第101回 ウォーズマン(Ver.2)その2

オレ流超人批評
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出会いから40年を経た今でも、私・アキラのイチ推しキャラに君臨し続けるロボ超人! なぜ彼は私をトリコにするのかを考察するシリーズの第二回目は、イカしすぎている彼のフォルムについて迫ります!
出身 ソビエト連邦
超人強度

100万パワー

必殺技

スクリュードライバー
パロスペシャル

主な戦績

ティーパックマン○
ペンタゴン○
ラーメンマン○
キン肉マン●
バッファローマン●
ヘル・ミッショネルズ●
(超人師弟コンビ)
ザ・マンリキ○
ポーラマン○
オニキスマン△
ペシミマン●
チーム・コースマス○
(ヘルズベアーズ)
ノヴァ・ヘルイクスパンションズ●
(一人ヘルズベアーズ)

 数十年もの間、私の好きな超人ナンバーワンに君臨し続けるウォーズマン。そこまで私を魅了する要因とは一体何なのか。

 それを紐解いていくシリーズその1では、私とウォーズマンとの出会い、そして“私が彼にホレるまで”という思い出をからめて、彼が正義超人の最強エースであったことを力説させていただきました。

 そんな彼の最強エースっぷりにすっかりとハートを射抜かれた私(笑)でしたが、そうなった要因のひとつに、彼のグッドルッキングがあったことは間違いありません。

 ですので今回はウォーズマン考察その2として、彼のフォルムがいかにカッコいいかについて考察していきたいと思います。

現代社会においてルッキズムなど!

という反論も聞こえてきそうですが、やっぱり大事ですよ、ルックス。めちゃくちゃ(苦笑)。だってどんなに最強エースの働きをしたとしても、その外見がカニベースだったら射抜かれませんて、ハート(笑)。

 というわけで、最近ありがちなルッキズムへの反論は完全に無視して、彼のグッドルッキングについて深~く語っていきたいと思います。ではいってみましょう!

ウォーズマン2-その造形美考

無駄を削ぎ落したデザイン-洗練の美学

 私が『キン肉マン』という作品に触れた瞬間、

カッコいい!!

と脊髄反射した超人が二人います。それがロビンマスクとウォーズマンでした。

 ロビンマスクは西洋甲冑をモチーフとした、鋭角でキレのあるシャープな鉄仮面に有無を言わさぬカッコよさを感じましたね。

 また身につけた鎧や手甲、そしてベルトといった装飾品もカッコよく、頭の先からつま先まで、一貫してヒーロー然としたフォルムを備えていたと思います。

 そのフォルム特性は複数の幾何学図形を絡めたデザイン性にあり、言うなれば

足し算のデザイン

で形成された超人だといえるでしょうか。

 そして“足し算のデザイン”とは、組み合わせから発生する凹凸や幾何学的パターンに美しさを見出すものであり、どちらかというと加工的で人工的なデザインだといえます。

 これを料理で例えるならば、下ごしらえに時間をかけ、様々な調味料と繊細な調理技術を駆使した、フランス料理のような一品といえるかもしれません。

 それに対してウォーズマンは、頭部のヘルメットを筆頭にショルダーガードなど曲線を重視したシンプルなパーツで形成されており、ロビンのような装飾品もほとんど身に着けていません。

 しかしながらそのシンプルなパーツは、同じく曲線を描く人体との見事な融和がなされており、そこに顎と眼のスリットといった数少ない直線がアクセントとして付加されることで、柔らかさの中にピリッと締まった、シンプルなカッコよさを醸し出しています。

 つまりそのフォルムはロビンとは対照的な無駄を削ぎ落したデザイン性であり、それは足し算ではなく

引き算のデザイン

だといえそうです。

 それはある意味図形としての素材を極限にまで活かしたシンプル美を追求したものであり、限りなくナチュラルテイストなデザインだともいえます。

 これもまた料理で例えるならば、食材の産地において鮮度を保ったまま、塩のみで調理されたような一品といえるのではないでしょうか。 

▲師弟でも両極端?

