満身創痍のウォーズマンは、かつてバッファローマンのロングホーンを折った技に、「スーパーユウジョウモード」を爆縮させた力を加えた「1億パワースクリュー・ドライバー」で最後の勝負に出た!
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よぎる不安
残った力を増幅&凝縮させて放った光の矢攻撃である『1億パワースクリュー・ドライバー』。それを真正面から迎撃するオニキスガントレット。

ど、どうなる…?
とページをめくると、オニキスガントレットが粉砕!

よっしゃ、勝った!!
と、鼻息が荒くなる私(笑)。
オニキスガントレットに打ち勝った『1億パワースクリュー・ドライバー』は、そのままの勢いでオニキスマンの腹部をえぐることに成功。そして

こ…これが…超人の…力…!
というオニキスマンの一言に、彼の中で超人に対する評価が大きく変わったことを見てとることができます。
ただ個人的には技のヒット具合が

ん…!! ちょっと浅いか…⁉
と感じたので、脳裏に一抹の不安がよぎります。
もちろんオニキスマンは半身に構えていたので、物理的にはこうなるのかもしれませんが、個人的にはどてっ腹に風穴があくことを期待していたので…。
言うなれば『究極の超人タッグ編』における、スプートニックマンに食らわせたスクリュー・ドライバーに近い表現を期待していたんです。
うわ~、サラッと残酷なこと書いてる(苦笑)。ただウォーズマンが勝ち名乗りをあげるためには、確実な描写が欲しい、という一心だったんですよ。
裁定までのドキドキタイム
そんな若干の不安を感じつつページをめくると、オニキスマンは豪快にダウン。対するウォーズマンは立膝状態。

これは…結末はどうなる…?
とドキドキですよ。もちろん脳内は

ウォーズマン!
ウォーズマン!!
の大声援です(笑)。
でもな~、きちんと立っていないと勝ち名乗りは受けられないんだよな~。となると、ハラボテ委員長がどのような裁定を取るかが注目です。
ダウンカウントをとるかとノックが尋ねると、ハラボテ委員長は

いや待て
と、様子を見るような発言。これを見て

まだ望みはある…!!
と思いましたね。
委員長が待ちの間に、ウォーズマンがなんとか勝ち名乗りをあげられるような態勢をとれればいいわけです。
そしてその時間はウォーズマンとスグルの会話シーンとなりました。

い…今の一撃は…当たったか……?
と尋ねるウォーズマンに対し、スグルは

ああ、命中も命中! 大命中だ!
お前はやったんだ、ウォーズマーン!
と彼を称賛します。
この流れでなんとかウォーズマンが立ち上がり、勝ち名乗りを受けられれば…と思ったのですが…

それなら…よかった…
と言うやいなや、眼の光が消え、活動停止状態に。
ちょっと…これは…これはアカン流れだって!! ウソでしょ? ここまで命の灯を燃やした玉砕戦法を披露して勝てないの!?
今回のテーマは40年前の宿題だった“光の矢を成功させて勝つこと”じゃなかったの!? というエマージェンシーコールが、私の脳内でけたたましく鳴り響きましたよ(苦笑)。
そしてその願望は、スグルが作品内で代弁してくれました。

せめて勝ち名乗りを受けるんじゃ~っ!
まさしくコレ。そしてフィクションの主人公が、ここまでリアルに自分の気持ちとシンクロしている様に、ある種の驚きを覚えます。
しかしウォーズマン、オニキスマンともに、電流をバチバチいわせながらもピクリとも動けません。

ダメだ…これはおそらく…
と、次に出る言葉を脳が拒否していると、ハラボテ委員長は

裁定はこれしかないじゃろう。

両者ノックダウンの…引き分けじゃ…
と、涙ながらに試合終了のゴング。
ああ~っ、言ってしまった。ゴングを打ち鳴らしてしまった。これで…完全にウォーズマンの勝利はなくなりました。
受け入れ難い裁定

