて考察してみました。

 彼は人間型超人の中でも特にフィジカルに優れたトータルファイターであり、印象的な複数のフェイバリットを含め、ひじょうに完成度の高い超人であることがあらためて確認できたかと思います。

 さらには“ファイティング・コンピューター”という大きな戦闘特性が、演算ファイトという新たなファイトスタイルを確立し、彼をオンリーワンの超人に仕立て上げたといえるのではないでしょうか。

 思うにこの“数値を存分に利用したファイトスタイル”というものは、同じく数値を利用した革新的表現技法である『超人強度』との親和性が抜群であり、そんな双方の数値表現の相乗効果がもたらした珠玉のアウトプットこそが、あの『光の矢スクリュー・ドライバー』であったのだと思います。

 そう考えると、彼ほど超人強度という発明を有効活用できるキャラは、他にはいなのではないかとすら思えてきますね。

 しかしその後の彼は不本意な闘いが続き、彼の戦闘特性の価値は下落の一途をたどることになります。次回はファイトスタイル考察の後編として、第二シーズンの彼がそんなドン底からどのように這い上がってきたのか、その戦闘アップデートを詳細に考察していきたいと思います。ではまた。

※今回はサカモトさん、アツシさん、高橋さん、長野さん、戦争Loveさん、サナさん、準決勝、ネプチューンマンの末路が心配さんほか、たくさんの方からリクエストをいただきました。ありがとうございました。

コメント

  1. たけF より:

    アキラさん、こんばんは!
    いつもありがとうございます!

    ウォーズマンのその後の不遇の一因として出身国であるソ連=ロシアの、冷戦後の評価急落というのはあると思います。冷戦の最中は最新の科学を備えた、われわれの知るところも少ない、不気味な国というイメージだったのが、冷戦後は技術は旧式で、冷戦中の不気味でおそろしい国というのはこけおどしだったことがばれてしまいました。当然、ロシア製(?)のコンピュータなどは旧式で、信頼できない機械の代名詞のようになってしまってしまいました。そのせいでウォーズマンも「ロシア製のポンコツ」とまで心ない読者の罵倒を、ネットなどで受けるようになってしまった。ウォーズマン本人には気の毒ですが、現実世界の出身国のイメージが変わると作中のキャラの扱いにも影響する例だと思います。

    • アキラ アキラ より:

      たけFさん、こんにちは。

      なるほど~、当時の仮想敵国環境が影響していると…でも80年前半はたしかに不気味な感じはありましたね。
      そのへんが彼の不遇さの一要素というのは、おもしろい考察だと思います。

  2. アトール より:

    アキラさんこんにちは

    パロスペシャルごっこ、結構問題になってたらしいですね。
    てゆうか単行本に丁寧にやり方が載ってるのも拍車をかけた気がします。確か隅っこの方に小さく「パロスペシャルごっこは危ないのでマネしないように」なんて書いてありましたが当時のウォーズマンになりたい子供達には焼け石に水ですよね…(苦笑)
    あと超人の能力値ですがロビンの技1はありえないでしょって思いますね(笑)
    テリーもジャイアントキラーなのにパワー1ってどうゆう事だよってツッコミたくなっちゃいますね(笑)

    • アキラ アキラ より:

      アトールさん、こんにちは。

      私の小学校ではパロスペシャル禁止令は出なかったんですけど、友達とよくマネしました(笑)。そうそう、技解説の隅っこに注意書きがありましたね。あれ、ゆで先生の本意でありながらも、ギャグとしても機能していると感じています(笑)。
      ★評価はいろいろと?がありますね(笑)。

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