 このように、ロビンマスクとウォーズマンはタイプの違う対照的なデザイン性を持っていながらも、それぞれがその良さを存分に発揮した好例であるがゆえに、私のセンサーにクリティカルヒットしたわけですね。

 そしてその突出したフォルムを持つ二人のうち、私がより好意を持ったのがウォーズマンでした。その理由は彼の持つ

シンプルな美

という特徴を、ちびっ子ながら本能で推したからではないかと思われます。

 とはいえこれはあくまで私の好みであって、“二人のどちらがカッコいいか”という問いについての明確な答えは出せません。何をもってカッコいいか、センスがあるか、という尺度は人それぞれなので、なかなか定義づけることは難しいからです。

 ただ一ついえるのは、シンプルであることはデザインとしての質が高い、という事実です。その昔、レオナルド・ダ・ヴィンチが

ダ・ヴィンチ
ダ・ヴィンチ

シンプルである事は究極の洗練だ

と語ったことでもわかる通り、デザインを生業にしている方々にとってそれは通説であるらしいんですね。

 となると、無駄を削ぎ落としながらシンプルなフォルムを形成するウォーズマンは、客観的な視点においても、洗練されたデザインを持つ超人だといえそうです。

 そしてその“洗練”とは、彼が少ないラインで可能な限りのカッコよさを追求していくという美学につながるのです。

 ですので彼がそのルックスで多くの読者を魅了している理由の根底には、そのような美学があることが大きいのではないのかな、なんて思いますね。

洗練の美学を考察する

 では“洗練の美学”を伴った彼のフォルムデザインについて、もう少し深堀りしていきましょう。

 私は人々を惹きつける彼のフォルムの一番の魅力は、“洗練の美学”から得られた形状から醸し出される

造形的色気

にあると感じています。

 そしてその色気を形成するポイントは

  • 装身具の流線形アウトライン
  • ボディの肉感的アウトライン

にあると思っており、その二つのポイントが見事に融合することで生み出された究極のアウトプットこそが彼・ウォーズマンだと思うのです。では一つずつ見ていきましょう。

装身具の流線形アウトライン

 ウォーズマンは“洗練の美学”において、その装身具に曲線を多く採用したため、自然と彼のアウトラインは卵型というか、いわゆる流線形を伴うフォルムとなりました。

 特に頭のヘルメットや、両肩のボーリング玉のようなショルダーアーマーがほぼ正円を描いているため、そのイメージに拍車がかかっています。

 個人的にはこの頭から右肩、左肩にかけて流れる正円ラインが、彼の造形美を語る上でとても評価が高いです。というのも、これらのパーツには

  1. 混じりっ気のない純度の高い曲線である
  2. 表面に無駄な絵柄パターンを入れず漆黒である
  3. 光沢のみを表面のデザインとしている

といったコンセプトがあり、そのコンセプトがいちいち“洗練の美学”に基づいているからです。

▲シンプルな正円ラインが多いです。

 これ、結果のアウトプットだけを見れば

誰でも簡単に思いつきそうなシンプルなフォルムだ

といわれちゃいそうなんですけど、いやいやいや、それはとんでもございませんよって話で。

 人間というものは、スーッと引いた曲線だけでデザインを終わらせることなんて、なかなかできるもんじゃないです。絶対に物足りなくて、あれこれ変化や装飾をつけたがるもんなんですよ。

 正円よりも動きのある円弧を、なめらかな線にはどこかで鋭角な起伏を。そして柄のない面には、ごちゃごちゃと模様を描きたがる生き物なのです(苦笑)。つまりこれこそが“足し算のデザイン”の思考であり、人間の本能なんですよ。

 しかしウォーズマンはそんな迫りくるデザインの誘惑(笑)を、一切排除しているわけです。純度の高い曲線をそのまま保つ。表面を漆黒一択にする。そしてそれを変にいじらない。