マジか…
このように、正直な話残念でなりません。ウォーズマンに勝ってもらいたかった…いや、ホント、彼はいろいろと辛酸を舐めてきたから…。
- ステカセキングに鼓膜を破壊される
- バッファローマンにボコボコにされる
- プラネットマンごと射抜かれる
- 体内をリングにされる
- アシュラマンにやられかける
- ネプチューンマンに“アワワ”と怯える
- クロス・ボンバーでマスクを剥がされる
- 死んだ後もマグネット・パワーでドロドロにされる
- マンモスマンに闇討ちされる
- マイケル(マンモスマン)に土壇場で裏切られる
ほら、パッと思いつくだけでもズラズラと出てきます。
もちろんザ・マンリキ戦、チーム・コースマス戦、ポーラマン戦と、留飲が下がる試合もありましたが、私からすれば

全っ然足んない
というのが本音です。それくらい彼はもっともっと報われてほしいのです。
そんな想いが根本にあるからこそ、この結果を受け入れるのはなかなかに厳しいです。
ハラボテの涙、ゆで先生の涙
ただ…それって私のエゴなのかな…とも思います。
そもそも論で、爆縮を使った『1億パワースクリュー・ドライバー』は玉砕戦法なんですよね。
玉砕というのは自身のその後を顧みない、もしくはその先を捨てる行為なので、この戦法をウォーズマンが選択した時点で、彼に勝ちはないんですよ。
普通に考えたらそれが当たり前なんです。ただ彼のあまりの悲壮な行動が、我々に夢を見せてしまったんですね。
そんな我々の熱い望みと、結果の受け入れ難さをハラボテ委員長も同様に持っていたからこそ、彼は涙ながらに裁定を下したのではないでしょうか。
そしてハラボテ委員長がゆで先生の代弁者だとすると、この涙はゆで先生の涙でもあるように感じます。
それはまるで読者である我々に、100点満点の結末を提供できないという申し訳なさと悔しさがあふれているような。

だったら素直にウォーズマンの勝ちにしてくれればいいのに
と思ってしまいますが、クリエイターとしてそこは譲れないのでしょう。
ゆで先生はクリエイターとしてこの“引き分け”という裁定こそが、この闘いにはベストであるという結論に達した。
だが読者はそれに諸手を挙げて支持はしてくれないだろう。それは容易に予想できる。
しかしながら、それでも自分の作家性と読者への迎合をごっちゃにするわけにはいかなかったのでしょう。そこだけはブレたくない。そんな感情があったのではないでしょうか。
そしてそのやるせない気持ちを、委員長の涙腺を通じて我々に伝えたのではないでしょうか。
読者を救う、スグルの涙
そして“引き分け”という裁定が確実になった後の、読者の受け入れ難い気持ちを、冒頭同様スグルに代弁させたのだと思います。

違う、勝ったんだウォーズマンは……

バッファローマン、お前も見てただろう!?
勝ったんだよ、ウォーズマンは!

あの一撃はすごかったんだ……
それはもう…本当に…命の全てを…燃やし尽くしたような一撃で…!
ありがとう、スグル。もういいよ。もうわかったから。そんなに泣かないで。
オフィシャルではドローかもしれないけど、我々の心の裁定では勝利でいいじゃないか。そういうことだよね?
40年で磨き抜かれたディープラーニング
そして次の注目点としては、彼ら二人はこのままシャットダウンしてしまうのか、ということです。
しかしスグルの涙に反応するかのように、ウォーズマンの心音が再鼓動し、電源が復活。ウォーズマンのパイロットランプとでもいうべき眼に、再び光が灯りました。

よかった…よかったよ、ウォーズマン…
もうね、生き残ってくれただけでいいですよ。命の全てを燃やし尽くしたような一撃を放って生きていたのだから…。
しかし瀕死の状態であることには変わりありません。ところがそんな余裕のない状態で、ヤツは粋な行動をするんですよ!
オニキスマンの頭部にヒビが入り、彼の素顔が露出する直前に、ターンバックルの布を引き裂いて、その素顔を隠したんです。
それはオニキスマンの素顔が自分同様、世間的には醜いであろうと予想し、それが満天に晒されることを防ごうとした優しさでした。
やはり…彼は半分機械ながら、人を想う“情”については、生身の人間以上にそれを強く持っている人物なんですね。
ある意味背反する特性を、奇跡的に融合させたキャラだとも言えます。優しい。本当に優しい。強くてカッコよくて、スマートでテクニシャンで、理知的で冷静で、熱くて人情深くて優しい。
40年に渡る(誌上では数年だけど)ディープラーニングの成果が、今ここにいる彼です。AI研究者の先生方、聞いていますか? すごい事例がここにありますよ(笑)!
オニキスマン、友情を肯定
そんなウォーズマンの優しさは、オニキスマンにとっては結果的に不要でした。
彼もまた立派な超神。そんな恥など歯牙にもかけませんでした。そして堂々とその素顔を自分で晒します。
それはかつてポーラマン戦でウォーズマンが叫んだ

