第79回 ウォッチマン

オレ流超人批評
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設定時間で相手を葬る時間の殺し屋。その時計仕掛けのファイトスタイルは、実は一大派閥を形成していた!? またそのフォルムが超人募集に与えた影響力にも注目だ!
出身 スイス
超人強度 25万パワー
必殺技

スリーパーホールド

主な戦績 ブロッケンJr.●

へたっぴ希望の星

 彼は2回目の超人オリンピックのファイナリストとして初登場しました。

 ウォッチマンというだけあって、頭は腕時計、胴体は振り子というシンボリックなデザイン。おそらくは80年代に隆盛しつつあったデジタル腕時計をモチーフにしたのでしょう。

▲隆盛を誇っていたデジタル腕時計。

 当時はジャンプでもこのようなデジタル腕時計の広告がたくさんありましたからね。人気あったんですよ。ですので

誕生日にパパに買ってもらったんだ!

なんていうほっこりしたエピソードありきのデザインなのかもしれません。もしくは合唱コンクールにおいて、クラス全員で歌った『大きな古時計』が印象深くてモチーフに選んだという可能性もあるでしょう(笑)。

 いずれにせよ、小学生の日常がたくさん詰まった応募超人というイメージを感じさせてくれる超人でしたね。

 ただ申し訳ないことに、そのフォルムはお世辞にも洗練されたものとは言い難く、子ども心にも

なんか…無理めな体格をしているな…

と思わせるのに十分なデザインであったといえるでしょう(苦笑)。

 その要因としては

  • 腕時計の頭と振り子の胴体の接合がかなり強引である
  • シルエットが全体的に角ばっていてボテっとしている

という点があげられると思いますが、何よりも

胴体からパイプ然とした伸縮性がありそうな手足が伸びている

からだと思われます。これはオイルマンにも共通することですね(笑)。

 この手足を見た瞬間に

これ…考えた人は、途中でデザインするの面倒くさくなっちゃったのかな?

という疑念が生じた方も多かったと思います。にじみ出る考案者の“やっつけ具合”を、かなり大きくアピールしてしまったのは否めないパーツですからね(笑)。

 もしくは顔のデジタル腕時計のデザインと、胴体の振り子のデザインで死力を尽くしたちびっ子が

もうここからどうしていいかわからない…

という八方塞がり状態に陥り、仕方なしに“パイプ然とした手足”をにょきにょきと伸ばすしか手段がなかったのかもしれません。ええ、絵心がない人がやりがちなパターンです(笑)。

 ただこの予想は投稿者のちびっ子を責めているわけではなくて、当時はこのような形で超人を投稿したちびっ子が大多数だったのではないか、ということを言いたいんですよ。つまりこの投稿者はマジョリティの中の一人なのです。

 そしてその作品はちびっ子なりに

一生懸命描いたんだよ

という結果であり、そんなマジョリティ投稿者の想いを代表した超人がウォッチマンなのではないかな、と思うんですね。ですので、大人になった今ではそこに微笑ましさすら感じるんですよ(笑)。

 そして何よりもすごいのが、この悪く言えば落書きの延長に近しい超人を、そのまま誌面に登場させるゆで先生の度胸だと思うんですよ。

 おそらくですがこのウォッチマン、中井画伯のリファインはほぼ入っていないのではないかと思われます。

 仮にそれが事実だった場合、その行為は日本全国に販売される商業誌のクオリティとしては、かなりの冒険であったことは間違いないでしょう。

 ただそれはゆで先生が超人募集において常々公言されている

上手い下手は関係ないよ。

落書きレベルで大丈夫

というお言葉が真であることを証明したともいえ、それこそ

絵がへたっぴでも採用されるんだ!

という夢を、全国のちびっ子に対して持たせる結果となったことを考えると、このウォッチマンという超人の存在はとても意義深いものだと思えてくるわけです。

 そんな多面的な見方ができる大人になってから彼を見返すと、

ウォッチマン、意外とカワイイよな

なんて思えてくるから不思議ですね。

 個人的には絶妙な“ロボコン感”を感じてしまうんですよ。え? ロボコン知りません?