 その様はあらゆる誘惑や煩悩を排除し、悟りを開いた仏陀のようなデザイン思考でもあるといえ、このようなデザイン的解脱をしないと、彼の“引き算のデザイン”、そして“洗練の美学”には到底たどり着かないのですよ。

 そしてこのデザイン的解脱によってもたらされた、純度の高い曲線や漆黒に射し込んだ光の光沢で艶やかに描かれる彼の装身具は、そのアウトラインをより流麗たらしめ、かつそこに未来的な疾走感とグロッシーな色気を生み出したといえるでしょう。

▲余計な手を加えないというデザイン的解脱(笑)? が必要です。

ボディの肉感的アウトライン

 彼はそんなシンプルな装身具に加え、ナチュラルな肉体の部分も多い超人です。この肉体部分もまた曲線が多いため、その装身具と合わせて彼の流線形イメージは、より強固なものとなりました。つまり彼は曲線×曲線で構成されている、言うなれば“全身流線形超人”なんですよ。

 ではそんな彼の、美しいボディ・アウトラインを実況してみましょう。ぜひとも皆さん、頭の中でペンを走らせてみてくださいね。

 スタートは頭部から。つるっとしたそれから流れる曲線は、首筋を通って肩のなめらかな曲線に続き、最低限の装身具しか纏っていない彼の鍛えこまれた肉体美を、上腕、前腕、脇、腰と、シンプルにトレースしています。

 そのラインは結果的に肉体の美しさを強調するボディ・コンシャスなラインとなり、それは肉体の中でも美しき曲線を描く臀部、つまりレスラーパンツに到達。その引き締まった弾性ラインは、一旦美しさのピークを迎えます。

 そして臀部から下半身に侵入したラインはモリモリとした大腿部を通過し、凹凸の少ないシンプルなレスリングシューズの外郭を迷いなくトレース。

 そのまま両足を逸脱することなく通過して上半身に戻り、再び腰、脇、前腕、上腕、そして滑らかな肩口を通って艶やかな頭頂部に回帰するのです。

 どうですか皆さん。頭の中で彼の美しきアウトラインの一筆書き、描けましたか?

 そして気づくはずです。彼のアウトラインが鋭角な部分を可能な限り排除し、多くの曲線で滑らかに形成されたものであることに。

 それはまるでバラエティ豊かなRを持つコーナーでつながれたサーキットのようでもあり、私としてはもうここでF1を開催してもいいと思っているくらいです(笑)。

▲ニコライGPの魅惑的コース図(笑)。

 また、このサーキット(笑)の内部には、上半身は鍛えこまれた大胸筋、腹直筋、そして前鋸筋と腹斜筋が刻まれ、下半身は大腿部を中心にカモシカのような弾性を感じさせる大腿直筋が描かれています。

 そこには間違いなくルネッサンス期のダビデ像のごとき肉体美が存在しており、彼の浅黒い肌がその肉体美に光沢というアクセントをつけることで、漆黒の装身具同様、様々な角度で彼を美しく演出しているといえるでしょう。

 そして流れるような外郭と光沢を伴う肉体美の融合は、彼のボディをより美しく表現し、肉感的で色気を伴うものにしていると思います。

彼の造形美を一言で表現する

 このように、彼は装身具と肉体美の二つの流麗なラインが見事に融合したフォルムをしており、そこにボディ・コンシャスさと艶やかな肉感的色気を伴った、完全なる造形美を誇る超人であることがわかりました。

 そして40年という歳月をかけて洗練を積み上げた昨今の彼は、作品上で見せるその一挙手一投足がすべて鑑賞に値する一枚絵として成立するほどに、そのフォルムを美しく磨き上げたのです。

 …とまあ、彼のカッコよさと色気をごちゃごちゃと言葉を尽くして書いてきましたが、ここいらでそのまとめとして、彼のよさを長嶋さんばりに直感的・端的に表現してみましょうか。

 彼のフォルムを端的にキーワード化するならば

ツルン×モリッ×キュッ×テカッ

でしょうか(笑)。そしてこの掛け算が導き出した解は…

プリプリ

となります(笑)。そうなんです。彼はあの伝説の悪魔超人・プリプリマンをも凌駕するプリ感をもつ、プリプリ超人なんですよ。

何だそりゃっ!