超人はツラで勝負しているわけじゃない!
という矜持と、まったく同じ思想でした。天晴を言うほかはありません。
ただウォーズマンの優しさが彼を傷つけたわけではなく、

そのヤサシサに私は最後…追いつめられたのだ
と、彼の優しさを自身が勝てなかった要因とし、それを肯定してくれたわけです。
これ…嬉しい結果ですよね。おそらくこの時点で、オニキスマンはウォーズマンを認めたのでしょう。
“優しさ”を“ヤサシサ”と表記するのも、なんともいえない演出です。
キン肉マンファンならば、誰もが知っているこの公式。
オニキスマンの最後の一言は、その一項目の価値を、そしてその公式の解である“ユウジョウ”を超神が認めたことに他ならないわけです。
これもまた“闘って分かり合う”という、正義超人が理想とするカタチだと思いますね。
その意味では、ウォーズマンのドローはイデオロギー的には目的完遂だったとも言えるのではないでしょうか。
そして何よりも、二人とも生き残れそうでよかった。ではこの闘いのエピローグ、期待して待ちましょう。
その他気になった点
その他気になった点は
- オニキスガントレットの硬度はあくまでオニキスのそれなのかな?
- ウォーズマンの眼の光が消えるのは、本当に心臓に悪い(苦笑)。
- 今回は“涙”の意味が印象的です。
- スグルがみんなに好かれるのは、今回のようなところなんだろうな。
- スグルに言葉を返せない、バッファローマンの切なさ。心中察するに余りある。
- ロボ超人の素顔らしさのアイコンは、やはり正円の一つ眼か。
- オニキスマンを改造したのが誰なのかは、やはり気になる(笑)。
- 素直に感じたことを口にできるオニキスマン。好印象です。
こんなところでしょうか。そしてコミックス最新刊78巻、絶賛発売中です!


コメント
アキラさんこんばんは。今回も楽しく拝見させて頂きました。
ウォーズマンは上階へ誘われるのでしょうかね。ロビンにも再開出来ずじゃ悲しいですが…
それにしてもロボ超人やロボ超神の生身の部分ってどこなんでしょうか?
まるまるさん、こんにちは。
いつも応援ありがとうございます。
ウォーズマン…上の階行きたいですね…
要は超神サマがお認めになればいいのではないかな、なんて前向きに考えております!
生身の部分は筋線維や表皮等なのではないかと、個人的には思っています。
オニキスマン、一気に良いキャラになりましたね
自分に自信があるからこそ負けたときは素直に認め賛辞する
どっかのバイコーンさんはオニキスマンの爪の垢を煎じて飲むべき
しかしウォーズマンを認めたとしても調和の神の元に送っても戦えなさそうなのが気がかり
となると残り二人を送るのか、別の超神が現れ戦うのか
今回も気になる引きでやきもきします
uzukiさん、こんにちは。
バイコーン、たしかに彼は人間性がイマイチでしたね。それだけにオニキスマンの潔さが際立ちます。
ウォーズマンはやはりロビンとのタッグを実現してほしいので…戦線復帰希望です。
やっぱりドローになりましたね…
個人的には、とりあえずウォーズマンが死ななかっただけマシかなという印象です
この後の展開として気になるのは、「試合結果は別にしてオニキスマンがウォーズマンを上に行かせるのか」と「行かせようとした場合、ウォーズマンがその判断を受け入れるのか」ですね
多分認められても行こうとしないだろうなぁ…
ターキーさん、こんにちは。
私も彼が死ななかっただけで儲けもの、と思うようになりました。
たしかにウォーズマン、「私にその資格はない」なんて言い出しかねませんね。それもまたウォーズマンらしくていいのですが…。