〽がぁ~んばれ~ロボコン

デンガラガッタ、デンガラガァッタ~♪

ってやつ。ま、いいです(笑)。でもほら、かわいいでしょ? 要はそんなコミカルさを彼には感じてしまうんですよ。憎めないというか。

▲懐かしのロボコンです。  ©石ノ森章太郎/東映

 ですので彼は間違いなく『キン肉マン』という作品の中に確固として存在しうる、“カワイキャラ族”に属する超人ですよ。チエの輪マンとかオイルマンなどが所属している、あの人気事務所の(笑)。

ファイトスタイル

 彼はファイト時間が短かったため、どんな戦闘能力を保持しているのかがよくわかりません。明らかになっているのは、雑に相手を殴打するパンチ(笑)と、フェイバリットである『スリーパーホールド』のみです。

 プロフィールを見る限り、彼はあんなナリで体重が680㎏もあるらしいので、そのパンチ力は侮りがたいものがあるのかもしれません。

 また、伸縮性がありそうな、あのやっつけ感あふれる腕から繰り出されるパンチは、実は大きな遠心力も加味されて強烈なのかもしれませんね。あのブロッケンJr.が手も足も出なかったのは、それがフロックではなかったからなのでしょうか。

 そして彼の技と言えば、何といっても代名詞たる『スリーパーホールド』です。

 当時、この技が相手を失神させる締め技であることを理解しているちびっ子がどのくらいいたのかはわかりません。おそらくこのシーンを見て

??

なんでこの技にかかると眠ってしまうんだ?

と、疑問符が浮かんでしまったちびっ子も多かったと思います。さらに言うと、彼の10時10分表示(もしくは2時10分)を不動でかたどる両目に対して

お前の顔の方が、よっぽど眠っているようだぞ

と、イジワルな指摘をするちびっ子もいたはずです(笑)。

 そしてそれが派手な技か地味な技かと問われれば、地味な技、と答えざるを得ないでしょう(苦笑)。

 つまり当時のウォッチマンは

  • ちょっと無理目な体型
  • ロボコン的イロモノ感
  • 自分が眠っているみたいなくせして相手を眠らす技を使用
  • しかもそれが必殺技としては地味

の四重苦を保持していたことになり、それは彼の人気の面で大きな不利益を与えていたと推測できるのです。

 ただ大人になった今読み返してみると、タイムカウントダウンギミックを絡めたこのフェイバリットは、彼の“時計”としてのキャラクターをとてもうまく利用しており、その意味では洗練された趣深い技だったと思いますね。

 しかも先ほど書いたように、ちびっ子は

??

なんでこの技にかかると眠ってしまうんだ?

という疑問を持ったはずなんですよ。

 それに対してゆで先生は、カウントダウンが終了すると眠ってしまう、というギミック設定にすることで、“スリーパーホールドは寝てしまう技”という玄人しかわからない事実を、誌面上で無理なくちびっ子に納得させているんですね。

 このような視点で彼のフェイバリットをみると、ゆで先生のさり気ないテクニックに舌を巻いてしまいます。

 今思うに、彼のフェイバリットは様々な電子機器に搭載されている“オフタイマー”のようにも感じます。相手超人をオフタイム(=睡眠導入)にさせるわけですね。

 そしてその特性が、当時流行していたデジタル腕時計の“ストップウォッチ”等のギミックを読者に連想させ、彼の“時計”というアイデンティティを増幅させていたのかもしれません。

 いろいろなギミックが付加価値となっていましたからね、当時のデジタル腕時計は。懐かしいな(笑)。

ウォッチマンの他の能力を予想する

 そんなファイトスタイルの彼でしたが、ブロッケンJr.にキャメルクラッチで真っ二つにされるという厳しい結末を迎えてしまいます。

 ある意味ブロッケンJr. vs ラーメンマンという因縁試合を盛り上げる道具として利用された感があり、それについては涙を誘うところでしょう。

 ですので、彼が他にどんな能力を保有していたかは、作品上ではさっぱりとわからないんですよ。ただあんなキッチンタイマーみたいな能力だけでは可哀想なので(苦笑)、ここで彼の知られざる能力の可能性を勝手に考えてみたいと思います。

時間停止能力

 彼はデジタル腕時計がモチーフとなっているので、ストップウォッチのギミックを模して、自在に相手の時を止めることができたかもしれません。

 おそらく顔の横についている4つのボタンを駆使し、自身の機能を使用するのではないでしょうか。

ストップ・ザ・タイム!