 おっと、そんなツッコミが方々から聞こえてきそうですね(苦笑)。でも…実際、プリプリしてません? 彼。そして私の持つこの感覚、わかっていただける方はいると思うんだけどな~。

▲くろざとうさんのウォーズマンはプリ感がすごい!

 いやあ真面目な話、彼のプリ感って、彼の造形美を語る上で大事なことだと思うんですよ。というのも、彼は根底にそのプリ感を常備しているがために、常にみずみずしく、弾力性豊かな躍動感を表現できると思うからです。

 それはただでさえ洗練されたアウトラインを持つ彼に、溌溂とした動きのイメージを掛け合わせることにつながり、彼を幅広い構図で洗練と色気を提供できる超人に仕立て上げているのです。

 つまりはそれこそが

どんなポーズでも鑑賞に値する一枚絵となり得る超人!

という、我々の心を常に奪い続ける、彼のフォルムの神々しさなんですね。

 そして彼以外にこれができている超人を、私は数えるほどしか知りません。

相反するオプション

 このように、すべてのポーズがサマになるという完成度の高いフォルムを持つ彼ですが、恐ろしいことに彼の洗練は、これで終わりではなかったんですよ。

 なんとですね、実は彼はそのプリプリした外観とは正反対の、NOTプリプリ(笑)な裏の部分を隠し持っていたんですね。それが

  1. ベアクロー
  2. 裏に隠れた複雑なメカ

なんです。そしてこの2点が、彼の外観をさらに魅力的にしているとんでもなく強力なオプションだったんですよ。では一つずつ解説していきましょう。

ベアクロー

 ベアクローは彼の代名詞たる武器であり、ウォーズマンというキャラを確立させるための最重要パーツであることを否定する方はいないと思われます。

 ただこの象徴的パーツはニードルの集合体という、鋭角を乗算したようなギザギザのデザインをしています。つまりツルッとした流線形のウォーズマンのフォルムとは、アウトラインの面で相反しているパーツでもあるんですよね。

 ゆえにこの組み合わせはせっかくまとまっている造形に対して余計な手を加えているともいえ、デザインの統一感という点においてはマイナスでしかありません。

 しかし同時にそれは異質な一か所を集中して目立たせる効果があり、デザイン用語でいうところの“アクセント”となりました。つまり造形における“差し色”とでも言うべき役割を、多分に果たす結果となったわけです。

▲曲線の中に突然現れる鋭角ブロック。

 これにより曲線の中に突如登場した一点の鋭角ブロックは、その先端が通常よりもエッジの効いたニードルとして強調される結果となり、読者の視点誘導を含め、彼の攻撃特性をより強固に浮き上がらせることになりました。

 そしてそれは、『スクリュー・ドライバー』という刺突技をフェイバリットとしている彼にとって、技の威力、特に貫通力の説得力を増す上での大きな演出効果となったわけです。

 もう一つ、このベアクローという異分子の素晴らしい点が、

格納(着脱)式である

という点なんですよ。

 この特性により、彼は通常のフォルムにおいて美しい卵のようなラインを担保されているんです。つまり鋭角なギザギザのラインを恒常化させないという、とんでもない知恵をそこに投入しているんですね。

