バベルの塔の頂上で、アポロン・ウィンドウに飲み込まれていく天界様子を目の当たりにしたキン肉マンたち。するとザ・マンが今回の大抗争の要因ともなった超人がもたらす“歪”の正体を語り出し…。
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喜びと悲しみを含んだ賞賛
バベルの塔最上階に集ったリアル・ディールズの前に、ホログラムで登場した超神対策本部長たるザ・マン。なかなかの大画面でのド迫力登場に少々面喰います。

これは…ドライブシアターかな?
と、若干勘違いしてしまいそうなシチュエーションですが(苦笑)、後ろにいる超人まで確実に意思疎通ができるようにとの、ザ・マンなりの配慮なのでしょう。

裏を返せば、これから彼が話す内容はそれくらい重要だということです。我々も心して聴こうではありませんか。
まずはザ・マン、送り出した7割以上の超人が試練をクリアしたことを讃えます。
ただし、残念ながら志半ばで脱落したサンシャインについてはきちんと配慮するというところに、彼の気遣いが感じられます。
ここでアシュラマンが沈痛な表情をするのは当然なのですが、ゆで先生がうまいのは、ジェロニモにもやり切れない表情をさせたことなんですよ。
というのも、ジェロニモが責任重大なバベルの試練の先鋒志願をしたときに、アシュラマンから激しく反対された中、彼を推してくれたのがサンシャインでした。
その理由は自分自身を倒した、彼のポテンシャルを信じていたからです。そして

オレとおそらくテリーマンだけが見抜いていた、本当のお前の強さを見せてみろ
という粋な言葉で彼を送り出したわけです。
そんなエピソードがあったことを思い返すに、ここでジェロニモのあの表情を挟むのは、演出として秀逸だと思うのです。
ザ・マンかく語れり
そしてその流れで

今どんな恐ろしいことが起こっているのか

オラたち超人は何ができるのか

すべてを飲み込む穴について知っていることを洗いざらい話してほしいズラ
と、現在起こっていることを聞きだす先鋒も彼が務めることになりました。
いやはや、試練の先鋒としっかりとリンクされており、いい人選です。最後のズラ、だけはご愛敬ですけどね(苦笑)。
そんな読者の代行者であるジェロニモのリクエストについて、ザ・マンは現状起きていることを、以下のように教えてくれました。
- 宇宙のエネルギーの総量は決まっている
- そんな中、超人の急激な成熟がそのパワーバランスを壊し始めている
- 超人の占めるパワーが増大している分、代わりに何かのパワーが削り取られている
…なるほど。これについてはランペイジマンが教えてくれたことと被るし、超人パワー増大のトレードオフとして、他のパワーが削り取られるというのも予想の範囲内です。続きを聞きましょう。
- その一例が、オメガの星の天変地異である。
- 彼らは超人強度で高い成熟を果たしていたので影響が顕著に出た。
なるほど。オメガの星の天変地異は、このパワーバランスのゆがみによってもたらされた危機なんですね。私は前回
を提起しましたが、この時はそれぞれの原因が別物だと理解していました。
しかし今回のザ・マンの話により、この二つの危機が同一の原因に端を発しているという裏づけが取れた形となります。
言うなればオメガの危機は、現宇宙の危機の“終わりの始まり”だったんですね。
気になる点としては、

超人パワーの増大が顕著な地域は優先的にゆがみが訪れるのかな?
という相関性があるのか、ないのか、ですね。ザ・マンの口上だと相関性があるように感じますね。
禁断の石臼考
そしてその真相を聞いたネプチューンマンが

彼らのことを思うとやり切れんな。なんとも切ない話だ
と、オメガの民に同情するという、少しホロリとさせられる一幕を見させていただきました。ネプがこんなセリフを言うなんて、けっこうレアだぞ?
ただ…こんなシーンで不謹慎なのですが…どうしても“地割れを防ごうとするルナイトとパイレートマン”の姿が滑稽に見えて仕方ないんです(苦笑)。

