刻の神から引き継いだ力で自らの時間を加速させ回復するドミネーターたち。長期戦は不利と思ったゼブラたちは、マリポーサの助言に従い一撃必殺ツープラトン攻撃に打って出る覚悟を決めた!!
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シンクロする気持ち
エル・ドミノスの“超回復”能力発動で、その対策方針について緊急ミーティングしたチーム・マリポーサ。監督の指示は

持久戦は得策ではない。
ならば狙うは一撃必殺!

強力なツープラトンだ。
やれるか?
でした。それについて

マリポーサの言うとおりだ。
ここからは威力優先攻撃に切り替える

相手に休息を与えないためにもツープラトン重視というわけか
と、監督の指示に完全納得したエグゾセミサイルズは、ここでも流れるような意思疎通を披露。そして

難しい注文だがお前とオレなら…

ああ、やれる!
と、この難題にもまるで臆する様子を見せません。
とにかく二人のテンポがいいです。前回は“相棒”というワードのラリーを堪能しましたが、今回は意思疎通のテンポが心地よいですね。その姿は小学校の卒業式でよく行われる“呼びかけ”のよう。

みんなで力の限り走った…

運動会!

将来の夢を語り合った…

キャンプファイヤー!
みたいな(笑)。あれ? 私だけ(笑)?

いずれにせよ、二人の口から発せられる言葉はまるでシナリオがあるかのように流暢です。しかしそこにシナリオはありません。彼ら自身の、生の言葉なのです。
裏を返せばシナリオの存在を疑うくらい、彼らの気持ちはシンクロしており、目的に向かうベクトルが一致しているといえるでしょう。
エグゾミクスの三本の矢、発動⁉
そんな気持ちのいいシンクロは、対戦相手にとっては不快な同調に他なりません。

エ~イ、何を

ゴチャゴチャ言ってやがるーっ!
とその雰囲気をぶち壊すべく、猛然と襲い掛かるエル・ドミノス。ちょっとこの動きは、町のチンピラ感が出ちゃったかな(苦笑)?
しかしエグゾセミサイルズは

飛ぶぞ、ゼブラ!

おおっ
と息の合った開脚ジャンプでそれをかわし、両者ともに相手の肩口へトマホーク・チョップ。そして

超回復をさせぬ間に二の矢だ!

キャミ!
と、レッグラリアートのサンドイッチ技『エグゾセツインレッグラリアット』を、エル・ドミノスの首に叩き込みます。
おお~、この技、ちょっと『クロス・ボンバー』っぽいなあ! 見せ方や演出の仕方によっては、フェイバリット・ツープラトンでも通用するし、育てがいのある連携だと思いますね。
しかしまだまだエグゾセミサイルズのツープラトン波状攻撃はおさまらず、

三の

矢!
が発動。エル・ドミノスをサイドスープレックスでぶつけちゃおうとする連携です。
第1の矢:W.Tチョップ(大胆な金融政策)
第2の矢:T.Lラリアット(機動的な財政政策)
第3の矢:W.Sスープレックス(民間投資を喚起する成長戦略)
このアベノミクス経済ならぬエグゾミクス攻撃(笑)で、日本経済…じゃなくて、タッグチームとしての成長をさらに高めようとするエグゾセミサイルズ。来るべき総選挙に向けて

チームワークを、取り戻す!
と、マイク片手に選挙カーから熱弁をふるう姿が見えてきそうです(笑)。


しかしエル・ドミノスもいつまでも相手にやられっぱなしではなく、サイドスープレックスを順逆自在の術よろしく攻守逆転し、逆にゼブ&マリキをサイドスープレックスで激突させます。
なんとエグゾミクス、第3の矢で失速。成長戦略に黄色信号がともります(苦笑)。う~ん、Wサイドスープレックスでは、民間投資を喚起できなかったか。