 そしてここぞというときにはそれを露出し、流線形の中の異分子として、その鋭利さを強調する。その結果それが彼のフェイバリットとして、効果的な印象を読者に与える。

 この2WAY仕様はひじょうに上手くできた仕組みだと、あらためて舌を巻いている次第です。

裏に隠れた複雑なメカ

 格納式という画期的なトランスフォームで、無駄を削ぎ落した洗練の美を維持しつつ、ワンポイントの変化を与えたベアクロー。

 この“裏に隠した鋭角”により、彼の流線形にはさらなる付加価値がついたのですが、それと同じ路線ながらも別角度から付加価値をつけたのが、仮面に隠れた彼の素顔です。 

 彼の素顔が機械と筋組織が融合した、とても複雑で衝撃的なデザインであることは有名ですが、これもいわばベアクロー同様、シンプルなフォルムの裏に隠された“複雑さ”なんですよね。

 つまりデザインの裏側において、表と相反するギャップを備えることで、表のつるっとしたシンプルなフォルムがより際立つという心理的効果を与えていると思うんです。

 この“隠れた複雑さ”のすごいところは、シンプルさと複雑さを同時に表現して視覚的効果を高めるベアクロー的表現とは違い、

ツルッとしていても、裏側は複雑なんだよな…

という“見えない視覚効果”を読者に与えた点だと思います。

▲シンプルの裏に潜む複雑さ。

 これを読者の脳裏に埋め込んだことで、視覚的にはレギュラーなウォーズマンなのに、読者が勝手にそれを裏の複雑さと潜在意識の中で比較し、彼のシンプルなフォルムの印象を強めてくれるんですよ。

 この潜在意識すら利用した“見えない視覚効果”というテクニックは、さすがのゆで先生も意図して行ったわけではないと思いますが、結果的に大きな効果として機能していると思いますね。

 以上の2点が、彼の外観をさらに魅力的にしているとんでもなく強力なオプションの考察でした。

 この2点を踏まえて彼のフォルム特性をあらためて考えると、彼はsimple(簡素)なフォルムを極限まで追求しつつも、その裏に正反対であるcomplex(複雑)なフォルムを備えることで、その造形美を洗練させた超人であるともいえるでしょう。

 そしてそこに彼のフォルムにおけるスペシャリティをヒシヒシと感じます。

 また、complex(複雑)という彼の隠れたデザイン要素は、complex(劣等感)に置きかえることもでき、これもまたウォーズマンのキャラを見事に言い当てているような気がして、自分で文章を書いていながらも、少々驚愕しております(笑)。

黄金比でみるウォーズマン

 さあ、ここまでこれでもかと言わんばかりにウォーズマンのフォルムのカッコよさについて語ってきたのですが、やはり好きが高じて贔屓目な考察になっている可能性は否めません(苦笑)。

 ですのでそれを払拭すべく、今度は一般的なデザイン論の観点から、客観的に彼の造形の素晴らしさを証明したいと思います。

 それを行う上で注目したのが

デザインの黄金比

という概念です。黄金比とは

1:1.618

の比率のことで、これは物事のバランスと調和を最適化し、視覚的魅力を引き出す比率だと言われています。

 実際の話、古代ギリシャから自然、美術、建築、デザインなどの分野で幅広く使われており、現代でも企業のロゴやWebサイトのデザインで頻繁に使用されているそうです。そう言えば古代ギリシャ出身の彼も

ケケッ、有名だぜ

と語っていたような気がします(ウソ)。

 そしてそれをデザインで使うには、まず

  1. 黄金長方形
  2. 黄金螺旋

といった黄金比を使った図形を描き(下図)、

▲黄金長方形と黄金螺旋。

それに沿って様々な要素を配置していきます。そうすることで、洗練されたデザインを作れるそうです。ちなみにこの比率を使った、世界的に有名な芸術作品がこれ↓です。

▲たしかに当てはまっています。

 どうですか? 見事に黄金比を利用していることがわかりますね。これをですね、試しにウォーズマンにも当てはめてみたんですよ。すると…

このように、見事に黄金比に沿っているじゃありませんか! びっくりですよ、もう。あまりにも出来すぎていて、正直背筋が凍りました(笑)。

 しかしながらこれによって、彼のフォルムがデザイン論の視点からみても優れていると、客観的に証明されたといえるのではないでしょうか。

 ですのでもう贔屓だろうとなんだろうと私は言います。

さすが俺たちのウォーズマン!