いやいや、それはムリだよ…
てな感じで。
もちろん彼らが天変地異をなんとか抑えようと必死になっているのは痛いほど伝わるんですよ。ただ地割れは…地割れだけは…ギャグマンガにしか見えない…。
それこそ『Dr.スランプ』のアラレちゃんが地球割りをした後に、それを両手でひっつけた、というようなテイストを感じちゃうんですよ(苦笑)。

それは地割れを塞ぐという行為が、到底人(超人)の力では達成不可能だという私の常識が、それをギャグ判定させているといえます。
そう、人力で対抗しうるレベルではない現象なんですよ、大地が砕けるというのは…。
それだけに、ザ・マンがアリステラに貸与した禁断の石臼が、現在起きているエネルギーバランスのゆがみに対してどのような効果をもたらすかが俄然興味深くなってきました。
たしかあのアイテムは、星の力を超人のパワーに変換する装置であり、今回はそれを逆用して超人のパワーを星に注入することで天変地異を収束させよう、という狙いでした。
このような仕組みですね。
そしてオメガの天変地異と、天界の大穴は原因が同じであることが公になったため、もしこの石臼でオメガの星が狙い通り危機を脱することができれば、それは天界の危機に対しても一縷の望みとなるわけです。
そしてこの“超人パワーを星に注入する”という行為こそが、実はザ・マンが天界の危機を超人のパワー増大によって解決するというヒントになっているのではないのかな…なんて感じましたね。
神々の対策と誤算
少し話がそれましたが、そんな深刻な状況で、神々はどうしたのか。もう少し聞いてみましょう。
- オメガの星の天変地異は他人事ではない。今後全宇宙に波及する。
- その解決策として神々が対処したのがあの大穴である。
- 本来地上各地で被るはずだった被害を、天界に集中させた。
…なんと! 神々は地上の禍をすべて自己犠牲的な精神で受け入れていた、ということですか。それが真実ならば、ミートが言う通り、神々はかなりの慈悲を持っていたということになります。
ある意味神らしい行動であり、リスペクトできる天晴な行為です。

そこまではよかった
え? どういうことですか?

こんな乱れなど天界に移動させれば制御できると思っていた。しかし…

制御できずに神の大地すら飲み込んでいる
おお、理解が早いな、ウォーズマン。さすがコンピュータ頭脳の男。

それほどまでに超人の力が増大していたということだ

ここにきてようやく神々は…超人の処遇をめぐって真剣に議論を始めることとなった。その結果が…
と話の核心に迫ったところで、バベルの塔最上階にザ・ワンが怪鳥に乗って登場。そしてよく見ると怪鳥の背には、グロッキー状態のバッファローマンも乗っていました。
バッファローマンの告白
それを見たスグルは

傷だらけでギョッとしたが、お前も試練を突破したんだのう!
と、大きな勘違いです。
う~ん、まさかバッファローマンの妄想に自分が知らぬ間に出演して、知らぬ間に彼の離脱の決意を尊重したなど知る由もないからなあ…このギャップが何とも…皮肉というか…。
でもあのエピソードはあのエピソードで、決して間違った選択ではないと思うんですよね、私は…。
ただ前回予想した通り、バッファローマンはすぐにはリアル・ディールズの前に現れることはないとふんでいたので、これはちょっと意外な展開でしたね。
そして怪鳥の上では

どうしたバッファローマン。
仲間が恋しいか

いや、すでに覚悟は決めた
と、新師弟の間で確認事項のような会話が。これ…ひょっとして…バッファローマン本人に現状説明をさせるつもりか…!?
いやいやいや、それはバッファローマン、バツが悪いでしょう。それだから前回、私は彼が

いや、ちょっと…
とリアル・ディールズとのコミュニケーションを断ると予想したんですが…これは…行きそうですね。

キン肉マン、オレは試練を突破していない。
この調和の神、ザ・ワンに叩きのめされたのさ!
あ~、行っちゃった。自ら事後報告するスタイルを選択したか~…揉めそうだ…(汗)。
ここでザ・ワンという固有名詞に

ザ・ワン!?
と、自分の大将と名前が激似なことを素直に驚くネプとは対照的に、

カカカ、なかなかシャレの利いた名前だ
と反応するアシュラマンは…らしいよね(苦笑)。しかしそんな茶茶もすっとぶ大激震発言が、その直後に炸裂。

だからキン肉マン!
お前ともここでお別れだ!