投資するよりまだ内部留保だね
って経営者の皆さん、なかなかお財布の紐が堅い(苦笑)。私なんてこのエグゾセミサイルズのイケイケ相場を見て、先ほど設備投資(=さらなる応援)を決めたばかりなのですが(笑)。
新・技巧コンビ
そんな私の設備投資? に応えるべく立ち上がるゼブ&マリキ。

まだまだこんなもんで…

やられるオレたちではない!
と、マリキータマンはゼブラを馬飛びすることで推進力を増し、反転して背面アタック。

またテントウムシダマシか?
同じ手はくわぬわっ!
と警戒するエル・カイトに対し

オレも技は多彩なほうでな
と、さらりとイケてる断り(笑)を入れた後、後翅を使った『ウイングラッピングシャット』で彼を捕獲して落下。
一方、相棒のゼブラの方は

お前はオレが逃がしはしないーっ
と、ドミネーターを変形のゴリースペシャルで背負います。
う~むこのムーブ、技巧に突出した二人っぽいですね。マリキの

オレも技は多彩なほうでな
という、ナルシスト的発言についても

いや、たしかにその通りだよね
と否定はできないし、ゼブラがドミネーターを捕らえる技として選択したのが、ややこしいゴリースペシャルという点も

さすがは技巧の神。
らしいね!
と、ニヤリとしてしまうチョイスです。
これを見るに、二人のタッグチーム名はエグゾセミサイルズの他に、“技巧コンビ”というチーム名を授けてもいいような気がします…え? それはできない? なぜに?

“技巧コンビ”はオレたちがすでに使っているからだ~っ!
え? キミたちって“ビッグボンバーズ”じゃないの?

エントリー時のコンビ名は“技巧コンビ”なんだよっ!
キン肉大王もそう呼んでたでしょ!
ああ~、本当だ…でも…どう考えてもエグゾセの方が“技巧コンビ”なんだよなあ(苦笑)。仕方ない、彼らは“新・技巧コンビ”と呼ばせてもらうか…なにやら新・加勢大周みたいだけど…え? 知らない(笑)?
ちょっと話がズレましたが、新・技巧コンビは自分たちのテクニシャンぶりを見事に演出したうえで、双方が捕らえた相手の頭部を上下から激しく激突させる強烈なツープラトン『ヘルズベル・リンギング』を披露。
その形はヘル・ミッショネルズの『磁気嵐クラッシュ』を彷彿とさせますね。事実上、2000万パワーズがこれでKOされたことを考えると、この地獄の鐘の音でフィニッシュしてもいいくらいです。
躍動!マリポジャパン!
しかしここで時間超人コンビは、彼らの強みである“超回復”能力でジュゴジュゴとすぐに再生を試みます。これでは埒が明かないと思いきや、

いや…ゼブラ、今ここだ!

回復に力を使っているヤツらは無防備そのもの。
今が狙い目かもしれんぞ!
と、われらがマリポ監督がマットを叩き、エグゾセミサイルズが勝機を逃さないように的確な指示出しです。その姿はまさにコート脇で選手を叱咤激励する監督そのもの。

監督の指示に納得したゼブラは

マリキータ聞こえたか。
そこから大技を狙える位置にいるのはお前だ。
行けーーーっ!
と、マリキータマンを促しつつ、それを阻止しようとするドミネーターを

命にかえてもオレはお前を行かせーん!
と、またもや難解なジャベ(複合極技)で絡めとり足止め。
これで完全フリーとなったマリキータマンは、上空でエル・カイトの四肢を次々とクラッチし、作品史上、最大級の恥ずかし固めである(笑)『マリキータデッドリーライド』を炸裂! 次回に続く、です。
いや~最後の流れ、本当にサッカー日本代表みたいでした。まさにマリポジャパン(笑)!
マリポ監督の的確かつ熱い指令で、チームリーダーのゼブラが体を張って相手ディフェンダーを引き付け、フリーとなった点取り屋のテントウムシが必殺のシュートで確実に得点をゲット!
この試合はゼブ&マリキのタッグでもあるんですけど、実はマリポーサを加えたトリニティ体制で試合に挑んでいることが強調されたシーンだとも言えますね。