なんて叫んで、迫りくる敵をピタッて止めるんですよ。カットに入ってきた敵を一瞬で停止させられたら、カッコいいですよね。それとも

アクション・ストップ!

ってネーミングの方がいいかな? リングを走り回る相手をストップさせ、転がしてからストップを解除。すると相手が

オイッチニ、オイッチニ

なんて寝転がってランニングを再開するとか、面白くないですか?

時間逆転能力

 時計の超人だけあって、彼が時間を自在に操れる力を持つ可能性って高いと思うんですよ。

 ですので時計の針やデジタル数字を逆回転させることで、過去に戻れる能力もあったかもしれません。この能力があれば、仮に予告KOタイム内で相手をKOできなくても、

オレがいつKO宣言に失敗したかのう?

と、両手を左右に広げるジェスチャーからの

地球大逆転!

によって時間を戻し、また必殺のスリーパーホールドをかけ直すことができるわけです。

 これやられたら、ブロッケンJr.も勝ち目ないですね(笑)。

未来加速能力

 時間を過去に戻す能力があるならば、その反対に、自身を未来に進める能力もあるかもしれません。

 ただこれはあまりにもチートな能力すぎるので、未来といってもせいぜいコンマ1秒くらい先の未来に行ける、くらいの設定がいいところでしょうか。

 それでもかなり闘いにおいては有利な能力になると思います。肉体の周りの時間軸をコンマ1秒程ずらして未来へと移動できたら、常に先手を得た攻防を繰り広げることが可能ですからね。

アクセレレイション!

なんつって、顔のボタンをポチっと押したら体が液状化されて、目に見えぬ速さで攻撃を繰り出したり、相手の技から脱出するんですよ。

 あんなロボコン風体でそんなクールな技を繰り出されたら、もうギャップ萌えで読者はメロメロですよ。おそらく超人オリンピックも優勝できたんじゃないかな(笑)?

ウォッチマン・チルドレン?

 はい、私の戯言にここまで

それペンタゴンやろ!

ミスターVTR…!

ミッショネルズやんけ!

だからそれ時間超人だっつの!

と、その時々に上記ツッコミを入れつつ、ここまでお読みいただいた方、本当にありがとうございます(笑)。

 そうなんですよ。ウォッチマンの知られざる能力を想像しようとすると、どうしても彼らの能力とかぶってしまうんです。

 裏を返せば彼らの能力は、ウォッチマンが持っていたかもしれない能力の派生であるとも言え、時間能力の源流はすべからくウォッチマンに帰結する、とも言えるわけです。

▲ウォッチマンを源流とする系統図

 言うなればペンタゴン、ミスターVTR、ヘル・ミッショネルズ、ファイブ・ディザスターズの6名は、ウォッチマンを源流とする

ウォッチマン・チルドレン

であるわけです(笑)。

いやいや、時間超人がウォッチマン・チルドレンて…!

と納得がいかないお気持ちも重々わかるのですが、考えてもみてくださいよ。ウォッチマンは作品上における試合デビューにおいて、このメンツの中では一番早いんですよ。

 これを芸人の上下関係に当てはめると、デビューが一日でも早い方が先輩なんです。つまり…このメンバーの中では、ウォッチマンが圧倒的に先輩なんですね。

 そう考えると、彼に比べたら時間超人なんてペーペーですよ。ですので時間超人の二人は試合会場入りしたら、いの一番にウォッチマンの控室まで挨拶に行ってもいいくらいなんです(笑)。

 そこでいまいち活躍ができなくて悩んでいるライトニングが

ウォッチさん、何かいいアドバイスください

なんて泣きついてきたのを

仕方ねぇな…

じゃあ一つ、ヒントをやる。

コンマ1秒だ。コンマ1秒を手に入れろ

なんてウォッチマンが貫禄たっぷりにアドバイスをするんですよ。この光景を見てもあなたはまだ“ウォッチマン・チルドレン”という派閥の存在を否定しますか(笑)?