なんとでも罵るがいい…
オレは…ザ・ワンに付くことにした!
と己の頭上にそびえ立つ超神を指差して次回に続く、です。
いや~、直球できましたよ。ザ・ワン、このあたりあまり変化球を使わないタイプなんですね。リアル・ディールズの調和を考えて、バッファローマン、隠すと思ったのになあ…。
それともあれかな、

このような不退転の決意は、自分で宣言しないと覚悟が決まらない
という、彼なりの優しさなのかなあ。厳しい教えに見えても、結果的にそれが弟子のためになるという。
いずれにせよ、次回はバッファローマンの口から彼が何を思い何を考え、何を決意したかの決意表明が行われるのでしょう。
リアル・ディールズの反応について
それに対してリアル・ディールズの各々がどのような反応をするのかが見ものです。おそらくアシュラマンが一番激怒するであろうことは、想像に難くないです。
同じ悪魔超人として、同じ超人血盟軍として行動を共にした仲間が、盟友であるサンシャインの仇の親玉に付くなんて、その瞬間彼に飛びかかりそうですよ。
そんな中、発言者はバッファローマンだけではなく、ザ・ワンも自身の心境を口にするような気がするんですよ。バッファローマンのフォローじゃないですけど。
それも踏まえてこの新師弟にどのような反応をするのか、個人的に楽しみなキャラがいます。それは
- ロビンマスク
- ザ・マン
- キン肉マン
の三人です。
おそらく次回、バベルの塔の最上階は喧々諤々の修羅場になるかもしれません。ただロビンは不気味に口を閉ざし、バッファローマンの主張、そしてザ・ワンの言葉をじっと聞くのではないでしょうか。
そして最上階がざわつく中

私もバッファローマンの考えに賛同する
なんて言って、リアル・ディールズに背を向けるような気がしてなりません。
そしてすでにバッファローマンの離脱を知っていたと思われるザ・マンが、彼の移籍にどう対応するのか。
落ち着いた彼のことなので、慌ててバッファローマンを連れ戻すような耳障りのよい文句を言うとは到底思えません。
しかもザ・ワンの考え方、指導法についても一目置いていると思われるので、

そなたに指導を頼むのもおもしろいかもしれん
なんてあっさり移籍を許してしまうような気もします。
最後はそう、スグルです。彼はバッファローマンの脳内バーチャル出演(笑)ですでに彼の移籍を認めています。
ですので、バーチャルの彼とリアルな彼の反応に差異があるのかないのかが注目ポイントですね。
個人的にはバッファローマンの脳内スグルの対応に感動した口なので、ここは気持ちよく送り出してくれないかなあ、なんて思ってしまいます。
そうなってくれれば、バッファローマンの妄想で優しく彼の背に手を置いたのは、スグルそのものだったと言えるからです。