…あれ? ケンダマンは?
え? ケンダマンですか? 彼は…おそらくマネージャーでしょう。今頃コスチュームを洗濯している最中だと思うので、この流れに参加できなかったのかな(苦笑)?
ゼブラの成長
そしてこのゴールゲットについては、ゼブラがマリキータマンをフリーにするために、献身的な壁となっている点が印象的です。ある意味縁の下の力持ちを買って出て、派手なムーブは相棒に任せるという懐深いリーダー気質。
このあたり、タッグ結成前のプライドの高かったゼブラと比較すると、彼の精神的な成長が如実に見て取れますね。
おそらくですが、以前のゼブラだったら自身の技術を誇示したいがために、パートナーを押しのけてスゴ技を決める動きをしていたように思えます。
しかし今回は足止めという泥臭い役回りを買って出て、相棒にシュートを任せるという、ゲームメイクの役割に徹したわけです。
その姿は言うなれば、小学生時代はバリバリの点取り屋だった翼くんが、中学生になってMFという、チームメイトを活かすポジションにシフトしたかのようです(笑)。

もちろん闘いの流れと、両者のポジショニングがたまたまそうすべき位置だったから、とも言えますが、ゼブラがマリキータマンの“点取り屋”としての才能を信頼したことには変わりありません。
さらに相棒の才能を信頼できるのは、急速に高まったチームワークのおかげでもありますが、何よりもゼブラが彼の技の威力を信じているからなんですよね。
で、なんでゼブラが彼の技を信頼できるのかというと…実際にそれを食らっているからなんですよ。直近で彼に痛い目に合わされている(笑)。この

ヤツの技の威力は、このオレが身をもって知っている
という背景も、ロマンがあふれていてたまらんのですよ。
このように、彼のとる動き一つで上記の心理状態を想像できてしまうため、

ゼブラめ…成長しやがって…
と思わずにはいられないんですよね。
さあ、試合の流れを圧倒的優勢に引き寄せたエグゾセミサイルズ。エル・カイトはこの技で沈み、残るドミネーターは、2vs1のツープラトンの餌食となるのか。
それとも“超回復”でまたもやよみがえるエル・カイトとドミネーターを、まとめて新ツープラトンにて引導を渡すのか。
いずれにせよ、次回で決めてくれるのではないかと思われますね、エグゾセミサイルズ。
その他気になった点
その他気になった点は
- 今回は一文のセリフを、二人で分けて話すパターンが頻出。
- 「跳ぶぞ、ゼブラ!」…いつの間にやら指示も出せるようになったマリキ。
- トマホークチョップはモンゴリアンチョップにも見える。
- モンゴルマン「レッグラリアット…オレを差し置きやがって…」
- 「二の矢だ!」「キャミ!」…この相槌をスルーできるようになったゼブラさん(笑)。
- 「キャホ!」と悶絶するマリキータマン。キャホ…かわいいじゃないか(笑)。
- 『マリキータデッドリーライド』は一番食らいたくない技かな…恥ずかしい(苦笑)。
- ケンダマン、今度こそ帰った(笑)?
こんなところですかね。最終ページの、7月に逝去されたアデランス中野さんこと中野和雄さんにあてたメッセージが涙を誘います。
幼少時、中野さんのギャグシーンでどれだけ笑い転げたことか…そして大人になるにつれ、アデランスの中野さんが、実はすごい編集者で、キン肉マンという作品を世に送り出してくれた方であることを知るわけです。
もし中野さんがゆでたまご先生を発掘してくれなかったら、育ててくれなかったら、と考えると、とても恐ろしくなります。
謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

