奇襲も意に介さず、必殺のハリケーン・ミキサーですら真正面から軽く受け止めたザ・ワン。バッファローマンの繰り出す技をひとつひとつ丁寧に潰し、完膚なきまでに完全に心を折りに来るが――。
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粛々と心を折る
ザ・ワンの圧倒的戦闘力に対し、手も足もでないバッファローマン。それでも

まだまだこの先…
長い試合が…
と、闘志を絶やすことなく起き上がろうとします。
そんな彼を見て

そうだ、そうだ!
ここからはバッファローマンのターンだ!!
とエールを送る我々を尻目に…起き上がろうとするバッファローマンを、道端のカエルのように踏んづけるザ・ワン。
これはバッファローマンにとってはなかなかに屈辱的な行為。そしてザ・ワンは、その圧倒的立ち位置の高さをまったく崩そうとしません。
それどころか

長い?
いいやすぐに終わる。実力が違い過ぎる

今のままではお前はただのへボ牛
と、辛辣な言葉を浴びせます。
踏みつけ行為という暴力とヘボ牛という暴言。この精神的に厳しい、蔑みを含んだ攻撃をダブルでやるとか、ホントにえげつないです。
これもまた彼の“ひとつひとつ心を折る”という行為の一環なのでしょうか。

そうだ。
これはすでにマニュアル化されている
とかだったらやだなあ(苦笑)。

そして“ヘボ牛”発言ですが、これを見た瞬間にスグルの

やい、こって牛!
発言を思い出してしまいました(苦笑)。しかし彼を日本語の“牛”と呼ぶだけで、なぜ蔑みの雰囲気が醸し出されるのだろう…?
これってバッファローマンに限ったことではなくて、他の動物系超人は得てしてそうなんですよね。ガゼルマンも

うるさい小鹿
なんて言われていましたしね(苦笑)。
日本語にすることで、名前という個を表す名詞から、種別を分類する名詞に変化するので、個を潰された感じがしてイラっとするのかなあ(苦笑)?
足りないものとは何か
そして彼の発言でもう一つ気になるのが

今のままでは
という部分です。
これって以前出てきた

決定的に足りないことがある
というセリフのことだと思うんですよね。逆に言えば、それに気づいて対処できれば、攻略の糸口はあるということで。
そしてその点についてはバッファローマンも重々理解しているようで

じゃあ今のままじゃねえって証明すればいいんだな

将軍様直々に悪魔超人界の未来を託されたオレを見くびってもらっちゃ困るんだよ!
と、その“足りない何か”を将軍サマに後継指名された資質の解放に求め、脱皮(笑)。1000の傷が露になります。
個人的にこの脱皮って、彼がより“悪魔超人化した”というモードスイッチの役割を果たしていると思っていまして、いわゆる“悪魔方面へのリミット解除”だと認識しています。
つまり彼のお肌がツヤツヤの時は、まだ理性を保っている(=正義超人と親和性がある)状態であり、脱皮をすると理性が減少して悪魔化が激しくなるという、彼なりの“阿修羅面怒り”ですね(笑)。
そしてこの力の解放というベクトルが、はたしてザ・ワンの言う“決定的に足りないこと”への解消につながるのか否か。
早すぎたカード?
このモードスイッチングは
- フライングクロスチョップ
- ロングホーンスクィーズ
という、予想外の空中殺法と相まって、ザ・ワンをグラつかせ片膝をつかせることに成功するも、トドメの『ハリケーン・ミキサー』はあっさりとジャンプ一番でかわされます。
このあたり、ちょっと変化球というか、バッファローマンが真正面からの闘いを避けたようにも感じますね~。言い方は悪いですが、小手先感が漂う動きといいますか。

これだったら、まだ脱皮しなくてもできたのでは…
なんて感じで、この悪魔化スイッチングが少しもったいなく感じてしまうんですよ。ちょっとカードを切るのが早すぎたかな、なんて。
結局二度目のハリケーン・ミキサーからも回避したザ・ワンは

予想外の攻撃は誰しも苦慮する。
だがその程度で埋まる差ではないのだ
と、かなり厳しい言葉口にするんです。
つまり彼はバッファローマンのとったベクトルの向きが、明後日の方向であることを暗に示しているんですね。
そして思っていた結果が得られずあせったバッファローマンは、二つ目のフェイバリットである『超人十字架落とし』をも、序盤から披露してしまうのです。
披露するというよりは、披露させられた、と言った方が正しいかもしれません。バッファローマンはザ・ワンの

希望を持って繰り出した反抗策をひとつひとつ摘み取って潰していく
という闘い方を受けて追い込まれ、出さざるをえなくなってしまったわけです。
そんな追い込まれて出した必殺技が相手に通用すべくもなく、それは強烈なパワーボムである『嘆きのボンバルディエ』で見事に返されてしまいます。
ちなみに“ボンバルディエ”とは、フランス語で“爆撃機”の意味のようです。名前の通りの重爆撃な技でしたね。
落ち度がないからこその絶望
しかし…いくらザ・ワンが強敵とはいえ、バッファローマン、反撃の糸口すらつかめないですね。あのガンマンを破り、将軍サマから