と。反論は受け付けません(笑)。

中井先生とウォーズマン

 では40年彼を描き続けている中井先生は、ウォーズマンを通じてどのように“洗練の美学”を追求してきたのでしょうか。

 ウォーズマンは、もともとは“デビルサタン”という読者投稿の超人でした。

▲ウォーズマンの原点・デビルサタンです。

 このように現在のウォーズマンの源流を感じることはできますが、その絵はちびっ子らしさにあふれており、失礼ながらそこに前述したような“洗練の美学”を見ることはできません。

 つまりウォーズマンの魅力である“洗練の美学”というテーマは、中井先生がこのデビルサタンをリファインした瞬間から始まったといえるでしょう。

 そしてそれは先生ご自身が己に課したごうとなります(苦笑)。というのも、“洗練の美学”を追求するということは、中井先生が長年をかけてウォーズマンのアウトプットに試行錯誤する、ということと同義だからです。

 もちろんそれについてはウォーズマンに限らず、どの超人に対しても同じだとは思います。ですが、彼については特にその試行錯誤に神経を尖らせたのではないのかな、と勝手に想像しています。

 なぜかというと、彼はシンプルなパーツで形成されているがゆえに、その配置バランスがとても難しい超人だと思うからです。頭部部分を例に挙げれば

  • 頭部曲線の緩急
  • 仮面フレームの形状
  • 視界スリットの角度や上下配置
  • 視界スリットの凹凸表現
  • ヘルメットと仮面の光沢

といったポイントがあり、シンプルな形状ゆえにひとたびそのバランスを逸すれば、そのアウトプットはひじょうに歪んだものとなってしまうのです。

 さらに彼にはそれを補う追加パーツがほぼないため、失敗したアウトプットを覆い隠す装飾が施せません。要はお化粧をして見てくれを誤魔化すことができない超人なんですよ、彼は。

 それだけに彼を描くということは、中井先生にとって己の技量がダイレクトに現れてしまうリスクが伴うと思われます。

 そのかわりこれらがとてもバランスよく組み合わさると、そのフォルムにはまさに洗練された美しさが姿を現します。そしてその美しさはどんな装飾をも上回っていると、個人的には感じますね。

 そう思うと、彼はまるで化粧をせずにすっぴんで勝負している女性のようでもあり、

その心意気や、よしっ!

といったような賞賛の気持ちすら覚えます(笑)。

 そしてそのすっぴんを美しく、かつカッコいいと思わせてくれる彼は、根源的な造形美を備えた超人だといえるでしょう。

 そんなリスクを伴うシビアな彼のアウトプットに、中井先生は長年をかけて

あ~でもない、こ~でもない

と様々な試行錯誤を繰り返し、時代時代のウォーズマンを形作ってきたわけです。

 そんな試行錯誤の一つの到達点が、読切作品『ウォーズマンビギンズ 仮面の告白!』におけるウォーズマンだと、個人的には感じています。あのウォーズマンには、今まで私が書いてきた彼の造形美に対する賞賛が、すべて誌面上に表れていますからね。

 もちろん中井先生の彼に対する洗練という作業はこれで終わりではなく、今後も果てなく続いていくでしょう。そしてそれがわかっているからこそ、彼を推すべき価値がそこにはあるのだと思います。

おわりに

 以上、ウォーズマン批評の第二回目は、彼のフォルムがいかにカッコいいかについての考察でした。曲線主体のシンプルなパーツの集合体で、究極の美と色気を実現した点が、私の心に強く突き刺さったといえるでしょうか。

 そしてその造形美については、いまだ中井先生が

まだまだウォーズマンはカッコよくできるはず!