次回は…休刊で一週お休みし、二週間後はなんと短期連載のスピンオフ(!!)作品が載るそうです。唐突なスピンオフ予告でちょっとびっくりしました。
しかもエグゾセミサイルズvsエル・ドミノスが決着しそうなタイミングにあえてぶっこむとは…このタイミングで発表する必要があるような内容なんですかね? ちょっと気になります。
短期連載スピンオフといえば『倫敦の若大将』シリーズが思い出されるのですが、それ的なやつなのでしょうか。
いずれにせよ、尺を考えるとけっこう深く濃密なエピソードってことですよね…なんだろ、気になるなあ(苦笑)。パッと思いつくのは、真弓の若かりし頃のエピソードなんですけど…でも今のタイミングでの必要性がないんですよね。
もしくは…中野さんの逝去を悼んだ、ゆで先生と中野さんとの、自伝的なスピンオフ企画…? ゆで先生版『まんが道』みたいな。だとしたら、とても興味深いですよね。
いずれにせよ、二週間後が楽しみです。
さて、超人批評の最新版をお読みになっていない方は、こちらの番外編①をよろしければどうぞ。ケビンマスクを批評するにあたっての、経緯やメイキングについて詳述しております。
来るべきアニメ化についての、演出における雑感も書いてみました。原作忠実路線と昭和ギャグ路線、どちらがよいのか論争となっております。
まあ先日新作アニメのティザーPVがリリースされたので、なんとなく方向性は見えたんですけどね。もしご興味ございましたらばこちらもどうぞ。
さらに…! 最新刊『キン肉マン83巻』が絶賛発売中です! バベルの塔編の完結巻といってよいでしょう。まだ手に入れてない方はぜひ。 ではまた。


コメント
>難しい注文だがお前とオレなら…
俺様なぜブラガマリキを先に挙げているのが信頼しきっている感が出ていていいですよね
今回ツープラトンの応酬だったから個別に撃破に行くかもしれないし
次回フェイバリットツープラトンで締める伏線かもしれない
そんな気になる展開なのに二週またいでスピンオフ
アニメが控えているから完璧始祖編の番外編なのか
エルドミ戦の次の展開への布石的なものか
まんが道か…気になりますね!
uzukiさん、こんにちは。
ゆで先生版まんが道、いいと思うんですけどね。中野さんの追悼も込めて、ここらでゆで先生の自伝を描かれてもよいのではないのかな、なんて思いますね。
マリポーサ監督、有能すぎですねw
冷静沈着な態度で、適切な指示を出して時間超人を丸裸にしていきます
二世の時間超人相手では、次々にチート能力が繰り出され、突発的に対応できない実力派人気超人が蹂躙され、読者に多大なストレスを与え続けましたが。
今回は、名将マリポーサを軸にチーム一丸となって適切に分析、対応して切り崩していくのが実に小気味いいですね。
時間超人の能力も、発動時に隙だらけになる、効果が限定的であるなど。
ほどよく調整されて、強力な能力だけど、反則チートではないという塩梅になっています。
ゆで先生、本気で二世の失敗のリベンジに来てますねw
番外編だと、逆に真弓編はありかなと思います。
アニメで始祖編が始まり、真弓とタツノリとネメシスなど、キン肉王家の関係性を深く描写しつつ、超人墓場まで話が繋がりそうですし
また、真弓世代ということで、ボテチンことハラボテ、ロビンナイト、ドリーマン、ブロッケンマンと前世代の正義超人軍も出てくるかもしれませんね
敵側もアシュラパパとか出て、キン肉マン版、ファースト・アヴェンジャーズというかエピソード1というかw
奥多摩さん、こんにちは。
時間超人のチート技、ある程度限定的でよく考えられているな、というのがわかりますよね。
スピンオフ、ゆで先生もいつか真弓編を描いてみたい、とおっしゃっていましたもんね。数回の尺で、というのもちょうどいい長さだし、エピソード1、もしくは0という線でないとはいえないですよね。