神をも超える新たな力を手に入れろ
という指令を受け、キャラとしてのステイタスが大きく跳ねた彼が、こんなにもコテンパンにやられるとは、誰が想像できたでしょう。
これに関しては、当のバッファローマンも

オレも少しは将軍様に近づけたと思ったんだが、どんだけ思い上がっていたんだ

オレなんてまだまだ…
全然じゃねえか!
と、天狗になっていた自身を猛省です。
いや、天狗にはなっていなかったかな、彼は。純粋にあふれ出るモチベーションと、高ぶるパワーの充実に気持ちがポジティブになっていただけですよ。そこに慢心などなかったですからね。
ですので彼の心身は良いサイクルを維持していたはずなんです。その絶好調ぶりを上回る力の差をザ・ワンが見せつけた、ただそれだけなのでしょう。つまりは
が存在した、ということです。
これはバッファローマンには落ち度がないだけに、かえってその絶望度が上がってしまうという演出になってしまいました。
このあたりの状況を利した怖さや絶望の表現に、表現者としてのゆで先生のうまさを感じてしまいますね。
しかしですね。こんな八方塞がりの絶望的な状況で、バッファローマンは…笑うんですよ。
そう、近年のK-1で無敵の強さをみせた武尊選手が、相手の攻勢に対し笑ってパンチを打ち返してそれをねじ伏せてきたように。
その感情は格闘者においては稀に存在する、ある意味バグった喜怒哀楽でして、生死ギリギリのやり取りに高揚感を感じてしまう現象なわけです。有名な表現では

おめえ強ええな!
オラ、ワクワクすっぞ!
となるでしょうかね(笑)。
逆に言えば、彼がそのモードになったということは、まだまだ彼の心は折れていない、ということです。それをさっさと行いたいザ・ワンにとっては、

…少し手間がかかるヤツだな…
という印象を与えられたかもしれません。そしてそれは彼にとっては、現段階では一番大きなダメージなのかもしれないわけです。
そう考えると、彼はコテンパンにやられながらも、精神力ではジワジワと反撃している、とも言えそうですね。いや、そう思いたい(泣)。
瓢箪から駒
そしてあきらめずに立ち上がり、ファイティングポーズをとるバッファローマンを見て、ザ・ワンは

今のお前では勝ち目ゼロだよ?
と、彼に対して忠告します。するとこれを聞いたバッファローマン、

じゃあどうしたら勝てるのか教えてくれるのかよ
と素直に質問しちゃったよ(苦笑)!!
いや、これは質問というよりは、相手に対する彼なりの

教えてくれるわけないけどな、ハハン!
という皮肉の一環だったと思うのですが、これが

なぜお前の攻撃が私に通じないのか…教えてやる
と、予想外にザ・ワンにヒット(笑)。バッファローマンとしては

…え?
冗談で言ったのに…!!
といった感じの、ザ・ワンの反応だったことでしょう。まさに瓢箪から駒です(笑)。
そして太っ腹のザ・ワン(笑)が口にしたその理由が…衝撃でした。

それはな…お前が…
私の系譜を継ぐ者だからだ
キターッ!! カメハメがマグニフィセントの系譜であることに続く、バッファローマンがザ・ワンの系譜という、系譜二連チャン!!
となると…ザ・ワンの雄々しい二本の聖なる杖を見る限り、やはり彼はバッファロー一族の起源…? この説がまことしやかに真実味を帯びてきたぞ…!
系譜の意味を予想する
しかしながら、スグルvsマグニフィセントがそうだったように、
という式がすでに証明されています。祖先が相手でも、勝つことはできるんですよね。
となると、今回のザ・ワンの告白を聞いたからといって

もう~~~っ、ご先祖様が相手じゃ絶対に勝てない!!
とはならないってことですよ。つまりザ・ワンがバッファロー一族の起源であることが、バッファローマンにとっては致命的とはならない、ということです。
しかも前戦で似たようなシチュエーションが出た今、ゆで先生がまたそれを繰り返すのは、少し芸がない気もします。
何が言いたいかと申しますと…
という予測も立つ、ということです。

でもそれ以外に系譜って何があるのさ!
はい、そうですね。そうなりますよね。ごもっともです。まあ落ち着きましょう(笑)。
ではもう一度一緒に考えてみましょう。バッファローマンのルーツって…彼をキャラクタライズする大きな個性って…バッファロー一族ですかね?
いや、バッファロー一族という設定は、どちらかというと王位争奪編にて突如付け加えられた、後付け設定の感が否めません。
それよりももっと深い、彼を彼たらしめたキャラクターの原点となるルーツ…それは…