ただ万が一、スグルがバッファローマンの移籍に対して厳しい言葉を浴びせたり、納得がいかないとの対応をした場合は、あの背中の手は現実通りザ・ワンの手だった、ということになります。
彼の手から流れる波動を、キン肉マンだとバッファローマンが勘違いしていた、と取ることもできるんですよね…ただそれは少し悲しいなあ。
しかしながらもしそうなった場合、ザ・ワンの手は思いやりのある優しい手だった、ということにもなります。
彼の優しさが、バッファローマンにとっての優しい男であるスグルを脳内に出演させることになったわけですからね。
となると、ザ・ワンは本当は優しい神なのか…でも…怪鳥に乗るポーズがどうも気に食わないんですよ。あれ、バッファローマンを足で踏みつけているような図に見えませんか?
ぱっと見だと、自分に立てついた敵を叩きのめして軍門に下らせ、それを足蹴にして己の力をアピールしているようにも見えちゃうんです。
もちろん目を凝らしてよく見ると、足で踏んではいないようなので、そのような気はないとは思うのですが、いかんせん印象が悪いポーズです。
もう少しね、瀕死のバッファローマンをおぶって登場するとかすれば、我々に対する印象もアップするんですけどね…イメージの調和、とってほしかったな(苦笑)。
その他気になった点
その他気になった点は
- 大画面のザ・マンは、やはり音声も大音量なのかな(笑)?
- 拍手の音うるせ~って言われたりして(笑)。
- 頭を掻くザ・マンは親近感が増すなあ。
- 近所のオヤジみたい(笑)。
- ジェロニモも成長して使命感に燃えている!
- ロビンマスクだけザ・マンが本当にデカいと勘違いしてそう。面識少ないから(笑)。
- あのデカぶつに勝ったの? 悪魔将軍!? みたいな(笑)。
- 直立不動のネメシス。上下関係に厳しそう。
- それだけに大甥の主君に対する粗相(ちゃん付け)にはハラハラしてそう(笑)。
- ザ・マンの手の動きのバリエーション増やすために、中井先生が頑張っている。
- 会話回はそこが大変ですよね。
- 星の表面にクッキリと刻まれたΩの文字。
- キン肉星に浮かぶ顔の表現と同等の表現技法がステキすぎる(笑)。
- 怪鳥はもうバッファローマンと仲良くなったのかな(笑)?
こんなところですかね。次回は…荒れそうですね~。それまでの間、禁断の石臼の設定を復習してみるのもいいかもしれませんね。よろしければ下のリンクからどうぞ。
超人批評の最新版を読みたい方は、こちらのケビンマスクーその3もどうぞ。ケビンマスクの陰りあるパーソナリティについて言及しております。
先日Twitter上で行われた、スグルシリーズ連載800回お絵描き大会のメイキングはこちらになります。動画制作の七転八倒をお楽しみくださいませ(笑)。
そして最新刊『キン肉マン81巻』、豪華ムック『キン肉マンジャンプVol.4』『キン肉マン四次元殺法殺人事件』が好評発売中です。まだご購入されていない方はぜひ! ではまた。




コメント
個人的にロビンマスクのケビンマスク化が心配です……
万太郎のライバル=ケビンは良いのですが
すぐるの一番のライバルはやはりテリーマンがであって欲しいというか……
今後のリアルディールズの空中分解は気になるところです。
ジェロニモとネプチューンマンがコマワリ的にセットになってるのは、嘗ての王位争奪戦の名残と思わせてクスリとする嬉しい組み合わせですが(笑)
柩幸さん、こんにちは。
ロビンのケビン化…なるほど、言われてみればその通りですね。そして初代キン肉マンでは、スグルのライバルはテリーマンであってほしい…これも真理。注目点が素晴らしいですね。
そしてジェロとネプの、緩い感じのペア感。これ、私もほんのり感じていました。王位戦後のお話ですので、ネプがジェロとの心のつながりが描写されていた点を思うと、たしかに嬉しい組み合わせですね。
アシュラは皮肉利かせつつ荒れるんだろうなぁ
スグルはひとしきり狼狽した後ヴァーチャルスグルと同じく良い事言って送り出しそう
ザ・マンはツーカー的な感じでザ・ワンにバッファの事を任せそう
今回天界の危機が説明されたわけですけども
となるとネジケン調査団が誰にボコられたのかが益々気になってくるわけで
今のところ第三勢力が出てくる余地がないんですよねぇ
次回語られるのかなぁ
uzukiさん、こんにちは。
おっしゃるとおり、スグルには気持ちよく送り出してほしいですね。
そして一番の疑問点が、ネジケン調査団を襲った連中の正体ですよね~。これについてはまるで言及されていないので、モヤモヤしますね。
エネルギーバランスの危機に、第三勢力の危機をどのように絡ませてくるのか。本当に楽しみです。
こんにちは。今回、話の進展は殆どありませんでしたが、神々が地上のことを考えていたのは少し感動的でしたね。高慢で自己中なだけだと思っていました(笑)。
ところでアシュラは全然バッファローマンのことを気にかけていませんね。信用していないとはいえ悪魔超人のよしみでもう少し気にかけてほしいものです。
式部省さん、こんにちは。
そうなんですよね、高慢ちきだと思っていたのですが、意外と弱いものをかばっていたという。
実は今回一番びっくりしたのがこれだったりします。