▲時間超人も兄さん頼み(笑)?

おわりに

 以上、絵心がない人にも超人募集で採用される希望を与えた(笑)ウォッチマンの考察でした。

 正直な話、彼について批評文を書こうと決心したものの、実際は

いや~、エピソードがなさすぎて、ちょっと書きようがないな…

と、かなり不安でした。

 しかし書いているうちに、彼がその後に登場する“時を操る超人”たちの頭領だった、という収穫を得られたので

いや~、書いてよかった

と、ほっと胸をなでおろした次第です(笑)。

 そして、もしも彼が令和の現代に復活したとしたら、相当に進化をして登場するのかな、なんて想像をしてしまいますね。

私はアッ○ルウォッチマンだ

なんて言って、相手に組み付いたとたんに相手の体内情報をスキャンしちゃうんですよ。そして

血中酸素濃度が低くなっているな…

なんて言って、そのデータからピンポイントで弱点ばかりを攻めちゃうみたいな(笑)。

 こんな感じで、テクノロジーが進化した現代において、実は今一番センセーショナルに復活できる超人って彼なんじゃないかな、なんて夢想をしてしまいます。いかがでしょうか? ではまた。

今回はらいさん、しもうえださん、カンラカラカラさん、ジェシーさん、山田錦さんほか、たくさんの方からリクエストをいただきました。ありがとうございました。

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    コメント

    1. より:

      どうも卍です。
      相変わらず超人のチョイスが面白いですね。一応リアルで見ていた超人ですが、
      あっけなく真っ二つにされてしまったのでそんなに印象に残っていませんでし
      た。機械(メカ、ロボ)超人はウォーズマンを除けば活躍に恵まれてないので、
      厳しい属性かもしれません。・・・え?その代わりウォーズマンは不遇シーン
      のオンパレード?・・そ、そうかな(笑)

      さて、話は少しそれますが私は社会人になってちょっとだけウォッチマンとの出会いがありました。ここからはアキラ氏はパチ系を遊戯してない体で話しま
      すが、パチンコキン肉マン超人タッグ編にて彼はステカセキングとのタッグで
      登場しました。基本原作タッグが相手だと割と強敵なので、こいつらは弱いと
      高を括っていました。しかし先制攻撃され、タッグ技「眠りのシンフォニー」
      でキン肉マンがダウン。そのまま連チャン終了でした。ミッショネルズに負け
      るよりも悔しかったです(泣)

    2. アキラ アキラ より:

      卍さん、こんにちは。お読みいただきありがとうございました。

      たしかに機械超人は八面六臂な活躍はあまりしてないですよね。やはりそこは“自然な肉体賛歌”という考え方が、ゆで先生の深層心理にあるのかもしれません。ご本人がお気づきになられてない形で。

      パチンコについては存じ上げませんでした。そうだったのですか、あの二人がタッグを…そして眠りのシンフォニー…素晴らしい。とてもしっくりきていいコンビですね! 魅力的です。

    3. つかさ より:

      アッ○ウォッチマン(笑)
      有る意味
      その能力を使ってますね
      角度や絞め具合で相手の体調をスキャンして 技の極める時間を割り出してます
      しかし 時間が掛かり過ぎるな と
      当時は小学生ながらも思いましたが

      他にも
      ウォッチマンが
      時計(目覚まし?)に対して
      落とす(眠らせる?)と言う
      真逆的な能力なのは
      ミキサー大帝の
      混ぜるではなくて分離する
      といった事を思い出しました

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