サタン様以外にはありえない!
となるのではないでしょうか(笑)。

それ、何回か前にアキラさんが立てた、ふざけた予想じゃないですかっ!
そうですね、おっしゃる通りです(苦笑)。私は以前、ザ・マンが口にしたバッファローマンの懸念点について
- 実力が桁違いに離れている
- 戦闘スキルの相性がとてつもなく悪い
- 過去(もしくは先祖)の因縁に分が悪い何かがある
- 実は調和の神はサタン様である(笑)
のどれかかな~、と予想しました。
1についてはここ数回でこれでもか、というくらい表現されているのですが、これが“勝てない理由”の核心となる感じはちょっとなさそうです。ですので却下。
3については、バッファロー一族がその系譜だったら…に該当するわけです。しかし私はこれは“ない”と判断しました。
となると2と4しかないんですよ。そこで私はこの二つの合わせ技説を提唱したいと思います。つまり
という仮説です。

…なにを言ってんの?
ですよね(笑)。ここで私が提唱する“サタンはザ・ワンの一部である”というのは、ザ・ワンが若い頃、神になるべく体内から排除した邪念の集合体こそがサタンなのではないか、という仮説です。
イメージ的には『ドラゴンボール』における神様とピッコロ大魔王の相関性と言えばわかりやすいでしょうか。前にも書きましたけどね。

そしてザ・ワンにとってサタンとは不完全な自分自身であり、つまりは手の内を知り尽くした負けるべくもない邪念体なわけです。
そしてバッファローマンは、そのザ・ワンが負けるべくもないサタンの力を利して成長してきた超人です。
特に彼が超人として上昇曲線を描き、強豪超人となった要因、つまり1000万パワーの形成おいて、サタンの影響がとてつもなく大きかったことは、皆さん異論がないと思います。
ただこのことについては
と言い換えることもできるわけです。
そしてその基礎がザ・ワンの一部から派生した、ザ・ワンにとっては相手にもならない存在であるならば…当然バッファローマンにとって、ザ・ワンは相性が悪すぎる相手になります。
その結果、彼はザ・ワンに勝てるわけがないのです。
となると、バッファローマンはこの試合において、サタンから得たファイトスタイルと決別しなければならないことになります。
それが数ある悪魔殺法なのか、アイデンティティである1000万パワーなのかはわかりません。要はサタンの呪縛から逃れたニューバッファローマンを確立しない限り

ザ・ワンには勝てない
と、ザ・マンは言いたかったのではないのでしょうか。

アキラさん…そこまでして自分のネタを拡げたいんだ…
なんて声が聞こえてきそうですが(苦笑)…はい、そうですよ、そうですよ。だってザ・ワンのベルトのバックル、サタン様なんだもん!
…まあ子どもじみた反論は置いといて、いずれにせよ、このブログは“当たらない予想”を楽しむのが醍醐味です(笑)。
ですのでそれを楽しむためにも、ここはこの予想で推したいと思います(笑)。
その他気になった点
その他気になった点は
- バッファローマンの脱皮は、オーバーボディの一種と考えればいいのかな(笑)?
- ザ・ワンが片膝をつくのは、バッファローマンがウォーズマン戦で片膝をついたのにちょっと似ている。
- そう考えると、あの時のバッファローマンは、立場的に今のザ・ワンだったんだな…。
- 石のリングにパワーボムはきっつい。
- バベルの塔、重要シーンで雷落ちがち(笑)。
- ラストのモノクロシルエット、カッコいいなあ。
こんなところで~す。がんばるバッファローマンを応援したい方はこちらでの復習もおススメです。
超人批評の最新版を読みたい方は、こちらのケビンマスクもどうぞ。
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コメント
そこは素直にご先祖様にしときましょうよ(笑) >サタン様以外にはありえない!
まあゆで先生ですからもう一ひねりくらいはありそうですけど
uzukiさん、こんにちは。
あははは、やっぱりそうですよね。でもあの時ののび太みたいに言い切るのも面白いかな、なんて思いました(笑)。
でもゆで先生だから、なにか捻ってくるとおもいますねー。
ガンマン戦で見せた「ハリケーンギガブラスター」が効かなければバッファローマン敗北確定ですね。
サタン説面白いなぁ(笑)ちょっと画が浮かびました。
あと今回のキン肉マンジャンプの感想を今週のキン肉マン番外編で
やって欲しいです♪
逢瀬さん、こんにちは。
サタン説、喜んでいただき嬉しいです。まあネタ先行ですのでトンデモ説になってますけどね(笑)。
あとキン肉マンジャンプの読切感想については、少し考えました。ただweb露出していない作品なので、ネタバレに十分注意すべきだと判断し、もう少し時間をおくことにしようと思います。
サ ゛ワン
サ・タン
「ワ」に1本足すと「タ」ですね!w
Mr.サタンさん、こんにちは。
なるほど! おもしろい視点ですね! このような見方は気づきませんでした。いや~、おもしろいです。