と、その見せ方を追求し洗練を続けている様子が、現在進行形の連載においてもありありと見えてきます。

 このあたりの中井先生の気概もまたウォーズマンを愛する一読者としては心強く、彼のその先の洗練に立ち会えるという幸運に感謝することしきりです。

 そしてその洗練されたフォルムに彼の魅力的なパーソナリティが掛け合わされ、今後もキャラクターとして無類の魅力を我々に届けてくれることを期待したいですね。

 次回はそんなグッドルッキングな彼の、戦闘特性について深く考察してみたいと思います。お楽しみに。ではまた。

※今回はサカモトさん、アツシさん、高橋さん、長野さん、戦争Loveさん、サナさん、準決勝、ネプチューンマンの末路が心配さんほか、たくさんの方からリクエストをいただきました。ありがとうございました。

特別付録:ウォーズマン・フォルムクロニクル

 今回ウォーズマンの洗練されたフォルムの魅力を補完するために、彼のフォルムがいかにカッコよく進化していったかのクロニクル動画を作成しました。

 彼の魅力を余すことなくお伝えできれば嬉しいです。ぜひご覧ください。

コメント

  1. アトール より:

    アキラさんこんにちは

    今回も楽しく読ませていただきました。
    ウォーズマンの無駄を削ぎ落としシンプル美を追求ってなんだか千利休の「わびさび」に通づるものがありますね。それか海原雄山の「至高のメニュー」にも近いですね。
    そしてアウトライン論はフィギュアのレビューを読んでいるような感じになりました(笑)よくぞここまで徹底的に観察しましたね!感服しました。
    黄金比に関しては最初「アキラさん、ウォーズマン好きすぎて暴走しちゃったよ(笑)」なんて思ったんですが(すみません…汗)まさか本当にピッタリ当てはまっていたのにはマジで驚きました!?パルテノンもビックリしてるんじゃないでしょうか?(笑)
    黄金比を見て自分が思ったのは「マリキータマン、ペンタゴン、キャノンボーラー、ローデスウールマンの角なんかも当てはまりそう!」なんて思っちゃいました(笑)特に前者の2人は最初に出た「わびさび超人」にも当てはまるので行けそうじゃないですか?(笑)
    ただ素顔に関しては子供の頃、ホントに恐怖でした…1人で家にいて薄暗い日に単行本読んでたんですよ。そしてあの素顔を見た時は怖かったですね。夢にまで出てきて数ヶ月そのページめくれませんでした…(笑)確か試合前に髭を剃っていたので普通の超人が出てくると思ったらあの素顔ですからね…(苦笑)

    長文になってしまいすみません…

    • アキラ アキラ より:

      アトールさん、こんにちは。

      わびさびですか…たしかに通ずるものはありますね。千利休への例えが秀逸です。
      黄金比は冷やかし程度に試してみたのですが、しょっぱなのイラストでいきなり合致したので恐ろしくなり、次から次へと試してしまいました。多少強引かな? という当てはめもあるのですが、総じて当てはまっており、本当にびっくりしましたよ。

  2. MKT より:

    管理人さん一押しのウォーズマンですが、その対戦成績はあまり芳しくありません。そして対戦内容も。
    かませ犬的に犠牲者第一号になったり闇討ちされたり、パワーアップして勝ってもその次には負けていたりと。
    作者からしてみたらどんなふうにでも料理できる都合のいい存在なのかな、と思ったりもします。
    あるいは扱いが難しいのでいまだに試行錯誤の中にあるキャラなのか。
    引き算の美学、というシンプルなスタイルは逆に扱いが難しいとも言うし。
    などと思ってしまいました。

    • アキラ アキラ より:

      彼は戦績や新参キャラの比較対象にされることが多く、その点ではかなり不遇ですよね。
      ですのでその5の考察では、なぜそんな現象が起きるのかを考察していこうと思っています。

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